名古屋市守山区の刑事事件 金融商品取引法違反 有価証券(株式)売買と不正取引
名古屋市守山区に住むAさんは、B株式会社の株主でした。
しかし、B株式会社の業績は低迷し、株式価格はほとんど0円に近い状況になっていました。
そこでAさんは、B社の株式が市場で活発に取引されている状況を作り出せば、他の投資家がB社の株式に注目し、株式価格が上昇すると考え、本来は自己の所有するB社株を売却する意思がないにもかかわらず、Cさんとの間で売買が成立したかのように見せかけ、B社株2000株の取引が市場で行われたような状況を作出しました。
Aさんの行為はどのような罪に当たるのでしょうか。
(フィクションです。)
~不正取引の罪~
金融商品取引法157条1号は、「何人であっても、有価証券の売買について、不正の手段、計画又は技巧をすること」を禁じています。
この法律の指す、「不正の手段」という文言の意味は非常に広くなっており、「社会通念上不正と認められる一切の手段」を意味するとされています。
今回の上記事例のAさんの行為は、株式売買が行われていないのに、それがあるかのように見せかけ、株価を上昇させようとしていますから、「不正の手段」を用いたと言え、金融商品取引法157条に違反している可能性が考えられます。
ところで、金融商品取引法では、他にインサイダー取引(金融商品取引法166・167条)なども規制されています。
このインサイダー取引も「不正の手段」に当たると考えられますが、インサイダー取引の罰則が「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金(又はこれらの併科)」とされているのに対し、この「不正の手段」を用いた金融商品取引法157条違反は「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金(又はこれらの併科)」とされ、より重く処罰されています。
そのため、実務上はほとんどインサイダー取引等、個々の罰則で対応され、この不正取引の罪が適用されることはほとんどありません。
しかし、処罰の重さに着目して、インサイダー取引等の中でもより悪質性の高い事案については、積極的に不正取引の罪を適用すべきであるという議論もあり、空文化している条文ではないようです。
なお、「不正の手段」を用い、実際に相場を変動させ、有価証券の取引を行った場合には、罰金が3000万円に引き上げられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
刑事事件に関する初回相談は全て無料。相談・接見は、土日祝日、夜間でも対応可能です。お電話をいただいてからすぐ接見に向かうことも可能です。ぜひご相談ください。