書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
会社員のAさんは、SNS上で知り合ったVさん(17歳)に頼んで、Vさんの全裸の写真画像を撮ってもらい、それを自身のスマートフォンに送信してもらって楽しんでいました。そうしたところ、ある日、Vさんのスマートフォンをチェックした母親が、Vさんが見知らぬ男に裸の写真画像などを送っていたっことを知りました。Vさんの母親はVさんとともに警察へ相談に行きました。後日、捜査の結果、Aさんは児童ポルノ(製造罪)の被疑者として調べを受けることになり、事件は名古屋地方検察庁へ書類送検されました。
(フィクションです)
~児童ポルノ罪の製造罪~
児童ポルノ罪の製造罪は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(以下「法律」という)の7条3項,4項,5項,7項に規定されています。Aさんの行為は,法律7条4項の製造罪に該当しそうです。罰則は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です。
法律7条4項
(略)児童に第2条第3項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第2項と同様とする。
~書類送検~
書類送検とは在宅事件(身柄を拘束されていない事件)が検察庁へ送検されたことを意味しています。
書類送検の根拠は刑事訴訟法246条に求めることができます。
刑事訴訟法
第二百四十六条(司法警察員から検察官への事件の送致)
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りではない。
司法警察員は、当該事件の捜査を終え、事件関係の書類を整えた上で書類を検察官へ送致します。したがって、書類送検の時期は「司法警察員が捜査を終えた後」といことになります。いつ捜査を終わるかは、事件の内容、難易度、捜査機関側の都合などによって異なりますから一概に「いつ」になるかは分かりません。気になる方は、弁護人を通じてか、あるいは直接尋ねてみてもいいでしょう。
書類送検された後の流れは以下のとおりです。
① 書類送検
↓
② 担当検察官が決まる
↓
③ 担当検察官から電話OR文書で出頭要請を受ける
↓
④ 出頭&取調べを受ける
↓
⑤ 刑事処分
書類送検された(①)後、2~3日で担当検察官が決まります。担当検察官が決まると、担当検察官(又は補助の検察事務官)から電話OR文書で検察庁へ出頭するよう要請を受けます。要請を受けるタイミングは決まっておらず、検察官の判断に委ねられます。検察官は在宅事件と同時に身柄事件も同時に処理しており、身柄事件の方が時間的制約があるため、どうしても在宅事件よりも身柄事件の方の処理を先行しがちです。したがって、検察官が身柄事件の処理に追われるなどして時間を取られていると、出頭要請は遅れる可能性があります。①から数か月程度経って出頭要請を受けるということも少なくありません。出頭後は、検察官の取調べを受け、捜査を終えた段階で刑事処分が決まります(⑤)。正式起訴された場合は、後日、裁判所から起訴状謄本などの書類が送達されてきます。略式起訴される場合は、取調べ時に略式裁判を受けるかどうかの同意を求められます。不起訴となった場合は、検察官から通知する制度はありませんが、請求すれば不起訴にした旨の文書を発行してくれます。
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