盗撮と前科②

2020-03-17

盗撮前科について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

愛知県愛西市に住むAさんは,買い物をしようと近所のショッピングモールへ行きました。
そうしたところ,店内でスカートを履いた女性Vさんがエスカレーターに向かって歩くのが目に入りました。
そこで,Aさんはエスカレーターに乗ってVさんの背後に立ち,自身のスマートフォンをVさんのスカートに差し入れて下着を盗撮しました。
ところが,撮影の際にAさんのスマートフォンがVさんの太ももに当たり,Vさんから「ちょっと,何してるんですか」と声を掛けられました。
その場から逃走を図ったAさんでしたが,近くにいた買い物客に腕を掴まれ,結局津島警察署にて取調べを受けることになりました。
Aさんから相談を受けた弁護士は,Aさんに盗撮前科があることを聞きました。
(フィクションです)

【前科の定義と影響①】

前科という言葉は,その文脈に応じて複数の意味があります。
よく見られるものとして,「過去に懲役刑や禁錮刑の言い渡しを受けて刑務所に収容されたこと」という意味があるのではないかと思います。
今回取り扱う「前科」は,刑務所へ収容された経験に限らず,犯罪に及んで何らかの刑罰を受けたことを意味する言葉として用います。
以下をお読みになる際には,そのことを念頭に置いておきましょう。

前科は,過去に犯罪をして処罰を受けたことがあるという経歴を示すものです。
そのため,前科は人の名誉や信用に関わる事柄であることが裁判例でも指摘されており,行政機関なども慎重に取り扱うのが通常です。
普通に生活していれば,自身の前科を容易に他人に知られることはありませんし,他人の前科を知ることもまた極めて稀でしょう。

ただ,社会で生活する以上,前科の存在が他人に知られざるを得なかったり,前科があることにおり不利益を被ったりすることはどうしても起こります。
そこで,前科がもたらす影響について,刑事事件と刑事事件以外とに分けて簡単に見ていきます。
今回は,刑事事件以外に関する影響に焦点を当てます。

第一に,就職するにあたって事実上または法律上の不利益を受けることが考えられます。
まず,国家資格の多くは,一定以上の刑罰を受けた場合に付与の不許可や取消しが行われる可能性があることが関係法令に定められています。
前科の内容がそうした規定に抵触するものであれば,当然ながらその資格の取得や保持は危ぶまれます。
また,民間企業に就職する際,提出を求められる履歴書に賞罰欄が設けてあることがあります。
こうした場合についても,前科の存在と内容により採否が決められたり,秘匿したことが発覚した際に懲戒処分を受けたりすることがありえます。

第二に,海外への旅行が制限されることがあります。
パスポートの申請などについて定めた旅券法は,13条1項において一定の前科の存在を申請拒否の事由としています。
また,パスポート自体は取得できても,各国の入国審査において前科の存在を理由に入国を拒否されることがありえます。
これらの事情から,前科があることで自由に海外旅行できないという事態が生じてしまいます。

第三に,選挙に関わることができなくなることがあります。
選挙について定めた公職選挙法は,11条および11条の2において選挙権や被選挙権を有しない者を列挙しています。
この規定に該当すると,選挙権または被選挙権が行使できない結果,選挙を通して自己の意思を表明することができません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,前科が付いてしまった場合の影響について丁寧にご説明します。
ご家族などが盗撮の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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