ナンパから痴漢に
ナンパの際に生じた痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件】
Aさんは愛知県名古屋市にある駅ビルの前でVさんをナンパしました。
2人で飲んだ後,近くにあった公園のベンチに横並びで腰かけしばらく会話を楽しみました。
途中,AさんはVさんの体を抱き寄せ,服の上から胸などを触りつつVさんの唇にキスしました。
VさんはAさんから離れようと身を捩りましたが,構わずAさんはVさんの陰部に下着の上から手をやり触りました。
Vさんは少し大きな声で「やめてください」と叫んだので,驚いたAさんが体を離しました。
その隙にVさんは立ち去り,そのまま瑞穂警察署に被害を申告しました。
(フィクションです)
【痴漢行為と犯罪】
痴漢行為によって成立する犯罪は,その多くが各都道府県の定める迷惑防止条例違反か強制わいせつ罪(刑法第176条)のいずれかです。
愛知県迷惑行為防止条例では,第6条において「何人も、公共の場所又は公共の乗物(…)において、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。」とし,その第1号において「人の身体に、直接又は衣服その他の身に付ける物(…)の上から触れること」としています。
「触れ」ることが迷惑防止条例違反の要件になりますので,胸やしりなどを撫でまわしたり揉んだりしていなくても,被害者が羞恥心や不安を覚える方法で身体に触れていれば,たとえば他人の身体に手などを押し付ける行為も痴漢として処罰されます。
そのため、偶然他人の身体に手などが当たった場合でもすぐに離さなければ痴漢として検挙されてしまうことも考えられます。
愛知県における法定刑は,通常の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金で,常習の場合ですと2年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
他方,強制わいせつ罪を定める条文は「13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする」となっています。
強制わいせつ罪におけるわいせつな行為とは,たとえば陰部・乳房・尻・太もも等に触れたりもてあそんだりする行為,裸にして写真を撮る行為,無理矢理キスしようとする行為などが考えられます。
加えて,被害者に行為者自身の性器等に触れさせる行為も、わいせつな行為に含まれると考えられます。
また、強制わいせつ罪における暴行・脅迫は,被害者の反抗を著しく困難にする程度に強いものでなければならないというのが有識者の多数説です。
ただ,実際のところ,痴漢被害にあっていることを周囲に知られたくなかったり,より悪質な行為をされないかという恐怖心などから反抗できない心理状態が比較的容易に形成されることも事実です。
このことから,裁判においては,様々な事情を考慮して反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったと比較的容易に認定される場合が少なくありません。
上記のいずれが適用されるかという点は,具体的な痴漢行為の内容に左右されます。
一般的には,衣服の上から被害者の陰部やしり,もも,胸を触ったり揉んだりした場合は迷惑防止条例違反として扱われる場合が多いです。
一方で下着の中に手を入れるなどして直接陰部を触った場合は強制わいせつ罪になる場合が多くなります。
これらは飽くまで一般的な傾向に過ぎず,衣服の上から触った場合でもその態様などがかなり悪質性の高いものであれば強制わいせつ罪に問われる可能性もあります。
Aさんは、公園という「公共の場所」において、Vさんの抵抗を意に介することなく下着の上から陰部を触っています。
そうすると、Aさんの行為は少なくとも迷惑防止条例違反に当たると考えられます。
更に、無理やり陰部に触れているという点を捉えると、より重い強制わいせつ罪となる可能性も否定しきれないでしょう。
【弁護活動】
もし痴漢による迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪の被疑者となってしまった場合は,早急に被害者に謝罪を申し入れ示談を成立させることで,不起訴処分や執行猶予を得られる可能性を高めることができます。
ただ,性犯罪では被害者が加害者との面会・交流を拒否するケースが非常に多く,また事件の性質上デリケートな部分も多いのが実情です。
そのため,性犯罪に強い弁護士に示談などを依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に所属する弁護士は,痴漢を含む性犯罪事件を数多く経験しており,その中には早期の釈放や不起訴処分を獲得につながった事件も多くあります。
痴漢行為があったとして迷惑防止条例違反や強制わいせつ罪の被疑者となってしまった方,瑞穂警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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