緊急避難を主張するなら
~ケース~
可児市在住のAさん(18歳)は、同じ高校に通うBさん率いるいじめグループから日頃暴行を受けていた。
ある日、AさんはBさんからカツアゲしてくるよう命令された。
Aさんは従わなければまた暴行を加えられるという恐怖に駆られ、Bさんにいわれるがまま通行人Vさんに暴行を加え、お金を出させた。
偶然、現場を通りかかった岐阜県警察可児警察署の警察官によって、Aさんは恐喝罪の容疑で現行犯逮捕された。
AさんがBさんらからいじめられることが嫌でカツアゲをしてしまったことを知ったAさんの家族は、少しでも早く釈放してあげたい一心で少年事件に強い弁護士に初回接見を依頼した。
(事実を基にしたフィクションです)
~緊急避難とは~
恐喝罪については、刑法第249条1項において、「人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。」と規定されています。
つまり、相手の反抗を抑圧しない程度の暴行又は脅迫により、相手を畏怖させ、これに乗じて財物を交付させた場合、恐喝罪になります。(相手方の犯行を抑圧する程度の暴行又は脅迫の場合は、強盗罪(刑法第236条)となります。)
その為、上記のケースにおいてAさんが行ったいわゆるカツアゲ行為も恐喝罪にあたる可能性が高いです。
ただし、上記のケースでは、AさんはBさんに犯罪を強要されています。
このような場合には緊急避難が成立する可能性があります。
緊急避難については、刑法第37条1項において、「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と規定されています。
ただし緊急避難は無関係な第三者へ被害が生じることになるため、厳格な要件を満たさなければ認められません。
その為、AさんがVさんに対して行ったカツアゲが、「現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為」で、「現に生じた害の程度が避けようとした害の程度を超えない場合」は緊急避難として違法性が阻却されます。
つまり、上記のケースでは、Bさんらの暴行が「現在の危難」にあたるのか、現に生じたVさんの被害の程度が回避したAさんの被害(いじめ)の程度を超えないと言えるのかが問題になります。
実際に緊急避難が認められた事案としては、不審者から逃げるためにした住居侵入や、ナイフを避けるために第三者を押しのけた暴行が緊急避難にあたるとされたものがあります。
上記のケースにおいて、まず「現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為」と言えるかどうか、また「現に生じた害の程度が避けようとした害の程度を超えない場合」といえるかどうかについては、AさんがBさんらから日頃どのような暴力を受けていたのか、事件当日Bさんからどのように指示され、その結果Aさんがどの程度畏怖していたか、Bさんらから逃げる等他の取り得る選択肢は無かったのかといった様々な事情を考慮した上で判断されます。
そして、このような事情を的確に主張し、捜査機関や裁判所に緊急避難の成立を訴えかけていくには、出来るだけ早く弁護士に依頼し、弁護活動を始めてもらうことをお勧めします。
仮に、緊急避難が認められた場合には、違法性が阻却され、Aさんには非行事実が無かったと言うことになりますので、家庭裁判所へ送致されない、あるいは送致後であったとしても審判不開始や不処分となる可能性が高くなります。
~少年事件における身柄解放活動~
上記のケースのように、例え未成年の少年事件であったとしても、成人と同じように逮捕され勾留されることはあります。
もし、身体拘束が長引いてしまうと、その分日常生活から長期間切り離されることになるため、逮捕や勾留の事実が学校等の周囲に知れ渡る可能性が高くなります。
そこで、特に少年事件においては釈放に向けた迅速な対応が重要になります。
まず、逮捕後に身柄を解放させるためには、検察官による勾留請求を阻止、若しくは裁判官による勾留決定を防ぐことが重要です。
弁護士としては、検察官に勾留を請求しないように、また裁判官に勾留を決定しないように、意見書を提出するなど、勾留を阻止する活動を行います。
さらに、勾留決定に準抗告(勾留請求を認めた決定について裁判所に対してその取消または変更を求めること)を申し立てることも可能です。
勾留が決定を阻止するこができれば、最大72時間以内に自宅に帰ることができ、職場や学校にも復帰することが可能となります。
可児市でお子様が少年事件を起こしてしまいお困りの方、緊急避難を主張したいとお考えの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご依頼ください。
(岐阜県警察可児警察署への初回接見費用 41,700円)

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
刑事事件に関する初回相談は全て無料。相談・接見は、土日祝日、夜間でも対応可能です。お電話をいただいてからすぐ接見に向かうことも可能です。ぜひご相談ください。