Archive for the ‘暴力事件・凶悪犯罪’ Category
【ニュース紹介】妻の頭部をモンキーレンチで複数回殴り、男性が逮捕
今回は、愛知県で起きた妻に対する殺人未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
愛知県警一宮署は二十二日、同居の妻を殴り殺そうとしたとして、殺人未遂の疑いで、同県一宮市今伊勢町本神戸、自称アルバイト男性容疑者(36)を現行犯逮捕した。
逮捕容疑では同日午後七時十分ごろ、自宅で口論となった妻(34)の頭をモンキーレンチで数回殴り、殺そうとしたとされる。妻は頭部から出血し、病院に運ばれたが、命に別条はない。
署によると、男性容疑者は殴ったことは認めているが、殺意は否認している。通行人が「女性が血だらけで助けを求めてきた」と通報し、駆け付けた署員が逮捕した。
(https://www.chunichi.co.jp/article/622519?rct=tag_shimen 1月23日 「妻をモンキーレンチで殴る 殺人未遂の疑いで一宮の男逮捕」より引用 ※氏名等の個人情報については秘匿しています)
【殺人未遂事件の弁護活動】
殺人未遂罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」となっており、代表的な重大犯罪です(法定刑自体は殺人既遂罪も殺人未遂罪も同じです)。
また、殺人未遂罪は裁判員裁判対象事件です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条1項1号)。
【殺人未遂事件の特徴】
殺人未遂の嫌疑で検挙されるケースは意外に多く、故意に自動車を他人にぶつけた場合、自動車のボンネットに他人を乗せたまま急加速するなどして振り落とし怪我を負わせる行為などがあります。
冒頭のケースについても、被疑者は被害者の頭部をモンキーレンチで複数回殴打しており、このような場合においては殺人未遂の嫌疑で検挙される可能性が高いでしょう。
【傷害罪に「罪名落ち」する可能性】
ただし、殺人未遂の嫌疑で検挙された場合であっても、殺人罪の実行行為として認められる行為を立証できるだけの証拠がない、殺意を立証できるだけの証拠がないなどの理由で、最終的に傷害罪などの罪名に変更される場合もあります。
捜査の初期段階で殺人未遂とされていても、後の捜査や公判で罪名が軽くなるケースはそれほど珍しくありません。
傷害罪に留まった場合には法定刑が「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」となるため、かなり被疑事実が軽くなるといえるでしょう。
もし傷害罪に留まった場合には、被害者のケガの状況にもよりますが、十分な謝罪と賠償を行い、示談をすることによって、不起訴処分を獲得できる場合もあります。
自身が、あるいはご身内の方が殺人未遂の疑いで検挙された場合、大変驚くと思いますが、法律の専門家である弁護士の観点から事件を再チェックすることには大きな意義があります。
まずは接見にやってきた弁護士と会い、今後の弁護活動の方針についてアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が殺人未遂の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【解決事例】傷害事件で執行猶予付き判決
傷害事件で弁護活動により執行猶予付き判決を獲得した事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
Aさんは元交際相手のVさんに対し暴力を振るい、Vさんに全治2週間の傷害を負わせました。
Vさんの家族が刈谷警察署に通報したところ、後日Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は「AはVさんに対するDVの容疑で逮捕されたと刈谷警察署から聞きました。Vさんに謝罪したいのですが、ご家族にお断りされました。」と相談時にお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【DVとはどのようなことですか?】
DVとは「Domestic Violence」を略した言葉で、カタカナで「ドメスティック・バイオレンス」と表示されます。
意味は、「配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力」とされることが多いです。
配偶者からの暴力を防止し、被害者の保護等を図ることを目的として制定された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、通称「DV防止法」と呼ばれることもあります。
なお、「DV防止法」は、被害者が配偶者や元配偶者、事実婚の状態にある方である時に限られています。
今回のAさんは、Vさんがそのような条件に当てはまらないのもあり、傷害罪で逮捕されることになりました。
【弁護活動について】
配偶者や恋人に限る話ではありませんが、人に対し不法な有形力を行使した(暴力をふるった)場合は、刑法第208条にあります「暴行罪」が成立します。
更に、不法な有形力を行使した結果、相手が怪我をしてしまった場合は、刑法第204条にあります「傷害罪」が成立します。
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料です。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
このような暴行・傷害事件においては、被害者と示談を成立させることがとても重要です。
示談を成立させることができれば、前科とならない不起訴処分などになる可能性が高まります。
しかし、示談を成立させることができなかった場合でも、その経過を文章にして、検察庁や裁判所に提出することや、その他適切な弁護活動により、罰金刑や執行猶予付き判決を目指していくことも可能です。
今回のAさんの弁護活動につきましては、示談を成立させることによりAさんの身柄を解放することができたものの、起訴され正式な裁判が開かれることになりました。
しかし、適切な弁護活動を行ったことにより、Aさんは執行猶予付き判決となりました。
示談を成立させていたことが、判決に大きな影響を与えました。
被害者との示談交渉につきましては、法律の専門家である弁護士にぜひお任せ下さい。
このコラムをご覧の方で、被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、傷害事件・暴行事件・DV事件に関するご相談を
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。
【ニュース紹介】名古屋市昭和区で起きたタクシー強盗事件
今回は、名古屋市昭和区で起きたタクシー強盗事件の報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
名古屋市昭和区で21日未明、男がタクシーの運転手を殴って料金を支払わず逃走し、警察は強盗事件として捜査しています。
警察によりますと21日午前2時前、名古屋市昭和区でタクシーの男性運転手(46)が目的地の地下鉄「八事駅」前に到着したため、後部座席で寝ていた客の男に声をかけて起こしました。
男は「お前の態度は何だ」と言い、運転手の顔を2回殴ると、乗車料金およそ3400円を支払わずにそのまま逃走しました。運転手にケガはありませんでした。
逃げた男は30代くらい、短い茶髪で身長は170センチほど、マスクは着けず、中区・錦の繁華街から1人で乗車したということです。
警察はタクシーのドライブレコーダーの映像を解析するなどして、男の行方を追っています。
(https://news.goo.ne.jp/article/tokaitv/nation/tokaitv-20221221-1558-23992.html 12月21日 東海テレビ 「タクシー車内で起こされ「お前の態度は何だ」30代位の男が運転手殴り料金支払わず逃走 強盗事件として捜査」より引用)
【タクシー降車時に、運転手に暴行・脅迫を加えると】
所持金不足などを隠してタクシーに乗車し、詐欺の疑いで検挙されるケースがときおりみられます。
しかし、初めから料金を払うつもりがないのであれ、到着したときに払いたくなくなったのであれ、降車時に運転手を暴行、脅迫し、逃走した場合には、強盗の罪に問われる可能性があります。
強盗の罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっており、特に減軽事由なく有罪判決が確定すれば、即、実刑判決となります。
以上から、強盗罪が極めて重い犯罪であるということができます。
【すぐに弁護士に相談】
前述の通り、強盗罪の罪責は重く、逮捕される可能性、身体拘束が長期化する可能性はかなり高いと考えられます。
タクシー強盗事件を起こしてしまった場合は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士と相談し、今後の行動についてアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
強盗事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
*その後、犯人の男は出頭し、逮捕されたとのことです。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/00eb149e25536417249764d6b0be65d740c6d4dd)
【裁判紹介】現住建造物等放火事件の裁判例を紹介
現住建造物等事件の裁判例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案】
被告人は、息子と2人で居住する本件家屋からの立ち退きを迫られ、本件家屋の住宅ローンを含む多額の夫の借金により本件家屋を失う悔しさや愛着のある自宅を他人に取られたくないなどの思いから、本件家屋に火を放ち、本件家屋とともに自分も死んで消えようなどと考え、本件犯行に及んだ。
裁判所は、被告人を懲役2年6月、その刑の一部である懲役6月の執行を2年間猶予するとの判決を言い渡した。
(「名古屋地判平成28年6月24日)」を引用・参照)。
【現住建造物等放火罪について】
(現住建造物等放火)
第108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
108条はタイトルのとおり「現住建造物等放火罪」について定めています。
現在においても専ら問題となるのは建造物等(「建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」)の中でも「建造物」に対する放火ですから、以下では建造物を客体とするに場合を想定して解説いたします。
まず、注意すべきなのは、108条は「現に人が住居に使用」する「建造物」と、「現に人がいる」「建造物」をともに処罰する規定になっているということです。
つまり、「建造物」に人が住んでいなくとも「現に人がい」れば現住建造物等放火罪は成立し得るということになり、逆に「現に人がい」なくとも「現に人が住居に使用」していれば同罪は成立するということです。
本件では、被告人は息子と2人で居住している建造物に放火したというのですから、仮に放火時に建造物内に人がいなかったとしても後者の現住性を満たすことになり、現住建造物等放火罪の成立が否定されることはありません。
【現住建造物放火事件における弁護活動】
本裁判例では、刑法27条の2に基づき、刑の一部執行猶予判決が下されています。
もっとも、現住建造物に燃え移る危険性の高いことを認識しながら、同建造物に放火し畳を燃やしたとして現住建造等放火未遂罪が問われたケースにおいて、懲役3年の実刑判決が下された例もあります。
つまり、未遂罪にとどまる場合の方が処断刑が重くなることもあるのであり、未遂だから刑は重くならないだろうと安易に考えるのは禁物といえます。
また、さらに注意すべきこととして、現住建造物等放火罪は(上述のとおり)法定刑として「死刑又は無期」を規定していることから、原則として裁判員裁判対象事件(裁判員法2条1項1号)となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、放火事件を含む刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
現住建造物放火事件(放火事件)で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日/24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせ下さい。
【解決事例】傷害事件で不起訴処分を獲得
傷害事件において、弁護活動の結果、不起訴処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
Aさんは名古屋市守山区にある自宅で、友人Vさんと口論となり、Vさんを殴って傷害を負わせたとして、愛知県守山警察署において傷害罪で逮捕されました。
Aさんの家族は「Vさんとは家族ぐるみの付き合いです。先ほどVさん宅に謝罪に伺いましたが、Vさんから『Aさんとは長い付き合いだし、被害届を取り下げるか悩んでいるが、少し待ってほしい』と言ってくれました。でもこの先が不安でしょうがありません。」とお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【暴行罪・傷害罪の刑罰について】
①傷害罪(刑法204条)
刑罰:15年以下の懲役、50万円以下の罰金
②暴行罪(刑法208条)
刑罰:2年以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、又は科料
【傷害罪とは】
傷害罪は、「人を傷害した」ことで犯罪が成立します。
傷害とは、判例上「人の生理的機能に障害を与えること」とされています。
例えば、出血や骨折など怪我をさせること、病気にかからせることなどは、傷害になります。
なお、女性の毛髪を根元から切断することは「人の生理的機能に障害を与えること」とはいえないとして、暴行にとどまるという判例(大判明治45・6・20)があります。
つまりこの場合は、暴行罪が成立します。
暴行罪と傷害罪の関係は
①人に暴行を加えることによって、暴行罪が成立し、
②人を傷害する結果が生じたときには、傷害罪が成立する
となるでしょう。
【弁護活動について】
Vさんに対し、「Aさんが謝罪と弁償をしたいと言っているので、話を聞いてもらえないでしょうか。」と伝えたところ
Vさんより「私にも悪いところはありました。弁護士さんが間に入ってくださるなら安心です。」と示談交渉を受け入れてもらうことができました。
その後、Aさんが作成した謝罪文をVさんに渡し、示談をまとめ、示談金をVさんにお支払いし、Vさんより「被害弁償を受けたので、Aさんを許してほしい」旨の書類を頂くことができました。
そして、これらのことを検察庁に提出した結果、早期にAさんは釈放され、不起訴処分となりました。
【まとめ】
傷害事件や暴行事件で、刑事裁判になると懲役刑や罰金刑などの刑罰を受ける可能性があります。
傷害事件や暴行事件を起こしたら、事実を認めている場合、傷害事件や暴行事件を争う場合、どちらの場合でも、すぐに傷害事件、暴行事件、刑事事件に強い弁護士に相談することが重要です。
加害者が逮捕されている場合、被害者に対し、自ら謝罪や示談交渉をすることはできませんし
被害者が加害者からの直接の接触を、恐怖などから断ることも大変多いのです。
被害者との示談交渉は、法律の専門家である弁護士に任せることを強くお勧めします。
このコラムをご覧の方で、傷害事件、暴行事件に限らず、被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、示談に関するご相談を
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。
【ニュース紹介】傷害致死事件について
今回は、愛知県で起きた傷害致死事件の報道をもとに、傷害致死事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
去年7月、名古屋市熱田区の住宅で同居していた当時90歳の父親に暴行を加え死亡させたとして、60歳の長男が逮捕されました。
傷害致死の疑いで逮捕されたのは、名古屋市熱田区の会社員男性(60)です。
愛知県熱田警察署によりますと、男性は去年7月、同居していた父親(当時90)の頭を後ろから両手でつかみ、複数回にわたって振り動かす暴行を加え、首の骨を骨折させるなどの重傷を負わせ死亡させた疑いがもたれています。
男性は父親と2人暮らしで、去年6月、父親の顔に湯を沸かしたやかんを押し当てたなどの疑いで逮捕されていました。
調べに対し、男性は「首を前後左右に振った。間違いなくやりました」と容疑を認めた上で、「死亡させるつもりはなかった」などと供述しているということで、警察が当時の詳しい経緯を調べています。
(11月15日 CHUKYO TV NewsWEB 「首の骨が折れ…住宅で男性(90)死亡 同居の長男(60)を傷害致死容疑で逮捕」より引用 ※一部変更を加えてあります)
【傷害致死罪とは?】
身体を傷害し、よって人を死亡させる犯罪です(刑法第205条)。
傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役(最長20年の有期懲役)となっています。
傷害致死罪について有罪判決が確定したとしても死刑に処せられることはありませんが、人を死亡させている以上、相当に重い犯罪ということができます。
また、殺意が認められる場合は、傷害致死罪ではなく、殺人罪が成立する可能性が高いです。
殺人罪の法定刑は、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」となっています。
殺人事件や傷害致死事件の捜査段階では、殺意の有無が重要なポイントとなります。
捜査段階から慎重に吟味が行われるでしょう。
【傷害致死事件は裁判員裁判対象事件】
傷害致死事件は裁判員裁判対象事件です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第2条1項2号)。
日常、刑事裁判と関わることのない市民の方々が裁判員として裁判に参加し、被告人が有罪であるか無罪であるか、有罪である場合にはどのような刑が適切かを裁判官と共に決めることになります。
裁判員裁判では、公判前整理手続が必ず実施され(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第第49条)、争点の整理、証拠の整理等が行われます。
公判前整理手続は複雑で、対応するには刑事手続に関する高度な法律的知識が必要です。
傷害致死の疑いで逮捕された場合は、すぐに刑事事件に熟練した弁護士を依頼し、事件解決のサポートを受けることを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害致死の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【解決事例】愛知県豊橋市の傷害事件で釈放・不起訴処分を獲得
傷害事件で釈放・不起訴処分を獲得したことにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
愛知県豊橋市在住のAさんは、仕事に向かう道中で、前方を歩いている女性を盗撮しようと試みました。
しかし、Aさんが怪しい動きをしているところを目撃したVさんにその場で取り押さえられ、近くの交番まで連行されました。
愛知県豊橋警察署の警察官が不在であったため、警察官が戻るまで待機しようと考えたVさんが、再度Aさんの首元をつかんで取り押さえました。
特に抵抗しようと考えていなかったのにも関わらず首元をつかまれたことに立腹したAさんは、その場にあったパイプ椅子でVさんを殴打し、怪我を負わせてしまいました。
その後、駆けつけた警察官にAさんは現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんのお父様は、「息子は数日後に結婚式を控えているので、なるべく早く釈放してもらうことはできないでしょうか。」と相談時にお話されました。
(守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【具体的な弁護活動】
Aさんは逮捕後勾留されたため、弁護士が勾留に対する準抗告を申立てました。
弁護士が準抗告申立書にて、①証拠隠滅の可能性がないこと、②突発的な事件であり、Aさんの供述も犯行を認める旨の供述で一貫していることから、在宅での捜査で支障がないこと、③結婚式がキャンセルとなればAさんのみならず、その親族に多大な社会的・精神的不利益が生じることなどを理由に挙げ、Aさんの釈放を求めました。
その結果、準抗告が認められ、Aさんは釈放されました。
さらに、弁護士がVさんとの示談交渉を行い、①AさんがVさんへの接触を今後一切しないこと、②示談金の支払いなどを約束し、Vさんとの間で宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結しました。
そして、弁護士が検察官に対し、上記宥恕条項付きの示談が成立している旨を主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。
【まとめ】
今回の事案のように、被疑者が逮捕後勾留されてしまった場合には、勾留裁判に対する不服申し立て(準抗告)を行い、身柄解放(釈放)を目指します。
釈放が認められれば、逮捕されたことが周りの人に知られずにすんだり、会社や学校を辞めずにすむ可能性があるだけでなく、在宅での捜査になるので、事件解決や裁判に向けた十分な準備ができるといったメリットがあります。
また、不起訴処分を獲得するためには、弁護士による被害者の方との示談交渉が重要になります。
その際、今回の事案のように、被害者の方と宥恕条項付きの示談を締結することができれば、より不起訴処分獲得の可能性が高まります。
お困りでしたら、すぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【裁判紹介】非現住建造物等放火事件の裁判を紹介
非現住建造物等放火事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
差し押さえられた自宅に火を付け不動産競売を妨害したとして、非現住建造物等放火と強制執行妨害目的財産損壊等の罪に問われた被告人の判決公判で、名古屋地裁岡崎支部は「2人が共謀の上放火したという事実を認定できない」として、いずれも無罪(求刑・懲役4年)を言い渡した。
(毎日新聞「自宅放火、夫婦に無罪「共謀認定できず」名古屋地裁支部」(2021/8/18)を引用・参照)。
【非現住建造物等放火罪について】
まず、本事案では自宅に火を付けた行為に対する刑事責任が問われていますので、本来であれば自己所有非現住建造物放火罪(刑法109条2項)が問題となります。
しかし、本事案では自宅は差押えがされており、以下の刑法115条が適用されます。
・「第109条第1項……に規定する物(注:非現住建造物等)が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け……たものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による」
その結果、109条の2項ではなく、他人所有とみなされ1項の他人所有非現住建造物放火罪が適用されることになります。
これにより法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」(同条2項)から「2年以上の有期懲役」と一気に重たくなることに注意が必要です。
【放火事件における裁判例と弁護活動】
本事案は、共謀に基づいて放火した事実が認められず、無罪判決を得ています。
では、非現住建造物等放火罪に関して有罪判決が下された裁判例では、どのような刑が下されているのでしょうか。
・寒かったという理由で勝手に他人の敷地内でたき火をし建物を焼損させたとして「懲役1年6月」の実刑判決
・医師が医療機関に放火した事件で「懲役2年6月執行猶予5年」の判決(医師免許取り消し)
上記のように、有罪判決が下された事案においては、やはり比較的厳しい判断がされやすい犯罪類型といえるでしょう。
他方で、量刑判断等においては被害弁償の有無なども考慮されることから、起訴前/起訴後の弁護活動が重要性を帯びてくることは言うまでもありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、非現住建造物等放火などの放火事件を含む刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
放火事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日・24時間対応している通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせください。
【裁判紹介】強盗致傷事件の裁判例
強盗致傷事件の裁判例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
名古屋市の郵便局で現金を奪い、人質に取った女性客にけがをさせたとして、強盗致傷などの罪に問われた被告人の裁判員裁判の判決が、名古屋地裁で開かれ、裁判長は懲役7年(求刑懲役9年)の判決を言い渡した。
判決によると、被告人は、郵便局の女性客を人質に取り、現金221万円を奪った。
逃走中に女性を引きずるなどして、肘や膝に軽傷を負わせた。
(産経新聞「郵便局強盗、男に懲役7年 名古屋地裁「社会に不安」(2021428)」を引用・参照)。
【強盗罪と強盗致傷罪】
刑法は、236条に「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」(同条1項)との規定を置いています。
そして、「強盗」が、「人を負傷させたとき」は「無期又は6年以上の懲役に処」すとされています(240条前段)。
判例上、致傷行為は強盗の手段たる「暴行」によって生じることを要さず、強盗の機会における暴行によって生じれば足りると解されています。
本事案では、強盗後の逃走中に被害者を引きずるなどして軽傷を負わせており、強盗の機会性を満たすことから上記240条前段が適用されることになるのです。
【強盗事件(強盗致傷事件)の裁判】
強盗致傷事件は、上述の刑法240条前段の罪にあたることから、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」(裁判員法2条1項1号)として、裁判員裁判対象事件となることに注意が必要です。
つまり、強盗罪にとどまるか致傷罪にまで至るかによって、裁判員裁判になるか裁判官裁判(通常の刑事裁判)になるかという大きな分水嶺が存在することになります。
また、当然ながら強盗罪にとどまる場合と本事案のように致傷罪まで問われる場合では、量刑も大きく異なります。
例えば、路上で女性に刃物を突き付け軽トラックを奪うなどした致傷行為を伴わない強盗事件においては、懲役3年の実刑判決が下された例があります。
この裁判では、経済的な被害が実質的にみて小さいことなどが判決理由として指摘されており、致傷行為がなかったことのみが量刑の理由とはなっていませんが、やはり怪我を負わせているか否かは量刑上大きな差を生じさせることとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件などを取り扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
強盗致傷事件(強盗事件)で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
【名古屋】器物損壊事件の裁判を紹介【放火】
器物損壊事件として起訴された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
今年3月、愛知県で起きた連続放火事件の裁判で、資材置き場などに火をつけて燃やした罪に問われていた54歳の男に、名古屋地裁は懲役1年・執行猶予3年の執行猶予付きの判決を言い渡しました。
(東海テレビ「「苛立ち解消のため火をつけ悪質」資材置き場等にライターで火 54歳作業員の男に執行猶予付きの有罪判決」(2022年7月14日)より引用)。
【放火事件で器物損壊罪?】
本件で被告人は、器物損壊罪(刑法261条)によって起訴されています。
連続放火事件であるにも関わらず、なぜ放火罪ではなく器物損壊罪が適用されているのでしょうか。
本件は資材置場などに放火していることから、仮に放火罪が適用されるとすれば、放火罪の類型の中でも他人所有建造物等以外放火罪(110条1項)の成否が問題となります。
もっとも、同罪が成立するためには、「公共の危険」が生じたといえる必要があります。
「公共の危険」とは、刑法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく、不特定又は多数の人の生命、身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる(最判平成15年4月14日)と解されています。
つまり、「建造物等以外」に放火したとしても、不特定又は多数人の生命、身体、財産が危険に晒されなければ「公共の危険」が発生したとはいえないのです。
したがって本件では、このような「公共の危険」の発生は認められないとして、器物損壊罪が成立するにとどまると判断したものと考えられます。
【放火事件における弁護活動】
上記他人所有非建造物等以外放火罪(110条1項)の法定刑は、「1年以上10年以下の懲役」であり、器物損壊罪(261条)の「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」とは歴然とした差が存在します。
本事案では執行猶予判決が下されており、実刑判決を回避することができています。
どのような罪名で起訴されるかは、起訴前の弁護活動によって左右される部分も少なくなく、早期の刑事弁護士による弁護活動の重要性は決して低くありません。
さらに、起訴前・起訴後におけるいわゆる情状弁護が量刑に与える影響も軽視できません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊等の放火事件を含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
器物損壊事件で逮捕や起訴された方およびご家族は、24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにご連絡ください。