名古屋市千種区の刑事事件 金融商品取引法違反 「風説の流布」とは?
名古屋市千種区に住むAさんは、東京証券取引所市場第一部に上場する株式会社Bの代表取締役を勤めていました。
Aさんは、自社の株式の株式価格が落ち込んでしまっていることから、株式価格を上げるために、本当はその段階に至っていないにもかかわらず、B社においてC国で新薬の開発を行っており、D教授がすでに臨床試験中である旨の事実を公表しました。
その結果、B社の株式の価格は上昇しましたが、いつまでたっても新薬の情報が出てこないことから投資家の間で問題が提起され、証券取引等監視委員会の調査が入ることとなりました。
Aさんは、何らかの罪に問われてしまうのでしょうか。
(フィクションです。)
~風説の流布罪~
金融商品取引法158条は、「何人も、相場の変動を図る目的で、風説の流布を行うこと」を禁止しています。
「流布」とは、世間に広まることを指します。
そして、「風説」とは、合理的な根拠のない情報であれば足りるとされていますから、風説の流布は、合理的な根拠のない情報を世間に広めることを指します。
刑法に定めのある偽計業務妨害罪は、「虚偽の風説を流布し」と定めているのに対し、金融商品取引法158条が「風説の流布」と定めていることから、金融商品取引法の「風説」は、虚偽の情報以外も含まれると考えられています。
上記事例のAさんが今回流したような、全くの嘘ではないけれども、不確実な情報というのも、場合によっては金融商品取引法の風説の流布に当たるものと考えられます。
金融商品取引法の風説の流布罪の罰則は、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(又はこれらの併科)」と定められており、同法に定めのある最も重い罰則になっています。
また、財産上の利益を得る目的で、風説の流布を行い、相場変動を起こしたような場合には、罰金が3000万円まで引き上げられます。
今回の上記事例のAさんについては、そこまでの目的が認められるかは必ずしも明らかではありませんが、Aさん自身もB社株式を保有しているような場合には、財産上の利益を得る目的であると認定される可能性も否定できません。

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