強制わいせつ罪で不起訴を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
今回は,不起訴について詳しく見ていきます。
【ケース】
Aさんは,愛知県春日井市にあるマンションで一人暮らしをしています。
Aさんが住むマンションの近くには中高一貫校Xがあり,AさんはXの生徒が通学する様子を日々自宅の窓から眺めていました。
あるとき,AさんはXの生徒にわいせつな行為をしたいと思うようになり,人通りの少なくなる夜を狙ってXの生徒にわいせつな行為に及ぶことを企てました。
そして,ある日の午後8時頃,帰宅途中のVさん(16歳)に背後から近づいて,Vさんの口を手で押さえたうえで制服の下に手を入れ胸を揉みました。
その後Aさんはすぐに逃走しましたが,Vさんが春日井警察署に相談したことで,Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕されました。
Aさんと接見した弁護士は,Aさんから「不起訴になる可能性はないか」と聞かれました。
(フィクションです。)
【不起訴とは何か】
刑事事件において捜査機関が必要な捜査を遂げると,事件を起訴するかどうか,すなわち裁判にかけるかどうかを検察官が決めることになります。
不起訴というのは,文字どおりある事件について起訴しないという判断を下すことを意味します。
検察官が不起訴の判断を下す理由には,実に様々なものがあります。
実務上よく見られるものとしては,有罪を立証するための証拠が十分でないときに行われる「嫌疑不十分」や,有罪立証の見込みがあっても敢えて起訴を見送る「起訴猶予」が挙げられます。
起訴猶予については,犯罪の軽重,被疑者の反省の程度,損害回復の有無,有罪となることによる影響などの様々な事情が考慮されることになります。
以上のような不起訴の理由を検察官の口から直接聞くことはあまりないかと思います。
ですが,検察庁によっては,不起訴となった場合に請求できる不起訴処分告知書という書面において理由を知ることができる場合があります。
【強制わいせつ罪と不起訴】
強制わいせつ事件で不起訴を目指す場合,最も現実的なのは起訴猶予による不起訴だと考えられます。
起訴猶予による不起訴を目指す際に鍵となるのは,やはり被害者との示談の成否とその内容です。
強制わいせつ罪は性的意思決定の自由という個人の権利・利益を害するものなので,被害者の意向が最終的な処分に影響しやすい傾向にあります。
そのため,示談を通じて物理的・精神的損害の補填や被害者の許しが明らかとなると,起訴猶予による不起訴となる可能性が飛躍的に高まるのです。
逆に言うと,強制わいせつ事件においては,被害者との示談が成立しない限り起訴猶予による不起訴は難しいというのが実情です。
これらのことから,起訴猶予による不起訴を目指すにあたり示談が重要となるのです。
強制わいせつ事件に限りませんが,不起訴を目指すうえで注意しなければならないのは,検察官が起訴か不起訴か判断するまでに示談などを行う必要がある点です。
特に逮捕を伴う事件は短期決戦となるので,弁護士への相談はお早めにされることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,不起訴を目指してできる限りの活動を行います。
ご家族などが強制わいせつ罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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