Archive for the ‘刑事事件’ Category

大学生の傷害事件で逮捕された

2021-12-28

大学生の傷害事件で逮捕された

大学生の傷害事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県岡崎市にある大学に通うAさん(26歳の大学4年生)は、Vさんに大学院進学に向けて出願書類の作成を手伝ってもらっていました。
AさんがVさんを自宅に招き、書類作成の進捗状況を尋ねると、Aさんはその完成度が低いことに激高し、Vさんに熱湯をかけ、やけどを負わせました。
Vさんは愛知県岡崎警察署に被害を訴え、Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは傷害罪の容疑を認めていますが、早く釈放されたいと考えています。
(2021年1月15日に京都新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害罪とは】

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の「傷害」とは、生理機能(健康状態)を害することをいいます。

「生理機能」とは、呼吸や消化、血液調節など、人が生きていくための身体の機能ということを意味します。
この生理機能を害する行為が傷害罪の「傷害」に当たります。
傷害罪の「傷害」の例としては、切り傷、擦り傷、打撲といった外傷、その他嘔吐、めまい、失神、病気の疾患などが挙げられます。

刑事事件例では、AさんはVさんにやけどを負わせています。
このAさんの行為は、Vさんの生理機能を害する行為として、傷害罪の「傷害」に該当します。
よって、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【勾留を避ける刑事弁護活動】

現在、Aさんは愛知県岡崎警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されています。
この後、Aさんにはさらなる身体拘束として勾留(被疑者段階の勾留)がなされる可能性があります。

勾留(被疑者段階の勾留)は実質的には逮捕の延長であるといえ、勾留の延長も含めると最長で20日間なされます(刑事訴訟法208条1項、2項)。
また、勾留の請求は、検察官が警察官よりAさんの身柄の送致を受けた後、24時間以内になされます(刑事訴訟法205条1項)。

勾留を回避するための刑事弁護活動のひとつには、検察官が勾留請求をする前に、検察官に対して勾留請求をしないよう書面等で働きかける刑事弁護活動があります。
ここで、上述したように、勾留請求は、検察官が警察官よりAさんの身柄の送致を受けた後、24時間以内になされます。
勾留請求を回避するための刑事弁護活動は、まずはこの検察官による勾留請求が出される前に検察官と連絡を取り、勾留請求をしないよう書面等で働きかける必要があるため、非常にスピードが重要になるといえます。

検察官による勾留請求を受けた裁判官による勾留決定に対しても、同様に、勾留決定をしないよう書面等で働きかける刑事弁護活動を行うことが想定されます。
勾留決定も、検察官の勾留請求同様、裁判官が検察官により勾留請求を受けた後から短時間でなされるため、勾留決定を回避するための刑事弁護活動も、この裁判官による勾留決定が出される前に裁判官と連絡を取って働きかけるという迅速さが要求されることになります。

ですから、勾留を避ける弁護活動においては、逮捕されてしまってからいかにスピードを持って活動を開始できるかということが非常に大切なのです。

【勾留を争う刑事弁護活動】

一度勾留請求・決定がなされた場合、それでもその勾留決定を争いたい場合には、勾留決定に対する不服申立てとして準抗告を申し立てることができます(刑事訴訟法429条1項2号)。
勾留決定に対する準抗告も、なるべく早く被疑者の方の身体拘束が解放されるよう、勾留決定後速やかに申し立てる必要があると考えられます。

ただし、示談の必要性や有効性に鑑み、示談締結後に準抗告をするという刑事弁護方針も考えられます。
例えば、Vさんとの示談交渉を開始し、示談締結の後に準抗告を申し立てることも勾留を争う刑事弁護活動として有効であると考えられます。

こうした弁護活動の方針は事件や被疑者の事情ごとに異なりますから、まずは弁護士に相談してみることがおすすめです。

【刑事事件例と刑事弁護活動】

刑事事件例では、例えば、Aさんが26歳の大学4年生であり、大学院の進学を控えているという具体的な事情があります。
この場合、勾留により大学の授業に出席できなくなると大学の授業の単位を取得できず、大学を卒業できなくなってしまうという事情を主張して釈放を求めていくことが考えられます。
また、大学院進学の手続きをすることができなくなり、卒業後の進路が断たれてしまうなどとも主張し得ると考えられます。

刑事事件に強い刑事弁護士にサポートしてもらうことで、このような勾留されてしまうと困るという事情を被疑者の方やご依頼者の方から聞き取り、それを反映した法的な意見を検察官や裁判官に迅速に主張することが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
大学生の傷害事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押え

2021-12-24

覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押え

覚醒剤取締法違反現行犯逮捕捜索差押えについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
前回の記事の続きとなりますので、取り上げている事例に関しては前回の記事をご覧ください。

【逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えとは】

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる(刑事訴訟法220条1項)。
2 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること

第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない(刑事訴訟法220条2項)。

逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えが無令状で許されるのは、逮捕(現行犯逮捕)の現場には犯罪に関する証拠が存在している可能性が高く、逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えは合理的な証拠収集の手段であるといえるからです。

このような趣旨に鑑みれば、「逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書)と認められるためには、逮捕からある程度の時間的接着性があればよいと考えられます。
また、「逮捕の現場」(刑事訴訟法220条1項2号)とは、逮捕された者の同一管理権の及ぶ場所であればよいと考えられます。

刑事事件例では、警察官はAさんを公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕した直後にAさん所有の車の捜索を開始しており、本件捜索差押えは「逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書)に行われたといえます。
また、Aさん所有の車はAさんの管理権が及ぶ場所であることから、本件捜索・差押は「逮捕の現場」(刑事訴訟法220条1項2号)で行われたといえます。

以上より、警察官による捜索差押え逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えとして適法であると考えられます。

【覚醒剤取締法違反(所持)の罪とは】

覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない(覚醒剤取締法14条)。

覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する(覚せい剤取締法41条の2)。

覚醒剤取締法41条の2における「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことをいいます。
また、覚醒剤取締法41条の2における「所持」とは、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことをいいます。
ですから、言葉通り覚醒剤を手に持っている状態でなくとも「所持」しているとみなされることがあるのです。

刑事事件例では、Aさんは車内に覚醒剤の入った粉末10袋を持っており、このAさんの行為は「覚醒剤を、みだりに、所持」(覚せい剤取締法41条の2)する行為に該当します。
また、Aさんは正当な理由なく覚醒剤を所持しています。

よって、Aさんには覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立すると考えられます。

そして、警察官はAさんを覚醒剤取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕し、覚醒剤などを差し押えていますが、この現行犯逮捕及びそれに伴う捜索差押えは上述した規範に照らし、適法であると考えられます。

【覚醒剤取締法違反の否認事件】

覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立するためには、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容している(故意がある)ことが必要です。

このとき、覚醒剤取締法違反(所持)の罪の故意の認定には、「積極的にこれ(※覚醒剤のこと)を自己又は他人のため保管する意思の有無又はその行為の目的、態様の如何を問わない」と考えられています(昭和31年2月2日東京高等裁判所判決)。

そのため、例えば、自分は覚醒剤を保管するのを拒んだにもかかわらず、他人が勝手に置き去ったという事情があったとしても、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容しているため、覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立するのに必要な故意があったと判断されることになります。

刑事事件例ではAさんは、この覚醒剤は自分のものではないと主張しているところ、Aさんが覚醒剤取締法違反(所持)の罪の故意を否定するためには、例えば自分は覚醒剤が車にあることを全く知らなかったというように覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容していなかったと主張する必要があると考えられます。
実際にAさんがどういった認識であったのか等の事情をすり合わせながら取調べに対応していく必要があり、こういった覚醒剤取締法違反の否認事件には、薬物事件に関する専門的な知識が必要であるといえます。
だからこそ、刑事事件に強い弁護士によるサポートが必要であるといえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
覚醒剤取締法違反現行犯逮捕捜索差押えされた場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

職務質問中に公務執行妨害罪で現行犯逮捕

2021-12-21

職務質問中に公務執行妨害罪で現行犯逮捕

職務質問中公務執行妨害罪現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

自動車を運転していたAさんは、愛知県名古屋市南区の路上で、覚醒剤取締法違反の疑いがあるとして、愛知県南警察署の警察官により職務質問を受けました。
その際、Aさんは「職務質問って任意でしょ。応じないよ。」と言いましたが、警察官から約30分間にわたり職務質問に応じるように説得を受けました。
警察官の職務質問に苛立ったAさんは、乗っていた乗用車のドアを職務質問した警察官に押し当ててしまいました。
Aさんは警察官の職務を妨害したとして公務執行妨害罪の容疑で逮捕されました。
その後、車内の捜索差押えが行われ、車内からは注射器108本と覚醒剤の入った粉末10袋などが見つかりました。
そこで、Aさんを覚醒剤取締法違反の罪で現行犯逮捕され、注射器108本と覚醒剤の入った粉末10袋の捜索差押えも受けました。
Aさんは、この覚醒剤は自分のものではないと主張しています。
(2020年11月5日に神奈川新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公務執行妨害罪とは】

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する(刑法95条)。

公務執行妨害罪の「暴行」とは、公務員に向けられた物理力の行使をいうと考えられています。

刑事事件例では、Aさんは乗っていた乗用車のドアを職務質問した警察官に押し当てています。
このAさんの行為は、公務員に向けられた物理力の行為であるとして、公務執行妨害罪の「暴行」に該当します。

また、公務執行妨害罪の「職務」は適法であることが必要です。
これは、公務執行妨害罪は公務の適正な執行を保護するために規定されているからです。

ところで、刑事事件例では、Aさんは「職務質問って任意でしょ。応じないよ。」と明言していたにも関わらず、警察官はAさんに職務質問に応じるよう説得行為を続けています。
この警察官による職務質問とそれに伴う説得行為は許されるものなのでしょうか。
公務執行妨害罪の「職務」の適法性との関係で問題となります。

【職務質問とは】

警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる(警察官職務執行法2条1項)。

職務質問では、「停止させて」(警察官職務執行法2条1項)質問することができると規定されています。
この職務質問の「停止」(警察官職務執行法2条1項)は、任意に停止することを意味します(刑事訴訟法197条参照)。

しかし、任意の停止といっても、必ずしも自発的に職務質問に応じる必要はなく、職務質問に応じるよう一定程度働きかける説得行為は許されます。
犯罪の予防・鎮圧に重要な役割を果たす職務質問の実効性を高めるため、このように考えられているのです。
一般的に使われる任意の意味と刑事訴訟法上における任意の意味の違いに注意が必要です。

また、この職務質問は、その必要性が認められ、具体的状況の下で相当と認められる限度において許されます(刑事訴訟法197条参照)。

刑事事件例の職務質問は、覚醒剤取締法違反の容疑という重大犯罪の嫌疑があるAさんに対して行われているものであり、職務質問を行う必要性はあると考えられます。
また、職務質問も時間にして30分間という比較的短時間で行われており、職務質問として相当な範囲内にあると考えられます。
さらに、上述したように、職務質問は任意に停止させることができ、この停止には一定程度の説得行為も含まれることから、刑事事件例のような警察官による説得行為も許されると考えられます。

よって、刑事事件例における警察官による職務質問は適法である(許される)と考えられます。
そして、この公務執行妨害罪の適法な「職務」に対して「暴行」を加えたAさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。

【現行犯逮捕とは】

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる(刑事訴訟法213条)。

現行犯逮捕が「逮捕状なくして」(刑事訴訟法213条)許される理由は、現行犯逮捕される者が犯罪を犯したことが明白で、誤認逮捕のおそれがないからです。

そのため、現行犯逮捕の要件としては、①現行犯逮捕される者が犯人であることが明白であること、②現行犯逮捕の場所が犯行現場ないしその延長とみられる場所であることが必要とされます。

刑事事件例では、Aさんは公務執行妨害事件の犯人であることが明白であり、現行犯逮捕公務執行妨害事件の犯行現場で行われています。
よって、警察官による公務執行妨害罪の容疑での現行犯逮捕は上記要件を満たした適法なものであると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
職務質問中公務執行妨害罪で現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護成条例違反とは

2021-12-17

未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護成条例違反とは

未成年者誘拐罪愛知県青少年保護条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県名古屋市中川区に住むAさんは、インターネット上の掲示板で、Vさん(愛知県名古屋市中川区に住む17歳の女子高校生)が家出中で宿泊先を探しているとの書き込みとVさんの連絡先を見つけました。
そこで、Aさんは、掲示板に書き込まれたVさんの連絡先に連絡し、「今なら無料で泊めてあげる」と自宅に来るよう伝えました。
その後、VさんはAさんの自宅に数日間滞在していましたが、Vさんの家族が捜索願を出したことからVさんの所在が発覚しました。
その結果、Aさんは愛知県中川警察署の警察官により未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
実はAさんはVさんと淫行もしていたことから、Aさんは未成年者誘拐罪以外の犯罪も成立するのではないかと不安に思っています。
(2021年1月5日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【未成年者誘拐罪とは】

未成年を略取し、又は誘拐した者は、3年以上7年以下の懲役に処する(刑法224条)。

未成年者誘拐罪は、被誘拐者(誘拐される者)である未成年者の自由と、親権者の保護・監督権を保護するために規定されたと考えられています。

未成年者誘拐罪の「未成年」とは20歳未満の者をいいます(民法4条)。
また、未成年者誘拐罪の「誘拐」とは、欺罔又は誘惑を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、自己の支配下に移して行動の自由を奪うことをいいます。
欺罔とは虚偽の事実を告げることをいいます。
また、誘惑とは甘い言葉を用いて未成年者の判断を誤らせることをいいます。

刑事事件例のVさんは17歳であり、未成年者誘拐罪の「未成年者」に該当することになります。
また、AさんはVさんに対し「今なら無料で泊めてあげる」との言葉で自宅に来るよう伝えています。
このAさんの言葉は、費用のかからない宿泊先を提供するという甘言であり、これによりVさんに判断を誤らせたと考えられるため、未成年者誘拐罪の誘惑に該当するといえます。

そして、このAさんの誘惑的発言により、Vさんは現在の生活環境から離れAさんの自宅に滞在しているため、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、自己の支配下に移して行動の自由を奪う未成年者誘拐罪の「誘拐」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。

【愛知県青少年保護条例違反とは】

刑事事件例では、AさんはVさんと淫行もしていました。
このAさんの行為は、愛知県青少年保護条例違反という犯罪にあたる可能性があります。

(目的)
この条例は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年を保護し、その健全な育成に寄与することを目的とする(愛知県青少年保護条例1条)。

(定義)
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところに よる(愛知県青少年保護条例4条)。
一 青少年 18歳未満の者をいう。

刑事事件例のVさんは17歳であり、愛知県青少年保護条例の「青少年」に該当することになります。

(いん行、わいせつ行為の禁止)
何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない(愛知県青少年保護条例14条1項)。
何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない(愛知県青少年保護条例14条2項)。

愛知県青少年保護条例14条における「淫行」の意義は、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」であると考えられています(昭和60年10月23日最高裁判決)。

(罰則)
第14条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する(愛知県青少年保護条例29条1項)。
次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する(愛知県青少年保護条例29条7項)。
四 第14条第2項の規定に違反した者

愛知県青少年保護条例14条に違反した場合、上記の刑罰が科せられます。

【愛知県青少年保護条例違反の追及について】

Aさんに愛知県青少年保護条例違反の罪が成立する場合、Aさんは警察官による取調べにどのように対応すればよいでしょうか。

一つの方法としては、愛知県中川警察署の警察官からの追及があるまでは愛知県青少年保護条例違反については黙秘をするということが考えられます。
また、示談の経過や早期に身柄を解放してほしい事情があるなど諸般の事情をよく検討した上、自白をするという選択肢も考えられます。
警察官の取調べに対してどう対応するのが良いかは、当該刑事事件を取り巻く様々な事情によって左右され得るので、刑事事件に強い弁護士に専門的な見地からの助言を仰ぐことが重要であると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者誘拐罪愛知県青少年保護条例違反でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

傷害事件の公訴時効

2021-12-14

傷害事件の公訴時効

傷害事件公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県名古屋市北区にある高校の教師であるAさんは、同校の空手部の顧問をしていました。
2017年、Aさんは、空手部員であるVさんが道場においてアイスを食べていたことに腹を立て、指導と称して技を掛け、全治3か月の怪我を負わせました。
2020年になり、Aさんは愛知県北警察署の警察官から連絡を受け、傷害罪の容疑で取調べを受けました。
Aさんは「3年も前のことだからもう時効ではないのか」と考えています。
(2020年12月22日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公訴時効とは】

時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する(刑事訴訟法250条1項)。
1 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3 前2号に掲げる罪以外の罪については10年

時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する(刑事訴訟法250条2項)。
1 死刑に当たる罪については25年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
4 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
5 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
6 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7 拘留又は科料に当たる罪については1年

左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない(刑事訴訟法337条)。
4 時効が完成したとき

公訴時効が完成すると、刑は「免除」されることになります(刑事訴訟法337条4号)。
これは、たとえ犯罪を犯したとしても、一定の期間、国家により訴追(起訴)されなかったのであれば、その既成事実を尊重すべきである、言い換えれば、犯罪を犯した者の「有罪にならない」という地位を安定させるべきであると考えられているからです。

公訴時効により消滅するのは国家の刑罰権ではなく国家の訴追権(起訴する権利)であるため、公訴時効が完成すると無罪が言い渡されるのではなく刑が「免除」されることになります(刑事訴訟法337条4号)。

例えば、傷害罪(刑法204条)の法定刑(刑法典に定められた刑)は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。
とすると、傷害罪は「長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪」(刑事訴訟法250条2項3号)といえることになります。
そのため、傷害罪公訴時効は「10年」(刑事訴訟法250条2項3号)ということになります。

【公訴時効の起算点】

上述したように、公訴時効の完成により消滅するのは国家の訴追権(起訴する権利)と考えられています。
そして、この国家の訴追権(起訴する権利)は、犯罪の結果が生じたときに発生すると考えられます。
そのため、公訴時効の起算点は、犯罪の結果が生じたときであると考えられます。

再度公訴時効についてまとめると、公訴時効の完成とは、犯罪の結果が生じたときに発生する国家の訴追権(起訴する権利)が一定期間の経過により消滅することを意味するのです。

例えば、傷害罪(刑法204条)については、「人の身体を傷害したとき」が公訴時効の起算点となります。
そして、傷害結果の発生から「10年」(刑事訴訟法250条2項3号)を経過することにより、公訴時効が完成することになります。

【刑事事件例と公訴時効】

刑事事件例では、2017年にAさんはVさんに対して怪我をさせる傷害事件を起こしていますが、2020年に愛知県北警察署の警察官から捜査を受けた段階では、未だ公訴時効が完成していないことになります。

刑事弁護士としては、公訴時効が完成していないことを前提として、被害者の方であるVさんもしくはVさんのご両親に対して、正式な謝罪と被害弁償をするために示談交渉を開始することになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件公訴時効でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分(前編)

2021-12-07

愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分(前編)

愛知県名古屋市天白区遺失物等横領事件微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県名古屋市天白区内に住むAさんは、深夜、同市内の路上を歩いていると、1台の自転車(以下、本件自転車と呼びます)が無施錠の状態で路上のわきに放置されていることに気付きました。
Aさんはこの自転車が盗難車で乗り捨てられているのだろうということにすぐに気が付きましたが、「盗まれるやつが悪い」と思い、そのまま自転車を持ち去りました。
後日、Aさんが深夜に本件自転車に乗っていると、愛知県天白警察署の警察官から職務質問を受け、Aさんが自転車を持ち去ったことが発覚しました。
愛知県天白警察署の警察官によると、自転車は本来Vさんが所有していたものであったといいます。
その後、Aさんは愛知県天白警察署の警察官により遺失物横領罪の容疑で取調べを受けました。
(2020年7月30日に千葉日報オンラインに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【遺失物等横領罪の要件(その1)】

刑法254条は遺失物等横領罪を規定しています。

刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

実務では、「遺失物」「を横領した者」には遺失物横領罪、「漂流物」「を横領した者」には漂流物横領罪、「その他占有を離れた他人の物を横領した者」には占有離脱物横領罪というように、名称が区別されることがあります。

遺失物等横領罪の「占有を離れた他人の物」とは、占有(物を事実上支配する)者の意思に基づかずにその占有(事実上の支配)を離れた物で、誰の占有(事実上の支配)にも属していないもの、および、偶然に被疑者の方の占有(事実上の支配)に帰属したものをいうと考えられています。

そして、遺失物等横領罪の「遺失物」や「漂流物」は、上記「占有を離れた他人の物」の例であると考えられています。
つまり、遺失物等横領罪の「占有を離れた他人の物」のうち、占有(物を事実上支配する)者の意思に基づかずにその占有(事実上の支配)を離れた物で、誰の占有(事実上の支配)にも属していないものを「遺失物」といい、その中でも水面又は水中に存在するものを「漂流物」といいます。

その他、「占有を離れた他人の物」の例としては、誤配達された郵便物、隣家から飛んできた洗濯物、誤って多く渡された釣り銭などが考えられます。
これらは、占有(物を事実上支配する)者の意思に基づかずにその占有(事実上の支配)を離れた物で、偶然に被疑者の方の占有(事実上の支配)に帰属したものに該当します。

刑事事件例において、自転車は、本来Vさんが所有していたものであり、Aさん以外の何人かにより盗み取られ、愛知県名古屋市天白区内の路上に放置されていたものです。
これは、Vさんの意思によらずにその占有(事実上の支配)が離れ、何人かの乗り捨て行為を経て、まだ誰の占有(事実上の支配)にも属していないものであると考えられます。
よって、本件自転車は遺失物等横領罪の「遺失物」に該当すると考えられます。

遺失物横領事件では、示談交渉などの弁護活動が考えられます。
弁護士に事件の詳しい事情を話すことでより具体的な弁護活動を聴くことができますから、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
遺失物等横領事件のような微罪処分対象事件を取り扱った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分(後編)に続きます。

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)

2021-12-03

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)の続きとなります。

【勾留に関する被疑者・被告人の権利】

逮捕に引き続く長期の身体拘束である「勾留」については、勾留理由開示(刑事訴訟法82条1項)がなされ、これをもとにして勾留決定に対する不服申立てである準抗告(刑事訴訟法429条)ができます。

勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる(刑事訴訟法82条1項)。

裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる(刑事訴訟法429条)。
勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判(刑事訴訟法429条1項2号)。

その他、勾留の取消請求(刑事訴訟法87条)をしたり、勾留の執行停止(刑事訴訟法95条)による救済を受けたりすることが考えられます。

勾留の理由又は勾留の必要性がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人…の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない(刑事訴訟法87条)。

裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族…に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる(刑事訴訟法95条)。

また、弁護人(弁護士)の選任権を実質的に保障するために、弁護人(弁護士)の接見交通権(刑事訴訟法39条2項)が保障されており、身体拘束されている被疑者・被告人の方との自由な接見が認められています。

身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護士又は弁護士を選任できる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる(刑事訴訟法39条2項)。

【証拠保全に関する被疑者・被告人の権利】

否認事件においては、被疑者・被告人の方は、自己に有利な証拠の収集を行うことが重要であると考えられます。
将来の裁判(公判)において使用すべき証拠をあらかじめ収集して保持しておく処置を証拠保全といいます。

具体的な手段として、裁判官に対する証拠保全請求(刑事訴訟法179条1項)やその閲覧・謄写請求権(刑事訴訟法180条)が認められています。
この規定は、被疑者・被告人の方にとっては、警察や検察による捜査に対応するものであるといえます。

被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠をしようすることがその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる(刑事所掌179条1項)。

検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第1項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写をすることができる(刑事訴訟法180条1項柱書)。

被告人又は被疑者は、裁判所の許可を受け、裁判所において、第1項の書類及び証拠物を閲覧することができる。
ただし、被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りでない(刑事訴訟法180条3項)。

【刑事事件例における被疑者・被告人の権利】

殺人未遂罪の容疑を否認する場合、逮捕に引き続く長期の身体拘束である勾留がなされることが多くみられます。
そこで、刑事弁護士としては、勾留理由開示(刑事訴訟法82条1項)をし、勾留決定に対する不服申立てである準抗告(刑事訴訟法429条)をすることにより、Aさんに対する身体拘束の決定を争うことができます。

また、殺人未遂罪の容疑を否認する場合においては、警察官や検察官により厳しい追及がなされることが考えられます。
そこで、刑事弁護士としては、弁護士のもつ接見交通権(刑事訴訟法39条2項)のもと、Aさんと接見を行い、黙秘権の保障(憲法38条1項・刑事訴訟法198条2項)があることをや関連する刑事訴訟法上の規定(刑事訴訟法198条4項、5項)についても分かりやすく説明します。

さらに、必要であれば、証人などについて、裁判官への証拠保全請求(刑事訴訟法179条)や関係者への事情聴取を行うことができると考えられます。

前回も触れた通り、被疑者・被告人本人やその周囲の方が、被疑者・被告人の持つ権利についてきちんと知っておくことは、その後の刑事事件の流れに対応していくうえで非常に重要です。
刑事事件に強い弁護士と協力し、サポートしてもらいながら刑事手続きに対応していくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
否認事件の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
殺人未遂容疑の否認事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)

2021-11-30

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Vさん(29歳)は、愛知県名古屋市瑞穂区内の路上において、男に刃物のようなもので首や胸などを刺されました。
Vさんは、命に別状はなかったものの、全治6か月の重症を負いました。
その後、愛知県瑞穂警察署の警察官は、殺人未遂罪の容疑で、Aさん(51歳)を逮捕しました。
Aさんは、愛知県瑞穂警察署の警察官の取調べに対し、「自分はやっていない」と供述し、殺人未遂罪の容疑を否認しています。
Aさんは「自分は本当にやっていない。今後どうすればよいのか」として、被疑者の権利について知りたいと考えています。
(2014年11月11日に神奈川新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【被疑者・被告人の権利】

刑事事件例では、Aさんは、愛知県瑞穂警察署の警察官により殺人未遂罪の容疑がかけられているところ、「自分はやっていない」と殺人未遂罪の容疑を否認しています。
刑事事件例のように、犯罪の容疑を否認するときには、被疑者・被告人の方は、刑事訴訟法・憲法上保障されている被疑者・被告人の権利について十分理解した上で警察や検察と対峙しなければなりません。

以下では、まず、刑事訴訟法や憲法において被疑者・被告人の方に保障されている代表的な諸権利を確認します。
その後、刑事事件例ではどのような刑事弁護活動が考えられるのかを考えていきます。

【捜索・差押えに関する被疑者・被告人の権利】

捜索・差押えに対しては、押収目録(刑事訴訟法120条)または捜索証明書(刑事訴訟法119条)が交付され、これらをもとにして押収物の還付請求(刑事訴訟法123条準用)や、不服申立てとして準抗告(刑事訴訟法430条)をすることができます。

押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない(刑事訴訟法120条)。

捜索をした場合において証拠物又は没収すべきものがないときは、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならない(刑事訴訟法119条)。

押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない(刑事訴訟法123条)。

この規定は、捜査機関(警察や検察)が押収した物を還付、仮還付する場合にも準用されます。

検察官又は検察事務官のした…押収若しくは押収物の還付に関する処分に不服のある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができる(刑事訴訟法430条1項)。
司法警察職員のした前項の処分に不服のある者は、司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる(刑事訴訟法430条2項)。

【取調べに関する被疑者・被告人の権利】

取調べに対しては、被疑者・被告人の方には黙秘権の保障(憲法38条1項)とその告知(刑事訴訟法198条2項)があるということを知っておく必要があります。

何人も、自己に不利益な供述を強要されない(憲法38条1項)。

前項の取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない(刑事訴訟法198条2項)。

こうした権利や手続きを把握せずに刑事事件の手続きに臨むのと、権利や手続きを十分に把握して手続きに臨むのでは、対応の違いはもちろん、被疑者・被告人やその周囲の方の不安の度合いも大きく異なってきます。
刑事事件の当事者となってしまったら、まずは自分の持っている権利をきちんと確認する意味も込めて、専門家である弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
否認事件の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
殺人未遂容疑の否認事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)に続きます。

名古屋市中区の建造物不退去事件で逮捕・勾留された

2021-11-26

名古屋市中区の建造物不退去事件で逮捕・勾留された

名古屋市中区建造物不退去事件逮捕・勾留された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、名古屋市中区にある愛知県中警察署を訪れ、「警察官への不満や要求を言いたい」などと愛知県中警察署の署長・副署長への面会を繰り返し求めました。
その後、Aさんは、「署長、副署長を出せ」と騒ぎ始め、対応した愛知県中警察署の警察官から5回にわたり愛知県中警察署から出ていくよう警告されたにもかかわらず、警告を受けてから約3時間、来署してからは約4時間半以上居座り続けました。
その結果、Aさんは愛知県中警察署の警察官により建造物不退去罪の容疑で現行犯逮捕されました。
建造物不退去罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月6日に東海テレビNEWSに掲載された記事を参考に作成しました。)

【建造物不退去罪とは】

刑法130条は、以下のように建造物不退去罪を規定しています。

(刑法130条)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたのにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物不退去罪は、「要求を受けたのにもかかわらず」「人の看守する建造物」「から退去しなかった」者に成立する犯罪です。
まず、愛知県中警察署は「人の看守する建造物」に該当します。

次に、建造物不退去罪における「要求」とは、建造物から退去することを求める要求であり、施設管理権を有する者又はこれらの者から退去要求の権限行使を委任された者からなされるものです。

刑事事件例では、愛知県中警察署の警察官からAさんに対して愛知県中警察署から出ていくよう求める警告がなされています。
この警告は、建造物から退去することを求める要求であり、施設管理権を有する愛知県中警察署長から退去要求の権限行使を委任された者により発せられたと考えられます。
よって、刑事事件例における警告は、建造物不退去罪における「要求」に該当すると考えられます。

さらに、建造物不退去罪における「不退去」とは、建造物から退去しないことを指します。
そして、建造物不退去罪における「不退去」に該当するためには、退去の要求を受けた後、退去の要求を受けた者が退去するのに必要な合理的時間が経過したのにも関わらず、建造物内に居座り続ける必要があります(東京高等裁判所判決昭和45年10月2日)。

刑事事件例では、Aさんは、愛知県中警察署の警察官から5回にわたり退去の要求を受けた後、約3時間という退去するのに必要な合理的時間が経過したのにも関わらず、愛知県中警察署内に居座り続けています。
よって、Aさんの行為(不作為)は、建造物不退去罪における「不退去」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには建造物不退去罪が成立すると考えられます。

【建造物不退去罪と逮捕・勾留】

刑事事件例では、Aさんは建造物不退去罪逮捕されているところ、Aさんに対する身体拘束は逮捕に引き続く勾留として最大20日間(勾留が延長された場合に限る)に及ぶ可能性があります。

ところで、勾留として長期間に及ぶ身体拘束がなされるのは、Aさんが逃亡をするおそれがある、又はAさんが建造物不退去事件の罪証(証拠)を隠滅するおそれがあると検察官や裁判官が判断するためです。

そこで、刑事弁護士としては、Aさんに逃亡するおそれや罪証隠滅をするおそれがないことを主張できると考えられます。

例えば、本件建造物不退去事件は愛知県中警察署内で起こったものであり、建造物不退去事件に関する証拠としては、愛知県中警察署内に存在する物証(防犯カメラなど)や、建造物不退去事件の目撃者(愛知県中警察署の警察官など)の供述が考えられます。

しかし、愛知県中警察署内に存在する物証(防犯カメラなど)は既に愛知県中警察署の警察官が押収している可能性があります。
また、Aさんが罪証隠滅の目的で愛知県中警察署内に立ち入ることは困難であると考えられます。
さらに、建造物不退去事件の目撃者である愛知県中警察署の警察官に対して、Aさんに有利になるよう供述を変えるよう働きかけても、愛知県中警察署の警察官はこれに応じないと考えられます。

すなわち、刑事弁護士としては、Aさんが罪証隠滅をすることができる可能性はない又は著しく低いと主張することができると考えられます。

その他、刑事弁護士としては、例えばAさんが定職を持っていたり扶養している家族がいたりする場合には、Aさんが逃亡する意欲がないと主張することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
名古屋市中区建造物不退去事件で逮捕・勾留された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕

2021-11-23

愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕

愛知県豊田市強盗致傷事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(21歳・男性)は、交際相手であるBさん(21歳・女性)に対してVさん(20歳・男性)が連絡を取るなどしたことに立腹し、愛知県豊田市内の公衆トイレでVさんの髪をつかみ、壁に頭をぶつけるなどして「ぼこられるか金を出すか」などと脅迫し、現金を奪おうとしました。
しかし、Vさんが所持金をほとんど持っていなかったため、何も取らずに逃走しました。
Vさんは全治2週間の怪我を負ったといいます。
その後、愛知県豊田警察署の警察官は、Aさん(とBさん)を強盗致傷罪の容疑で逮捕しました。
強盗致傷罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県豊田市に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(10月15日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【強盗致傷罪とは】

刑法240条は強盗致傷罪を規定しています。

「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する」(刑法240条)

刑法240条の「強盗」とは、刑法236条の強盗罪の犯人や、刑法238条の事後強盗罪の犯人、刑法239条の昏睡強盗罪の犯人を指し、それぞれ既遂犯・未遂犯は問わないとされています。

ここで、刑法236条1項を見てみると、以下のように規定されています。

「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」(刑法236条1項)
強盗罪の未遂犯は強盗未遂罪として処罰されます(刑法243条)。

刑法236条1項の強盗罪の成立には「暴行又は脅迫を用いて」「強取」がなされる必要があります。
そして、強盗罪における「暴行又は脅迫」を用いた「強取」とは、被害者の反抗を抑圧するものに足りる暴行又は脅迫により、財物を奪取することをいいます。

刑事事件例では、愛知県豊田警察署の警察官は、AさんによるVさんの髪をつかみ、壁に頭をぶつけるなどして「ぼこられるか金を出すか」などと脅迫する行為は、強盗罪における「暴行又は脅迫」に該当すると考えたのでしょう。
そして、結局AさんはVさんから現金などの財物を奪取するに至っていません。
よって、愛知県豊田警察署の警察官の判断を前提にすると、Aさんは強盗未遂罪の犯人である、すなわち刑法240条の強盗致傷罪の主体である「強盗」に該当すると考えられます。

この刑法240条の強盗致傷罪の主体である「強盗」が、強盗の機会に「人を負傷させた」とき、その者には強盗致傷罪が成立することになるのです。

刑事事件例をみてみると、Aさんは、上記のような「暴行又は脅迫」により、Vさんに全治2週間の怪我を負わせています。
よって、Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられます。

なお、確かにAさんはVさんから現金などの財物を奪取するに至っていません。
しかし、強盗致傷罪の既遂犯・未遂犯は、財物を奪取したか否かではなく、負傷の結果を生じさせたか否かで決まると考えられています。
そのため、Aさんには強盗致傷罪の既遂犯が成立すると考えられるのです。

【強盗致傷罪と示談】

強盗致傷事件を起こした場合において、少しでも刑を軽くさせたい場合は、強盗致傷事件の被害者の方であるVさんと示談をすることが重要となります。

本件強盗致傷事件では、共犯者としてBさんがいます。
そのため、Aさんの刑事弁護士としては、Bさん又はBさんの選任された刑事弁護士と連絡を取った上、被害弁償額を按分する方向性で示談交渉を開始するなど、円滑な示談交渉に向けた迅速な対応を行うことができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら