エアガンで銃刀法違反に問われたら
~ケース~
東浦町在住の高校生A君は、年上の従兄弟から誕生日にエアガンをプレゼントされた。
A君はエアガンを護身用の意味も込めて,普段持ち歩いている鞄の中に入れていた。
ある日,東浦町でアイドルのイベントが開かれることになり、ファンであったA君はイベント会場に足を運んだ。
A君はテロ対策として会場を警備していた愛知県警察半田警察署の警察官に所持品検査をされることになり、A君はこれに応じた。
その際,鞄のの中から上記エアガンが発見されたため、A君は銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された。
A君が逮捕されたとの連絡を受けた両親は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼した。
(フィクションです)
~エアガンと銃刀法~
銃刀法は正式名称を銃砲刀剣類所持等取締法といい,名前の通り銃砲および刀剣類の所持などを規制しています。
どのようなものが銃砲および刀剣類として規制されているかは条文に規定されています。
エアガンは「空気銃」と呼ばれることもありますが,銃刀法において規制の対象となる空気銃は「人の生命に危険を及ぼし得るもの」とされています。
そのため,通常,ミリタリーショップなどで販売されているモデルガン・エアガンは空気銃には該当しないと考えられます。
しかし,エアガンを用いた傷害事件の多発などを受けて2007年に銃刀法が改正され,一定以上の威力を持つエアガンを「準空気銃」として規制しました。
準空気銃を所持した場合の法定刑は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となっています(21条の3,32条)。
製造メーカーの自主規制により販売されていたエアガンの多くは準空気銃とならない威力でしたが,一部は準空気銃となってしまう威力であったり,改造して威力を上げたことにより準空気銃となっており摘発されるというケースがあるようです。
A君のプレゼントされたエアガンが準空気銃となる基準値以下であれば、銃刀法違反となりませんので、釈放されるでしょう。
一方で準空気銃となってしまう場合には銃刀法違反となりますので、少年事件として扱われることになります。また,神奈川県など都道府県によっては青少年保護育成条例によって有害がん具として威力に関係なくエアガンの所持が禁止されている場合もあります。
~少年事件となってしまったら~
銃刀法違反に限らず,少年事件の場合,警察から検察官に事件が送られ家庭裁判所に事件が送致されることになります。
成人の刑事事件の場合,検察官が起訴する(≒裁判をする)か不起訴にするかを判断しますが,少年事件の場合には必ず家庭裁判所に事件が送致されます。
少年事件の送致を受けた家庭裁判所は、基本的に調査官による調査により審判を経て処分を決定します。
家庭環境や少年の非行傾向などによっては少年院送致もありますが,今回のA君の場合には少年院送致されるということは考えづらく、保護処分となり保護観察となる可能性が高いです。
また,家庭裁判所による教育的措置によって少年の更生が見込まれる場合には不処分となることもあります。
加えて,調査官による調査の段階で少年の更生が充分見込まれる場合には審判そのものが不開始となることもあります。
~少年事件における弁護活動~
成人の刑事事件の弁護を依頼された弁護士は、被害者の方と示談を進める等の活動により不起訴や,罰金刑,執行猶予付きの判決を求めていきます。
一方,少年事件の場合は、成人事件のように不起訴というものは存在せず、非行事実があると判断された場合、全て家庭裁判所に送致されることになります。
事件の内容によってはどうしても保護観察になってしまう場合もありますが,今回のA君の場合は不処分や審判不開始を目指すことが考えられます。
A君はエアガンを従兄弟からプレゼントされ,準空気銃となるほど威力が強いことを認識していなかったと考えられます。
また,エアガンで人や動物,物を撃つといった行為もしておらず、非行事実としては持っていたエアガンが準空気銃であったというだけです。
したがって、ことさら保護観察処分などに付さなくとも教育的措置によって十分に更生が可能であるといえるでしょう。
しかし、取調べなどで人を撃つつもりだったと言ってしまったりすると、保護観察処分となってしまう可能性もあります。
このように、捜査機関での取調べにどう対応していくかが少年事件の最終的な処分に大きく影響を与えることになりますので、取調べ対応や今後の見通しが不安な場合は少年事件に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件・刑事事件に強い法律事務所です。
お子様が突然逮捕されてしまったような場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。