空き巣の犯罪

2020-10-31

空き巣の犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

空き巣に入る家を決めかねていたAさんは、名古屋市名東区にある邸宅の家人が1週間旅行に出ることを確認しました。旅行3日目の夜2時30分ごろに誰もいないこの邸宅に侵入したAさんは、金品を物色し始めました。誰もいないはずの部屋の電気がついていることを不審に思った隣家の住人が警察に通報しました。午前2時45分ごろにAさんは駆けつけた愛知県名東警察署の警察官によって邸宅侵入の現行犯で逮捕されました。
(フィクションです)

~邸宅侵入罪~

正当な理由がないのに、人の住居もしくは人の看守する邸宅、建造物もしくは艦船に侵入した場合には住居侵入罪(刑法第130条前段)が成立します。

この罪の法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
また、未遂も処罰されます(132条)。

住居とは、人の起臥寝食に使用される場所を指します。
邸宅とは、住居用に作られた建造物とこれに付随する囲繞地(塀や柵などで囲まれている土地)のことです。
「人の看守する」とは、管理人や監視人がいたり、鍵がかけられているなど、現実に人が支配・管理している状況にあるという意味です。

また、「侵入」とは、住居権者またはその委任を受けた看守者等の意思(推定的意思を含む)に反して、住居等の領域に立ち入ることと理解されています。
違法な目的を隠しての住居権者等の承諾を得た場合も、真意に基づく承諾ではないため本罪の成立が認められています。

今回の場合、Aさんは旅行で留守となっている邸宅に空き巣目的で侵入しているので、邸宅侵入罪の成立が認められる可能性は非常に高いと言えます。

~窃盗罪~

今回、Aさんは空き巣目的で邸宅に侵入しており、現に金品を物色しています。
この金品を物色する行為が窃盗罪の実行の着手と言えるのかということも、Aさんに問われる容疑内容を把握するために重要です。

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立します(刑法第235条)。
法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金で、未遂も処罰されます(243条)。

ここでの財物とは有体物である動産のことを意味します。
この動産の金銭的ないし経済的価値の有無は問われません。

窃取とは、占有者の意思に反して財物に対するその占有を排除し、その財物を自己の占有下に移す行為です。
占有とは、現実に物を支配している状態を意味します。

どのような場合に占有があるか認められるかは一概には言えませんが、過去の裁判例では、海中に落した物(最決昭和32・1・24・刑集11-1-270)やバス待合所に一時的に置き忘れたカメラ(最判昭和32・11・8刑集11-12-3061)などで所有者が意識していたり置いた場所をすぐに思い出して取りに戻ったりした場合にはその占有が認められています。

逆に、広大な湖沼に逃げ出した鯉(最決昭和56・2・20刑集35-1-15)や大規模スーパー内の6階で置き忘れたが被害者が思い出して10分後に取りに戻った財布(東京高判平成3・4・1判時1400-128)について、その占有を否定した裁判例があります。

以上の裁判例を見ると、裁判所はその物が意識して置いてあるように見えることを重視して占有の有無を認定しているといえます。

具体的には以下のようなものを基準としています。

①場所
自宅や自己の管理する場所内か、一般に人がその物を意識して置く場所かなど

②物自体の特性
忘れやすい物か、高価な物か、大きいか等

今回Aさんが盗ろうとした物は邸宅内の物であり、邸宅の住人に占有が認められる物であるといえそうです。

いよいよ本題に移って、Aさんが物色行為をしたことにより窃盗罪の未遂に達しているかという問題を考えてみましょう。

結論から言うと、物色行為時に未遂の成立が認められる場合が多いことから、Aさんの場合も未遂が認められる可能性が高いです。

ただし、目的としている物に接近してはじめて未遂が認められている事件(最決昭和40・3・9刑集19-2-69)もあり、物色を開始したからといって必ずしもその時点で未遂が認められるわけではなさそうです。

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