愛知県迷惑行為防止条例③(つきまとい)
~迷惑行為防止条例~
迷惑行為防止条例とは各都道府県が定めている条例です。
都道府県によっては「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という場合もありますが,近年,迷惑行為防止条例に名称が変更されている都道府県も多いです。
愛知県は改正条例が平成31年1月1日に施行され,名称も愛知県迷惑行為防止条例となりました。
愛知県迷惑行為防止条例は全21条から構成され,その内,第2条から第9条までが規制される行為を定めています。
(以上は前回の記事と同様)
今回は第2条の3の「嫌がらせ行為の禁止等」について解説していきたいと思います。
~第2条の3,嫌がらせ行為~
愛知県内おけるストーカー事案は,年々増加しています。
事案の中には,ストーカー行為をしていながら恋愛感情を否定し,ストーカー規制法の適用を免がれようとする事案や,そもそも恋愛感情を伴わない妬み、恨みなどの悪意の感情から外形的にはストーカー行為と同様のつきまとい、押し掛け等の行為を執拗に繰り返す陰湿な事案も発生しております。
ストーカー行為規制法は第2条第1項でつきまとい等を「特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で当該特定の者又はその配偶者,直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し,次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。」と規定しています(具体的な行為の内容は後述します)。
そのため,恋愛感情に起因しない,人間関係のこじれから生じた恨みなどからストーカー行為をした場合にはストーカー行為規制法の対象とならず、他の法令に違反していない場合,検挙ができないという状況でした。
そこで,愛知県迷惑行為防止条例を改正し,新たに「ストーカー行為規制法第2条第1項に規定する目的を除くほか,正当な理由なく,専ら,特定の者に対する妬み,恨みその他の悪意の感情を充足する目的で・・・(以下略)」という第2条の3を追加しました。
愛知県迷惑防止条例およびストーカー規制法が規制している行為は以下になります。
ただし,以下1 – 4と,5のうち拒絶後の連続した電子メール・インスタントメッセージ・SNS等の送信やブログ等への返信等については,「身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され,又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る」とストーカー規制法で規定されており(2条2項),愛知県迷惑行為防止条例でも同様であるといえるでしょう。
1.住居,勤務先,学校その他通常所在場所でのつきまとい,待ち伏せ,進路立ちふさがり,見張り,押しかけ,付近をみだりにうろつく
2.監視している旨の告知等
3.面会・交際・その他義務のないことを行うことの要求
4.著しく粗野な言動,著しく乱暴な言動
5.無言電話,拒絶後の連続した架電,またはファックス・電子メール・インスタントメッセージ・SNS等の送信やブログ等への返信等
6.汚物・動物の死体ほかの送付等
7.名誉を害する事項の告知等
8.性的羞恥心を害する事項の告知等,性的羞恥心を害する文書,図画,電磁気的記録の媒体ほかの送付等,性的羞恥心を害する電磁気的記録ほかの送信
また,愛知県迷惑行為防止条例では嫌がらせ行為をするおそれがある者であることを知りながら,その者に対し,当該嫌がらせ行為の相手方の氏名,住所その他の当該嫌がらせ行為の相手方に係る情報を提供することを禁止しています。
愛知県迷惑行為防止条例およびストーカー規制法の規制する内容は基本的には同一ですが,その行為の目的によってどちらで検挙されるかが変わります。
~弁護活動~
ストーカー行為規制法および愛知県迷惑行為防止条例2条で規制されているつきまとい行為はどちらも1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。
ストーカー行為規制法や愛知県迷惑防止条例2条の3違反の場合,まずは被害者の方との示談を試みます。
被害者の方に謝罪し,同様の行為をしないように,今後,被害者の方や職場等に近付かない,電話やメール等も一切しないという約束をします。
そして慰謝料の支払いや上記の約束,可能であれば加害者を許すという事項も盛り込んだ示談書を作成していただきます。
そういった示談書を提出することで,起訴猶予処分や略式手続き,執行猶予付き判決となる可能性が高くなります。
まずはお近くの刑事事件に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件に強い法律事務所です。
ストーカー行為をしてしまいお悩み・お困りの方は0120-631-881までご相談ください。
(初回法律相談:無料)