Archive for the ‘刑事事件’ Category

加重収賄罪の容疑の収賄事件を弁護士に相談

2021-11-19

加重収賄罪の容疑の収賄事件を弁護士に相談

加重収賄罪の容疑の収賄事件弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは愛知県刈谷市の農業林業振興課に勤務していました。
愛知県刈谷市の農業林業振興課では林道工事を計画していましたが、その発注の際、AさんはB建設会社から有利な取り計らいをしてほしい旨の依頼を受けました。
このB建設会社からの依頼を受け、Aさんは、B建設会社が入札できるよう違法に有利な取り扱いをしました。
そして、AさんはB建設会社から賄賂として現金30万円を受け取り、自己のために消費しました。
その後、Aさんは愛知県刈谷警察署の警察官により加重収賄罪の容疑で逮捕されました。
(2020年11月19日に福井新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【加重収賄罪とは】

刑法第197条の3第1項は、加重収賄罪について、以下のように規定しています。

刑法第197条の3第1項
公務員が前2条(注:刑法第197条・第197条の2)の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当な行為をしなかったときは、1年以上の有期懲役に処する。
第2項
公務員が、その職務上不正な行為をしたと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項を同様とする。

加重収賄罪(刑法第197条の3第1項)が「前2条」として引用する刑法第197条第1項は、単純収賄罪と受託収賄罪を規定しています。

刑法第197条第1項
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。

これらの条文を整理すると、以下のような関係があるといえます。
まず、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」は、単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立します。
次に、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした」うえ、「請託を受けた」場合には、受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)が成立します。
さらに、これらの単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)・受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)を犯した者が、「よって不正な行為をし、又は相当な行為をしなかったとき」は、加重収賄罪(刑法第197条の3第1項)が成立します。

以上のような関係を前提に、Aさんに加重収賄罪が成立するか考えたいと思います。

【加重収賄罪の各要件】

まず、Aさんは単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)・受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)を犯した者であるといえるか考えます。

単純収賄罪の要件である「賄賂」(刑法第197条第1項前段)とは、公務員の職務行為に対する対価としての不正な報酬をいいます。

刑事事件例でAさんがB建築会社から受け取った現金30万円は、公務員であるAさんの職務行為に対する対価としての不正な報酬であるといえます。
よって、AさんがB建築会社から受け取った現金30万円は、単純収賄罪の「賄賂」(刑法第197条第1項前段)に該当すると考えられます。

また、同じく単純収賄罪の要件である賄賂の「収受」(刑法第197条第1項前段)とは、供与された賄賂を自己の物とする意思で取得することをいいます。
刑事事件例では、AさんはB建築会社から現金30万円を受け取り、まさに自分のために消費していますので、単純収賄罪の賄賂の「収受」(刑法第197条第1項前段)に該当すると考えられます。

そして、受託収賄罪の要件である「請託を受けた」(刑法第197条第1項後段)とは、一定の職務行為を行うことの依頼を受けたことをいいます。
刑事事件例では、AさんはB建設会社から有利な取り計らいをしてほしい旨の依頼を受けています。
よって、Aさんは、受託収賄罪の「請託を受けた」(刑法第197条第1項後段)といえると考えられます。

以上より、ひとまずAさんは受託収賄罪を犯したものであるといえると考えられます。

次に、Aさんに加重収賄罪が成立するかを考えます。

加重収賄罪の要件である「不正な行為」(刑法第197条の3第1項)とは、積極的行為により職務に違反することをいいます。

刑事事件例では、Aさんは、B建設会社からの依頼を受け、B建設会社が入札できるよう違法に有利な取り扱いをしました。
このAさんの行為は、公務員の裁量権を濫用した職務違反行為であると考えられます。
よって、このAさんの行為は、加重収賄罪の「不正な行為」(刑法第197条の3第1項)に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには加重収賄罪が成立すると考えられます。

これまで検討してきた通り、収賄事件では法律の適用関係が多少複雑であるといえます。
そのため、まずは、刑事事件に強い弁護士が在籍する法律事務所へ法律相談をし、専門的な見地から分かりやすい言葉で収賄事件について助言してもらうことで収賄事件の全貌を把握することが重要でしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
加重収賄罪の容疑の収賄事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

非現住建造物等放火事件で逮捕されたら

2021-11-16

非現住建造物等放火事件で逮捕されたら

非現住建造物等放火事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県刈谷市にあるVさんが所有する木造2階建ての家屋に火をつけて全焼させました。
Vさんはこの家に1年以上前に住居として使用することを放棄しており、事件当時は上記家屋にVさんを含め誰も住んでいませんでした。
捜査の結果、Aさんは愛知県刈谷警察署の警察官により、非現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
(2020年7月28日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【非現住建造物等放火罪とは】

刑法109条1項
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。

非現住建造物等放火罪は、「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船または鉱坑」に「放火して」「焼損」した場合に成立します。

非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない」とは、現に人が起臥寝食の場所として日常的に使用しておらず、かつ、現に人が建造物内にいないことをいいます。
非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」の具体例としては、物置小屋や倉庫、納屋などが挙げられます。

また、居住者が住居として使用する意思を放棄した場合には、非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」に該当すると考えられています。

刑事事件例の建造物は、Vさんが所有しているものですが、Vさんはこの家に1年以上前に住居として使用することを放棄しており、事件当時は上記家屋に誰も住んでいませんでした。
このため、刑事事件例の家屋は、非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」に該当すると考えられます。

非現住建造物等放火罪の「放火して」とは、目的物または媒介物に点火することをいいます。

非現住建造物等放火罪の「焼損」とは、火が媒介物を離れて、目的物が独立して燃焼を継続する状態に達することをいいます。

刑事事件例では、Aさんの放火によりVさん所有の建物は全焼しており、非現住建造物等放火罪の「放火して」「焼損」したという要件は満たすと考えられます。

よって、Aさんには非現住建造物等放火罪が成立すると考えられます。

【非現住建造物等放火事件の刑事弁護活動】

非現住建造物等放火事件で起訴され有罪となってしまった場合、Aさんは「2年以上の有期懲役」に科せられることになります。

ですから、刑事弁護士としては、Aさんに実刑が科され刑務所に服役することを避けるための刑事弁護活動を行うことが考えられます。
例えば、もし非現住建造物等放火事件の被害者の方との示談をしていないのであれば、被害者の方との示談交渉を開始します。
この非現住建造物等放火事件の被害者の方との示談交渉の結果、裁判所に示談書や嘆願書などを提出することができれば、執行猶予を得られる可能性は高まります。

執行猶予が得られない場合でも、書面によって情状酌量を求めたり、情状証人を呼んで証言してもらったりすることで刑罰の減軽を求めていくことが考えられます。
刑の減軽を求める刑事弁護活動においても、非現住建造物等放火事件の被害者の方との示談をすることは重要であるため、上述のようにすみやかに示談交渉を開始することが効果的でしょう。
だからこそ、まずは刑事事件に強い弁護士への相談・依頼がおすすめされます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
非現住建造物等放火事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県日進市でわいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こした

2021-11-12

愛知県日進市でわいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こした

愛知県日進市わいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県日進市にある福祉施設の職員であるAさんは、愛知県日進市在住のVさん(12歳女児)にわいせつな行為をする目的で、Vさんの自宅から福祉施設への送迎を装って車で誘拐し、愛知県日進市にあるAさんの自宅で性交行為をしました。
愛知県愛知警察署の警察官は、Aさんをわいせつ目的誘拐罪強制性交等罪の容疑で逮捕しました。
(2020年10月22日に静岡新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【わいせつ目的誘拐罪とは】

(刑法225条)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

刑法225条は、上述のようにわいせつ目的誘拐罪を規定しています。

わいせつ目的誘拐罪における「わいせつ」「の目的」とは、姦淫など被害者の性的自由を侵害する行為をいいます。

また、わいせつ目的誘拐罪で禁止される「誘拐」とは、欺罔または誘惑を手段として、被害者の現在の生活状態から離脱させ、自己または第三者の実力的支配下に移して行動の自由を奪うことをいいます。

わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、上述したように、「欺罔または誘惑」すなわち虚偽の事実を告知したり、甘い言葉を用いて被害者の判断を誤らせたりすることが手段として用いられる必要があります。

Aさんは、わいせつな行為をする目的で、Vさんの自宅から福祉施設への送迎を装って車で誘拐しています。
ここに愛知県愛知警察署の警察官は、わいせつ目的誘拐罪に当たる「わいせつ」「の目的」での「誘拐」があったのだと判断したと考えられます。

以上より、愛知県愛知警察署の警察官は、Aさんにわいせつ目的誘拐罪が成立すると判断したと考えられます。

【強制性交等罪とは】

(刑法177条)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

刑法177条は、上述のように強制性交等罪を規定しています。

強制性交等罪は、被害者が13歳未満である場合、被害者に対して性交等をしたときには、暴行又は脅迫を手段としていなくても成立します。

刑事事件例の被害者であるVさんは12歳(「13歳未満の者」)であるため、AさんがVさんに対して性交等をした場合、たとえ暴行または脅迫を手段としていなくとも、Aさんには強制性交等罪が成立することになります。

そのため、愛知県愛知警察署の警察官は、Aさんに強制性交等罪が成立すると判断したと考えられます。

【わいせつ目的誘拐・強制性交等事件と示談】

わいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こしてしまった場合、被害者との接触可能性などから逮捕に引き続く身体拘束として勾留がなされる可能性が高いと言わざるを得ません。
また、わいせつ目的誘拐罪・強制性交等罪で起訴されてしまう可能性も高いと考えられます。

しかし、刑事弁護人としては、起訴後の保釈を目指して、保釈請求書を提出するなどの刑事弁護活動を行うことができると考えられます。

早い段階で保釈決定を得ることができれば、被疑者・被告人の方にとっての肉体的・精神的な負担が軽減されると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県日進市わいせつ目的誘拐・強制性交事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県新城市の愛知県青少年保護育成条例違反事件で逮捕

2021-11-09

愛知県新城市の愛知県青少年保護育成条例違反事件で逮捕

愛知県新城市愛知県青少年保護育成条例違反事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(27歳)は、愛知県新庄市内のホテルにおいて、SNSで知り合った愛知県内の中学校に通う女子中学生(Vさん・14歳)と18歳未満と知りながらみだらな行為をしました。
愛知県新城警察署の警察官は、Aさんを愛知県青少年保護育成条例違反の容疑で逮捕しました。
愛知県青少年保護育成条例違反の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への刑事弁護の依頼を検討しています。
(2020年10月8日に沖縄タイムズに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【愛知県青少年保護育成条例違反とは】

愛知県では、「青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年を保護し、その健全な育成に寄与することを目的と」して、昭和36年に愛知県青少年保護育成条例が制定されています(愛知県青少年保護育成条例1条)。

そして、愛知県青少年保護育成条例14条1項では、「何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。」と規定しています。
この愛知県青少年保護育成条例14条1項における「青少年」とは、「18歳未満の者」をいうと規定されています(愛知県青少年保護育成条例4条1号)

また、この青少年保護育成条例14条1項に違反した者には、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられませす(愛知県青少年保護育成条例29条1項)。

刑事事件例では、Aさんは、14歳のVさんに対して、みだらな行為をしています。
このAさんの行為は、愛知県青少年保護育成条例における「18歳未満の者」である「青少年」に対する「いん行又はわいせつ行為」に該当すると考えられます。

また、AさんはVさんが18歳未満と知りながらみだらな行為をしており、Vさんが愛知県青少年保護育成条例における「18歳未満の者」である「青少年」にあたるとの認識・認容があったと考えれます。

以上より、Aさんには愛知県青少年保護育成条例違反の罪が成立すると考えられます。

【愛知県青少年保護育成条例違反と刑事弁護活動】

愛知県青少年保護育成条例違反事件の刑事弁護活動としては、被害者の方(実際には被害者の方のご両親)との示談交渉が挙げられます。
刑事事件例のように、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方とSNSで知り合ったような場合、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方の正確な氏名や連絡先が分からないことも考えられます。

このように愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の氏名や連絡先が分からない場合、刑事弁護士から愛知県警察新城警察署の警察官や検察官に対して、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の連絡先を刑事弁護士限りで取り次いで貰えるよう働きかけることができます。

上記働きかけの結果として愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の氏名や連絡先が分かった場合、刑事弁護士により、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方のご両親との示談交渉を開始することができます。

示談交渉の結果、愛知県青少年保護育成条例違反の罪を犯した加害者(Aさん)の処罰を求めない等という宥恕条項を規定した示談を締結することができ、さらに愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方に被害届を取り下げてもらった場合、不起訴処分や略式手続下での処分を獲得できる余地もあると考えられるでしょう。

上記示談交渉には、刑事弁護に関する豊富な知識と経験を有する刑事事件に強い刑事弁護士を選ぶことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県青少年保護育成条例違反事件を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県新城市愛知県青少年保護育成条例違反事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕

2021-11-05

愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕

愛知県名古屋市中村区住居侵入事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

高校教諭であるAさんは副業としてスポーツ教室を運営していました。
ある日、Aさんは、愛知県名古屋市中村区内にある、スポーツ教室の教え子であるVさん(女子高校生)の自宅に侵入しました。
しかし、AさんがVさん宅の玄関付近の部屋にいたところ、偶然帰宅したVさんに見つかってしまったため、Vさんに「しっかり鍵をかけておきなさい」と言って立ち去りました。
その後、Aさんは愛知県中村警察署の警察官により住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
住居侵入罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、愛知県名古屋市にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月2日に毎日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【住居侵入罪とは】

「正当な理由がないのに、人の住居」「に侵入した者」には、住居侵入罪が成立します(刑法130条)。
住居侵入罪を犯した者には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。

住居侵入罪における「侵入」とは、住居権者・管理権者の意思に反する立入りを意味します(最高裁判所判決昭和58年4月8日、最高裁判所決定平成19年7月2日)。
そして、住居権者とは住居を事実上支配・管理をしている者を指します。
そのため、居住者は原則として住居権を有すると考えられます。
例えば、居住者が「入れたくない」と思っているのにも関わらず、行為者が住居に立ち入った場合、行為者には住居侵入罪が成立すると考えられます。

刑事事件例では、Aさんは居住者であるVさんの両親に無断でVさんが住む自宅に立ち入っています。
そして、Vさんの両親には、Aさんに無断での立入りを許す意思があったとは考えられません。
よって、Aさんの立入りは住居権者の意思に反する立入りであるとして、住居侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。

また、住居侵入罪における「正当な理由」とは、刑法上の違法性を失わせる事由(違法性阻却事由)を指します。
刑事事件例において該当し得る刑法上の違法性を失わせる事由(違法性阻却事由)としては、正当業務行為(刑法35条)があります。
そして、正当業務行為は社会生活上正当なものと認められる業務行為を指します。
しかし、刑事事件例のように、教え子であるVさんの住居に立ち入る行為は、たとえ「しっかり鍵をかけてお」くよう伝えるという教育的な観点からなされたとしても、社会生活上正当なものと認められる業務行為の範囲を超えると考えられます。
よって、Aさんの立入りには住居侵入罪における「正当な理由」があったとはいえないことになります。

以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。

【住居侵入罪と取調べ】

Aさんは愛知県中村警察署の警察官により住居侵入罪逮捕されていますが、Aさんが住居侵入行為をした理由は何だったのでしょうか。
Aさんの供述通り、単に指導をする目的であっただけのケースも考えられますし、Vさんの下着を盗む(窃盗罪を犯す)目的があったのではないか、強制わいせつや強制性交等をする(強制わいせつ罪や強制性交等罪を犯す)目的があったのではないかと、別の犯罪目的で住居侵入罪を犯した可能性もあると考えられるかもしれません。

このような犯行動機や余罪の有無は当然警察官・検察官による取調べにより厳しく追及されるおそれがあります。
例えば、警察官・検察官から、Aさんは実はVさんの下着を盗んでおり、窃盗罪が成立するのではないかと疑いをかけられる可能性が考えられます。
また、性的な目的から同種の住居侵入事件を複数犯しているのではないかと指摘される可能性もあります。

刑事事件例では、警察官・検察官による厳しい追及に対してどのように対応すればよいのか、警察官・検察官の言動にどのような意味があるのか、刑事弁護の専門家として分かりやすく助言・説明することができると考えられます。

これにより、警察官・検察官の誤った誘導に乗ってしまい、本来は違うのにVさんの下着を盗んでいたという調書が作成されてしまったり、してもいないのに同種の住居侵入事件を複数起こしていると自白してしまったりすることを防ぐことができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕

2021-11-02

愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕

愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県名古屋市瑞穂区のスーパーマーケット(V店)において、商品を購入せずに「割り箸をくれ」と店員に言いました。
しかし、店員に断られてしまったため、腹を立ててレジカウンターを複数回足で蹴り上げ、V店のレジカウンター業務を停止させるなどV店の業務を妨害しました。
その後、Aさんは、V店による通報を受けた愛知県瑞穂警察署の警察官により、威力業務妨害罪で現行犯逮捕されました。
威力業務妨害罪の容疑での現行犯逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月24日に南日本新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【威力業務妨害罪とは】

「威力を用いて人の業務を妨害した者」には、威力業務妨害罪が成立します(刑法234条)。
威力業務妨害罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

威力業務妨害罪における「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力の使用をいいます。
刑事事件例におけるAさんのレジカウンターを複数回足で蹴り上げる行為は、人の意思を制圧するに足る勢力の使用にあたるとして、威力業務妨害罪における「威力」に該当すると考えられます。

また、威力業務妨害罪について定めている刑法234条は威力業務妨害罪の被害者(客体)を「人」と規定していますが、威力業務妨害罪における「人」とは自然人のみならず法人を含むとされています。
よって、刑事事件例におけるV店は、威力業務妨害罪における「人」に該当することになります。

さらに、威力業務妨害罪における「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業をいい、刑事事件例におけるV店の業務は威力業務妨害罪における「業務」に該当すると考えられます。

そして、威力業務妨害罪について定めている刑法234条は「妨害した」と規定していますが、実際に業務を妨害したという結果は必ずしも要せず、業務を妨害する危険を生じさせれば威力業務妨害罪における「妨害した」といえると考えられています。
刑事事件例では、Aさんは現実にV店の業務を妨害していますので、勿論威力業務妨害罪における「妨害した」といえると考えられます。

以上より、Aさんには威力業務妨害罪が成立すると考えられます。

【威力業務妨害罪と示談】

Aさんが威力業務妨害罪による起訴をされたり実刑判決を受けたりすることを避けるためには、V店と示談を締結することが重要です。

例えば、刑事事件例では、AさんがV店のレジカウンターを複数回足で蹴り上げる行為により、V店のレジカウンターが破損している可能性があります。
そこで、刑事弁護士としては、Aさんの代理人としてV店と示談交渉を開始することができます。
具体的には、V店のレジカウンターの破損により生じた被害金額を含む損害賠償金(示談金)を支払い、民事上の問題を解決したりV店の刑事処罰を求める意思を軽減させたりすることができると考えられます。

示談交渉には刑事事件に関する専門的な知識と豊富な経験、威力業務妨害事件の被害者との示談を円滑に進める交渉力が必要であるため、刑事事件や示談交渉に強い刑事弁護士を選任することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
威力業務妨害事件の被害者との示談交渉を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市瑞穂区威力業務妨害事件で現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(後編)

2021-10-29

愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(後編)

愛知県名古屋市熱田区有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(前編)の続きとなります。

【偽造公文書行使罪とは】

刑法155条1項の「文書若しくは図画を行使し」「た者」には、偽造公文書行使罪が成立します(刑法158条1項)。
偽造有印公文書行使罪の法律に定められた刑(法定刑)は、1年以上10年以下の懲役です。

偽造有印公文書行使罪における「行使」とは、偽造文書を真正な(本物の)文書として使用することをいいます。
刑事事件例では、有印公文書偽造罪における偽造文書たる警察手帳を、真正な(本物の)警察手帳であるかのように使用しています。
よって、Aさんの行為は偽造有印公文書行使罪における「行使」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには偽造有印公文書行使罪が成立すると考えられます。

【公文書偽造罪・偽造公文書行使罪と余罪】

Aさんは有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕されていますが、本件有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件は、Aさんが複数の住宅を歩道からのぞき込んでいるところを不審に思ったBさんが声を掛けたために発覚しています。

そのため、愛知県熱田警察署の警察官は、Aさんが複数の住宅をのぞき込んでいた目的は何か、のぞき行為自体が犯罪とならないか(軽犯罪法1条23号)など厳しく追及すると考えられます。
愛知県熱田警察署の警察官が、Aさんが複数の住宅をのぞき込んでいた目的は何かと厳しく追及すると考えられるのは、Aさんに有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪以外の余罪がないかを捜査するためです。
例えば、愛知県熱田警察署の警察官は、実はAさんは住居侵入罪・窃盗罪を常習的に犯しており、のぞき行為も住居侵入・窃盗事件を起こすためになされたものではないのかなどと余罪の有無を追及してくる可能性があります。
本件有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件との関連性においても、公文書偽造・偽造公文書行使行為が計画性をもってなされた悪質なものであるといえるかなどという犯情に関わる重要な事情であると考えられます。

刑事弁護士としては、刑事事件を取り扱った豊富な経験と知識の下、刑事訴訟法における自白・警察官が作成した調書の効果などを分かりやすく説明することで、被疑者の方に愛知県熱田警察署の警察官による取調べへの適切な対応を助言することができると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪を犯した方の刑事弁護活動にも対応可能です。
愛知県名古屋市熱田区有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(前編)

2021-10-26

愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(前編)

愛知県名古屋市熱田区有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使事件逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県名古屋市熱田区の住宅街において、複数の住宅を歩道からのぞき込むような挙動をしていました。
すると、近所に住むBさんがAさんの挙動を不審に思い、「何をしているんですか」とAさんに声を掛けてきました。
そこで、Aさんは警察官でないにも関わらず、「警察の者です。被疑者を探しています。」と自作した偽の警察手帳を示しました。
しかし、BさんはAさんの応答を不審に思ったため、愛知県熱田警察署に通報しました。
その結果、Aさんが偽の警察手帳を自作し、Bさんに提示していたことが発覚し、愛知県熱田警察署の警察官はAさんを有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪の容疑で逮捕しました。
有印公文書偽造罪・偽造有印公文書行使罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(令和2年10月1日に下野新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【公文書偽造罪とは】

行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者」には、有印公文書偽造罪が成立します(刑法155条1項)。
有印公文書偽造罪の法律に定められた刑(法定刑)は、1年以上10年以下の懲役です。

刑法155条1項で定められた公文書偽造罪は、「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」又は「偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」を「使用」するため、特に有印公文書偽造罪と呼ばれます。
そして、刑事事件例における偽の警察手帳には「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」又は「偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」が「使用」されていたと考えられます。
なお、刑法155条1項の有印公文書偽造罪と比較して、刑法155条3項では「公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」又は「偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名」の「使用」が犯罪を構成する要件(構成要件)として規定されていません。
そのため、刑法155条3項の公文書偽造罪は特に無印公文書偽造罪と呼ばれることがあります。

有印公文書偽造罪における「公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは文書」(公文書、公図画)とは、公務所または公務員がその作成権限に基づき、その公務所または公務員を名義人として作成するものをいいます。

刑事事件例における警察手帳は、警察法68条(「国は、政令で定めるところにより、警察庁の警察官に対し、その職務遂行上必要な被服を支給し、及び装備品を貸与するものとする。」)に基づき国から警察官に対して貸与されるものです。
すなわち、警察手帳の作成権限は国にあると考えられます。
したがって、公務所または公務員がその作成権限に基づき、その公務所または公務員を名義人として作成するものであるといえ、公文書偽造罪における「公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは文書」に該当すると考えられます。

また、有印公文書偽造罪における「偽造」とは、権限なく他人名義の文書を作成することをいいます。
刑事事件例では、警察手帳の発行権限のないAさんが他人名義の警察手帳を作成しています。
よって、Aさんの行為は、有印公文書偽造罪における「偽造」に該当すると考えられます。

そして、Aさんは偽造した警察手帳を他人に示す目的で偽の警察手帳を作成していると考えられるため、有印公文書偽造罪における「行使の目的」があったといえると考えられます。

以上より、Aさんには有印公文書偽造罪が成立すると考えられるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県名古屋市熱田区有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県名古屋市熱田区の有印公文書偽造・偽造有印公文書行使事件で逮捕(後編)に続きます。

自転車の窃盗事件で捜査を受けたら

2021-10-26

自転車の窃盗事件で捜査を受けたら

自転車窃盗事件で捜査を受けた場合について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県常滑市に住むAさんは,飲食宅配代行サービスの配達員をしていました。
飲食の宅配は自転車で行っていましたが,Aさんは「1件でも多く配達するため,スピードを出しやすい自転車を盗もう」と決心し,同市内にあるマンションの駐輪場に停めてあったVさん所有のクロスバイク(約3万円相当)を盗みました。
そして,Aさんは,数日間,盗んだ自転車を使い,飲食宅配代行サービスに従事しました。
後日,Aさんは愛知県常滑警察署の警察官から,自転車の窃盗事件を起こしてないかと捜査を受けました。
(2020年11月19日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【窃盗罪とは】

刑法235条
他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は,他人の財物を「窃取」した者に成立する犯罪です。
この窃盗罪の「窃取」とは,他人が支配する財物を,その持ち主の意思に反して,被疑者の支配に移すことをいいます。

刑事事件例では,Aさんは,Vさんが支配していた自転車を無断で持ち出し,自らの支配下においています。
よって,Aさんの行為は,Vさんが支配する財物を,そのVさんの意思に反して,Aさんの支配に移す行為であるとして,窃盗罪の「窃取」に当たります。

また,窃盗罪が成立するためには,窃盗罪に当たる行為(犯罪事実)を認識・認容していること(窃盗罪の故意)に加えて,「①権利者を排除して,被害者の方の財物を自己の所有物として,②その経済的用法に従い,利用し処分する意思」が必要であると考えられています。
上記の①権利者排除意思と②利用・処分意思を合わせて,「不法領得の意思」といいます。

刑事事件例では,Aさんは,「1件でも多く配達するため,スピードを出しやすい自転車を盗もう」と考えた上,数日間に及び上記自転車を使用しています。
ここで,数日間に及びVさんの自転車を無断で使用するとき,AさんはVさんを排除して,自身が所有者であるかのように振舞ったといえると考えられます。
よって,窃盗罪の「不法領得の意思」のうちの①権利者排除意思があったと考えられます。

また,Aさんには,Vさん所有の自転車を盗んで,自身の飲食宅配代行サービスのために利用しています。
このAさんの行為は,自転車を本来の用途に従って使用する行為であり,自転車の利用から生じる効用を享受したといえると考えられます。
ここに窃盗罪の「不法領得の意思」のうちの②利用・処分意思があったと考えられます。

よって,Aさんには,窃盗罪の「不法領得の意思」があったと考えられます。

以上より,Aさんには窃盗罪が成立すると考えられます。

【自転車の窃盗事件の刑事弁護活動】

刑事事件例のような自転車の窃盗事件では,被害者の方が存在します。
そこで,自転車の窃盗事件では,刑事弁護士を通じて被害者の方と連絡を取り,正式な謝罪と被害の弁償を行うことが重要です。

刑事弁護士を通した示談の締結をすることができた場合,刑事弁護士は,自転車の窃盗事件を捜査する検察官に示談の経緯を伝えたり,示談書を提出したりすることになります。

ここで,自転車の窃盗事件の捜査をする検察官は,起訴するのか不起訴にするのかという処分を決定する際には示談の締結の有無を重要視します。
そのため,もし刑事弁護士を通して示談を締結することができれば,自転車の窃盗事件で不起訴処分を獲得できる可能性が高まることになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
自転車の窃盗事件で捜査を受けた場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

簡易公判手続・即決裁判手続・略式手続とは

2021-10-15

簡易公判手続・即決裁判手続・略式手続とは

簡易公判手続即決裁判手続略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県名古屋市西区にあるコンビニエンスストアV店において、5000円相当の商品を万引きしました。
Aさんは、愛知県西警察署により窃盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは窃盗罪の容疑を認めています。
Aさんは、「刑事裁判には簡易な手続があると聞いたことがある。自分は今後どのような手続で処分が下されるのか。」と心配しています。
(フィクションです。)

【簡易公判手続とは】

簡易公判手続とは、自白事件(被告人が有罪である旨の陳述をした事件)について、裁判所の決定により、証拠調べを簡略化する公判手続のことをいいます(刑事訴訟法291条の2、307条の2)。
簡易公判手続はいわゆる認め事件(被疑者の方が犯罪事実を認めている事件)で利用されるものであり、否認事件(被疑者の方が犯罪事実を争っている事件)では利用されません。

簡易公判手続は、公判(公開の裁判)手続の簡易化・迅速化を図るため、1953年に導入された制度です。
しかし、通常の公判における冒頭手続(最初に行われる手続)の段階において被告人が有罪である旨の陳述をすることによってはじめて、「裁判所が」簡易公判手続を採用する旨の決定をすることができると規定されており、検察官は通常の公判と同じように公判の準備をしておく必要がありました。
また、手続の簡易化・迅速化が十分ではなく(下記即決裁判手続と比較すると明らかです)、実務上ではほとんど利用されていませんでした。

【即決裁判手続とは】

即決裁判手続とは、事案が明白・軽微な自白事件について、検察官の申立てに基づく裁判所の決定により、証拠調べを簡略化した公判手続を行い、判決(懲役・禁錮刑については執行猶予付き判決)を即日言い渡す公判手続のことをいいます(刑事訴訟法350条の2、350条の10、350条の13)。

即決裁判手続は、上述した簡易公判手続の反省を生かし、2004年に導入された制度です。
簡易公判手続と同じ点は、冒頭手続(公開の裁判において最初に行われる手続)の段階において被告人が有罪である旨の陳述をし、裁判所が決定をすること(刑事訴訟法350の8)、証拠調べが適当と認める方法で行われること(刑事訴訟法350条の10第2項)があります。
簡易裁判手続と同じように、即決裁判手続はいわゆる認め事件(被疑者の方が犯罪事実を認めている事件)で利用されるものであり、否認事件(被疑者の方が犯罪事実を争っている事件)では利用されません。

簡易公判手続との違いは、検察官の申立てによること(刑事訴訟法350条の2)、捜査段階で被疑者・弁護人の同意等を得る必要があること(刑事訴訟法350条の2)、できる限り即日判決を言い渡すこと(刑事訴訟法350条の13)、懲役・禁錮刑については執行猶予を言い渡すこと(刑事訴訟法350条の14)、事実誤認を理由とする上訴が制限されること(刑事訴訟法403条の2、裁判所の職権破棄について刑事訴訟法413条の2)、必ず弁護士をつけなければならない必要的弁護事件であること(刑事訴訟法350条の3、4、9)があります。

【略式手続とは】

略式手続とは、(区検察庁所属の)検察官の請求により、簡易裁判所が、管轄する軽微な事件について、公判を開くことなく、略式命令により100万円以下の罰金又は科料を科す手続のことをいいます。

略式手続では、検察官は被疑者に異議がないかを確認する必要があります(刑事訴訟法461条の2)。
また、簡易裁判所は、遅くとも検察官による請求があった日から14日以内に略式命令を発しなければなりません(刑事訴訟規則290条)。

実務上では、略式手続は上記の簡易公判手続・即決裁判手続とは違い、圧倒的に利用頻度が高いといえます。

【刑事事件例と略式手続】

刑事事件例では、Aさんは窃盗罪を犯しています。
そして、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法235条)であるため、選択刑として罰金が定められている罪に係る事件として、簡易裁判所の管轄する事件であるといえます(裁判所法33条1項2号)。

このことから、仮にAさんに罰金刑が科される場合、略式手続によって処分が決定される可能性があると考えられます。

ただし、実際にAさんが今後どのような手続で処分が下されるのかは、Aさんに前科があるかといった事情や示談交渉の結果などに大きく左右されます。
略式手続ではなく正式起訴(公開の裁判に提訴)される可能性や、正式裁判や略式手続に移行せずに不起訴処分が下される可能性もあります。
今後どのような手続で処分が下されるのかご不安を感じられている場合は、刑事事件に強い弁護士から助言や説明を受け、今後の方向性を理解することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
簡易公判手続即決裁判手続略式手続に関してお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

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