少年と強盗罪

少年と強盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県田原市に住む高校2年生のAさん(17歳)は、同市内のコンビニ店員Vさんにカッターナイフを示し「タバコと金を出せ」と脅しました。Aさんは、Vさんが差し出したタバコ1カートンと現金2万円を奪い取り、その場から逃走しました。Aさんは付近を歩いていたところ、愛知県田原警察署の警察官の職務質問を受け、強盗罪で緊急逮捕されました。
(フィクションです)

~強盗罪~

強盗罪は刑法236条に規定されています。

刑法236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、前項と同様とする。

一般に、「暴行」とは人の身体に対する有形力の行使、「脅迫」とは人に畏怖させるに足りる害悪の告知のことをいいますが、強盗罪の「暴行」「脅迫」の程度は、

相手方の反抗を抑圧する程度

に強いものでなければならないとされています。そして、程度であるか否かは、

・犯行の時刻・場所その他周囲の状況
・凶器使用の有無
・凶器の形状性質
・凶器の用い方など犯行の手段方法
・犯人、相手方の性別、年齢、体力

などを総合的に考慮して判断されます。

「強取」とは、上記の「暴行」「脅迫」により、相手方の反抗を抑圧して財物を自己又は第三者に移すことをいいます。
通常は、犯人が被害者自身から直接財物を奪取することが多いと思いますが、必ずしもその必要はなく、反抗を抑圧された被害者から交付を受けてもよいとされています。

~少年事件と強盗~

少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的」としています(少年法第1条)。
したがって、原則として、少年に対しては懲役などの刑罰は科されず「保護処分」が科されます。

保護処分は、家庭裁判所が審判により、決定をもって言い渡す処分です。
保護処分には、①保護観察(少年法第24条1項1号)、②少年院送致(少年法第24条1項3号)、③児童自立支援施設または児童養護施設送致(少年法第24条1項2号)があります。

保護観察は、少年を施設に収容することなく、社会のなかで生活させながら、少年の改善更正を図る保護処分です。
少年院では、特別の場合以外は外出が許されず、規律ある生活に親しませて生活訓練を行い、規律に違反した者に対して懲戒を行います。
児童自立支援施設は非行少年を受け入れる施設ですが、原則として少年を施錠した部屋に入れることはなく、施設周囲の門塀も施錠しないので、重大な犯罪を犯した少年に対しては、少年院送致決定が出される可能性が高いです。
また、児童自立支援施設送致は、比較的年齢の低い児童に対して言い渡されることが一般的であり、高校生以上の児童に対し、児童自立支援施設送致が言い渡されることは極めて稀といえます。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童が入所対象者です。
その処遇能力、処遇態勢からして、非行少年の受け入れには消極的です。

他方で、例外的に、少年に対しても懲役などの刑罰が科されることがあります。
そのための手続きが「逆送」と言われる手続きです。
検察庁から家庭裁判所へ送致された事件を、再び、家庭裁判所から検察庁へ送り返すという意味で逆送と呼ばれています。
逆送の対象となる事件は

●本人が20歳以上であることが判明したとき(少年法19条2項)
●死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、刑事処分を相当と認めるとき(少年法20条1項)
●故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた罪の事件であって、犯行時に16歳以上であるとき(少年法20条2項)

の3つです。
強盗罪は「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、刑事処分を相当と認めるとき」に当たる可能性があり、いずれ刑罰を受ける可能性も否定はできません。

少年事件において適切な処分を獲得するためには、なるべく早い段階で弁護士を頼み、少年の周囲の環境調整を通じ、少年が社会でも更生しうることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。
そのためには、少年事件に熟練した弁護士の手助けが必要です。

少年にとって、成人同様、刑事裁判、刑事罰を受けることは大きな負担となります。逆送が見込まれる事件で、逆送回避をご検討中の方は少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。24時間、無料法律相談や初回接見サービスの受付を行っています。

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