器物損壊事件において、弁護活動の結果、不起訴処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
Aさんは名古屋市熱田区にあるショッピングセンターの駐車場で、ささいなことからVさんと口論になりました。
Vさんがショッピングセンターに入って行った後、怒りが収まらないAさんは、Vさんの自家用車に10円玉で故意に線状の傷をつけました。
その後Aさんは愛知県熱田警察署に呼び出され、器物損壊罪の疑いで任意で捜査を受けることになりました。
Aさんは「大変馬鹿なことをしてしまいました。Vさんに謝罪したいのですが、警察官には『Vさんの個人情報は教えることができない』と言われました。」
と相談時にお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【車に故意に傷をつける】
10円玉のような硬貨やくぎ、鍵などを使って停まっている車に、線状のひっかきキズをつけることを、10円パンチと言うこともあるそうです。
しかしこの行為は「いたずら」と呼ばれることもあるのですが、「器物損壊罪」という犯罪行為にあたります。
【器物損壊罪について】
器物損壊罪は、刑法第261条に規定があり
法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。
器物損壊罪は、「他人の物」を壊したり価値を損なわせたりする犯罪です。
器物損壊罪の「損壊」とは、物を物理的に壊す行為だけでなく、物の効用を害する行為を含みます。
なお、器物損壊罪は、被害者の告訴がなければ起訴ができない親告罪です。
【弁護活動について】
警察署を通じて、Vさんに対し、Aさんから謝罪をさせていただけないかとお伝えしたところ、Vさんより
「Aさんに謝罪してもらい、車の修理代金さえ頂ければ、Aさんには重い処分は望みません」とお返事を頂きました。
その後、VさんにAさん作成の謝罪文を渡し、Vさんの車の修理代金をお支払いし、示談を締結することができました。
なお、Vさんに対し、告訴取消の意思を確認したところ、「Aさんに重い処分は望まないが、最後まで捜査や取調べは受けて欲しい」とのことでしたので告訴取消はされませんでした。
以上の経過を警察署に書面で提出したところ、後日検察庁に事件が送致され、検察庁の捜査が終結後にAさんは不起訴処分となりました。
被害者との示談交渉や警察署、検察庁への意見申立ては、法律の専門家である弁護士に任せるのがよいでしょう。
このコラムをご覧の方で、器物損壊事件の被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
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