盗撮と前科③

盗撮前科について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

愛知県愛西市に住むAさんは,買い物をしようと近所のショッピングモールへ行きました。
そうしたところ,店内でスカートを履いた女性Vさんがエスカレーターに向かって歩くのが目に入りました。
そこで,Aさんはエスカレーターに乗ってVさんの背後に立ち,自身のスマートフォンをVさんのスカートに差し入れて下着を盗撮しました。
ところが,撮影の際にAさんのスマートフォンがVさんの太ももに当たり,Vさんから「ちょっと,何してるんですか」と声を掛けられました。
その場から逃走を図ったAさんでしたが,近くにいた買い物客に腕を掴まれ,結局津島警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,Aさんに盗撮前科があることを聞きました。
(フィクションです)

【前科の定義と影響②】

前回の記事に引き続き,今回の記事でも前科を取り扱います。
今回は,刑事事件における前科の影響について説明します。

前回の記事で,「前科は普通に生活している限り簡単に知られるものではない」といった趣旨のことを述べました。
ですが,捜査機関や裁判所においては,照会によって前科の有無や内容を知ることができます。
また,起訴後に弁護人が閲覧できる記録にも,犯罪経歴照会結果報告書などが綴られています。
そのため,刑事事件の関係者であれば,本人の申告などなくとも前科の内容を把握できるようになっています。

刑事事件における前科の影響として,前科の存在を理由に刑罰が重くなることが考えられます。
まず,刑法57条において,「再犯」(詳しい定義は56条参照)に対しては「その罪について定めた懲役の長期の二倍以下」の刑に処するとしています。
たとえば,本来の法定刑が1年以下の懲役である罪を犯した場合,再犯の際に言い渡される刑は2年以下の懲役になるということです。
また,この規定を抜きしても,過ちを複数回繰り返したとなると当然ながら印象はよくありません。
この点を捉えて,裁判官により言い渡される刑が重くなるだけでなく,検察官が決める処分(起訴か不起訴か,正式起訴か略式起訴か)も重くなることがありえます。

次に,前科の存在によって,法律上執行猶予を付ける余地がなくなる可能性が出てきます。
たとえば,刑法25条1項によると,執行猶予の対象は原則として「過去に禁錮以上の刑に処せられたことがない者」であり,そうでない者に対する執行猶予の付与は例外的となっています。
このように法律上執行猶予が付けられないとなると,裁判官としても裁量の余地が全くなくなってしまいます。
そのため,執行猶予との関係で前科の有無とその内容は極めて重要だと評価できます。

更に,前科の存在は,刑事事件の過程である保釈にも関わってきます。
前科の刑が死刑または無期もしくは長期10年を超える懲役もしくは禁錮であるとき,権利保釈(被告人などから請求を受けた場合に必ず認めなければならない保釈)は不可能となります。
権利保釈が不可能でも裁量保釈(権利保釈の可否に関係なく裁判官の判断で認められる保釈)の可能性はありますが,上記のとおり厳罰の可能性もある以上,やはり裁判官の心証に響くことはありえます。

前回および今回の記事で取り上げた以外にも,前科には様々な影響が考えられます。
前科により自身の刑はどの程度重くなるのか」などの疑問があれば,一度弁護士にご相談されてはいかがでしょうか。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,前科に関してご不明な点に真摯に耳を傾けます。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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