Archive for the ‘未分類’ Category

【解決事例】児童ポルノ製造事件で保釈許可獲得

2022-09-13

児童ポルノ製造事件で保釈が認められた事例につき、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事件の概要】

Aさん(30代男性)は、SNSで知り合ったVさん(15歳女性)に、「Vさんの胸を見せて欲しいな」とメッセージを送り、Vさん自身の胸と性器を露出した写真を撮影させ、Aさんのスマートフォンに送信させ、これを保存したとして、愛知県熱田警察署で逮捕、勾留され起訴されていました。
Aさんの両親は「Aは会社を経営しているのですが、会社がまわらず倒産寸前で困っています。逃げも隠れもしませんので、Aを釈放してもらえませんでしょうか。」と相談時にお話されました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

【児童ポルノ製造について】

Aさんは、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」に違反したことにより起訴されています。
児童ポルノとは
①児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したもの
②他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもの
③衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するものを視覚により認識することができる方法により描写したもののいずれかに該当するもの
とされています。
さらに、児童ポルノは
①所持
②製造
③提供
④輸入・輸出
に大まかに分けられ、今回のAさんは、②製造のうち「被害児童をして姿態をとらせて児童ポルノを製造した場合」に当てはまり、法定刑は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金です(児童買春・児童ポルノ処罰法第7条第4項)

【性犯罪事件における保釈について】

保釈とは、保釈保証金(いわゆる保釈金)の納付を条件として、住居等の制限のもとに被告人の身体拘束を解く釈放制度のことです。

被告人の身分で勾留される場合、期間は原則として起訴されてから2ヶ月です。
しかし、特に継続の必要がある場合については1ヶ月ごとに更新されます。
つまり、被告人の身分で勾留が続きますと、数ヶ月は身柄拘束が続きます。

保釈が認められれば、被告人は自宅に帰ることができるので、会社や学校に戻れるなど、社会復帰ができる確率があがる可能性があります。
また、裁判の日は自宅から裁判所に行くことになりますので、留置場や拘置所から裁判所に行くよりは、安心して裁判に臨むことができるようになります。
このように、保釈には大きなメリットがあります。

保釈が認められるには、弁護士から裁判所に対して
①被告人が性犯罪事件の証拠隠滅をする危険がないこと
②被告人が性犯罪事件の被害者や事件関係者及びその親族などに接触する危険がないこと
③被告人が逃亡する危険がないこと
を適切に主張していく必要があります。

【弁護活動について】

弁護士が裁判所に対し、
①保釈をしても、証拠が全て捜査機関にあるため、被告人には証拠隠滅は不可能であること
②保釈をしても、被告人には被害者や事件関係者に接触するメリットが一切ないこと
③任意捜査後も逃亡することなく、自宅にいたことや身元引受人がいることなどから、保釈をしても逃亡する危険はないこと
④被告人がいなければ会社が回らず、会社が倒産すれば一家が路頭に迷うこと
などを主張した結果、Aさんには保釈が認められました。

【児童ポルノ事件、児童ポルノ製造事件に強い弁護士】

このコラムをご覧の方で、児童ポルノ事件、児童ポルノ製造事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の無料法律相談をご利用ください。
無料法律相談のご予約は

フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)

で承っておりますので、お気軽にお電話ください。

なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、愛知県や周辺地域の警察署に逮捕された方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスをご用意しております。

【ニュース紹介】俺コロナと嘘 偽計業務妨害罪で逮捕(名古屋)

2022-09-07

俺コロナと嘘の申告をして、偽計業務妨害罪で逮捕された事例につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ニュース概要】

愛知県昭和警察署は、偽計業務妨害の疑いで、40代の男を逮捕しました。
記事によると、別の容疑で逮捕され取調べを受けていた男が、昭和警察署内で「俺コロナだからね。昨日病院で言われた。PCR検査でコロナ陽性」とうその申告をし、昭和警察署の警察官に消毒などをさせ、業務を妨害したということです。
男はその後のPCR検査で陰性が確認されており、認否を留保しているとのことです。
(6月21日中日新聞掲載の記事を参考に、一部変更したものです)

【偽計業務妨害罪とは】

偽計業務妨害罪とは、刑法第233条に規定されています。
「偽計を用いて」とは、人をだましたり、人の不知や勘違いを利用することをいいます。

刑法第233条 
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

今回の事案では、新型コロナウイルス感染症に感染していないのにもかかわらず、感染したとうその申告をし、これにより、昭和警察署の警察官にする必要のなかった昭和警察署内の消毒などを行わせているので、同罪が成立すると考えられます。

類似の事案としては、離陸前の航空機内で新型コロナウイルスに感染している旨の発言を行った事案、電車内において新型コロナウイルス感染症に罹患しており、自分に近付くと感染する旨の発言をした事案などがあります。
いずれも、新型コロナウイルス感染症に感染していないのにもかかわらず、「感染した」とうそをついたことで、飛行機や公共交通機関の運行を妨げたことが、「偽計を用いて、…その業務を妨害した」として、偽計業務妨害罪にあたると判断されたようです。

【事案の特殊性から不起訴獲得は難しい】

今回と類似する事案は、新型コロナウイルス感染症が流行して以降、たびたび報道されています。
そして、今回の事案のように、警察官(公務員)の業務を妨害した場合は、不起訴処分の獲得は非常に難しいです。
警察などの公的機関が被害者である場合、基本的に示談には応じてくれないことがほとんどです。
これは、警察官(公務員)の業務を妨害していますので、公務員の公務を侵害された「国」が被害者だと考えられるためです。
したがって、示談交渉による不起訴処分の獲得はほぼ見込めません。

さらに、起訴された場合には、裁判所による厳しい判決が下されることが予想されます。
裁判所は、類似する事案の判決理由に、「新型コロナウイルスが深刻な社会問題となっていたこと」から、「社会全体に及ぼした影響は大きく、発生した結果は相当に重大である」ことを挙げていることが多く、新型コロナウイルスに関連する刑事事件については、厳しい態度で臨んでいることがわかります。

【実刑を回避するためには適切な弁護活動が不可欠】

示談が出来ない場合であっても、罰金刑を求めたり、公判になったとしても執行猶予付き判決を求めるなど、実刑を回避する弁護活動は可能です。
具体例として、示談の申入れをしていた経緯を書面で残すことにより誠意をもって被害回復に努めたことや、直接被害弁償が出来なかった代わりに贖罪寄付をすることが考えられます。
また、情状証人による嘆願などの情状弁護により減刑を求めたり、きちんと反省をしている態度を示すことも大切です。

このように、刑事事件に強い弁護士が適切な弁護活動を行うことで、不起訴や執行猶予を獲得できる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。偽計業務妨害罪事件に詳しい弁護士も在籍しております。是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

 

【解決事例】碧南市の窃盗事件(万引き)で不送致処分を獲得

2022-07-24

窃盗事件(万引き)で不送致処分を獲得したことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要】

ご本人様(50代男性)は、愛知県碧南市にある書店で雑誌(1500円相当)を万引きしたとして、碧南警察署で取調べの予定が入っていました。
ご本人様は「既に警察官と一緒に、店長さんに今回の件については謝罪と賠償をしています。ですが私はこのお店で何回か万引きをしており、今後そのことを取調べの時に聞かれるようです。これから私はどうなるのでしょうか。」と不安げに相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【弁護活動】

弁護士より被害店舗様に、「ご本人様も大変反省していますので、示談をさせていただけないでしょうか。」と申し出たところ、「わかりました、お話をうかがいます。」と被害店舗様より回答がありました。
その後、被害店舗様より「今までの万引き分も含め、示談金として3万円を払っていただければ被害届を取り下げます。ただし今後は店舗には一切近づかないで下さい。」との回答があり、こちらの内容で示談を締結することができました。
弁護士は示談の内容をまとめ、碧南警察署に提出し、被害届は取り下げられました。
被害届が取り下げられたことにより、事件は検察庁に送致されることなく、ご本人様は不送致処分(警察限り措置)となりました。

【まとめ】

窃盗事件における示談とは、被害額の弁償や慰謝料を払うことで、窃盗事件を起こしたことに対し、被害者から許してもらう契約のことです。
窃盗事件の示談の場合、加害者が被害品の弁償金等の支払いをし、その後被害者から、身柄を拘束されていれば身柄の早期釈放や、加害者に対して寛大な処分をしてください、といった意思表示をしてもらうことが多いのです。
示談の効果として、①警察が介入する前に示談が成立すれば、事件にはならない、②身柄が解放される確率が高くなる、③不送致、不起訴の大きな理由になる、④正式裁判になったとしても、執行猶予付き判決など刑が軽くなる可能性が高くなる、⑤示談が成立した当事者間での、今後の民事的紛争が避けられる可能性が高くなる、などがあります。
窃盗事件においては、警察介入前から事件終了まで、示談のもたらす効果は大きいものです。

示談を成立させるには、窃盗事件の示談に詳しい弁護士に依頼し、示談交渉してもらうのがよいでしょう。

窃盗事件、万引き事件で被害者様と示談をしたいという方は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にて、ご相談の予約を受け付けております。

名古屋市中川区の虚偽告訴事件を法律相談

2022-03-05

名古屋市中川区虚偽告訴事件法律相談したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは名古屋市中川区に住む知人のBさんからの借金の取り立てに嫌気がさしていたため、Bさんを刑務所に入れれば取り立ても止まると考えました。
そこでBさんに刑事処分を受けさせる目的で、愛知県中川警察署の警察官に対し「Bさんが私を蹴ってきて私は怪我をしました。」と嘘の話をしました。
その結果、愛知県中川警察署の警察官はBさんに対して任意で取り調べをすることになりました。
その後、Aさんの嘘が明るみになり、Aさんは虚偽告訴罪愛知県中川警察署で話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【警察官に虚偽の犯罪通報をすると何罪になりますか?】

警察官に虚偽の犯罪通報をすると何罪になるのでしょうか?
刑法上の虚偽告訴罪か軽犯罪法上の虚偽申告の罪が成立します。
それぞれについて見ていきましょう。

【虚偽告訴罪】

虚偽告訴罪とはどのような罪なのでしょうか?条文は
人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴、告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する。
(刑法第172条)
となっています。

【軽犯罪上の虚偽申告の罪】

次に、軽犯罪上の虚偽申告の罪とはどのような罪なのでしょうか?該当するのは
虚構の犯罪又は災害の事実を公務員に申し出た者
とされ、法定刑は「拘留」又は「科料」(軽犯罪法第1条柱書)です。
拘留は、1日以上30日未満の期間、刑事施設に拘束することです。
科料は、1000円以上1万円未満の範囲で金銭を徴収することです。

【刑法上の虚偽告訴罪と軽犯罪法違反の境目】

刑法上の虚偽告訴罪が成立しないものが軽犯罪法違反の対象となります。

【虚偽告訴罪について】

それでは、刑法に定められている虚偽告訴罪がどのように成立していくのか見ていきましょう。
虚偽告訴罪の主体に特に制限はなく、だれでも行えます。
虚偽告訴罪の告訴等の対象は人だけではなく、法人も対象となりますが、人は実在する人(架空の人は含みません)でなければなりません。
虚偽告訴罪における「虚偽」とは、刑事又は懲戒処分の原因となる事実が、客観的事実に反することです。
虚偽告訴罪の「告訴」とは、犯罪の被害者やその他一定の条件がある人が、捜査機関(警察署など)に対し犯罪事実を申告して処罰を求めることをいいます。
虚偽告訴罪で言われる「告発」とは、犯人又は告訴権がある人以外の第三者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して処罰を求めることをいいます。
虚偽告訴罪の条文にある「その他」とは、被害届を出すなど告訴や告発以外の方法をいいます。
虚偽告訴罪の「申告」とは、自ら進んで事実を申告することをいいます。
⑧その行為を行う目的として、人に刑事又は懲戒処分を受けさせる目的があることが、虚偽告訴罪の成立に必要となります。
虚偽告訴罪の故意としては、虚偽の犯罪を申告する認識が必要とされています。

【刑事事件例について】

今回のケースのAさんの行為を見ていきましょう。
虚偽告訴罪の主体となるには特に制限はありませんので、Aさんは虚偽告訴罪の主体となります。
今回のケースでは、Bさんが告訴等の対象ですが、Bさんは実在する人であるため虚偽告訴罪の「告訴」の対象となりえます。
Aさんは行為としてBさんの虚偽の犯罪=傷害罪を「Bさんに刑事処分を受けさせる目的で」申告しています。
よってAさんには、刑法上の虚偽告訴罪が成立する可能性が高いと思われます。

【Aさんへの弁護活動について】

先に書きました通り、虚偽告訴罪の法定刑は3月以上10年以下の懲役であり、罰金等の規定はありません。
もしも検察官に虚偽告訴罪で起訴をされて裁判になってしまえば、高い確率で実刑になってしまいます。
そして執行猶予が付かなければ、刑務所へ行き服役しなければならず、会社を解雇になったり学校を退学することになるかもしれません。
つまり弁護活動を早急に行い、起訴猶予による不起訴か、執行猶予を目指していくことになります。

このように、刑事事件に強い弁護士、示談交渉に強い弁護士に早急に相談をすることがとても大切です。 
 
ご自身やご家族が虚偽告訴罪で話を聞かれることになったり逮捕されてしまった方は、ぜひ刑事事件に強い弁護士に早急にご相談ください。
 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を中心に取り扱う法律事務所です。
起訴猶予による不起訴、執行猶予を勝ち取った実績のある刑事弁護士も多数在籍しております。
名古屋市中川区虚偽告訴事件でご自身やご家族が話を聞かれることになった、逮捕されたとお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

強制わいせつ事件における弁護士の探し方

2022-02-28

強制わいせつ事件を起こしてしまった場合における弁護士の探し方につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説いたします。

~ケース~

名古屋市千種区に住む、大学生のAさん(21歳)は、友人である女性V宅へ遊びに訪れた際、Vに劣情を抱き、襟元から衣服の中に手を入れて胸部を弄ぶなどのわいせつな行為を行ってしまいました。
気まずい雰囲気となったので、AさんはV宅から帰路につきました。
後日、Aさんの自宅に弁護士から内容証明郵便が届き、①先日の強制わいせつ行為の示談金として100万円を支払え、②誠心誠意、Vに謝罪をすること、③誠意ある対応がなければ愛知県千種警察署に被害届を提出する用意がある、と記載されていました。
青くなったAさんはすぐに弁護士と相談しようと考えましたが、どのように弁護士を探せばよいのでしょうか。
(フィクションです)

~強制わいせつ罪とは?~

強制わいせつ罪とは、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をする犯罪です。
13歳未満の者に対しては、暴行・脅迫を行わなくても、また、同意があったとしても、わいせつな行為を行えば、強制わいせつ罪が成立します。

不意に股間に手を差し入れる場合のように、暴行自体がわいせつ行為に該当する場合であっても、強制わいせつ罪を構成しえます。
そのため、Aさんのように、被害者の襟元から胸に手を入れ、胸部を弄んだ、という場合であっても、暴行自体がわいせつ行為であるとして強制わいせつ罪が成立する可能性があります。

強制わいせつ罪につき有罪判決が確定すると、「六月以上十年以下の懲役」に処せられます(刑法第176条)。

~Aさんは今後どうするべきか?~

Vが被害者として弁護士を依頼していることから、事件に対して強い関心があることがうかがえます。
内容証明郵便を放置するなどの不適切な対応を行えば、被害届を提出され、被疑者として捜査を受ける事態となることが容易に想定されます。
強制わいせつ事件の重大性を考慮すると、逮捕される可能性も十分存在します。

反対に、Vと示談を成立させ、誠心誠意、謝罪をすれば、被害届を提出されずに済む可能性もあります。
Vの被害主張に対し、適切な対応を行っていくことが望まれます。
しかし、Vさんに弁護士がついている以上、実際に交渉する相手は弁護士となります。
Aさんとしても、法律の専門家によらなければ、厳しい条件を提案されたり、高額な示談金に応じざるを得なくなるかもしれません。
したがって、Aさんにおいても弁護士を依頼し、示談交渉を依頼するのがよいでしょう。

~弁護士の探し方~

ケースの場合は、刑事事件に強い弁護士を探し、事件解決を依頼するのがよいでしょう。
具体的な探し方として、インターネットを活用し、法律事務所のホームページを閲覧したり、弁護士会に問い合わせるなどの方法が考えられます。
無料相談を実施している法律事務所も少なくないので、気軽に弁護士と会い、検討することもできます。

~刑事弁護を行う弁護士の種類~

刑事弁護を行う弁護士として、①当番弁護士、②国選弁護人、③私選弁護人があります。

「当番弁護士」は、逮捕された場合に一度だけ無料で接見を行う弁護士です。
Aさんは逮捕されていないため、当番弁護士は利用できません。

「国選弁護人」は、勾留決定がなされた場合において、資力要件を満たしている場合に、国によって付けられる弁護士です。
こちらについても、Aさんは勾留されていないため、利用することはできません。

「私選弁護人」は、Aさんにおいて弁護士費用を負担し、刑事弁護を依頼できる弁護士です。
私選弁護人は、逮捕される前であっても利用できます。
そのため、ケースの場合に弁護士を依頼しようとすると、私選弁護人を利用することになります。

私選弁護人の弁護士費用はさまざまであり、また、弁護士が人間である以上、Aさんと相性が合わないケースもありえます。
まずは気になった弁護士の法律相談を受け、自身の経済的事情、自身との相性、弁護士の得意分野を考慮しながら、依頼する弁護士を探すのがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
初回無料法律相談も行っていますので、まずは弁護士の話を聞いてみたいという方にもお気軽にご相談頂けます。
強制わいせつ事件の被害者対応につきお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された

2021-08-13

未成年者誘拐事件で告訴・逮捕された

未成年者誘拐事件告訴逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県知多市に住むAさんは、会員制交流サイト(SNS)において、女子中学生のVさん(15歳、愛知県知多市内在住)が「家出したい」と書き込んでいるのを見つけました。
そこで、Aさんは「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込みました。
後日、Vさんから事情を聞いたVさんの母親は事態を重く見て、愛知県知多警察署未成年者誘拐罪の告訴をしました。
その結果、Aさんは、愛知県知多警察署の警察官により、未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
(2021年2月3日に中日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【未成年者誘拐罪とは】

刑法224条
未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

未成年者誘拐罪は、「未成年者」を「誘拐」した者に成立する犯罪です。
未成年者誘拐罪の「未成年者」とは、「20歳未満の者」(民法4条)をいいます。
例えば、刑事事件例のVさんは15歳であるため、20歳未満の者であるとして、未成年者誘拐罪の「未成年者」に当たります。

また、未成年者誘拐罪の「誘拐」とは、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移すことをいいます。
刑事事件例では、Aさんは、「家出したい」と書き込んだVさんに対して、「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送っています。
このAさんの行為は、誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)行為に当たると考えられます。
そして、Aさんは上記誘惑行為を手段として、Vさんを自宅に連れ込んでいます。
このAさんの行為は、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為に当たると考えられます。

よって、AさんによるVさんに「泊まるところないなら、うちに泊めてあげるよ」とメッセージを送り、Vさんを自宅に連れ込むという行為は、欺罔(虚偽の事実を告知すること)または誘惑(甘言を用いて未成年者の判断を誤らせること)を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、被疑者の実力的支配下に移す行為として、未成年者誘拐罪の「誘拐」に該当すると考えられます。

以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。

【未成年者誘拐事件の刑事弁護活動】

刑法229条
第224条の罪…は、…告訴がなければ公訴を提起することができない。

未成年者誘拐罪は、被害者の方の名誉を保護するという観点から、「告訴がなければ公訴を提起することができない」親告罪であるとされています。
告訴とは、検察官または警察官に対して、犯罪事実を親告して、被疑者の方の処罰を求める意思表示のことをいいます。
また、告訴は、被害者の方(刑事訴訟法230条)またはその法定代理人(刑事訴訟法231条)がすることができると規定されています。
刑事事件例でいえば、未成年者誘拐事件を担当する検察官がAさんを未成年者誘拐罪で起訴するためには、Vさんかそのご両親の方が告訴をしている必要があるといえます。

ここで、刑事事件例では、既にVさんの母親が未成年者誘拐事件告訴をしていますが、刑事訴訟法237条では「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定されているため、Vさんの母親は未成年者誘拐事件告訴を取り消すこともできます。

そこで、刑事弁護士としては、被害者の方の母親と連絡を取り、正式な謝罪と相当な被害弁償をするので未成年者誘拐事件の告訴を取り下げてもらえないかと交渉することができると考えられます。
刑事弁護士による示談交渉により、未成年者誘拐事件告訴を取り下げてもらうことができれば、Aさんは未成年者誘拐罪で起訴されることはなくなると考えられます。

未成年者誘拐罪のような親告罪では、刑事事件(特に示談交渉)に強い弁護士を選任することにより、円滑に示談を進めていくことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者誘拐事件告訴逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)

2021-08-07

愛知県豊山町の傷害事件(同時傷害の特例)

愛知県豊山町傷害事件同時傷害の特例)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

愛知県豊山町に住むAさんは、知人のBさんと愛知県豊山町内の歩道を歩いていたところ、Vさんに因縁を付けられたため、Vさんに対して暴行を加えました。
その際、BさんはAさんに加勢もせず、ただAさんによる暴行を見ているだけでした。
その後、Aさんは現場から立ち去りましたが、その場に残っていたBさんが倒れこんでいたVさんに殴る蹴るなどの暴行を加えました。
その結果、Vさんは全治2週間の怪我(傷害)を負ったとして、愛知県西枇杷島警察署の警察官に傷害事件の被害を訴えました。
Aさんは愛知県西枇杷島警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Vさんの怪我(傷害)はAさんとBさんのどちらの暴行によるものなのかは分からないとのことです。
(2019年10月4日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害罪とは】

傷害罪や暴行罪といった犯罪は、刑事事件のニュースや新聞でよく耳(目)にする犯罪ですが、傷害罪と暴行罪の違いは何でしょうか。

傷害罪については、刑法204条が以下のように規定しています。

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪の「傷害」(刑法204条)とは、人の生理機能を害することをいうと考えられています。
例えば、切り傷、打撲傷、骨折などはいずれも人の生理機能を害する傷害罪の「傷害」(刑法204条)にあたるといえます。

これに対して、暴行罪については、刑法208条が以下のように規定しています。

刑法208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪のいう「暴行」(刑法208条)とは、人の身体に対する有形力(物理力)の行使をいいますが、刑法208条に規定されている通り、暴行罪は、「暴行」を加えたが、その結果「傷害」が生じなかった場合に成立することになります。

ところで、刑事事件例では、Vさんは怪我(傷害)を負っていますが、AさんとBさんのどちらの暴行行為により怪我(傷害)が生じているのか判明していません。
このような場合、Aさんには傷害罪と暴行罪のどちらが成立するのでしょうか。

【同時傷害の特例とは】

刑法207条
2人以上で暴行を加えて人を傷害した場合において、それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、又はその傷害を生じさせた者を知ることができないときは、共同して実行した者でなくとも、共犯の例による。

刑法207条の同時傷害の特例は、以下のような場合を想定して規定された条文です。

加害者が二人いて、彼らは意思疎通(共謀)をすることなく被害者の方に暴行を加え、被害者の方は怪我(傷害)を負った。
しかし、被害者の方の怪我(傷害)が、加害者のうちどちらにより生じたのかが分からない。
暴行行為と怪我(傷害)に因果関係があるか分からないのであれば、加害者たちにはそれぞれ傷害罪ではなく、暴行罪が成立するのではないか。

刑法207条の同時傷害の特例は、以上のような場合を想定し、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと「推定」するものです。
この刑法207条の同時傷害の特例により、暴行行為と怪我(傷害)の因果関係があったと推定されると、推定が破られない限り、加害者たちにはそれぞれ傷害罪が成立することになります。

ここで刑事事件例をみてみると、加害者はAさんとBさんの二人であり、AさんとBさんは意思疎通(共謀)をすることなくVさんに暴行を加え、Vさんは怪我(傷害)を負いました。
しかし、Vさんの怪我(傷害)が、AさんとBさんの暴行のうちどちらにより生じたのか分かっていません。
そこで、刑法207条の同時傷害の特例が適用され、Aさんの暴行とVさんの怪我(傷害)の因果関係が推定され、推定が破られない限り、Aさんには傷害罪が成立することになります。
これはBさんにも同じことがいえ、Bさんにも傷害罪が成立することになります。

このように刑法207条の同時傷害の推定が働いた場合において、それでも傷害罪の成立を否定したいときは、自身の暴行と怪我(傷害)の間に因果関係がないことを立証していくことになります。
例えば、自分の暴行は被害者の方に怪我(傷害)を与える程度のものではないと主張・立証することになります。

傷害事件という名前だけ聞くと単純な刑事事件のように思えても、詳細な事情を専門的に細かく検討しなければならないこともあります。
だからこそ、弁護士への相談・依頼が重要なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊山町傷害事件同時傷害の特例)でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

NHK総合おはよう日本で則竹理宇弁護士が取材協力及びコメント映像出演

2021-07-20

2021 年 7 月 17 日(土) 午前 7 時~放送のNHK総合おはよう日本「特集けさのクロース゛アッフ゜」で、児童ポルノ事件に詳しい弁護士として弊所代表の則竹理宇弁護士が取材協力及びコメント映像出演を致しました。

 

【番組 URL】 https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/blog/bl/pzvl7wDPqn/

 

番組では、「児童ポルノ被害 拡散背景に違法サイト」という特集の中で、コロナ禍て゛拡大する児童ポルノビジネスの様相、犯罪摘発の現場、そして被害者救済の現場から長期化する被害の実態や被害をなくすために社会は何か゛出来るのか考える内容となっております。
弊所代表の則竹理宇弁護士は、児童ポルノ事件を多数取り扱ってきた刑事弁護士としての立場から、一般人でも気軽に参入できる児童ポルノの売買の実態や、児童ポルノ及び自撮り被害の現状について取材協力及びコメント映像の提供をしております。

強要罪と逮捕

2020-12-18

強要罪と逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

Aさんは、SNSを通じて千葉県長生郡一宮町に住むVさん(15歳)と知り合い、たわいもない会話をする仲になりました。ある日、Aさんが冗談で「裸が見たい」と言ったところ、Vさんは「いいよ」と言ってAさんに裸の写真を送りました。
それからというもの、AさんはたびたびVさんに裸の写真を送るよう言うようになり、ついには「俺とセックスしないと写真をばらまく」などと言うようになりました。
すると、Vさんから「茂原警察署に相談します。もう連絡しないでください」と言われたため、焦って弁護士に相談しました。
相談を受けた弁護士は、強要未遂罪や児童ポルノの罪に当たることを指摘したうえで、逮捕の可能性について説明しました。
(フィクションです。)

~強要罪について~

暴行または脅迫を用いて、人に義務のないことを負わせ、または権利の行使を妨害した場合、強要罪が成立する可能性があります。
強要罪は、他人の意思決定を害するという点で脅迫罪と共通点を持ちます。
ただ、脅迫罪が単に脅迫のみを以て成立するのに対し、強要罪は暴行・脅迫により一定の作為または不作為を生じさせた際に成立するものです。
このことから、当然ながら強要罪の方が重い罪と考えられています。
実際、脅迫罪の法定刑が2年以下の懲役または30万円以下の罰金であるのに対し、強要罪の法定刑は3年以下の懲役です。
罰金刑が選択される余地がない点で、強要罪は脅迫罪との比較を抜きにしても重大な罪の一つと言えるでしょう。

一定の作為または不作為を目的とする暴行・脅迫はあったものの、相手方がそれに応じなければ、強要罪は既遂に至っていないということになります。
この場合には、目的を遂げられなかったとして強要未遂罪とされることもあれば、手段だけを切り取って暴行罪または脅迫罪とされることもあります。
他方、暴行・脅迫を手段として作為または不作為を生じさせたからといって、必ず強要罪が成立するとは限りません。
たとえば、行わせた行為が性交であれば、強要罪ではなく強制性交等罪となって扱いが変わってくることが予想されます。
このように様々な罪と関連することから、強要罪の成立を争う幅は比較的広いと言えます。

~逮捕から勾留までの流れ~

逮捕から勾留までは以下の経過をたどります。

①逮捕

②警察官の弁解録取→釈放?

③送致(送検)

④検察官の弁解録取→釈放?

⑤勾留請求

⑥裁判官の勾留質問→釈放?

⑦勾留(決定)

このように、逮捕から勾留までは警察官、検察官、裁判官が手続に関与します。
それは、逮捕、勾留という重大な権利侵害について慎重を期すためです。

⑦勾留されると10日間の身柄拘束が決定します。
その後、法律上は延長も可能性もあります。
仮に、勾留された場合は勾留に対する不服申し立てを行って早期釈放を目指す必要があります。
また、延長されそうな場合は検察官に働きかけを行ったり、実際に延長された場合は不服申し立てを行って早期釈放を目指します。

比較的長期間の身柄拘束である勾留回避に向けては、警察官、検察官、裁判官に対して働きかけを行っていきます。
具体的には、意見書を提出したり、場合によっては直接面談することもあります。
なお、通常、弁護士が初回の接見のご依頼を受けてから弁護活動を始めることができるのは早くても③の段階です。
したがって、検察官、裁判官に対する働きかけがメインとなってくるでしょう。
もっとも、逮捕前から弁護活動のご依頼を受けていた場合は警察官に対する働きかけも行っていきます。

長期の身柄拘束となると様々場面で障害が出てきますから、早期に釈放されることに越したことはありません。
早期釈放をご希望の方は弁護士までご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

傷害事件で勾留阻止

2020-12-10

傷害事件と勾留阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県小牧市在住のXさんは、駅付近の居酒屋で仕事帰りに会社の同僚とお酒を飲んでいました。同僚と飲むのは楽しく、Xさんは飲みすぎてしまい、歩くのもおぼつかなくなりました。途中でトイレに行こうと思ったXさんは、別の席で飲んでいたYさんにぶつかってしまいました。ところが、Xさんは酔いすぎており、Yさんにぶつかったことに気が付きませんでした。YさんがXさんを注意したところ、Xさんはかっとなって胸ぐらをつかみYさんを転倒させ、怪我をさせてしまいました。そこから、2人はけんかとなり、店員に呼ばれた警察に制止されるまでお互いに殴る蹴るといった状況が続きましたが、警察官によりXさんは逮捕されることとなりました。逮捕時の罪名は傷害罪でした。

(フィクションです。)

~傷害罪~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

まず、傷害罪の規定から分かることは、傷害の対象者は「人」の身体だということです。つまり、「人」以外の動物などを傷害しても傷害罪に問われることはありません(この場合は、器物損壊罪(刑法261条)に問われることになります)。また、「傷害」の意義については諸説ありますが、判例、裁判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。打撲、骨折、創傷が「傷害」に当たることは明らかですが、中毒症状を惹起し、めまい、嘔吐をさせる、病菌を感染させるなども「傷害」に当たるとされています。

次に、規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが、その前提として、

1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為

が必要とされています。暴行とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい、殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなどがその典型といえるでしょう。暴行の故意とは、要は、怪我させるつもりはなかったという場合です。この、暴行の故意で暴行行為を働き、結果、傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われ得ることになります。他方、傷害の故意とは、傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き、結果、傷害を発生させた場合は傷害罪に、傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われ得ることになります。

最後に、暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって、例えば、暴行行為により被害者に骨折を負わせたとされても、暴行行為の前に、被害者が別の原因で骨折していたということが判明した場合は、「その行為がなくても結果は発生していた」といえますから因果関係は否定されることになり、傷害罪は成立しないことになります。

本件では、幸いにもVさんの一命は取り留められたようですが、仮に、その後Vさんが死亡した場合、Aさんはどんな罪に問われるのでしょうか?

刑法205条
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

これは傷害致死罪と呼ばれる罪名の規定で、Vさんが死亡した場合、Aさんは傷害致死罪に問われる可能性が出てきます。有期懲役の上限は20年(刑法12条1項)ですから、傷害罪に比べると格段に刑は重くなっています。また、裁判員裁判対象事件であるため、起訴されれば一般人が裁判員としえ裁判に参加することになります。ただし、傷害致死罪の場合も、行為(暴行行為、傷害行為)と死亡との間に因果関係があることが必要です。したがって、Vさんの入院中に、医師の手術が原因でVさんが死亡したという場合は、傷害致死罪ではなく傷害罪が成立する可能性が高いでしょう。

~勾留阻止による早期釈放の可能性~

警察署などに拘束されている状態を「逮捕されている」と表現することが多いかと思いますが、この「逮捕されている」という状況は、法的に表現すると、「逮捕」と「勾留」の2種類に分けられます。厳密には、身体拘束の開始の時点から勾留決定が出るまでの約3日間が逮捕で、そこから先は勾留ということになります。

逮捕から勾留までの流れを詳しく見ると、以下のようになるのが通常です。

① 警察により逮捕され、身体が拘束される
② 警察署での弁解録取などの取り調べを受ける
③ 警察署から検察庁へ移動する
④ 検察庁で再度取り調べを受ける
⑤ 検察官から勾留請求される(ここまでで1~3日以内)
⑥ 検察庁から裁判所へ移動する
⑦ 裁判所で、裁判官による勾留質問と勾留の当否の判断がなされる
⑧ 勾留決定を受け、再度警察署に戻る

早期釈放を目指す場合、弁護士は主に⑤および⑦の段階で「勾留されないこと」を目指します。
具体的には、検察官や裁判官が勾留請求または勾留決定という判断を下す前に、当事者の状況や聞き取った事件の概要、被疑者の主張等をまとめた書面を提出しまたは、直接検察官や裁判官と面談を行うことにより、法律上、勾留が妥当でないことを主張することになります。
こうした活動が成功すれば、勾留されないこととなり、逮捕された事件であっても最大で約3日のうちに釈放されます。
逆に勾留が決定されれば、10日から数か月単位で身体拘束が継続してしまいます。

以上で見たように、勾留されるかどうかという点は、逮捕された方にとって一つの大きな分岐点です。
勾留の阻止による早期釈放の可能性を少しでも高めるなら、ぜひ弁護士に事件を依頼してください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪をはじめとする刑事事件専門の法律事務所です。傷害罪などでご家族の方が逮捕された、警察の捜査、呼び出しを受けて困っている、被害者と示談したいなどとお考えの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。

« Older Entries

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら