強盗罪と逮捕の可能性について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【ケース】
Aさんは,悪質なセールスに騙されて数十万円の時計を購入させられ,その代金の支払いの目途が立たず困っていました。
そうした話を友人のBさんにしたところ,「それなら俺と一緒にコンビニ強盗でもやろう。2人なら上手くやれる」と誘いを受けました。
悩みに悩んだ結果,Aさんはその誘いに乗り,Bさんと共に愛知県稲沢市内のコンビニで強盗をすることにしました。
そして,事前に立てた計画に沿って犯行を遂げ,およそ20万円を奪取しました。
しかし,犯行の翌日になって,Aさんは急に逮捕される自分を想像して恐怖を抱きました。
そこで,すぐに弁護士に相談し,逮捕の可能性について聞いてみました。
(フィクションです)
【強盗罪について】
刑法(一部抜粋)
第二百三十六条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
強盗罪は,暴行または脅迫を手段として,他人から財産を奪取した場合に成立する可能性のある罪です。
単に相手方の意思に反して財産を盗むのではなく,それを暴行・脅迫によって実現する点で,窃盗罪より悪質性が高いと評価されています。
そのため,窃盗罪の法定刑が10年以下の懲役または50万円以下の罰金であるのに対し,強盗罪は5年以上の有期懲役(上限20年)という厳しい刑が定められています。
強盗罪における暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧するに至る程度のものでなければならないと考えられています。
具体的には,凶器の有無,発言の内容,暴行の程度などの様々な事情を考慮し,客観的に判断されます。
特に凶器を用いている場合については,実務上犯行を抑圧するに至る程度のものがあったと評価されやすい傾向にあります。
もし暴行・脅迫がこの程度に至っていなければ,強盗罪ではなく恐喝罪(10年以下の懲役)に当たる可能性が出てきます。
【逮捕の可能性】
犯罪をしてしまった場合,多くの方はまず「逮捕されるのではないか」という点を懸念されるのではないかと思います。
逮捕というのは,捜査機関が裁判所に令状を請求し,その令状の発付を受けたうえで行われるのが原則です。
そのため,,①捜査機関による令状の請求,②裁判所による逮捕状の発付(逮捕の許可),③捜査機関による逮捕状の執行という手続を踏んではじめて逮捕に至るということになります。
とはいえ,実務上②の段階で裁判所が逮捕状の請求を却下するのは稀であり,なおかつ③の段階で捜査機関が敢えて逮捕の執行をしないというのも考え難いので,逮捕の可能性は基本的に①に掛かっていると言えます。
逮捕するかどうかが捜査機関の判断に掛かっている以上,弁護士などの法律家であっても確実に逮捕されるか判断することはできません。
ただ,逮捕の目的というのは主に逃亡と証拠隠滅の防止なので,そうした視点からある程度予測を立てることは可能です。
まず,問題となる犯罪が重い場合,逮捕の可能性は高くなるのが一般的です。
犯罪が重いと,刑罰を免れるために逃亡や証拠隠滅を図る疑いがあると考えられるからです。
この観点からすれば,強盗罪を疑われたケースは逮捕の可能性が高いと予想できます。
また,犯行が複雑な場合についても,逮捕の可能性は高くなることがありえます。
こうした場合の例として,コンピュータに関する犯罪や,共犯者がいる犯罪などが挙げられます。
これらのケースでは,データの消去または共犯者間での口裏合わせによる証拠隠滅を捜査機関が懸念するからだと考えられます。
以上はあくまでも考慮要素と考えられるものの一部であり,実務上は個々の事案に応じて可能性が変わってきます。
逮捕の可能性について少しでも正確な予測を立てるなら,やはり自身の事案を弁護士に相談するのが一番かと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,逮捕の可能性を含む事件の見通しを丁寧に説明いたします。
ご家族などが強盗罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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