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【ニュース紹介】嘱託殺人の非行事実により19歳女性が少年院送致

2023-06-01

今回は、19歳女子大生が名古屋市内のホテルで起こした嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市中区のホテルで去年12月、女子大学生(当時20歳)の遺体が見つかった事件で、嘱託殺人の非行内容で家裁送致された大学生の女(19)について、鳥取家庭裁判所は23日少年院送致しました。
19歳の大学生の女は去年12月、安城市の48歳派遣社員(嘱託殺人の罪で起訴)と共謀し、名古屋市中区のホテルで別の女子大学生(当時20歳)に依頼され、窒息させて殺害したとして、嘱託殺人の非行内容で名古屋家庭裁判所に送致され、その後、鳥取家庭裁判所に移送されていました。
23日、鳥取家裁は、大学生の女を少年院送致することを決め、収容期間は3年としました。

鳥取家裁は、決定理由で「若年の被害者の生命が失われており、その結果は重大」とした一方、「本件非行は被害者の意思を踏まえた共犯者の指示に基づくもので、悪質性は同種事案の中でも低い」と指摘しました。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=017067 1月24日 「名古屋のホテルで女子大生嘱託殺人事件 大学生の女(19)を少年院送致「悪質性は低い」」より ※氏名等の個人情報については秘匿しています)

【少年院送致とは?】

少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。
ケースのような18歳以上の少年である特定少年の場合は、審判で、3年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定められます。
少年院では、身体拘束を伴い、特別な場合を除き外出することはできません。
処分に伴う負担も大きく、少年の学業、進路に対する影響も大きいです。
不必要に非行少年が少年院へ送致されることがないよう活動する必要もあります。

このような場合には多くのケースにおいて、保護観察処分、不処分を目指した弁護活動を行うことになるかと思われますが、少年が社会に戻っても、改善更正しうることを家庭裁判所に納得させる必要があります。
そのためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが非常に役立つでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部へご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご相談の予約を受け付けております。

【CBCラジオ】少年少女の非行について取材をうけました

2023-05-29

弊所代表弁護士則竹理宇が、援助交際(パパ活)や少年少女の非行について取材をうけました。

取材を受け、制作されましたドキュメンタリーは
5月28日(日)27:00~CBCラジオにて放送となりました。

CBCラジオ特集 わたしの居場所~みゆの物語 | CBCラジオ |
2023/05/28/日 27:00-28:00
https://radiko.jp/share/?sid=CBC&t=20230529030000

ラジコのタイムフリー機能で、オンエア後1週間は無料で聴取可能です(エリア外は有料となります)。
ご興味がある方は是非お聞きください。

【裁判紹介】強盗致傷事件の裁判例(実刑・執行猶予)の紹介

2023-05-29

強盗致傷事件の裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

被告人は、「金を出して」などと店員を脅し、売上金や釣り銭用の硬貨など12万円を用意させ、持っていた刃渡り約11センチの包丁切り傷を負わせて、そのまま金を奪って逃げた。
被告人は犯行前日の早朝には路上に駐輪してあった電動バイクを盗んだほか、駐車されていた車の窓から財布を持ち去っていたことから、強盗致傷の他と銃刀法違反、窃盗2件の罪に問われた。
(中日新聞「「強盗致傷事件を起こした元ホスト、「あの頃に戻ってしまった」と語った訳は―。」(2022/4/29)を引用・参照。)

【強盗致傷(刑法240条前段)事件について】

(強盗致死傷)
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に……処する。
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(事後強盗)
第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

刑法240条前段は、強盗罪を犯した者(刑法236条以外にも238条の場合も含まれます)が被害者に怪我を負わせた場合の罪について規定しています。 
この条文を読んだだけでは必ずしも明確ではありませんが、怪我を負わせる意思を持って犯行を行った強盗傷人罪と、強盗の際にたまたま怪我を負わせてしまった強盗致傷罪の双方が同条によって規律されていることになります。
さらに、刑法240条前段の罪は法定刑として「無期」懲役が含まれるため、原則として裁判員裁判となります(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項1号)。
この点において、裁判官裁判(裁判員の参加しない通常の裁判)とは、必要な対応が大きく異なることに注意が必要です。

【強盗致傷事件に関する裁判例】

本事案において、名古屋地裁(裁判員裁判)は、「懲役6年(求刑懲役9年)」の判決を言い渡しています。
もっとも、同様に強盗致傷を含む罪で起訴された他の事案においては執行猶予判決が下されたものも存在します。
神社のさい銭箱から現金を盗み、停止を求めた警察官を複数回殴るなどしてけがを負わせた事例においては、「懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)」の執行猶予判決が言い渡されています。
このように実刑判決と執行猶予判決とに大きく判断が分かれた理由の一つとして、計画性の有無が挙げられるでしょう。
執行猶予判決が下された後者の事案では、強盗行為自体が事後強盗(上述の刑法238条)であったと考えられ、計画性は低かったと考えられます。
一方、本事案では、包丁という凶器を用意している以上、強盗の際に被害者等に怪我を負わせることもあり得るものだと認識していたものと考えるのが自然であり、一定の計画性が認められます。
この他にも量刑事情(刑を決定する際に考慮される事情)は様々なものがあり、一つ一つの個別的事件によって千差万別です。
起訴された場合にどのような刑が下されうるか(量刑の幅)等については、専門知識を有する刑事弁護士によるアドバイスが不可欠な領域ということできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、強盗(致傷)事件を含む刑事事件を中心に扱っている法律事務所です。
強盗(致傷)事件で逮捕・起訴等された方のご家族は、365日24時間対応の無料フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

【ニュース紹介】過失運転致死傷の事件を紹介

2023-05-26

過失運転致死傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

愛知県名古屋市中川区内の市道で、同方向に走行していた車3台が衝突。
37歳の男性が収容先の病院で死亡した。
事故の発端となった車には大府市内に在住する19歳の少年が運転していたとみられていたが、当初は同乗者と申告していた21歳のAが運転していたことが後に判明。
Aが無免許運転を隠蔽する目的で少年に身代わりを要求していたとして、Aは自動車運転死傷行為処罰法違反の容疑で逮捕された。
(レスポンス カーニュース「車線変更時の死亡事故、同乗者に身代わりを要求した男を逮捕」(2017/3/3)を引用・参照)。

【過失運転致死傷と身代わり】

2022年現在において、自動車事故に関する刑罰規定は刑法ではなく、自動車運転死傷行為処罰法として別の法律によって定められています。
同法は、5条において過失運転致死傷罪を定めています(「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」)。
さらに、注意すべきこととして、同法6条4項は無免許運転であった場合に刑を加重しています(「前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、10年以下の懲役に処する」)。
したがって、本事案では無免許過失運転致死罪が成立しうることになります。

なお、本事案においては、これに加えて犯人隠避教唆罪(刑法61条1項・103条後段)も成立すると考えられます(「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者…を…隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」)。
本件Aは、上述のとおり「罰金以上の刑に当たる罪」である無免許過失運転致死罪を犯した者であり、身代わりを出頭させることで犯人たる自らの「隠避」を「教唆」(刑法61条1項)しているからです。
もっとも、ここにいう「隠避」には自己隠避つまり犯人自身による隠避行為は含まれないと解されています。
ただし、判例は犯人自身が他人に「隠避」行為を教唆した場合には、防御権を濫用したものとして犯人隠避罪の教唆犯の成立を認めているのです。
したがって、本件でも身代わり出頭をさせたAの行為は犯人隠避の教唆に当たるものと考えられます。

【過失運転致死傷事件の裁判例および弁護活動】

本事案の場合、死亡事故(致死事件)であり、ある程度重い刑事処分が見込まれることは比較的明らかといえるでしょう。
もっとも、乗用車を無免許運転して歩行者をはねた上、同乗者に身代わりを依頼した本事案類似の事件(致傷事件)において、懲役2年8月の実刑判決を言い渡した例が存在します。
したがって、被害者が死亡していない事故(致傷事件)であっても、厳しい判断が下される例もあることから決して軽く見ることできません。
交通事件においても、裁判になる前のできるだけ早い段階において、金銭的な被害を回復させるのと同時に真摯な被害者対応を行う等の弁護活動が重要性を帯びることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、交通事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
過失運転致死傷事件等で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

【裁判紹介】交通事件に関する詐欺事件の裁判例等を紹介

2023-05-23

交通事故に関する詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

交通事故に遭った際、通院で勤務を休んだ日数を水増しして保険会社に申告し、保険金およそ5万9000円を騙し取った罪に問われていた被告人に対し、名古屋地裁は「懲役10月、執行猶予3年」の有罪判決を言い渡した。
(東海テレビ「元警察官の32歳男に執行猶予付きの判決」(2020/7/31)を引用・参照)。

【交通事故に関する詐欺事件】

(詐欺)
第246条 
①人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
②前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法に規定されている詐欺罪(刑法246条)には、客体を「財物」とするいわゆる1項詐欺と、「財産上の利益」を客体とする2項詐欺があります。
本稿では、最も一般的な1項詐欺に関する事件について取り上げて解説していきたいと思います。

上記にもあるように246条1項は「人を欺いて財物を交付させた者」に詐欺罪が成立すると定めるのみで非常にシンプルな条文となっています。
しかし、詐欺罪は財産犯(刑法第2編36章~40章)の中でも複雑な構造を持つ犯罪であるということに注意を要します。
1項詐欺罪(既遂)が成立には、「人を欺く行為(欺罔行為)→錯誤→財物の交付→財物の移転」という因果連関が必要となるのです。
これを本事案について見てみると、交通事故にあった被告人が、当時の勤務先に有給休暇を請求しこれを加えた水増しした休業補償金(保険金)を保険会社に申告し(「人を欺」く行為)、申告に基づいた保険金が発生すると誤信した保険会社が(錯誤)、水増しされた保険金を被告人に交付し(交付行為)、被告人がこれを受け取っている(財物の移転)ことから詐欺罪が成立することになります。
交通事故に関する詐欺事件には、本事案のようないわゆる保険金詐欺の他にも、保険会社が絡まない偽装事故のケースも存在します。
被告人らが乗用車と歩行者の衝突事故を偽装し、何も知らない同乗者の被害者(自らを加害者と誤信)から示談金を請求するようなケースです。
詐欺罪はいわゆる知能犯と分類されることからも分かる通り、様々な態様で行われケースによっては高度な組織性を有することもあり(それを被疑者・被告人が認識していない場合も少なくありません)、専門家である刑事弁護士によるサポートが不可欠な事件類型といえるでしょう。

【詐欺事件における刑事弁護士の弁護活動】

本事案では、被告人に「懲役10月、執行猶予3年」の有罪判決が下されています。
まず詐欺事件を起こしてしまった場合、最大の関心事の一つとなるのが起訴されるかされないか(裁判になるかならないか)でしょう。
財産罪(財産犯)は当然のことながら財産を侵害する犯罪ですから、被害弁償や示談成立の有無が判断を分ける重要な要素となることは間違いありません。
したがって、弁護士としては被害者側とコンタクトを取り、出来るだけ早い段階でこれらの弁護活動において成果を出していくことが肝要となります。
次に起訴されてしまった場合は、どのような判決が下されるのかということが最大の焦点となります。
近年は特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺に端を発する多様化した特殊な詐欺・窃盗事件)を中心とした組織的な詐欺事件には極めて重い判決が下される傾向にあると言われています。
本稿で紹介した事案は特殊詐欺ではないものの、被疑者・被告人のあずかり知らぬ内に組織的な詐欺事件に加担していることも少なくないため、弁護士による十分な聞き取りやその専門知識にもとづく裁判の見通しについての助言を受けることもまた不可欠といえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、詐欺事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
詐欺事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

【解決事例】器物損壊事件で不起訴処分を獲得

2023-05-20

器物損壊事件において、弁護活動の結果、不起訴処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは名古屋市熱田区にあるショッピングセンターの駐車場で、ささいなことからVさんと口論になりました。
Vさんがショッピングセンターに入って行った後、怒りが収まらないAさんは、Vさんの自家用車に10円玉で故意に線状の傷をつけました。
その後Aさんは愛知県熱田警察署に呼び出され、器物損壊罪の疑いで任意で捜査を受けることになりました。
Aさんは「大変馬鹿なことをしてしまいました。Vさんに謝罪したいのですが、警察官には『Vさんの個人情報は教えることができない』と言われました。」
と相談時にお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【車に故意に傷をつける】

10円玉のような硬貨やくぎ、鍵などを使って停まっている車に、線状のひっかきキズをつけることを、10円パンチと言うこともあるそうです。
しかしこの行為は「いたずら」と呼ばれることもあるのですが、「器物損壊罪」という犯罪行為にあたります。

【器物損壊罪について】

器物損壊罪は、刑法第261条に規定があり
法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

器物損壊罪は、「他人の物」を壊したり価値を損なわせたりする犯罪です。
器物損壊罪の「損壊」とは、物を物理的に壊す行為だけでなく、物の効用を害する行為を含みます。
なお、器物損壊罪は、被害者の告訴がなければ起訴ができない親告罪です。

【弁護活動について】

警察署を通じて、Vさんに対し、Aさんから謝罪をさせていただけないかとお伝えしたところ、Vさんより
「Aさんに謝罪してもらい、車の修理代金さえ頂ければ、Aさんには重い処分は望みません」とお返事を頂きました。
その後、VさんにAさん作成の謝罪文を渡し、Vさんの車の修理代金をお支払いし、示談を締結することができました。
なお、Vさんに対し、告訴取消の意思を確認したところ、「Aさんに重い処分は望まないが、最後まで捜査や取調べは受けて欲しい」とのことでしたので告訴取消はされませんでした。
以上の経過を警察署に書面で提出したところ、後日検察庁に事件が送致され、検察庁の捜査が終結後にAさんは不起訴処分となりました。

被害者との示談交渉や警察署、検察庁への意見申立ては、法律の専門家である弁護士に任せるのがよいでしょう。

このコラムをご覧の方で、器物損壊事件の被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、器物損壊事件に関するご相談を

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

にてご予約を受け付けております。

 

【ニュース紹介】車のドアノブに手をかけた男性を引きずり怪我をさせ逮捕された男性が不起訴処分に

2023-05-17

今回は愛知県で起きた事件の報道をもとに、不起訴処分について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県安城市の駐車場でドアノブに手を掛けた男性を引きずったまま車を発進させ、けがをさせたとして逮捕された男性を、名古屋地検岡崎支部は不起訴処分としました。
12月23日付で不起訴処分となったのは、碧南市の会社員の男性(62)です。
男性は11月25日、安城市内のレンタルショップの駐車場で、店を出たところ、経営者に呼びとめられ、経営者が車のドアノブに手をかけたところで車を発進させ、約15m先まで引きずって転倒させたとして殺人未遂の疑いで逮捕されていました。店の経営者は軽いけがをしました。
逮捕当時、男性は警察の調べに対し「引きずったり、けがをさえた覚えもなければ、そのつもりもありませんでした」と容疑を否認していました。
名古屋地検岡崎支部は、不起訴の理由を明らかにしていません。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016664 12月23日 メ~テレ 「ドアノブに手をかけた人を15m引きずって走行したとして逮捕された男性を不起訴」より引用)

【事件の内容について】

ケースの事件において特筆すべきは、被疑罪名が「殺人未遂罪」となっている点です。
言うまでもなく大変な重罪ですが、自動車を運転しながら故意に人を引きずる、故意に自動車を人にぶつけるなどした場合、生命にかかわる危険な行為であり、殺人未遂罪(被害者が死亡した場合は既遂)を適用して捜査されるケースが非常に多いです。

【ケースの事件は不起訴処分により終了】

ケースの事件は不起訴処分によって終了しています。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を裁判にかけないものとする処分です。

名古屋地検岡崎支部は不起訴処分の理由を明らかにしていませんが、殺人未遂罪のような重い被疑事実により捜査されてきた事件であっても、①事件の経緯、②捜査によって収集できた証拠の状況、③被害者のケガの軽重、④当事者間における示談の有無を考慮し、不起訴処分がなされる可能性もありえます。

自動車を運転中に生じたトラブルについては、加害者は気づいていなかったり些事だと思っていても、捜査機関が殺人未遂罪を適用して捜査を開始することが珍しくありません。
殺人未遂罪で逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が殺人未遂の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にまずご相談ください。
相談のご予約は、365日/24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)で受け付けています。

【裁判紹介】背任事件についての裁判例を紹介

2023-05-14

背任事件に関する裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

静岡県発注の公共工事に絡んで虚偽の設計公文書を作成し、請負代金を増額させるなどして県に損害を与えたとして虚偽有印公文書作成・同行使と背任の罪に問われた元県職員の被告人の判決公判で静岡地裁は、懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。  
(静岡新聞「元県職員に有罪判決 公共工事巡り背任」(2023/02/09)を引用・参照)。

【背任罪について】

(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

本事案では、被告人は公務員の立場で公文書偽造した虚偽公文書作成罪および同行使罪(刑法156条、158条1項)の罪にも問われていますが、本稿では背任罪(刑法247条)についてのみに焦点を絞り解説していきます。
まず本件被告人は、(本件行為時)県職員であり、県の公共工事に関して の事務処理を委託された者として「他人のためにその事務を処理する者」ということができます。
そして、そのような立場にある被告人が、本来減額すべき請負代金(業者に支払う代金)を増額するという「任務に背く行為」(背任行為)を行っており、これによって県に損害を生じさせています(「本人に財産上の損害を加えた」)。
さらに、背任罪は目的犯であることから、「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」(一般に図利加害目的と呼ばれます)という特殊な主観的要件を要します。
これは、要するに本人の利益を図る目的がある場合には背任罪は成立しないということを裏から規定したものと読むことができます。
したがって、本事案のように本人(県)に損害を加える目的が認められる場合にはこの要件を満たすといえます。
なお、注意すべきなのが、背任罪と(業務上)横領罪については必ずしもその区別は明確でなく、どちらの罪が成立するか(あるいはどちらも成立しないのか)については刑事事件に関する専門的なトレーニングを受けた弁護士でなければその区別が容易ではないケースも少なくないということです。
したがって、背任罪を含めた刑事責任を問われている方(嫌疑をかけられている方)は弁護士のアドバイスを仰ぐことが必須といえるでしょう。

【背任事件の裁判例等について】

本事案では、被告人には「懲役2年、執行猶予3年」の判決が下されています。
しかし、背任事件で実刑判決を受けるおそれがないかと言えばそうではありません。
他の事案では、例えば組合の代表理事が過去に貸付金が回収不能になったことのある会社に対し約3000万円の融資を行い組合に損害を与えたケースにおいて、代表理事に「懲役2年(求刑懲役3年)」の実刑判決が言い渡されています。
この事案は、本件事案とは異なり、巧妙に「自己」(被告人)もしくは「他人」(被告人の妻)の利益を図ったケースと考えられ、また損害額も大きいことから実刑判決に至ったと考えられます。
もっとも、裁判所の量刑判断には他にも様々な事情が影響すると考えられることから、安易な判断は禁物であり、専門家である刑事弁護士への相談が不可欠です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、背任事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
弊所には、多数の不起訴処分や執行猶予判決を獲得した実績を有する弁護士が多数所属しています。
背任事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

【ニュース紹介】妻の頭部をモンキーレンチで複数回殴り、男性が逮捕

2023-05-11

今回は、愛知県で起きた妻に対する殺人未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県警一宮署は二十二日、同居の妻を殴り殺そうとしたとして、殺人未遂の疑いで、同県一宮市今伊勢町本神戸、自称アルバイト男性容疑者(36)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑では同日午後七時十分ごろ、自宅で口論となった妻(34)の頭をモンキーレンチで数回殴り、殺そうとしたとされる。妻は頭部から出血し、病院に運ばれたが、命に別条はない。
署によると、男性容疑者は殴ったことは認めているが、殺意は否認している。通行人が「女性が血だらけで助けを求めてきた」と通報し、駆け付けた署員が逮捕した。
(https://www.chunichi.co.jp/article/622519?rct=tag_shimen 1月23日 「妻をモンキーレンチで殴る 殺人未遂の疑いで一宮の男逮捕」より引用 ※氏名等の個人情報については秘匿しています)

【殺人未遂事件の弁護活動】

殺人未遂罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」となっており、代表的な重大犯罪です(法定刑自体は殺人既遂罪も殺人未遂罪も同じです)。
また、殺人未遂罪は裁判員裁判対象事件です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条1項1号)。

【殺人未遂事件の特徴】

殺人未遂の嫌疑で検挙されるケースは意外に多く、故意に自動車を他人にぶつけた場合、自動車のボンネットに他人を乗せたまま急加速するなどして振り落とし怪我を負わせる行為などがあります。
冒頭のケースについても、被疑者は被害者の頭部をモンキーレンチで複数回殴打しており、このような場合においては殺人未遂の嫌疑で検挙される可能性が高いでしょう。

【傷害罪に「罪名落ち」する可能性】

ただし、殺人未遂の嫌疑で検挙された場合であっても、殺人罪の実行行為として認められる行為を立証できるだけの証拠がない、殺意を立証できるだけの証拠がないなどの理由で、最終的に傷害罪などの罪名に変更される場合もあります。
捜査の初期段階で殺人未遂とされていても、後の捜査や公判で罪名が軽くなるケースはそれほど珍しくありません。
傷害罪に留まった場合には法定刑が「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となるため、かなり被疑事実が軽くなるといえるでしょう。

もし傷害罪に留まった場合には、被害者のケガの状況にもよりますが、十分な謝罪と賠償を行い、示談をすることによって、不起訴処分を獲得できる場合もあります。

自身が、あるいはご身内の方が殺人未遂の疑いで検挙された場合、大変驚くと思いますが、法律の専門家である弁護士の観点から事件を再チェックすることには大きな意義があります。
まずは接見にやってきた弁護士と会い、今後の弁護活動の方針についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が殺人未遂の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

【裁判紹介】酒気帯び運転事件の裁判例を紹介【実刑】

2023-05-08

酒気帯び運転事件に関する裁判例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

酒気帯び状態で運転していた車を道路の防護壁に衝突させ、助手席側の外にあるステップに足を乗せて屋根につかまっていた友人の男性を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)と道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪に問われた愛知県豊田市の被告人の裁判員裁判で、名古屋地裁岡崎支部は4日、懲役3年6月(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
(産経新聞「友人死亡事故、実刑判決 酒気帯び、危険運転で衝突」(2019/12/4)、東海テレビ「友人運転の車の“外”に乗り死亡…22歳男性が車体の外側に掴まり走行の車 壁に衝突し落下」(2019/5/20)を引用・参照)

【酒気帯び運転事件の裁判例】

本事案では酒気帯び状態で車を運転(道路交通法65条1項、117条の2第1項1号)しただけでなく、さらに危険運転致死(自動車運転死傷行為処罰法2条)行為によって被害者を死亡させてしまっており、実刑判決が下されることは常識的な感覚からしても不思議なものではないと思われます。

しかし、このような危険運転致死行為がなければ、酒気帯び運転の罪で実刑判決が下ることはないかと言うとそうではありません。

他の事例をみると、酒気帯び状態でバイクを運転した被告人に対し「懲役5月(求刑懲役6月)の実刑判決が言い渡されたケースも存在します。
このように(酒酔い運転よりも酩酊度の低い)酒気帯び運転でも執行猶予が付くことなく実刑判決となることもあり得るのです。
以下では、どのような事情が量刑判断に影響し得るかについて、弁護活動の重要性に鑑みつつ見ていくこととします。

【酒気帯び運転事件における弁護活動】

一般に酒気帯び運転の場合、初犯であれば罰金刑で済むことも少なくないと言われています。
上記のように酒気帯び運転のみで実刑判決に至ってしまうケースは、刑の終了後(あるいは執行猶予期間満了後)ある程度近接した時期の犯行であることが多く、紹介したケースでも執行猶予期間満了直後の犯行であったことが重い刑事処分に繋がったものと思われます。
もっとも、どのような判決が下るかは同じ罪名であっても事案によって異なることは言うまでもありません。
したがって、上記のようなケース以外でも実刑判決などの重い処分が下る可能性は否定できません。
また交通事件では、現場で逮捕されてしまうことも少なくなく、早い段階から先々の見通しを共有しながら弁護活動を行っていくことが肝要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、酒気帯び運転事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
酒気帯び運転事件で逮捕や起訴された方、およびご家族は、24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにご連絡ください。

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