振り込め詐欺の「受け子」をしてしまったら

振り込め詐欺の「受け子」をしてしまったら

振り込め詐欺の受け子をしてしまった場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します

~「受け子」になってしまったケース~

愛知県名古屋市瑞穂区在住の大学4年生のAさんは友人から荷物運びのアルバイトを紹介された。
アルバイトの内容は地下鉄の駅のコインロッカーで荷物を受け取り,その荷物を事務所まで運ぶというものであった。
簡単な作業な割に給料のいい仕事だったのでAさんは3ヵ月にわたり7回アルバイトを行った。
ある日,Aさんが地下鉄新瑞橋駅のコインロッカーから荷物を取り出そうとしたところ,張り込んでいた愛知県瑞穂警察署の警察官によってAさんは詐欺罪の疑いで現行犯逮捕されてしまった。
実は,荷物の中身は特殊詐欺の被害者からの現金などであった。
逮捕の連絡を受けたAさんの家族は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の初回接見サービスを依頼した。
(フィクションです)

~特殊詐欺の受け子~

オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」といった近年増加傾向にある詐欺の手口はまとめて「特殊詐欺」と呼ばれています。
特殊詐欺はその名の通り詐欺罪(刑法246条)に該当します。

刑法246条

人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

人を騙すことを一般に詐欺と呼びますが,刑法上の詐欺罪の成立には以下のような要件が要求されています。

1.社会通念上,相手方を錯誤に陥らせて財物ないし財産上の利益を処分させるような行為をすること(欺罔行為)
2.相手方が錯誤に陥ること(錯誤)
3.錯誤に陥った相手方が,自己の意思で財物などを処分すること(処分行為)
4.財物などの占有が行為者ないし第三者に移転すること(占有移転)
5.上記1~4の間に因果関係が認められ,行為者に故意および不法領得の意思が認められること

すなわち,相手を騙し,騙された相手が自分の意思で現金の振り込みなどをした場合に詐欺罪が成立します。
振り込め詐欺などの特殊詐欺場合,組織的に息子などを装って電話をかける「かけ子」,騙された相手から現金などを受け取る「受け子」などにわかれています。
「受け子」は単純に現金などを受け取るだけですので,何も知らない大学生などが簡単なアルバイトだと思い詐欺の一員として利用されてしまうケースも多いようです。

~特殊詐欺における接見禁止~

振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では,逮捕された後,多くの場合で勾留されてしまいます。
振り込め詐欺などの特殊詐欺事件では,共犯者がいることも多く,口裏合わせなどを防ぐために接見禁止が付されることも多いです。
勾留の際に接見禁止がつけられてしまうと弁護士以外の者との接見が不可能となりますので,たとえ家族であっても接見に行くことはできません。
勾留の際に接見禁止が付されてしまった場合,依頼を受けた弁護士はまずはご家族の方が接見できるように接見禁止の一部解除を目指して活動していくことになるでしょう。

「受け子」の場合の弁護活動~

刑事事件における共犯関係には共同正犯と幇助犯に大別されます。
共同正犯と幇助犯の区別は,一般に,特定の犯罪を自己の犯罪として実現する意思があったか,それとも他人の犯罪を手助けする意思に過ぎなかったのかによって判断されます。
特殊詐欺「受け子」の場合,自分の行為が特殊詐欺の一環であると認識があったかどうかがポイントとなります。
特殊詐欺「受け子」は実際に現金などを受け取るという重要な役割ですが,「受け子」による持ち逃げを防ぐために実際の内容を知らせていない場合も多いようです。
そのような場合にはそもそも詐欺であるという認識がなく,詐欺罪の故意がないと主張することが考えられます。
刑法は故意処罰が原則となっていますので(刑法38条),故意が欠ける場合には過失の場合にも処罰するという特別な規定がない場合には罰せられません。
詐欺罪には過失処罰が規定されていませんので故意が無かったと認められれば詐欺罪は成立しないことになります。

しかし,実際には,何となく「詐欺じゃないかな」程度の認識を持っていたということも多く,そのような場合には詐欺罪の故意があったと認定されてしまう可能性が高いでしょう。
そういった場合には,詐欺罪の共同正犯ではなく幇助に過ぎないと主張することが考えられます。
共同正犯であるか幇助犯にとどまるかは,受け子」となった動機,利益の大きさ,主犯格や他の実行犯との関係性などによって判断されるようです。
特殊詐欺「受け子」の場合,事情を正しく主張できるかどうかによって幇助犯にとどまるか,共同正犯と判断されてしまうか,故意がなかったとして詐欺罪が成立しないか,といったように結果が大きく変わってしまう可能性があります。
幇助犯にとどまるのであれば刑の減軽が規定されていますので(刑法63条)執行猶予判決付きの判決や,もしも実刑となってしまったとしても短い刑期となることが考えられます。

特殊詐欺「受け子」をしてしまった場合,弁護活動の内容次第では大きく結果が変わってしまう可能性もあります。
ご家族が特殊詐欺「受け子」をしてしまったという場合には刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にお気軽にご相談ください。
フリーダイヤル0120-631-881にて事務所での無料法律相談や警察署などでの初回接見サービスのご予約を24時間365日承っております。

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