捜査の流れ(逮捕、勾留)
~通常逮捕と緊急逮捕~
逮捕状による逮捕は通常逮捕と呼ばれています。
逮捕状は検察官や司法警察員が裁判所に請求することによって発付されます。
裁判官は逮捕の理由があれば,明らかに逮捕の必要がない場合を除き,逮捕状を発付しなければなりません。
実体的な要件は,逮捕の理由と必要性の存在です。
逮捕の理由とは,罪を犯したと疑うに足りる相当な理由(相当の嫌疑)が存在していることです。
逮捕の必要性とは,逃亡または罪証隠滅のおそれがあることをいい,被疑者の年齢・境遇,犯罪の軽重などから判断されます。
なお,軽微な事件については被疑者が定まった住居を有しない場合,または正当な理由なく出頭の求めに応じない場合に限って逮捕することができます。
緊急逮捕は「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由」があり,「急速を要し,裁判官の逮捕状を求めることができない」場合に逮捕状の発付を待たずに被疑者に理由を告げて逮捕するものです。
具体的には,指名手配犯などを発見した場合には,その場で逮捕しなければ逃げられてしまう可能性が高く,裁判所に逮捕状を請求している時間はありませんので,緊急逮捕をすることになります。
緊急逮捕の場合,直ちに裁判官に逮捕状を求める手続きをしなければならず,逮捕状が発付されない場合にはただちに釈放しなければなりません。
~逮捕後の手続き~
警察が被疑者を逮捕した場合には48時間以内に釈放もしくは書類及び証拠物とともに検察官に送致する必要があります。
送致を受けた検察官は送致を受けてから原則,24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求するか釈放する必要があります。
そして、勾留を決定する前に被疑者に弁解を与える手続きがあり,これを勾留質問といいます。
裁判官は,被疑者に対して被疑事実を告げ,これに関する陳述を聞いて,勾留の可否を判断します。
裁判官は,勾留の要件が満たされているかどうかを判断し,要件が満たされていると判断した場合には,勾留状を発付し,検察官がこれを執行します。
一方,勾留の要件が満たされていないと判断した場合には,勾留状を発付せず,ただちに被疑者の釈放を命じなければいけません。
勾留の要件とは勾留の理由と勾留の必要性をいいます。
勾留の理由とは,被疑者に相当の嫌疑があり,刑事訴訟法第60条1項各号に掲げる,①被疑者が住居不定である,②被疑者に罪証隠滅のおそれがある,③被疑者に逃亡のおそれがある,のいずれかに該当することです。
勾留の必要性とは,起訴の可能性,捜査の進展状況,被疑者の年齢や健康状態等から判断した勾留の相当性をいいます。
そして、勾留決定がなされた場合、被疑者の勾留期間は,原則として勾留の請求をした日から10日間となっています。
被疑者の利益を考え,初日を算入し,末日が休日であっても期間に算入されます。
この期間内に公訴を提起(起訴)しない場合には,検察官はただちに被疑者を釈放しなければいけません。
ただし,やむを得ない事情がある場合に裁判官は,検察官の請求により,10日を超えない限度で勾留期間を延長することができます。
仮に、勾留決定が出てしまったとしても、勾留の決定に対しては準抗告を申し立てることができます(刑事訴訟法第429条)。
勾留決定に対する準抗告が認容されると勾留が取り消されますので被疑者は釈放されます。
次回は逮捕および勾留されなかった場合の手続,不起訴処分,起訴後の手続きについて解説していきます。
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