西尾市の動物虐待罪、動物傷害罪(器物損壊罪)なら
~ケース~
西尾市在住のAさんは,仕事のストレスを発散するため,Vさん宅の玄関先にいた,Vさんがペットとして飼っている犬を蹴るなどしたうえ、その様子を動画を撮影し,それをインターネットに投稿していた。
動画の視聴者や,悲鳴のような犬の鳴き声を聞き不審に思ったVさんの隣人が警察に通報した。
通報を受けた愛知県警察西尾警察署の警察官からAさんは事情を聞かれ,後日,動物虐待罪の疑いで呼び出しを受けた。
(フィクションです)
~動物虐待罪~
動物虐待罪というと何となく耳にしたことのある方が多いと思います。
では,動物虐待はどの法律で規制されているのでしょうか。
まず,刑法においては,動物は「物」として扱われます。
そのため,他人の飼っている動物を傷つけた場合,刑法上は物を傷つけたことになり,構成としては器物損壊罪となります(罪名は動物傷害罪と呼ばれます)。
そして,器物損壊罪(動物傷害罪)の条文は「他人の物」が客体となっていますので,自分の飼っている動物の場合には動物傷害罪は成立しません。
とはいえ,みだりに動物を傷つける行為は倫理に悖る行為であり非難対象となります。
その為,「動物の虐待及び遺棄の防止,・・・・・,人と動物の共生する社会の実現を図ることを目的」とする動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)によって愛護動物をみだりに殺傷した場合に罰則が設けられています。
なお,愛護動物とは「人が占有している動物で哺乳類,鳥類又は爬虫類に属するもの」もしくは「牛,馬,豚,綿羊,山羊,犬,猫,いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」をさします。
後者の11種類については人間社会に高度に順応した動物という観点からであり,法律上の扱いとしては,特定人物の占有下にあるか否かは問われません。
一方で,特定人物の占有下にあっても上記に該当しない両生類や魚類,無脊椎動物は動物愛護法の対象とはならず,器物損壊罪(動物傷害罪)が成立するにとどまります。
動物虐待罪の罰則は,現在は2年以下の懲役または200万円以下の罰金(44条1項)ですが,2019年6月に成立した改正で罰則が5年以下の懲役または500万円以下の罰金に引き上げられます。
~弁護活動~
動物虐待罪の量刑は,虐待の重さ・頻度などに加え,虐待の対象となった動物が,自己の占有(所有)・他人の占有(所有)・誰の占有(所有)にもない(野生)のいずれかによっても異なると考えられます。
当然ですが,他人のペット等に対する虐待が一番悪質であると考えられるため,量刑は重くなると思われます。
今回のケースでは,AさんはVさんがペットとして飼っている犬を蹴るという虐待行為をしています。
しかし,そのような場合でもVさんと示談を成立させることができれば,少なくとも罰金刑になる可能性が高くなり,場合によっては起訴猶予となることも考えられます。
逆に,他人の動物を虐待した場合に,被害弁償などを一切行っていない場には悪質であるとみなされ,罰金刑のみならず,執行猶予付きの懲役刑や,虐待の程度によっては実刑判決となる可能性もありえます。
他人のペットに対して虐待をすることは到底許される行為ではありませんが,飼い主への被害弁償など真摯な反省を示すことが重要になります。
なお,他人の動物への虐待は動物傷害罪との観念的競合(※)となります。
※一個の行為が複数の罪に該当する場合最も重い刑によって処断されることをいいます
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
他人のペットや,動物などを傷つける等で動物虐待罪に問われてしまった場合は0120-631-881までご相談ください。
無料法律相談のご予約を365日24時間受けつけています。