髪を切ることと暴行罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
18歳のA君は海外から帰ってくる恋人のVさんに会うため、名古屋市中村区にある駅の待合室にいました。
しかし、VさんはA君に会うなり、「Bさんと結婚するから別れてくれ」と言い、A君とVさんは口論となりました。
A君はVさんに恥をかかせてやろうと思い、駅構内のコンビニエンスストアでハサミを購入した後、Vさんの髪をつかみ、購入したハサミでVさんの髪を無理矢理切り落としました。
A君はVさんの悲鳴を聞いて駆けつけた、愛知県中村警察署の警察官に取り押さえられ、「暴行罪で話を聞かせてもらう」と言われました。
A君の両親は、今まで警察に一度もお世話になったことはないし、どうしたらいいのかわからないと思い少年事件に強い弁護士に相談に行きました。
(フィクションです)
【髪を無理矢理切るのは暴行罪になりますか】
暴行罪とは、人の身体に対し、有形力を行使したが、人の生理機能に障害を与えなかったり、健康状態を不良にしなかった場合に成立します。
条文は
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する。(刑法第208条)
となります。
A君はVさんに対し、ハサミで無理矢理髪を切るという有形力の行使を行いました。
しかし、髪を切り落とされても、生理機能や健康状態を傷害・不良にすることはないとされますので、暴行罪となる可能性があります。
有形力の行使とは、殴る、蹴る、投げ飛ばす、服をつかんで引っ張る、人の前を狙って石を投げる、拡声器を使い耳元で大声を出す、などがあります。
また、生理機能に障害を与えるとは、怪我をさせる、精神衰弱症にさせる、睡眠障害を負わせる、急性アルコール中毒にさせる、などがあります。
ただし、Vさんに治療を必要とするPTSD(心的外傷後ストレス症候群)が見られた場合は傷害罪となる可能性があります。
【弁護活動について】
A君に対しては、より適切な処分を目指して弁護活動をしていくことになるでしょう。
【審判不開始決定】
審判不開始決定とは、少年事件が家庭裁判所へ送られ、家庭裁判所における調査の結果、審判に付することができない場合、もしくは審判に付するのが相当ではない場合に審判自体を開始しない旨の決定をすることをいいます。
審判に付すことができない場合とは、少年の所在が不明であったりする場合で、審判に付するのが相当ではない場合とは、事案が軽微であったり、家庭裁判所に送致された段階で少年が十分に反省しており要保護性がなくなったりしている場合のことです。
審判不開始処分となった場合は、その時点で事件は完結し、少年審判が開かれることはありません。
ですので、少年事件に強い弁護士は少年が更生していることや、少年の家庭環境、生活環境に問題がないことなどを家庭裁判所に伝え、審判不開始決定となるように働きかけることになります。
【不処分決定】
不処分決定とは、少年事件が家庭裁判所に送られ、家庭裁判所における調査の結果、保護処分に付することができない場合、また保護処分に付するまでの必要がない場合に、審判で保護処分に付さない決定をすることをいいます。
保護処分とは少年院送致や保護観察のことで、不処分決定がされると、それらを受けることなく事件が終了します。
保護処分に付することができない場合とは、少年の所在が不明であったりする場合で、保護処分に付するまでの必要がない場合とは、審判の過程で、調査官や裁判官による教育的な働きかけにより、少年の問題点が改善され、再非行の危険性がなくなったと認められる場合のことです。
ですので、少年事件に強い弁護士は、調査官や裁判官と協議し、付添人としての少年に対する教育的な働きかけによって、問題点が改善され、再非行の危険性はないと家庭裁判所に主張していくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまい、対応にお困りであれば、早急に弊所の弁護士にご相談ください。
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