【事例解説】ポイントの不正取得は電子計算機使用詐欺罪が成立する?

ポイントを貯めてお得に買物をする人が増えていますが、ポイントを不正に取得してしまうと、電子計算機使用詐欺罪が成立して刑事事件になってしまう危険性があります。
今回は、ポイントの不正取得により電子計算機使用詐欺罪が成立した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事例】

東京都新宿区に在住の女性A(33)が、同区内にある店のレジにあったQRコードを写真で撮り、スマートフォンで何度も読み取って不正に約3万円相当のポイントを取得していたとして、電子計算機使用詐欺罪の疑いで警視庁新宿警察署から任意の取調べを受けました。
同店では、1500円以上の買い物をした特典として、QRコードを読み取らせて商品を購入できるポイントを還元するキャンペーンを行っていました。
新宿警察署からの取調べに対し、Aは「QRコードの写真を撮れば何度でも読み取れることがわかって犯行に及んだ」と容疑を認めています。
(※2023年3月13日掲載の「Yahoo!ニュース」記事を一部変更したフィクションです。)

【電子計算機使用詐欺罪とは】

電子計算機使用詐欺罪は、刑法第246条に規定されている詐欺罪の補充規定として作られました。
詐欺罪は「人を騙して不法な利益を得る行為」を処罰することに対して、電子計算機使用詐欺罪は「コンピューターなどの電子計算機を騙して不法な利益を得る行為」を処罰します。

電子計算機使用詐欺罪については、刑法第246条の2で規定されています。

刑法第246条の2
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、10年以下の懲役に処する。

電子計算機使用詐欺罪は、人が事務処理で使用するコンピューターやシステム等の電子計算機に対して、PCやスマートフォンを操作して虚偽の情報や本来与えられない指令を与えて嘘の記録を作成させたり(=不実の電磁的記録の作出)、虚偽の情報を機会に読み取らせたり(=虚偽の電磁的記録の供用)して、不法に財産上の利益を得ることで成立します。
「虚偽の情報」とは、判例で「電子計算機を使用する当該事務処理システムにおいて予定されている事務処理の目的に照らし、その内容が真実に反する情報」と定義付けられています。(東京高裁平成5年6月29日)
今回の事例で考えると、本来は1500円以上の買い物をした特典としてQRコードを読み取ってポイントを取得できるシステムだったことに対し、Aは1500円以上の買い物をせずに写真を撮ったQRコードを何度も読み取ってポイントを取得しています。
つまり、Aの行為はQRコードに対して「真実に反する情報」を与えてポイントを取得しているため、電子計算機使用詐欺罪が成立するということになります。

【電子計算機使用詐欺罪の刑事弁護活動】

今回の事例では、Aは新宿警察署で任意の取調べを受けた後に検察庁に送致され、検察官から取調べを受けることになりました。
検察官が取調べをして起訴すべきだと判断されると、裁判にかけられて実刑判決を下されたり前科が付いてしまったりと今後の人生に大きく影響されます。

そこで、Aは検察官からの取調べを受ける前に、刑事事件を専門としている弁護士に刑事弁護活動を依頼しました。
弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、検察官からの取調べに対するアドバイスや依頼者に代わって被害者との示談交渉など、起訴を免れるための弁護活動を行って依頼者を全面的にサポートします。
また、万が一起訴されてしまった場合でも、執行猶予の獲得や少しでも軽い量刑にするための弁護活動に尽力します。
なので、ポイントを不正取得してしまって電子計算機使用詐欺罪による刑事事件を起こしてしまった際は、なるべく早く弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件を起こして不安な方へ向けた初回無料の法律相談や家族が逮捕されてしまった方へ向けた初回接見サービスを提供している刑事事件専門の法律事務所です。
電子計算機使用詐欺罪はもちろん、様々な刑事事件の弁護活動を担当した実績のある弁護士が多数在籍しているので、刑事事件でお困りの方は、ぜひ24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

 

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