当たり屋行為で詐欺罪に問われたら
~当たり屋行為で詐欺罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説~
~ケース~
名古屋市中川区在住のAさんは、走行中の自転車などに故意にぶつかり相手に慰謝料などを請求するいわゆる「当たり屋」をしていた。
ある日,Aさんは狭い脇道を徐行していたVさんと故意に接触した。
Aさんはわざと転び怪我をしたように振舞った。
会社に事故を起こしたことが発覚するとまずいと思ったVさんは警察を呼ばずに当事者らで解決しないか申し出た。
Aさんはそれを快諾したが。Vさんはその場では対応できないとAさんに伝え,Aさんに電話番号などの連絡先を教えその場を去った。
後日,AさんはVさんに対し,「払わなかったらどうなるかわかってんのか?ヤクザの知り合いもいるんだぞ」等と治療費および慰謝料として100万円を請求した。
Aさんからの請求に恐怖と不審を感じ,Aさんは当たり屋だったのではないかと考えたVさんは愛知県警察中川警察署に相談した。
その後,Aさんは愛知県警察中川警察署の警察官によって事情を聞かれることになった。
(フィクションです)
~当たり屋~
交通事故を起してしまった場合,警察への報告義務があり,これを怠ると道路交通法違反(72条1項,109条10号)となり罰せられます。
しかし,警察に通報しなければ事故そのものが発覚しない場合も多くあるでしょう。
特に,社会的地位の高い場合や,交通事故を起こすと会社等で大問題となるような場合には可能な限り事故を無かったことにしたいと感じるはずです。
そのような人の心につけこみ,故意に事故に遭ったふりをし,警察に知らせないという名目で治療費や慰謝料,示談金として現金などを受取る行為が、がいわゆる「当たり屋」と呼ばれるものです。
~当たり屋行為は何罪になるのか?~
◇詐欺罪◇
典型的な当たり屋行為はわざと車などと接触し,怪我をした等と言って(実際には必要ない)治療費などを請求する行為です。
実際に病院に行き。かかった費用などを請求する場合には詐欺罪とはならないと考えられますが,当たり屋の多くの場合は,実際には怪我をしておらず,当然病院にも行きません。
その為,治療費と称して現金を請求するのは相手を騙して金銭を受け取っていることになります。
したがって,詐欺罪(刑法246条)となる可能性があります。
◇恐喝罪◇
また,当たり屋は事故につけこんで金銭を交付させるのが目的ですので,その際に脅しなどが行われる場合もあります。
脅しによって金銭を要求した場合には恐喝罪(刑法249条)となる可能性もあります。
恐喝とは暴行・脅迫によって相手方を畏怖させ財物を交付させた場合に成立します。
当たり屋で恐喝罪となる典型的な例としては,今回のAさんのようにヤクザ(暴力団)に知り合いがいるというようなことを告知し相手を怖がらせるような場合でしょう。
また,警察に通報するという正当な権利行使であっても脅迫となり恐喝罪が成立する場合もあります。
~弁護活動~
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役,恐喝罪の法定刑も10年以下の懲役で罰金刑は定められていません。
そのため,起訴された場合には刑事裁判が開かれることになります。
初犯で件数が少なければ執行猶予付きの判決となるでしょう。
一方で,検察官が事件を起訴しなかった場合には当然,刑事裁判は開かれず前科も付きません。
検察官が事件を起訴しないのは,そもそも犯罪がなかった場合ややあえて国家が刑罰を科す必要がないと判断した場合などです。
前者は真犯人が別に発覚した場合や,証拠などが不十分で犯罪が立証できなかったという場合です。
不起訴となるのはほとんどが後者の場合であり,正確には起訴猶予といいます。
起訴猶予となるのは前述のように犯罪が非常に軽微である場合やすでに当事者間で事件が解決しているような場合です。
当事者間で事件が解決しているとは端的に言えば示談が成立しているような場合をいいます。
ただし,たとえ示談が成立していても事案が悪質な場合には起訴されてしまいますので,まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談し,見通しなどについて相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
恐喝罪や詐欺罪に問われる可能性がある事件を起こしてしまった場合にはまずは0120-631-881までご相談ください。
事件の見通しなどの無料法律相談・警察署などでの初回接見のご予約を365日24時間受け付けています。