幇助事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
愛知県知事のリコール=解職請求をめぐり、アルバイトを使って署名を偽造したとして、地方自治法違反の罪に問われたリコール活動団体の事務局長の次男に対し、名古屋地方裁判所は「地方自治を不正にゆがめようとする許しがたい犯行だ」として、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
(NHK「愛知知事リコール署名偽造 事務局長次男に有罪判決 名古屋地裁」(2022/3/16)を引用・参照)。
【幇助犯と共同正犯の違い】
本事案は、偽造した署名により県知事のリコールを請求した事件として、世間の耳目を集めた事件です。
本件では被告人は裁判において幇助の主張をしていたことから、ここでは主として共同正犯と幇助犯の違い等について解説していきたいと思います。
共同正犯については刑法60条において、「2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」との定めが置かれています。
これは、一部実行全部責任の法理から、犯罪行為を「共同して」「実行」した者に「正犯」としての1次的な刑事責任を負わせる規定です。
これに対し、幇助犯とは共犯の中でも他人の犯行を容易にしたにとどまる関与形態(共同正犯よりも犯罪への関与の度合いが間接的)を言います。
刑法62条1項は「正犯を幇助した者は、従犯とする」とし、63条において「従犯の刑は、正犯の刑を減軽する」と定められていることからも分かる通り、幇助犯は上述の共同正犯と異なり2次的な責任を負うに過ぎません。
もっとも、「実務に幇助なし」などと言われるほど、共犯事件においては圧倒的に共同正犯として処罰されることが多い(一説には98%程が共同正犯として処罰されるとも言われています)のが現実です。
【幇助事件に関する裁判例の紹介等】
上述のように裁判実務において共犯者が幇助犯(や教唆犯)として処罰されることは稀なことであるということは否めません。
もっとも、これは実際に幇助の罪によって起訴されることや処罰されることがないということを意味するものではないことには注意が必要です。
本事案のように共同正犯としての罪責を問われた被告人が幇助犯にとどまると主張したケースとは異なり、当初より強盗の見張り役を務めたとして強盗の幇助犯として起訴され「懲役3年、執行猶予4年」の有罪判決を受けたケースも存在します。
したがって、共犯事件においては事実関係を精査し、検察官が幇助の罪で起訴した場合にも備えた弁護活動を行っていく必要が生じる場合もあるということです。
本事案のように共同正犯として起訴された場合には、幇助にとどまると共犯態様を争うことも重要な弁護活動の一内容といえ、どのような主張を行いどのような処分が見込まれるのかといったことも含め弁護士との綿密な相談が重要となることには変わりはありません。
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