傷害罪で共犯事件なら
~傷害罪で共犯事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説~
~ケース~
岡崎市のAさんは高校時代の先輩であるBさんから「最近調子に乗っているVを痛い目に会わせるから手伝え」と命令された。
Bさんの世話になったAさんはBさんの命令を断る事ができず,Bさんの手伝いをすることになった。
後日,AさんはVさんを呼び出し,Bさんの待っているホテルの一室へ連れ込んだ。
AさんはBさんがVさんに激しい暴行を加えるのを見て怖くなり,これ以上関わりたくないと思いその場から去った。
後日,Vさんが被害届を愛知県警察岡崎警察署に提出し,Bさんは逮捕され,Aさんも傷害罪の共犯の疑いで事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~傷害罪~
まず今回のケースはVさんはBさんから激しい暴行を受け,怪我をしたと考えられますのでBさんには傷害罪が成立するでしょう。
ここで問題となるのはAさんにどういった罪が成立するかです。
Aさんの行った行為はVさんを呼び出しホテルの一室に連れて行っただけですのでこの行為自体はあまり犯罪を構成するものではありません。
しかし,Aさんの行った行為はBさんによる犯罪を容易にする行為であるため,AさんはBさんと共犯ということにならないかという問題があります。
共犯については刑法第60条以降に規定があり,今回のケースで問題となるのは共同正犯となるのか,幇助犯に留まるかという問題です。
条文は以下のようになっています
刑法60条(共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。
刑法62条(幇助)
1.正犯を幇助した者は、従犯とする。
従犯の場合は,正犯の刑が減軽されます(63条)が,共同正犯の場合には正犯となります。
幇助とは,正犯,すなわちBに対し物的・精神的な援助・支援を与えることにより,実行行為の遂行を促進し,さらには構成要件該当事実の惹起を促進することをいいます。
AさんはVさんを呼び出すという援助・支援をしており実行行為の遂行を促進しているといえ,さらにBさんによる暴行および傷害という構成要件事実の惹起を促進しています。
そのため,少なくともAさんにはBさんの傷害罪の幇助が成立します。
一方,共同正犯の場合,「二人以上共同して犯罪を実行する」ことが必要です。
構成要件該当事実の共同惹起が認められるときに共同正犯は成立します。
AさんはBさんとともにVさんに暴行・傷害を加えたわけではありませんので,構成要件該当事実の共同惹起があったとまではいえないでしょう。
そのため,Aさんは傷害罪の共同正犯とはならず,幇助犯にとどまるといえるでしょう。
~弁護活動~
今回のケースでAさんはBさんにより暴行・傷害事件の幇助犯となっています。
幇助犯は,自分の行為が何らかの犯罪の幇助になると思っておらず結果的に幇助となってしまうという場合もあります。
そのような場合には,故意を争うことにより,起訴されない,不起訴となる場合もあります。
しかし,AさんはBさんから「Vを痛い目に会わせるから手伝え」と言われており,自分の行為がBの手伝いであると認識しています。
そのため,故意がなかったと主張するのは不可能でしょう。
暴行や傷害事件の場合,被害者に治療費や慰謝料などを支払う,すなわち示談が済んでいるかどうかが検察官が起訴するかどうかの大きな判断材料となります。
これは幇助犯であっても同様であると考えられますので,Vさんと示談が出来れば主犯でないことも含めると不起訴となる可能性は高いでしょう。
効果的な示談をするには刑事事件に詳しい弁護士に依頼するのがベストです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
何らかの犯罪の幇助をしてしまった場合,示談などをお考えの場合は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
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