Archive for the ‘財産犯・経済事件’ Category
店長が売り上げを横領 業務上横領罪の刑事罰
店長が売り上げを横領した事件を参考に、業務上横領罪の刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件
30代のAさんは、名古屋市の繁華街にある飲食手店で店長をしています。
Aさんが店長をしている店は、全国にチェーン展開している飲食店で、Aさんは数年前からこのお店でアルバイトをはじめ、その後、正社員に登用されて半年前からは店長に昇進しました。
店長になったAさんは、お店の売り上げを管理する立場になり、毎日閉店後に、その日一日の売り上げを集計し、その金額を本部に報告するとともに、本部の指定銀行口座に振り込む業務を任されていたのですが、ある日から、欲に目がくらんだAさんは、実際の売り上げよりも少なく本部に報告し、差額を横領するようになったのです。
そして最近になって本部が調査に乗り出していたらしく、Aさんは本部から聴取を受けることになりました。
Aさんは、今後のことが不安で弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
お店の売り上げは誰のもの?
Aさんは、お店の店長の立場にありますが、店長だからといってお店の売り上げを自由にすることはできません。
あくまでもお店の売り上げの所有は、お店を管理する会社(本部)にあり、Aさんは、その売り上げの管理を任されているにすぎず、食材の仕入れや、人件費など、会社から認められている範囲でしかAさんの判断で、自由にお店のお金を使うことはできません。
このようなAさんの立場は、法律的に「他人の物を業務上占有する者」といわれます。
またAさんは、お店のお金を占有(管理)することを任されている立場にあり、Aさんと会社(本部)との間に、委託信任関係があるといえます。
業務上横領罪の刑事罰は?
お店の売り上げは、「業務上自己の占有する他人の物」であることから、これを横領した場合は、刑法第253条に定められている「業務上横領罪」が成立します。
業務上横領罪の法定刑は、10年以下の懲役で、罰金刑の規定はありませんので、起訴されることは、公開で行われる刑事裁判を意味します。
もしAさんが、単なるアルバイトで、会社(本部)からお店のお金を占有(管理)することを任されていない場合、両者の間に委託信任関係がないので、業務上横領罪は成立せず窃盗罪となる可能性が高いでしょう。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、業務上横領罪とは違い罰金刑が規定されているので、略式起訴による罰金刑となれば、刑事裁判を免れることができます。
名古屋の刑事事件専門弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件専門の法律事務所です。
Aさんのように、ご自身の起こした事件の今後の手続きや処分について不安のある方は、ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所神戸支部の無料法律相談をご利用ください。
人の財布から現金等を窃取 逮捕されたら・・・②
~前回からの続き~
逮捕される可能性は?
窃盗は、犯行状況を目撃されれば、現行犯逮捕される可能性があります。
また、警察で窃盗事件の捜査が行われ、お店の防犯カメラなどから窃盗の被害を確認し、犯人の身柄が特定されると、逮捕状が発行され後日、警察官に逮捕される可能性があります。
逮捕されずに早朝に自宅に警察官が訪れ、そのまま連行されたり、携帯電話に電話がかかってきて取調べに応じるよう伝えられるケースもあります。
逮捕されてしまったら...
逮捕され、検察へ送致されてしまった場合、検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。
この段階で、①検察官が勾留請求を行わなかった場合、②勾留請求をされたが、裁判官が勾留決定を出さなかった場合は、釈放されます。
弁護士への依頼
弁護士に依頼することで検察官に対しては勾留請求を行わないよう、裁判官に対しては、勾留決定を出さないよう働きかけることができます。
それにより、早期の釈放を目指します。
勾留決定を覆す活動
準抗告
勾留決定の取消し、または変更を求める手続です。
勾留決定をした裁判官とは別の裁判官により構成された裁判所が判断するため、より適切な判断が期待できます。
準抗告が認容されれば、釈放されることになります。
ただし、一度勾留決定が出ている関係から、準抗告認容の実現はハードルの高い弁護活動といえるでしょう。
勾留取消請求
「勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたとき」は、勾留の取消しを請求することができます。
被害者と示談をすれば逃亡や罪証隠滅のおそれがなくなったとして勾留取消が認められやすくなります。
「準抗告」と「勾留取消請求」のいずれが効果的かは、自身の選任した弁護人のアドバイスを聞いて判断しましょう。
勾留理由開示請求
裁判官にどうして被疑者を勾留したのかを明らかにさせる手続です。
この手続自体に、直接に身柄解放の実現に向けた効果があるわけではありませんが、公開の法廷で意見を裁判官に伝えることにより、勾留の可否を再考させることができるかもしれません。
早期に弁護士と相談
上記に紹介した手続は、刑事事件の初期においてとても重要な弁護活動です。
もちろん、これらが功を奏した場合にも、そうでなかった場合においても、事件解決に向けた弁護活動が重要なことは言うまでもありません。
まずは速やかに弁護士の接見を受け、今後の善後策を練っていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が窃盗の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
愛知県内の警察署については こちら
人の財布から現金等を窃取 逮捕されたら・・・①
人の財布から現金等を窃取して逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件
Aさんは、マッチングアプリで知り合ったVさんとホテルに行き、Vさんがシャワーを浴びている間に、現金1万円とクレジットカード、キャッシュカードなどが在中したVさんの財布を窃取してしまいました。
Vさんが愛知県警に被害届を出したという噂を聞いたAさんは、自分が逮捕されるのではないかと不安です。
(事例については事実をもとにしたフィクションです。)
窃盗罪刑法(235条)
窃盗罪とは、他人の占有する財物を窃取することにより成立する犯罪です。
窃盗罪法定刑
窃盗罪で有罪判決を受けると10年以下の懲役または50万円以下の罰金になります。
Vさんの占有
窃盗罪における占有とは、常に財物を肌身離さず持っている必要があるという事ではなく、後で取りに戻る為に机の上に財物を置いてその場を短時間離れる場合や、家の中においてある家人の財物(家の中に置いている財布やタンスにしまっている通帳、印鑑等)においても当然に持ち主の占有が認められます。
今回の事例のように、ホテルの客室における財布についても、シャワーを浴びる短時間の間、その場を離れたに過ぎないため、Vさんの占有が認められるでしょう。
今回の被害品である財布や現金、クレジットカード、キャッシュカードは、通常、財物として認められています。
よって、Aさんは、Vさんの占有が認められる財布を窃取したものと認められる可能性が高いと思われます。
したがって、Aさんに窃盗罪が成立すると考えて間違いないでしょう。
ただし、嫌がらせ目的で財布を捨てたり、隠匿したりする場合は、窃盗罪ではなく、器物損壊罪が成立することになります。
~次回に続く~
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が窃盗の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
セルフレジを悪用 窃盗罪で逮捕
最近、コンビニやスーパーなどの商店には、セルフレジが導入され、店員と接することなく商品を購入することができる商店が増えていますが、このセルフレジを悪用して窃盗罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件
天白区に住む無職のAさんは、いつも近所のスーパーで買い物をしていますが、最近、このスーパーにセルフレジが導入されました。
Aさんは、このことに目を付けたAさんは、購入する商品の一部のバーコードを読み取らせずに万引きする行為を複数回繰り返していました。
そうしたところ、ある日の朝、Aさんは、自宅を訪ねてきた天白警察署の警察官に窃盗罪で逮捕されてしまいました。(フィクションです。)
セルフレジを悪用すると
Aさんのようにセルフレジを悪用する手口でお店の商品を盗み出すと窃盗罪が成立します。
窃盗罪は、人の物を盗むと成立する犯罪です。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
参考事件でAさんは、バーコードを読み取らせずに商品をお店から盗み出していますが、別の手口で、例えば実際に購入する商品に、別の安い商品のバーコードを貼り替えて実際よりも安い値段で購入した場合も同じ窃盗罪が成立します。
逮捕されるとどうなるの
たとえAさんに前科、前歴がなく、今回の逮捕が初めてだとしても、余罪が複数あることを考えると、48時間以内に釈放される可能性は低く、少なくとも10日間は勾留されるのではないでしょうか。
そして、この勾留の期間中にお店と示談が成立すれば不起訴の可能性がありますが、大手のスーパーやコンビニなどでは示談が難しいのが現状ですので、少なくとも略式命令による罰金刑となる可能性が高いでしょう。
ただ初犯でも、余罪が複数ある場合は悪質性が高いと判断されて起訴(公判請求)されてしまうこともあります。
起訴(公判請求)されると、その後の刑事裁判で刑事処分が決まることとなります。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件に強い刑事事件に強い法律事務所です。
こういった事件でご家族が警察に逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が提供する「初回接見サービス」をご利用ください。
愛知県内の警察署であれば交通費込み33,000円で即日対応が可能です。
泥酔した客から現金を盗んで逮捕 窃盗罪と昏睡強盗罪
泥酔した客から現金を盗んで逮捕された事件を参考に、窃盗罪と昏睡強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件
A子さんは、名古屋市内のスナックで雇われママをしています。
ある日、このスナックの常連客と二人でお酒を飲み、A子さんに勧められるがままにお酒を飲んだ常連客を酔いつぶれてしまいました。
A子さんは、飲食代を支払ってもらおうと、酔いつぶれて寝ている常連客の財布を手にしたところ、思ったよりも多額の現金が入っていたことから、正規の飲食代よりもはるかに多い10万円を抜き取り盗みました。
翌日、酔いの覚めた常連客から「財布からお金を抜き取ってないか?」と追及を受けましたがA子さんはしらを切って、「飲食代の1万円しかもらってないよ」と言ったのです。
そしたところ常連客は警察に被害届を提出したらしく、後日、A子さんは愛知県千種警察署に逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
窃盗罪
刑法第235条は窃盗罪を規定しており、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金を法定刑と定めています。
参考事件において、A子さんは酔いつぶれた常連客の財布から現金10万円を抜き取っているので、窃盗罪に抵触することは間違いないでしょう。
たとえ、飲食代金しか抜き取らなかったとして、常連客の同意を得て抜き取っていないので、窃盗罪が成立する可能性があります。
昏睡強盗罪
A子さんには昏睡強盗罪が成立する可能性があります。
A子さんが常連客が泥酔したことを奇貨として常連客の財布から金を抜き取る意思を生じた場合には、窃盗罪が成立しますが、A子さんが常連客の財布から金を抜き取るために常連客を泥酔させた場合には、昏睡強盗罪成立することになります。
昏睡強盗罪は、刑法第239条に規定があり、法定刑は5年以上の有期懲役と、窃盗罪よりも重く処罰される可能性があります。
今後、A子さんは取調べにおいて、常連客の財布から金を抜き取るために常連客を泥酔させたのではないかと疑われ、この点を強く追及されるでしょう。
場合によっては、自白を強要される可能性もあります。
そこで、早期に弁護士を介入させ、警察からの追及にどう対処すればいいのかを相談したり、弁護士に日々の取調べの内容を報告し、随時アドバイスをもらうことで、この様な違法な取調べに対処するようにしましょう。
弁護士の派遣(初回接見サービス)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、逮捕されてしまた方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスを、愛知県内であれば一律33,000円で提供しております。
初回接見サービスのご予約、お問い合わせは、24時間、通話料無料の
フリーダイヤル0120-631-881
までお気軽にお電話ください。
土日の接見:一律33,000円 愛知県の刑事事件に強い弁護士
愛知県の刑事事件に強い弁護士が、愛知県内の接見に対して一律33,000円で承ります。
初回接見サービスのご予約は
フリーダイヤル0120-631-881
まで、お気軽にお問い合わせください。
参考事件
土曜日の朝の出来事です。
瀬戸市に住むAさんのもとに、愛知県瀬戸警察署から1本の電話がありました。
その内容は「息子さんを窃盗罪で逮捕しました。アルバイト先の金庫から現金を盗んだ容疑です。」というものでした。
Aさんの22歳になる大学生の息子は、瀬戸市内の飲食店でアルバイトをしており、昨夜からアルバイトに行ったきり帰宅していませんでした。
Aさんは、土日の初回接見に対応している弁護士を探しています。
(実話をもとにしたフィクションです。)
弁護士の派遣
Aさんの息子さんのように急に警察に逮捕されてしまった場合、そのことを知った家族は、まず「どうして逮捕されたのか?逮捕事実に誤りはないのか?本当に事件を起こしたのか?」等を把握したうえで、その後に取りうる手段を検討しなければいけません。
そして、そういった判断は刑事事件の弁護活動経験豊富な、刑事事件に強い弁護士に任せることをお勧めします。
弊所の提供する初回接見は、そういった弁護活動をスムーズに開始させるためのサービスとなります。
警察に逮捕されたからといって絶対に、その犯罪を犯したということではありませんし、もし、そういった行為に及んでいたとしても必ず刑事責任に問われるわけでもありません。
まずは法律の専門家である弁護士が、状況をしっかりと把握し、弁護士の視点から事件を整理し、その後の手続きや、処分の見通しを検討することが非常に大切だと言えるでしょう。
どういった弁護活動ができるのですか?
まずAさんの息子さんは大学生という身分です。
逮捕によって大学に行けなくなり、将来に影響が出ることだけは絶対に避けたいでしょう。
弁護士はそういった不利益を少しでも軽減するために、息子さんを早期に釈放するための活動を行います。
また息子さんの刑事処分を少しでも軽減するために、被害者に対する示談活動を行います。
愛知県の刑事弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、長年にわたって愛知県内の刑事弁護活動に携わってきた実績がございます。
何か刑事事件でお困りの方、ご家族等が警察に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご連絡ください。
自動車盗事件の実行犯を逮捕 窃盗罪の刑事責任は
自動車盗事件の実行犯が逮捕された事件を参考に、窃盗罪の刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
参考事件(東海 NEWS WEB『トヨタ車狙いの窃盗グループ実行役2人を逮捕 愛知県警』から引用)
今年2月、名古屋市中村区の月極め駐車場に駐車中の会社員所有の乗用車(500万円相当)を盗んだとして、自動車盗の実行犯2人が警察に逮捕されました。
警察は、犯行現場付近の防犯カメラ映像から実行犯2人を特定し逮捕したようです。
愛知県内では昨年4月からの約1年間で、トヨタ車が狙われる自動車盗事件が100件以上発生しており、警察は、逮捕された2人が他の事件にも関与しているのではないかと捜査を進めるようです。
自動車盗事件
人の車を盗む自動車盗は「窃盗罪」となります。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、1件の窃盗事件で有罪が確定した場合、最長で10年間の懲役、罰金刑の場合は最高で50万円が科せられることになりますが、実際に科せられる刑事罰は同じ窃盗罪でも様々です。
窃盗罪で有罪となった場合に、どの程度の刑事罰が科せられるかは、犯行の動機、犯行の悪質性や常習性、被害額、弁済の有無など様々なことが考慮されて決まるものですが、高額な自動車が被害品となる自動車盗事件は、他の窃盗事件に比べて厳しい刑事罰が科せられる可能性が高くなります。
自動車盗事件の特徴
自動車のセキュリティーシステムは非常に進歩しており、エンジンを切り忘れて車を離れてしまった等、使用者の不注意が原因となる盗難事件を除いては、高度な技術や知識がなければ犯行をやり遂げることが非常に困難であるといえます。
そのため自動車盗事件は、犯行道具を用意したり、高度なセキュリティーシステムをかいくぐるだけ情報を得るなどして計画的に、そして盗んだ自動車を海外に輸出し、現金化するなど組織的に行われるケースがほとんどなので、実行犯を逮捕した警察は、犯行状況だけでなく、事件に関わっている組織の解明にまで捜査を広げます。
また今回の事件でも報道されているように、実行犯は複数の自動車盗事件に関与している可能性が高く、同じ犯行手口の自動車盗事件についても追及を受けることとなり、場合によっては再逮捕を繰り返すでしょう。
まずは弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では自動車盗事件に関する法律相談や、自動車盗事件で警察に逮捕された方への弁護士派遣を行っております。
法律相談については初回無料で、そして初回接見については即日対応いたしておりますので、こういったサービスをご希望お客様は
フリーダイヤル0120-631-881
までお気軽にお問い合わせください。
コンビニで財布をネコババ 適用罪名は?窃盗罪と遺失物横領罪を検討
コンビニで財布をネコババした事件を参考に、、窃盗罪と遺失物等横領罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
参考事件
会社員のAさんは、田原市にあるコンビニで買い物をした際に、セルフのコーヒーメーカーの横に財布が置き忘れられていることに気付き、そのまま、その財布をネコババしました。
しかしコンビニ店内の防犯カメラ映像と、Aさんがコンビニで買い物した際にクレジットカードを使用していたことから、後日、Aさんは田原警察署に呼び出されていました。
Aさんは、自分の行為が「遺失物横領罪」と「窃盗罪」のどちらに抵触するのか分からず不安です。
(実際に起こった事件を参考にしたフィクションです。)
Aさんの行為は、窃盗罪と遺失物横領罪の何れかに該当するでしょうが、どちらの罪名が適用されるかによって、どのような刑事罰が科せられるかが大きく変わってきます。
そこで本日のコラムでは、この事件を参考に「遺失物横領罪」と「窃盗罪」について解説します。
遺失物横領罪
遺失物等横領罪は、占有離脱物横領罪等と共に刑法第254条に規定されています。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
占有とは、財物に対する事実上の支配ないし管理のことであり、その財物を支配、管理している人は占有者と呼ばれます
遺失物とは、占有者の意思によらないでその占有が離れ、誰の占有にも属さなくなったもののことであり、いわゆる「落とし物」を意味します。
漂流物とは、その中でも特に水中、または水面に存在する物のことをいいます。
その他占有を離れた他人の物は、例えば手違いで届けられた他人の郵便物や、風で飛ばされた洗濯物等がこれに該当します。
窃盗罪
参考事件のような状況では、場合により窃盗罪が該当する可能性も考えられます。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
窃取とは、他人が占有する財物の占有を、占有者の意思に反して侵害し、自己または第三者の占有に移すことです。
参考事件を検討
ケース1~遺失物横領罪~
Aさんのネコババした財布が、すでに持ち主の占有を離れていると考えれば、その財布は遺失物横領罪でいうところの、占有者の意思によらないでその占有が離れた物、つまり遺失物(落とし物)となり、その遺失物(落とし物)を持ち去るAさんの行為は、遺失物横領罪に抵触するでしょう。
ケース2~窃盗罪~
Aさんのネコババした財布が、まだ持ち主の占有を離れていない場合、つまりまだ財布の持ち主が近くにいたり、その場に置き忘れて間もない場合は、財布の占有は持ち主にあると考えられるので、Aさんの行為は、他人の占有する財物を窃取することとなり、窃盗罪に抵触するでしょう。
ケース3~窃盗罪~
Aさんはスーパーの店内にある遺失物(落とし物)の財布をネコババしています。
その場合、遺失物(落とし物)の財布の占有が、財布の持ち主から、その場所を管理するスーパーに移っていると考えられる場合があります。
このように店側の排他的支配性が認められれば、Aさんの行為は、スーパーの占有物を窃取したとして、窃盗罪が成立することになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件を専門に扱う弁護士事務所です。
初回無料法の法律相談については、ご予約はフリーダイヤル0120-631-881で簡単にお取りできますので、お気軽にお電話ください。
窃盗事件(万引き)で再度の執行猶予を獲得
窃盗事件で再度の執行猶予となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
~ケース~
犬山氏の店で万引きしたとして、窃盗容疑で県内に住むAさんが愛知県犬山警察署に逮捕されました。
Aさんは、2年前にも万引きで逮捕されており、懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡されていました。
今回の犯行は、執行猶予期間中に行われたため、Aさんの家族は今度こそは実刑判決が言い渡されるのではないかと心配しています。
Aさんは、神経性過食症や窃盗症の疑いがあり、Aさんの家族は治療にも専念させてやりたいと思い、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)
執行猶予について
まず、「執行猶予」について説明します。
「執行猶予」というのは、刑を言い渡すにあたって、犯情により一定の期間刑の執行を猶予し、罪を犯すことなく猶予期間が経過した場合に、刑罰権の消滅を認める制度のことです。
本制度は、刑が科されることによる弊害を避けるとともに、条件に違反した場合には刑が執行されるという心理的強制により、犯人の自覚に基づく改善更生を図るものです。
刑の執行猶予には、刑期の全部の執行猶予と刑期の一部の執行猶予とがありますが、ここでは全部執行猶予について解説します。
裁判官は、どんな事件でも刑の執行を猶予することができるわけではありません。
充たすべき要件は、次の通りです。
①(a)前に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
または
(b)前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁固以上の刑に処せられたことがないこと。
②3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しをする場合であること。
③執行猶予を相当とするにたりる情状があること。
万引き事件の場合、初犯であれば微罪処分となることが多いですが、2回目は起訴猶予、3回目は罰金刑と、再犯を重ねるたびに、当然その処分も重くなります。
ですので、万引き事件で正式裁判となるということは、それ以前に同種の前科前歴があるというケースが大半だと言えるでしょう。
犯行態様や被害額にもよりますが、概ね、万引き事件で始めて正式裁判となった場合、執行猶予付き判決が言い渡されることが予想されます。
この場合、判決言い渡し後、すぐに刑務所に入ることはなく、普段の生活に戻ることができます。
しかし、残念ながら、再び万引きで捕まってしまうケースが少なくありません。
それも執行猶予期間中の犯行であることも多く、その場合、実刑の可能性も高くなります。
再度の執行猶予とは
執行猶予期間中に何らかの罪を犯してしまった場合でも、裁判で再び執行猶予付き判決が言い渡される可能性はあります。
これを「再度の執行猶予」といいます。
再度の執行猶予の要件は、次の通りです。
①前に禁固以上の刑に処せられ、その執行の猶予中であること。
②1年以下の懲役または禁錮の言渡しをする場合であること。
③情状が特に酌量すべきものであること。
②の要件について、初度の場合と異なり、罰金の言渡しを受けたときは執行を猶予することはできません。
更に、「1年以下」の懲役・禁錮の言渡しに限定されており、なかなか厳しい要件となっています。
また、③の要件については、情状が「特に酌量すべき」ものとなっています。
犯行態様が悪質ではなく、被害も軽く、被告人の再犯防止に向けた努力が顕著であるなどといったこと等が考慮されます。
これについても、そう安易に満たすことができる要件ではありません。
しかし、万引き事件においては、精神障害が犯行の要因だと認められる場合、被告人の更生のためには刑罰よりも治療が優先されるべきとして、再度の執行猶予が言い渡された事例も少なくありません。
万引きを繰り返す方には、窃盗症や摂食障害を患っているケースもあり、そのような精神障害が万引きの再犯に大きく影響していることもあります。
精神障害が疑われる場合には、専門医の診察を受け、適切な治療を受けることが再発防止のために必要となります。
裁判でも、診断書や治療経過報告書などといった資料と共に、本人が再発防止に向けて真摯に治療に取り組んでいることを主張していくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお悩みの方は、弊所の弁護士に今すぐご相談ください。
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詐欺事件に関する法律解説:補助金詐欺事件の事例を通して
詐欺事件は、日常生活においても、企業活動においても、重大な犯罪として認識されています。この記事では、具体的な詐欺事件の事例を通じて、詐欺罪の法的な側面を解説します。
- 詐欺罪とは
- 補助金詐欺事件の概要
- 法的評価:詐欺罪の成立要件
- 執行猶予の意義と条件
- 詐欺事件における被害弁償の重要性
- まとめ:詐欺事件への法的対応
- 詐欺罪とは
詐欺罪は、刑法第246条1項に定められており、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定されています。この「人を欺く」という行為が詐欺罪の核心をなしており、虚偽の表示や隠蔽により他人を誤信させ、その結果として財物を交付させる行為が該当します。
詐欺の手口は多岐にわたりますが、共通するのは、被害者の信頼を悪用し、不正な利益を得ることです。詐欺事件は、その手口の巧妙さや社会的影響の大きさから、刑法において重要な犯罪の一つといえるでしょう。
次に、この記事で取り上げる補助金詐欺事件の具体的な内容について解説します。
- 補助金詐欺事件の概要(*フィクションです)
愛知県一宮市に住む被告人Aは、自治会の副自治会長を務めていた立場を利用し、ごみ収集庫の設置工事に関する補助金を詐取したとして一宮警察署に逮捕されました。
具体的には、実際の工事費用よりも高額を示す虚偽の見積もり書を作成し、これを自治体に提出し、その結果として、自治体は虚偽の見積もりに基づき、補助金60万円を自治会名義の口座に振りこんだのです。
今回の事案は、自治体から補助金を不正に得るために虚偽の内容を記載した書類を提出したという事例です。
今回の事案におけるAの行為は、補助金の交付を受けるために必要な書類に虚偽の情報を記入し、自治体を欺いたものであり、詐欺罪の成立要件を満たしています。
- 法的評価:詐欺罪の成立要件
詐欺罪の成立には、いくつかの要件が必要です。
まず、「人を欺く」行為が必須であり、これには虚偽の事実を告げることや、事実を隠すことが含まれます。
次に、その欺瞞行為によって「財物を交付させる」ことが求められます。
つまり、被害者が詐欺行為によって誤った認識を持ち、その結果として財物を手放すことが必要です。
補助金詐欺事件では、被告人が自治体に対して虚偽の内容の見積書を提出しました。
この行為は、自治体を欺くことに該当し、自治体が補助金という形で財物を交付する直接の原因となりました。
この点において、詐欺罪の「人を欺いて財物を交付させた」という要件が満たされています。
さらに、詐欺罪の成立には故意が必要です。
被告人が虚偽の見積書を提出した行為は、補助金を不正に受け取ることを目的とした計画的なものであり、明確な故意が認められます。
- 執行猶予の意義と条件
執行猶予は、有罪判決を受けた被告人が一定期間、再犯を犯さないことを条件に、実際には刑務所に収監されずに社会生活を送ることができる制度です。
この制度の目的は、被告人が社会復帰を果たし、再犯の防止を図ることにあります。
執行猶予が付与されるか否かは、裁判所が被告人の犯罪の性質、犯行の動機や背景、被害の程度、被告人の年齢や健康状態、過去の犯罪歴、反省の態度など、様々な要素を総合的に考慮して判断します。
特に、被告人が犯罪後に真摯に反省し、被害弁償を行うなどの積極的な改善努力を示した場合、執行猶予の付与が検討されることがあります。
詐欺罪の刑罰は、最大で10年以下の懲役と定められていますが、具体的な刑の量定は、犯行の悪質性や被害の程度、被告人の反省の度合いなど、多くの要素を考慮して決定されます。
今回の事案では、被告人が補助金を全額返還し、反省の意を示すことなどが、執行猶予付きの判決の獲得において重要な要因となるでしょう。
以上のように、執行猶予を得るためには、単に法的な責任を果たすだけでなく、社会的な責任に対する真摯な姿勢が求められます。
- 詐欺事件における被害弁償の重要性
詐欺事件において、被害弁償は非常に重要な要素です。
先述のように今回の事案では、被告人が補助金を全額返還したか否かが、執行猶予を得るための重要な要因となりえます。
なぜならこの行動は、被告人の反省と更生の意志を示すものとして、裁判所によって高く評価されるためです。
詐欺罪で起訴された場合、被害者への迅速な被害弁償は、刑事裁判における量刑を左右する重要な要素の一つです。
被害弁償は、被告人が犯した行為に対して責任を取り、被害者の損害を補填する意志があることを示します。
また、社会に対しても、犯罪行為によって生じた不正を是正しようとする姿勢を示すことになります。
詐欺事件では、被害者の経済的損失を回復することが、事件の解決において非常に重要です。
そのため、被告人が積極的に被害弁償に取り組むことは、裁判所が判決を下す際に考慮される重要な要因となり得ます。
被害弁償の有無やその内容は、執行猶予の付与や刑の軽減に直接影響を及ぼすことがあります。
このように、詐欺事件における被害弁償は、法的な責任を果たすだけでなく、社会復帰への第一歩ともなるため、非常に重要な役割を果たします。
- まとめ:詐欺事件への法的対応
詐欺事件は、その手口の巧妙さと社会的影響の大きさから、法律によって厳しく罰せられます。
愛知県一宮市で発生した補助金詐欺事件の事例を通して、詐欺罪の成立要件、執行猶予の意義、被害弁償の重要性について考察しました。
詐欺罪の成立要件は、「人を欺いて財物を交付させる」ことにあります。
この事件では、虚偽の見積書を提出することで自治体を欺き、補助金を不正に受け取るという行為が詐欺罪に該当しました。
詐欺事件における被害弁償は、被告人の反省と更生の意志を示す重要な要素です。
迅速な被害弁償は、被害者の経済的損失を回復させるだけでなく、裁判所に対しても被告人の責任感と更生への意欲をアピールすることができます。
この事例から学ぶべきは、詐欺事件への法的対応は、単に刑罰を科すことだけではなく、被害の回復と被告人の社会復帰を目指すべきであるということです。
詐欺事件に直面した際は、法的な側面だけでなく、被害者救済と犯罪者の更生にも目を向けることが重要です。
執行猶予判決など、刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
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