盗撮事件で示談が成立し、不起訴処分になった解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事件の概要】
Aさん(20代男性)は、名古屋市中区にある駅構内のエスカレーターで盗撮をしたとして、愛知県迷惑行為防止条例違反で、愛知県中警察署に逮捕、釈放され、現在既に検察庁へ事件が送致されている状況でした。
Aさんは「被害者様に謝りたいのですが、たまたま見かけただけの方なので、どこのどなたか全くわかりません。検察官からはどのような処分になるのか教えてもらえず、毎日不安な気持ちで過ごしています。」と相談時にお話されました。
弁護士は被害者様と示談交渉を行い、締結することに成功し、その数日後、Aさんは不起訴処分となりました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
【盗撮とは】
盗撮行為は、各地方自治体の迷惑防止条例や軽犯罪法で禁止されており、それらに違反した場合には、懲役や罰金などで処罰されるおそれがあるのです。
では、どのような行為が盗撮にあたるのかですが、盗撮は、はっきりとした定義が規定されていません。
しかし、一般にカメラやデジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォンなどの機械を使い、写真や動画をひそかに撮影することといわれています。
各都道府県における迷惑防止条例では、駅や電車の中、公園やデパートなどの不特定多数の人が出入りできる「公共の場所」で、正当な理由なく、人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等で覆われている人の体または下着をのぞき見し、又は撮影すること、等を禁止しています。
※最近では、客室や更衣室などの公共の場所ではない、「人が通常衣服を着けないでいる場所」も処罰範囲に含める都道府県が増えています。
ご自分で判断することなく、事件を起こした都道府県の条例がどうなっているか、弁護士に相談することをおすすめします。
また、都道府県によっては、実際に撮影したかどうかにかかわらず、撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置することを禁止しているところもあります。
軽犯罪法においては、迷惑防止条例における、公共の場所にあたらない不特定多数の方の出入りがあるような公共の場所ではなく、人の住居や、浴場など通常衣服を受けないでいるような場所での盗撮行為等を対象にしています。
軽犯罪法の規定上の「のぞき見た」の意味は、「物陰や隙間からこっそり見ること」と解釈されており、何もしていないのに自然に見えてしまったような場合は当たらないとされています。
また、「のぞき見た」には、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン等の機械によって、こっそり写真や動画を撮ることも含まれるとされています。
【示談と被害者】
示談を締結することは、加害者にとってメリットが多い、ということはこちらのコラムでも過去に何度か書いています。
では被害者から見た示談のメリット(若しくはデメリット)はどうなのでしょうか。
被害者が示談をするデメリットは
①犯人の処罰や量刑(刑の重さ)が少なからず軽くなるおそれがある
ことです。
しかし、示談が成立したからといって犯罪が無かったことになるわけではありません。
被害者が示談をするメリットは
① 早期の被害賠償を受けられる可能性が高い
②被害者の方の要望を示談書の中で定めることができる
等があります。
①につきましては、仮に盗撮事件の加害者が罰金刑となっても、罰金刑は、国家の刑罰であるため、その罰金から被害者の方へ賠償されることがありません。
しかし、示談をすることで、加害者より被害者の方へ早期の被害賠償が可能となるのです。
②につきましては、加害者と今後一切関わりたくない、盗撮された写真や映像の流出が不安と思われる方も多くいます。
示談の条件のなかに、加害者は具体的な駅や店舗等に行かないようにする、盗撮したデータの削除をするなどを盛り込むことも可能ですので、被害者の方の不安を少しでも解消できるかと思います。
盗撮事件、示談に強い弁護士
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