監禁罪で執行猶予

2020-12-03

監禁罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさん夫婦は愛知県瀨戸市に暮らしており、今年で30歳になる息子がいました。息子は、統合失調症を患っており、ときどき大声を上げ暴れることがあり、Xさん夫婦も手を挙げられ、怪我をすることがありました。ある日、夫婦警察から連絡があり、息子が暴れ、喧嘩をしているとのことで、警察署に息子を迎えに行ったことがありました。Aさん夫婦は、「今後も息子が外出中に暴れ、人様を傷つけてしまったら大変だ」と考え、息子を自宅の部屋に隔離し、部屋の外にカギを付け、息子の行動を管理するようにしました。息子はしばらくは、落ち着いて生活していましたが、1週間が経過したころ、息子が部屋の中で大声を出し暴れまわりました。その声を聞いた近所の人が警察に通報し、千葉県警千葉北警察署の警察官がやってきました。
警察官は、様子を見せてほしいと部屋の中に入り、息子の部屋の鍵を確認しました。そこで、Aさん夫婦は、監禁罪の疑いで警察から捜査を受けることになりました。
(フィクションです。)

~監禁罪~

監禁罪は刑法220条に規定されています。

刑法第二百二十条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

監禁罪とは、正当な理由なくして人の場所的移動の自由を奪う犯罪です。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにし、場所的移動の自由を不可能または困難にする行為です。
たとえば、部屋に鍵をかけて出られなくするなどが典型例ですが、車に乗せたうえで、本人が「降りたい」という意思を明確にしているにもかかわらず、降ろさない場合にも成立します。

ちなみに、監禁罪においては、「監禁」をどう定義付けするかという点で法律の解釈上の争いが存在します。
そもそも、監禁罪は、「人が移動することの自由」を保護するための法律であり、「人が移動することの自由」をどう考えるかという点で、大きく分けて2つの解釈が存在します。一つ目が、「可能的自由説」で、もう一つが「現実的自由説」といいます。前者は、移動の自由を最大限保護しようとするもので、もし人が移動したいと思った時その状況が阻止されていればそれで犯罪の成立を認めます。
他方で、後者の場合、実際に人が移動したいと思った時にその状況が阻止されていた時に限り犯罪の成立を認めます。
具体的に問題になる場面としては、たとえば、「人が寝ている最中に部屋の外から鍵をかけた場合に犯罪が成立するかどうか」といったシーンが想定されます。前者であれば寝ていたとしても、「起きて移動したいと思う可能性がある」ので、この場合にも犯罪は成立します。
他方、後者の場合、「実際は寝ていて移動したいと思わなかった」以上、犯罪は成立しません。

~執行猶予とは~

刑の執行猶予とは、有罪判決をして刑を言い渡すに当たって、情状により、その執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には、大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と、「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり、前者はさらに、「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。

最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。

刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる

1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

つまり、最初の執行猶予(付き判決)を受けるには

1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること

が必要ということになります。

上記1について、監禁罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」ですから、情状によっては「3年以下の懲役」の判決を受ける可能性はあります。
次に、上記2については、まずは
・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑、執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人
は含まれる、と考えてよいです。
Aさん夫婦が前科を有しなければ上記2の条件も満たします。
最後に、上記3について、情状は、、犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。
犯情とは、犯行動機・態様、被害結果などの要素があり、犯行た後ではいかんともしがたい事実です。
他方、一般情状については、犯行後でも、いくらでも有利に動かすことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をご検討中の方は弊所までお気軽にご相談ください。