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【ニュース紹介】愛知県高浜市で起きた過失運転致死事件

2023-06-10

今回は、愛知県高浜市で起きた過失運転致死事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

17日、愛知県高浜市で40代の男性がトラックにはねられ死亡しました。

17日、午後6時35分ごろ高浜市新田町の県道で、横断歩道を渡っていたブラジル国籍の男性(48)がトラックにはねられました。
警察によりますと、男性は、病院に運ばれましたが全身を強く打つなどして事故から約1時間半後に死亡しました。
警察は、トラックを運転していた刈谷市の会社員の男(36)を過失運転致傷の疑いで、現行犯逮捕しました。
男は「横断歩道を渡っている人に気づきブレーキを踏んだけどはねた」と容疑を認めています。
警察は今後、男の容疑を過失運転致死に切り替える方針で、事故の詳しい原因を調べています。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=017472 2月18日 「「ブレーキを踏んだけどはねた」横断歩道を渡っていた男性がトラックにはねられ死亡 愛知」より引用)

【過失運転致死事件について】

被害者が死亡、傷害を負う悲惨な事故は連日のように報道されています。
ケースの男性会社員は過失運転致傷の疑いで逮捕されていますが、被害者が死亡したため、被疑事実が過失運転致死に切り替えられるようです。

軽微な過失運転致傷事件では、起訴された場合であっても、略式手続により書面のみの裁判が行われ、罰金刑を言い渡されることが多いです。

しかし、被害者が死亡、重傷を負った場合に起訴されたときは、公判請求という形式で起訴される可能性が高いです。

公判請求の形式により起訴されると、実際に法廷に立ち、被告人として裁判を受けることになります。

判決が言い渡される際にも、罰金刑ではなく、禁錮刑などの自由刑を言い渡される可能性が高いと思われます。
もし執行猶予付き判決がつかなければ、実刑判決となり、刑務所で服役しなければならない事態が生じます。

実刑判決の回避のためには、誠心誠意、被害者に謝罪と賠償を行い、示談を成立させることが重要です。
死亡人身事故の場合の損害賠償額は高額となりがちですが(1億円以上も珍しくありません)、任意保険等に入っていれば対応できる場合もあります。

まずは刑事事件に詳しい弁護士と相談し、今後の弁護活動についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
過失運転致傷、過失運転致死事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご相談の予約を受け付けております。

【裁判紹介】殺人事件において執行猶予がついた裁判例

2023-06-07

殺人事件の裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

自宅で当時3歳の長男の首をタオルで絞め、窒息死させたとして殺人罪に問われた被告人の裁判員裁判で、静岡地裁浜松支部は、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)の判決を言い渡した。
(産経新聞「幼児絞殺の母親に猶予判決」(2020/1/29)」を引用・参照)。

【殺人罪における執行猶予判決】

刑法において、殺人罪は刑法第199条に定められています(「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」)。
殺人罪が成立するためには、故意犯である以上(刑法38条1項本文参照)死亡結果を認識・認容している必要があり、かかる故意が認められない場合には別途傷害致死罪(刑法205条)や(重)過失致死罪(刑法210条 、211条)が適用される可能性があります。
殺人は、他人の生命という最も重要な利益を侵害するという極めて重大な犯罪行為であり、厳しい刑罰が科されることが一般的です。
実際に法定刑としても、「死刑又は無期懲役」が定められており、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(通称、裁判員法)2条1項1号は「死刑又は無期の懲役……に当たる罪に係る事件」を裁判員裁判対象事件としていることから、殺人事件は裁判員裁判となることが原則であることにも留意する必要があります。

もっとも、殺人罪が極めて重大な犯罪であるとは言っても、犯罪の内容や他の事情によっては執行猶予が付くことがないわけではありません。
本件では、被告人の責任能力が十分ではないとして心身耗弱(刑法39条2項)が認められています。
同項は「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」とし、刑の必要的減軽を定めていることから本判決のような執行猶予判決が適当であると判断されたものと考えられます。

【殺人事件における弁護活動等】

本事例では、「懲役3年、執行猶予5年」の執行猶予判決が言い渡されています。
もっとも、上述したような心神耗弱が認められるケースはそれほど多くなく、近年において殺人罪で起訴されながら執行猶予判決に留まるケースはいわゆる介護疲れ殺人の事例が中心になっていると思われます。
近時の事例 でいえば、介護を苦にして自宅で配偶者(85歳)の首を絞めて殺害した被告人に懲役3年・執行猶予5年を言い渡したケースがあります。
殺人事件の量刑を決定するににあたっては動機の悪質性などが重要な要素となっていると考えられています。
上記で紹介したものも含めたいわゆる介護疲れ殺人においては動機の悪質性の低さ等から執行猶予判決となっているものも少なくなく、弁護活動の質が実刑判決か執行猶予判決かを分ける可能性もあることから専門性を有する弁護士による弁護を受ける実益があるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、殺人事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
殺人事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日・24時間いつでも無料通話可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

【ニュース紹介】名古屋市の病院で起きた恐喝事件

2023-06-04

今回は、名古屋市の病院でおきた恐喝事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市中村区にある病院で看護師の女性から、仕事上の罰金名目で現金約123万円を脅し取ったとして、元上司の男女2人が逮捕されました。
2人がこの女性から脅し取った総額は1000万円以上にのぼるとみられます。
~(中略)。~
警察によりますと2人は中村区の病院に勤めていた2019年11月から12月の間、当時の部下である看護師の女性に仕事上のミスに因縁をつけ、罰金の名目で3回にわたり、あわせて現金約123万円を脅し取った疑いが持たれています。
容疑者の一人は女性に電話をかけ、「あんたはこれからどんどんやらかすから罰金がどんどん増えていくよ」などと脅したとみられています。
警察の調べに対し2人は、「金を受け取ったことは間違いないが、恐喝をした訳ではない」などといずれも容疑を否認しています。
2人は2018年11月ごろから、この女性から罰金名目で現金を脅し取っていたとみられ、警察は総額は1000万円以上にのぼるとみて調べています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/3905e8ed02ce6896103c5f160b9c0198cab0aff1 2月16日 「「あんたはやらかすから」2人が部下の看護師から罰金名目で恐喝した疑い 総額1000万円以上か」より ※氏名等の個人情報は秘匿しています)

【職場における「罰金」】

従業員に不手際があった場合に、使用者が「罰金」などと称して金銭を徴収するルールが設けられている職場があります。
労働基準法第16条は、「労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」としており、このようなルールはそれ自体が違法とされる可能性が高いです。

なお、従業員の責任により実際に生じた損害の賠償を請求することまでは禁じられていません。
しかし、これは損害を被った使用者が正当な民事的手続に従い請求するものであって、従業員間で勝手に、職場のために損害賠償請求を行うことが可能となるものではありません。
ましてや、脅しを交えて因縁をつけ、罰金と称し、金銭を支払わせる行為はもはや犯罪行為として処罰の対象となりえます。

ケースの事件では、男女2人が当時の部下に対し、仕事上のミスに因縁をつけ、罰金の名目で現金を脅し取った疑いがもたれています。
逮捕された被疑事実は、現金約123万円を脅し取ったというものですが、総額は1000万円以上にのぼるとみられており、もし1000万円以上の被害額が裁判で認定されれば長期にわたる実刑判決が予想されます。
また、恐喝をしたかどうかや、受け取った現金をどうしたかなど、被疑者同士で供述が食い違ってくる可能性もあります。

このような場合はすぐに弁護士の接見を受け、弁護活動をはじめとしたサポートを依頼することがより重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
恐喝事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご相談の予約を受け付けております。

【ニュース紹介】嘱託殺人の非行事実により19歳女性が少年院送致

2023-06-01

今回は、19歳女子大生が名古屋市内のホテルで起こした嘱託殺人事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

名古屋市中区のホテルで去年12月、女子大学生(当時20歳)の遺体が見つかった事件で、嘱託殺人の非行内容で家裁送致された大学生の女(19)について、鳥取家庭裁判所は23日少年院送致しました。
19歳の大学生の女は去年12月、安城市の48歳派遣社員(嘱託殺人の罪で起訴)と共謀し、名古屋市中区のホテルで別の女子大学生(当時20歳)に依頼され、窒息させて殺害したとして、嘱託殺人の非行内容で名古屋家庭裁判所に送致され、その後、鳥取家庭裁判所に移送されていました。
23日、鳥取家裁は、大学生の女を少年院送致することを決め、収容期間は3年としました。

鳥取家裁は、決定理由で「若年の被害者の生命が失われており、その結果は重大」とした一方、「本件非行は被害者の意思を踏まえた共犯者の指示に基づくもので、悪質性は同種事案の中でも低い」と指摘しました。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=017067 1月24日 「名古屋のホテルで女子大生嘱託殺人事件 大学生の女(19)を少年院送致「悪質性は低い」」より ※氏名等の個人情報については秘匿しています)

【少年院送致とは?】

少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。
ケースのような18歳以上の少年である特定少年の場合は、審判で、3年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定められます。
少年院では、身体拘束を伴い、特別な場合を除き外出することはできません。
処分に伴う負担も大きく、少年の学業、進路に対する影響も大きいです。
不必要に非行少年が少年院へ送致されることがないよう活動する必要もあります。

このような場合には多くのケースにおいて、保護観察処分、不処分を目指した弁護活動を行うことになるかと思われますが、少年が社会に戻っても、改善更正しうることを家庭裁判所に納得させる必要があります。
そのためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが非常に役立つでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部へご相談ください。
24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご相談の予約を受け付けております。

【CBCラジオ】少年少女の非行について取材をうけました

2023-05-29

弊所代表弁護士則竹理宇が、援助交際(パパ活)や少年少女の非行について取材をうけました。

取材を受け、制作されましたドキュメンタリーは
5月28日(日)27:00~CBCラジオにて放送となりました。

CBCラジオ特集 わたしの居場所~みゆの物語 | CBCラジオ |
2023/05/28/日 27:00-28:00
https://radiko.jp/share/?sid=CBC&t=20230529030000

ラジコのタイムフリー機能で、オンエア後1週間は無料で聴取可能です(エリア外は有料となります)。
ご興味がある方は是非お聞きください。

【裁判紹介】強盗致傷事件の裁判例(実刑・執行猶予)の紹介

2023-05-29

強盗致傷事件の裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

被告人は、「金を出して」などと店員を脅し、売上金や釣り銭用の硬貨など12万円を用意させ、持っていた刃渡り約11センチの包丁切り傷を負わせて、そのまま金を奪って逃げた。
被告人は犯行前日の早朝には路上に駐輪してあった電動バイクを盗んだほか、駐車されていた車の窓から財布を持ち去っていたことから、強盗致傷の他と銃刀法違反、窃盗2件の罪に問われた。
(中日新聞「「強盗致傷事件を起こした元ホスト、「あの頃に戻ってしまった」と語った訳は―。」(2022/4/29)を引用・参照。)

【強盗致傷(刑法240条前段)事件について】

(強盗致死傷)
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に……処する。
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(事後強盗)
第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

刑法240条前段は、強盗罪を犯した者(刑法236条以外にも238条の場合も含まれます)が被害者に怪我を負わせた場合の罪について規定しています。 
この条文を読んだだけでは必ずしも明確ではありませんが、怪我を負わせる意思を持って犯行を行った強盗傷人罪と、強盗の際にたまたま怪我を負わせてしまった強盗致傷罪の双方が同条によって規律されていることになります。
さらに、刑法240条前段の罪は法定刑として「無期」懲役が含まれるため、原則として裁判員裁判となります(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項1号)。
この点において、裁判官裁判(裁判員の参加しない通常の裁判)とは、必要な対応が大きく異なることに注意が必要です。

【強盗致傷事件に関する裁判例】

本事案において、名古屋地裁(裁判員裁判)は、「懲役6年(求刑懲役9年)」の判決を言い渡しています。
もっとも、同様に強盗致傷を含む罪で起訴された他の事案においては執行猶予判決が下されたものも存在します。
神社のさい銭箱から現金を盗み、停止を求めた警察官を複数回殴るなどしてけがを負わせた事例においては、「懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役5年)」の執行猶予判決が言い渡されています。
このように実刑判決と執行猶予判決とに大きく判断が分かれた理由の一つとして、計画性の有無が挙げられるでしょう。
執行猶予判決が下された後者の事案では、強盗行為自体が事後強盗(上述の刑法238条)であったと考えられ、計画性は低かったと考えられます。
一方、本事案では、包丁という凶器を用意している以上、強盗の際に被害者等に怪我を負わせることもあり得るものだと認識していたものと考えるのが自然であり、一定の計画性が認められます。
この他にも量刑事情(刑を決定する際に考慮される事情)は様々なものがあり、一つ一つの個別的事件によって千差万別です。
起訴された場合にどのような刑が下されうるか(量刑の幅)等については、専門知識を有する刑事弁護士によるアドバイスが不可欠な領域ということできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、強盗(致傷)事件を含む刑事事件を中心に扱っている法律事務所です。
強盗(致傷)事件で逮捕・起訴等された方のご家族は、365日24時間対応の無料フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

【ニュース紹介】過失運転致死傷の事件を紹介

2023-05-26

過失運転致死傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

愛知県名古屋市中川区内の市道で、同方向に走行していた車3台が衝突。
37歳の男性が収容先の病院で死亡した。
事故の発端となった車には大府市内に在住する19歳の少年が運転していたとみられていたが、当初は同乗者と申告していた21歳のAが運転していたことが後に判明。
Aが無免許運転を隠蔽する目的で少年に身代わりを要求していたとして、Aは自動車運転死傷行為処罰法違反の容疑で逮捕された。
(レスポンス カーニュース「車線変更時の死亡事故、同乗者に身代わりを要求した男を逮捕」(2017/3/3)を引用・参照)。

【過失運転致死傷と身代わり】

2022年現在において、自動車事故に関する刑罰規定は刑法ではなく、自動車運転死傷行為処罰法として別の法律によって定められています。
同法は、5条において過失運転致死傷罪を定めています(「自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる」)。
さらに、注意すべきこととして、同法6条4項は無免許運転であった場合に刑を加重しています(「前条の罪を犯した者が、その罪を犯した時に無免許運転をしたものであるときは、10年以下の懲役に処する」)。
したがって、本事案では無免許過失運転致死罪が成立しうることになります。

なお、本事案においては、これに加えて犯人隠避教唆罪(刑法61条1項・103条後段)も成立すると考えられます(「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者…を…隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」)。
本件Aは、上述のとおり「罰金以上の刑に当たる罪」である無免許過失運転致死罪を犯した者であり、身代わりを出頭させることで犯人たる自らの「隠避」を「教唆」(刑法61条1項)しているからです。
もっとも、ここにいう「隠避」には自己隠避つまり犯人自身による隠避行為は含まれないと解されています。
ただし、判例は犯人自身が他人に「隠避」行為を教唆した場合には、防御権を濫用したものとして犯人隠避罪の教唆犯の成立を認めているのです。
したがって、本件でも身代わり出頭をさせたAの行為は犯人隠避の教唆に当たるものと考えられます。

【過失運転致死傷事件の裁判例および弁護活動】

本事案の場合、死亡事故(致死事件)であり、ある程度重い刑事処分が見込まれることは比較的明らかといえるでしょう。
もっとも、乗用車を無免許運転して歩行者をはねた上、同乗者に身代わりを依頼した本事案類似の事件(致傷事件)において、懲役2年8月の実刑判決を言い渡した例が存在します。
したがって、被害者が死亡していない事故(致傷事件)であっても、厳しい判断が下される例もあることから決して軽く見ることできません。
交通事件においても、裁判になる前のできるだけ早い段階において、金銭的な被害を回復させるのと同時に真摯な被害者対応を行う等の弁護活動が重要性を帯びることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、交通事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
過失運転致死傷事件等で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

【裁判紹介】交通事件に関する詐欺事件の裁判例等を紹介

2023-05-23

交通事故に関する詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

交通事故に遭った際、通院で勤務を休んだ日数を水増しして保険会社に申告し、保険金およそ5万9000円を騙し取った罪に問われていた被告人に対し、名古屋地裁は「懲役10月、執行猶予3年」の有罪判決を言い渡した。
(東海テレビ「元警察官の32歳男に執行猶予付きの判決」(2020/7/31)を引用・参照)。

【交通事故に関する詐欺事件】

(詐欺)
第246条 
①人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
②前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法に規定されている詐欺罪(刑法246条)には、客体を「財物」とするいわゆる1項詐欺と、「財産上の利益」を客体とする2項詐欺があります。
本稿では、最も一般的な1項詐欺に関する事件について取り上げて解説していきたいと思います。

上記にもあるように246条1項は「人を欺いて財物を交付させた者」に詐欺罪が成立すると定めるのみで非常にシンプルな条文となっています。
しかし、詐欺罪は財産犯(刑法第2編36章~40章)の中でも複雑な構造を持つ犯罪であるということに注意を要します。
1項詐欺罪(既遂)が成立には、「人を欺く行為(欺罔行為)→錯誤→財物の交付→財物の移転」という因果連関が必要となるのです。
これを本事案について見てみると、交通事故にあった被告人が、当時の勤務先に有給休暇を請求しこれを加えた水増しした休業補償金(保険金)を保険会社に申告し(「人を欺」く行為)、申告に基づいた保険金が発生すると誤信した保険会社が(錯誤)、水増しされた保険金を被告人に交付し(交付行為)、被告人がこれを受け取っている(財物の移転)ことから詐欺罪が成立することになります。
交通事故に関する詐欺事件には、本事案のようないわゆる保険金詐欺の他にも、保険会社が絡まない偽装事故のケースも存在します。
被告人らが乗用車と歩行者の衝突事故を偽装し、何も知らない同乗者の被害者(自らを加害者と誤信)から示談金を請求するようなケースです。
詐欺罪はいわゆる知能犯と分類されることからも分かる通り、様々な態様で行われケースによっては高度な組織性を有することもあり(それを被疑者・被告人が認識していない場合も少なくありません)、専門家である刑事弁護士によるサポートが不可欠な事件類型といえるでしょう。

【詐欺事件における刑事弁護士の弁護活動】

本事案では、被告人に「懲役10月、執行猶予3年」の有罪判決が下されています。
まず詐欺事件を起こしてしまった場合、最大の関心事の一つとなるのが起訴されるかされないか(裁判になるかならないか)でしょう。
財産罪(財産犯)は当然のことながら財産を侵害する犯罪ですから、被害弁償や示談成立の有無が判断を分ける重要な要素となることは間違いありません。
したがって、弁護士としては被害者側とコンタクトを取り、出来るだけ早い段階でこれらの弁護活動において成果を出していくことが肝要となります。
次に起訴されてしまった場合は、どのような判決が下されるのかということが最大の焦点となります。
近年は特殊詐欺(いわゆるオレオレ詐欺に端を発する多様化した特殊な詐欺・窃盗事件)を中心とした組織的な詐欺事件には極めて重い判決が下される傾向にあると言われています。
本稿で紹介した事案は特殊詐欺ではないものの、被疑者・被告人のあずかり知らぬ内に組織的な詐欺事件に加担していることも少なくないため、弁護士による十分な聞き取りやその専門知識にもとづく裁判の見通しについての助言を受けることもまた不可欠といえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、詐欺事件を含む刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
詐欺事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

【解決事例】器物損壊事件で不起訴処分を獲得

2023-05-20

器物損壊事件において、弁護活動の結果、不起訴処分を獲得した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

Aさんは名古屋市熱田区にあるショッピングセンターの駐車場で、ささいなことからVさんと口論になりました。
Vさんがショッピングセンターに入って行った後、怒りが収まらないAさんは、Vさんの自家用車に10円玉で故意に線状の傷をつけました。
その後Aさんは愛知県熱田警察署に呼び出され、器物損壊罪の疑いで任意で捜査を受けることになりました。
Aさんは「大変馬鹿なことをしてしまいました。Vさんに謝罪したいのですが、警察官には『Vさんの個人情報は教えることができない』と言われました。」
と相談時にお話しされました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【車に故意に傷をつける】

10円玉のような硬貨やくぎ、鍵などを使って停まっている車に、線状のひっかきキズをつけることを、10円パンチと言うこともあるそうです。
しかしこの行為は「いたずら」と呼ばれることもあるのですが、「器物損壊罪」という犯罪行為にあたります。

【器物損壊罪について】

器物損壊罪は、刑法第261条に規定があり
法定刑は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料です。

器物損壊罪は、「他人の物」を壊したり価値を損なわせたりする犯罪です。
器物損壊罪の「損壊」とは、物を物理的に壊す行為だけでなく、物の効用を害する行為を含みます。
なお、器物損壊罪は、被害者の告訴がなければ起訴ができない親告罪です。

【弁護活動について】

警察署を通じて、Vさんに対し、Aさんから謝罪をさせていただけないかとお伝えしたところ、Vさんより
「Aさんに謝罪してもらい、車の修理代金さえ頂ければ、Aさんには重い処分は望みません」とお返事を頂きました。
その後、VさんにAさん作成の謝罪文を渡し、Vさんの車の修理代金をお支払いし、示談を締結することができました。
なお、Vさんに対し、告訴取消の意思を確認したところ、「Aさんに重い処分は望まないが、最後まで捜査や取調べは受けて欲しい」とのことでしたので告訴取消はされませんでした。
以上の経過を警察署に書面で提出したところ、後日検察庁に事件が送致され、検察庁の捜査が終結後にAさんは不起訴処分となりました。

被害者との示談交渉や警察署、検察庁への意見申立ては、法律の専門家である弁護士に任せるのがよいでしょう。

このコラムをご覧の方で、器物損壊事件の被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、器物損壊事件に関するご相談を

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【ニュース紹介】車のドアノブに手をかけた男性を引きずり怪我をさせ逮捕された男性が不起訴処分に

2023-05-17

今回は愛知県で起きた事件の報道をもとに、不起訴処分について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【ケース】

愛知県安城市の駐車場でドアノブに手を掛けた男性を引きずったまま車を発進させ、けがをさせたとして逮捕された男性を、名古屋地検岡崎支部は不起訴処分としました。
12月23日付で不起訴処分となったのは、碧南市の会社員の男性(62)です。
男性は11月25日、安城市内のレンタルショップの駐車場で、店を出たところ、経営者に呼びとめられ、経営者が車のドアノブに手をかけたところで車を発進させ、約15m先まで引きずって転倒させたとして殺人未遂の疑いで逮捕されていました。店の経営者は軽いけがをしました。
逮捕当時、男性は警察の調べに対し「引きずったり、けがをさえた覚えもなければ、そのつもりもありませんでした」と容疑を否認していました。
名古屋地検岡崎支部は、不起訴の理由を明らかにしていません。
(https://www.nagoyatv.com/news/?id=016664 12月23日 メ~テレ 「ドアノブに手をかけた人を15m引きずって走行したとして逮捕された男性を不起訴」より引用)

【事件の内容について】

ケースの事件において特筆すべきは、被疑罪名が「殺人未遂罪」となっている点です。
言うまでもなく大変な重罪ですが、自動車を運転しながら故意に人を引きずる、故意に自動車を人にぶつけるなどした場合、生命にかかわる危険な行為であり、殺人未遂罪(被害者が死亡した場合は既遂)を適用して捜査されるケースが非常に多いです。

【ケースの事件は不起訴処分により終了】

ケースの事件は不起訴処分によって終了しています。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を裁判にかけないものとする処分です。

名古屋地検岡崎支部は不起訴処分の理由を明らかにしていませんが、殺人未遂罪のような重い被疑事実により捜査されてきた事件であっても、①事件の経緯、②捜査によって収集できた証拠の状況、③被害者のケガの軽重、④当事者間における示談の有無を考慮し、不起訴処分がなされる可能性もありえます。

自動車を運転中に生じたトラブルについては、加害者は気づいていなかったり些事だと思っていても、捜査機関が殺人未遂罪を適用して捜査を開始することが珍しくありません。
殺人未遂罪で逮捕されてしまった場合は、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を中心に扱う法律事務所です。
ご家族が殺人未遂の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にまずご相談ください。
相談のご予約は、365日/24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)で受け付けています。

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