不同意わいせつ罪で誤認逮捕~①~誤認逮捕とは

痴漢の冤罪事件、裏付け捜査が不十分だったために、不同意わいせつ罪で誤認逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

事件

会社員のAさんは、5年前に痴漢事件を起こして略式命令による罰金刑を受けた前科があります。
先日、Aさんが利用している名古屋市中区の月極駐車場において、未成年の女性が見知らぬ男に体を触られる痴漢事件がありました。
この事件でAさんは、愛知県中警察署に呼び出されて、不同意わいせつの容疑で取り調べを受けたのですが、Aさんは全く身に覚えのないことで容疑を否認したところ、後日、不同意わいせつ罪で逮捕されてしまったのです。
警察は、Aさんに痴漢の前科があることや、事件発生直後に月極駐車場から出庫していることから疑っているようです。
(フィクションです)

誤認逮捕

ある日突然、全く身に覚えのない事件で警察に逮捕される・・・それが、誤認逮捕です。
信じられない話ですが、正式に警察から発表されていない件数も含めれば毎年100人以上もの方が、全国の警察等の捜査当局に誤認逮捕されているといわれています。
ですから皆さんも、Aさんのように誤認逮捕される可能性は十分に考えられるのです。
誤認逮捕される際は、Aさんのように、警察署に呼び出されて取調べを受けた後に誤認逮捕されるケースもありますが、逮捕状を持った警察官が急に自宅に押し掛けてきて逮捕されることもあります。

誤認逮捕されたら、どのように対処するべきなのでしょうか。
逮捕されると、身体拘束を受けたその日から取調べが始まります。
当然、身に覚えのない事件なので「やっていない」と答えなければなりませんが、取調べを担当する警察官は自白を得るために厳しく追及してきます。
昔のように暴行や脅迫を用いた取調べは行われていないと思いますが、それに近い取調べがいまだに行われているのが現状で、取調べを受けた方のほとんどは、取調官の威圧的な言動に恐怖を感じるといいます。
また中には「認めたら釈放してやる。」「認めたら起訴されない。」といったような甘い囁きをしてくる取調官がいるようなので注意しなければなりません。
また取調べの苦しい状況から逃れるために、その場限りのつもりで身に覚えのない事件を自白してしまうと、それは取り返しのつかないことになりかねません。

かつて「警察の取調べで自白したとしても刑事裁判で明らかになって無罪が証明されるだろうと思って身に覚えのない事件を自白した」という男性は、警察での自白調書が刑事裁判でも証拠採用されてしまい、有罪が確定して、刑務所に服役しました。
そして冤罪が明らかになったのは刑務所から出所してからです。

~次回は「誤認逮捕が起こる理由」について解説します。~

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