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【解決事例】岡崎市の窃盗(万引き)事件で不送致処分獲得
窃盗(万引き)事件で不送致処分を獲得したことにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
ご本人様(40代男性)は愛知県岡崎市の書店で万引きをしたとして、愛知県岡崎警察署で取調べを受けていました。
ご本人様と奥様は、「万引きをして警察に行き、事情聴取を受けました、その後すぐに書店に行き、店長さんに謝罪と弁償をしていますが、これからどうなるのか心配です」
と相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動】
ご本人様には、同書店において過去に何度か万引きをしていました。
その件も含め、同書店の店長様(被害者様)に対し被害弁償と示談交渉を申し込んだところ、交渉に応じる旨のお返事を頂きました。
ご本人様と奥様が作成された謝罪文を被害者様に渡し、誠心誠意謝罪したい旨伝えたところ、ご本人様の刑事処罰を求めない旨を含めた示談を締結することができました。
その後岡崎警察署に、示談が締結された旨をまとめて、文章で提出したところ、ご本人様の事件は検察庁に送致されることなく、警察限り処分で終了となりました。
【まとめ】
窃盗事件の示談の場合、加害者が被害品の弁償金等の支払いをして、被害者からは身柄の早期釈放や寛大な処分などの意思表示をしてもらうことが多いです。
示談が成立すれば、
①逮捕・勾留中の場合は、釈放される可能性が高くなる
②不起訴となる有利な事情となる
③正式裁判になった場合でも、執行猶予付判決となったり、刑が軽くなる可能性高くなる
④窃盗事件の当事者間で、今後の民事的紛争が回避できる可能性が高くなる
等の大きなメリットがあります。
ただし、締結した示談の内容によっては、同じ事件で後日争いが蒸し返される可能性が有ります。
そのようなことにならないよう、示談交渉は窃盗事件の示談に詳しい弁護士に依頼しましょう。
このコラムをご覧の方で、窃盗(万引き)事件の被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、窃盗(万引き)事件に関するご相談を
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。
【解決事例】西尾市の児童ポルノ事件(少年事件)で、不処分獲得
児童ポルノ事件(少年事件)で不処分を獲得したことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
ご本人様(15歳)は、近所に住む女子児童複数人の裸の写真をメールで送らせ、それを友人に転送したとして、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反の容疑で、愛知県西尾警察署で任意の取り調べを受けていました。
ご両親は、「被害者様方には一刻も早く謝罪したいと考えています。また、息子の事件は刑事事件となるのかとても心配です。」と相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動】
被害者様は複数名いらっしゃり、それぞれの方に謝罪をしたい、それぞれの方に加害少年とその両親が作成した謝罪文を渡しましたが、そのうちお1人には謝罪文の受け取りを拒絶されました。
ご両親に対しては、加害少年に対し指導や教育を行い、生活環境を整えるようにお伝えしました。
その後、事件が家庭裁判所に送致されましたので、家庭裁判所に対し、①加害少年には補導歴などはなく、不良化の傾向は一切見られない、②加害少年は反省しており、自分の犯した罪に対する理解を深めるなど規範意識があがっていること、③加害少年とその両親が今回の事件についてよく話し合い、具体的対策をもって、加害少年と両親が、二度と事件を起こさないよう誓っていること、以上により、少年の更生環境は充分であり、保護処分は必要がない旨を主張しました。
その結果、保護観察をはじめとした保護処分が必要ない、不処分となりました。
【まとめ】
少年事件における、児童ポルノなどの性犯罪につきましても、成人事件と同様に被害者様への謝罪や、示談が重要です。
しかし同時に、少年事件の場合は、少年の生活環境を整えることもとても重要です。
具体的には、少年が性犯罪を犯す背景には、性に対する誤った認識があることが多いので、保護者だけではなく、第三者である弁護士からも、少年に対し、指導、教育を行っていくこともあります。
また、少年に好ましくない(非行的な)交友関係がある場合は、交友関係の見直しを含めた、生活環境を改善することも必要になるでしょう。
これらの状況が整えば、その旨を家庭裁判所に主張し、その少年に適切な処分を目指していくことになります。
子供が性犯罪、児童ポルノ事件を起こしてしまった、被害者様に謝りたい、どのような処分になるのか心配だ、という方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、これからの謝罪や、少年審判の見通しについてご説明致します。
【解決事例】不起訴処分の獲得による有利な事件解決
今回は、不起訴処分によって傷害事件を有利に解決する弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【ケース】
愛知県安城市にある居酒屋でお酒を楽しんでいたAさんは、隣席の客Vさんのマナーに立腹し、苦情を申し入れました。
ところが、不服に感じたVさんはAさんに反論し、AさんとVさんは口論となってしまいました。
カッとなったAさんは、手提げカバンでVさんの顔面を殴打したところ、Vさんは軽い擦過傷を負いました。
店主の通報によって駆け付けた安城警察署の警察官により、Aさんは傷害の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
【傷害罪について解説】
傷害罪とは、その名の通り、人の身体を傷害する犯罪です(刑法第204条)。
Aさんは手提げカバンでVの顔面を殴り、軽い擦り傷を負わせていますが、このような擦り傷も傷害罪にいう「傷害」に該当します。
暴行によって傷害を負わせてしまった場合には、Aさんにおいて被害者を傷害するつもりがなくても傷害罪が成立します。
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
【ケースの事件を有利に解決する方法】
ケースの事件においては、①早く外に出ること、②刑罰を受けないようにすることが重要です。
①に対応する弁護活動として、身柄解放活動への着手が挙げられます。
そして、②に対応する弁護活動として、不起訴処分の獲得が挙げられます。
まずは、身柄解放活動の説明のため、逮捕後の手続を概略することにいたします。
(逮捕後の手続)
Aさんに留置の必要があると認められた場合、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
検察へ送致された後は、検察官が身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを決定します。
勾留を請求され、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。
検察官は勾留の満期日までにAさんを起訴するか、あるいは不起訴とするか、または処分を保留して釈放するかを決めます。
【身柄解放活動とは】
身柄解放活動とは、早期の身柄解放を目指して行われる弁護活動です。
先述した逮捕後の手続には、Aさんの身体拘束を継続するか否かを判断する機会が複数存在します。
もし、早い段階(送致前や勾留請求前)で釈放されれば、社会復帰を円滑に遂げられる可能性が高まります。
【刑罰を受けないようにするためには】
ケースの事件が傷害被告事件として起訴され、有罪判決を受ける場合には、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金を言い渡されることになります。
懲役刑や罰金刑を受けた事実は前科となってしまいます。
このような事態を回避するためには、そもそも裁判にかけられないようにするために、「不起訴処分」の獲得を目指す弁護活動が考えられます。
不起訴処分とは、検察官が被疑者を裁判にかけないものとする処分をいいます。
有罪を立証する証拠が十分に収集できなかった場合や、事件後の被疑者の状況(事件の経緯、被害者への賠償の有無、反省の態度、身元引受人の状況)を考慮し、検察官が不起訴処分とする場合があります。
ケースの場合、不起訴処分を獲得するためにはVと示談をすることが考えられます。
Vに対して謝罪をし、生じさせた損害(治療費や慰謝料など)を賠償した上、示談を成立させることができれば、不起訴処分がなされる可能性が高まります。
まずは刑事事件に熟練した弁護士と相談し、今後の弁護活動に関するアドバイスを受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【解決事例】碧南市の窃盗事件(万引き)で不送致処分を獲得
窃盗事件(万引き)で不送致処分を獲得したことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
ご本人様(50代男性)は、愛知県碧南市にある書店で雑誌(1500円相当)を万引きしたとして、碧南警察署で取調べの予定が入っていました。
ご本人様は「既に警察官と一緒に、店長さんに今回の件については謝罪と賠償をしています。ですが私はこのお店で何回か万引きをしており、今後そのことを取調べの時に聞かれるようです。これから私はどうなるのでしょうか。」と不安げに相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動】
弁護士より被害店舗様に、「ご本人様も大変反省していますので、示談をさせていただけないでしょうか。」と申し出たところ、「わかりました、お話をうかがいます。」と被害店舗様より回答がありました。
その後、被害店舗様より「今までの万引き分も含め、示談金として3万円を払っていただければ被害届を取り下げます。ただし今後は店舗には一切近づかないで下さい。」との回答があり、こちらの内容で示談を締結することができました。
弁護士は示談の内容をまとめ、碧南警察署に提出し、被害届は取り下げられました。
被害届が取り下げられたことにより、事件は検察庁に送致されることなく、ご本人様は不送致処分(警察限り措置)となりました。
【まとめ】
窃盗事件における示談とは、被害額の弁償や慰謝料を払うことで、窃盗事件を起こしたことに対し、被害者から許してもらう契約のことです。
窃盗事件の示談の場合、加害者が被害品の弁償金等の支払いをし、その後被害者から、身柄を拘束されていれば身柄の早期釈放や、加害者に対して寛大な処分をしてください、といった意思表示をしてもらうことが多いのです。
示談の効果として、①警察が介入する前に示談が成立すれば、事件にはならない、②身柄が解放される確率が高くなる、③不送致、不起訴の大きな理由になる、④正式裁判になったとしても、執行猶予付き判決など刑が軽くなる可能性が高くなる、⑤示談が成立した当事者間での、今後の民事的紛争が避けられる可能性が高くなる、などがあります。
窃盗事件においては、警察介入前から事件終了まで、示談のもたらす効果は大きいものです。
示談を成立させるには、窃盗事件の示談に詳しい弁護士に依頼し、示談交渉してもらうのがよいでしょう。
窃盗事件、万引き事件で被害者様と示談をしたいという方は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にて、ご相談の予約を受け付けております。
【解決事例】大型商業施設で女性のスカート内を盗撮 被害者多数で罰金刑
商業施設で女性のスカート内を盗撮した事件で、被害者多数で罰金刑となった解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事件の概要】
愛知県刈谷市出身の会社員Aさんは、実家に帰省した際に、実家の近くにある商業施設で、小型カメラを使用して、女性のスカート内を盗撮した容疑で愛知県刈谷警察署で取調べを受けていました。
Aさんは、小型カメラを使用して盗撮しており、その様子を目撃した警備員に捕まってしまったのですが、この日、Aさんは複数の女性のスカート内を盗撮しており、警察に押収された小型カメラには、その様子が残っていました。
被害者が多数であったことから、被害者全員との示談ができなかったことから、Aさんは、初犯にも関わらず略式起訴による罰金刑となってしまいました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
【愛知県内の盗撮事件】
愛知県内の盗撮行為は、愛知県迷惑防止条例で規制されています。
愛知県迷惑防止条例では
①公共の場所や乗物
②公衆が使用することができる浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所
③不特定又は多数の人が利用する場所や乗物
での盗撮行為が禁止されています。
盗撮行為として規制されているのは、Aさんのように実際に女性のスカート内にカメラを入れて撮影する行為は当然のこと、盗撮する目的でカメラ等を設置する行為も規制対象となるので、盗撮しようとカメラを向けたが撮影前に見つかって撮影できていなかった場合や、撮影に失敗して盗撮画像が残っていなかった場合でも処罰の対象となるので注意が必要です。
【被害者多数の場合】
盗撮事件の弁護活動では、被害者との示談を締結することで不起訴処分となる事件がほとんどですが、被害者多数の場合は、示談の締結が非常に困難です。
愛知県迷惑防止条例は、県民生活の平穏の保持を目的にした条例ですので、捜査当局は立件するに当たって全ての被害者を特定する必要はありません。そのため、弁護活動において全ての被害者と示談を締結するのは非常に困難だと言えるのです。
【盗撮行為で罰金刑】
愛知県迷惑防止条例によると、盗撮行為で起訴されて有罪が確定すれば「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。(常習の場合は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」)
先述したように被害者との示談を締結できれば不起訴処分となる可能性も十分に考えられますが、そうでなければ、初犯でも略式起訴による罰金刑が科せられる可能性が高いでしょう。
略式起訴による罰金刑でも前科となるので、前科を避けたい方は早めに被害者と示談を締結する必要があります。
このコラムをご覧の方で、盗撮事件の被害者との示談を希望されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、盗撮事件に関するご相談を
フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を受け付けております。
税関職員によるあへん煙の輸入と自首
税関職員によるあへん煙の輸入と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは税関の職員ですが、1か月ほど前より友人の暴力団員Bさんに頼まれて、Bさんが所属する暴力団が行っている、あへん煙のが入った密輸入した荷物を故意に見逃すなど密輸入に協力していました。
AさんはBさんから「これからも頼むよ」と協力するように言われていますが、Aさんは良心の呵責に耐えかねて自首を検討しています。
(フィクションです)
【あへん煙とはどのようなものですか】
あへん煙とは、煙を吸うためのあへんのことで、「あへん煙膏(えんこう)」ともいわれています。
ケシという植物の液汁を乾燥させて固めたものを「生あへん」といい、生あへんを加工して煙を吸うために使われるのが「あへん煙膏」です。
【どのような罪に問われますか】
あへんについては、「あへん法」や「麻薬特例法」の規制を受けることになりますが
今回のように税関職員があへん煙、あへん煙を吸引・摂食するための器具を輸入・輸入の許可をした場合には刑法第138条の規制を受けることになります。
刑法第138条について詳しく見ていきましょう。
刑法第138条(税関職員によるあへん煙輸入等)
税関職員が、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入し、又はこれらの輸入を許した時は、1年以上10年以下の懲役に処する。
とあります。
また、未遂は罰せられます。(刑法第141条)
刑法第138条は、前段があへん煙等の輸入罪、後段があへん煙等の輸入許可罪に分けられます。
輸入罪は、あへん煙又はあへん煙を吸食するための器具を輸入することを、税関職員という身分のある者が犯すことで刑罰が重くなる不真正身分犯です。
輸入許可罪は、輸入を取り締まる立場にいるはずの税関職員が、他人があへん煙輸入罪とあへん煙吸食器具輸入罪を犯すことに協力する犯罪です。
輸入の許可をする立場にある税関職員のみが犯すことができる真正身分犯です。
※不真正身分犯とは、構成要件において行為者が一定の身分をもつことで法定刑が加重あるいは減軽されるものをいいます。
※真正身分犯とは、構成要件において行為者が一定の身分をもたなければ犯罪を構成しないものをいいます。
【自首をしたい】
自首とは、犯罪事実や犯人が誰であるかが発覚する前に、犯人自らが捜査機関に対して、自分が罪を犯しましたと申告し処分を委ねることです。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができると刑法第42条で定められており、裁判所の判断により刑が減軽されることがあります。
しかし、自首が成立しても、必ず刑が軽減されるわけではなく、軽減されるか否かは裁判所の判断にゆだねられます。
さらに、自ら警察署に赴いて罪を認めても、自首が成立しないことがあります。
自首が成立する要件として
①捜査機関に発覚する前の申告であること
②自発的に自己の犯罪事実を申告すること
③自己の訴追を含む処分を求めること
④捜査機関に対する申告であること
があります。
もちろん自首をすれば事件が明らかになり、最終的には刑罰を受けるおそれがありますので、本当に自首をすべきかどうかは、今警察署に行って犯罪事実を申告することが自首に該当するのかどうかも含め慎重に判断すべきです。
自分が何らかの罪を犯したことが間違いないのであれば、自首をするべきかも含め、これからどうしたら良いのかを一度薬物事件や刑事事件に強い弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、薬物事件を多く扱う刑事事件専門の法律事務所です。
税関職員だがあへん煙の密輸入に関わってしまった、家族が税関職員によるあへん煙輸入等罪で逮捕されてお困りの方は、年中無休で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。
現住建造物等放火罪と逆送
現住建造物等放火罪と逆送について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【刑事事件例】
17歳のAさんは以前から火が大きく燃え上がるのを見てみたいと思っており、どこかに火をつけようとしていました。
ある夜Aさんは愛知県知多市のVさん宅の軒下にあるVさんの自転車のサドル部分にライターで火をつけ、炎が上がったのを確認して近くからそれを見ていました。
炎はVさん宅の軒下部分に燃え移り、軒下の一部が燃え始めましたが、AさんはVさん宅に燃え移っても別にいいと思っていました。
結局Vさん宅は全焼し、この家に住むVさんは亡くなりました。
Aさんは現住建造物等放火罪などで愛知県知多警察署に逮捕されましたが、Aさんの両親が少年事件について調べた結果、未成年でも刑事処分になることがあると知り、少年事件に強い弁護士に弁護を依頼しました。
(フィクションです)
【放火の罪について】
放火の罪には様々な種類があります。
条文を見ていきましょう。
・現住建造物等放火(刑法第108条)
放火して、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船または鉱坑を焼損した者は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役に処する。
・非現住建造物等放火(刑法第109条)
1放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船または鉱坑を焼損した者は、2年以上の懲役に処する。
2前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
・建造物等以外放火(刑法第110条)
1放火して、前2条(108条、109条のこと)に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する。
(対象物は、自転車、バイク、航空機、門、塀、橋、畳、机、椅子、ゴミ箱などです。)
いわゆる「放火の罪」の条文はこのようになっていますが、
放火はしたものの「公共の危険」が発生しなかった時は器物損壊罪となります。
※「公共の危険」とは、不特定または多数人の生命、身体、財産に危険を生じさせる状態のことをいいます。
判断基準は、火力の程度、他人の住居などの隣接状況、当時の風向き、風速、気温などの気象状況、昼間か夜間化などの事情によります。
【放火の罪のそれぞれの違い】
①現住建造物等放火罪と非現住建造物等放火罪を分けるものは、「現に人が使用している(人とは犯人以外の一切の人のこと)」または「人が現在している(現在とは放火の当時犯人以外の者が中にいること)」かそうではないかです。
②建造物等以外放火罪と現住建造物等放火罪を分けるものは、現住建造物等の一部でも焼損したか否かとその故意を有していたかです。
【逆送とは】
Aさんの両親が調べた、「未成年でも刑事処分になることがある」とは「逆送」のことです。
逆送とは、家庭裁判所が送致された少年を調査した結果、保護処分ではなく刑事処分を科すことが相当であるとして検察に送致することです。
このことを検察官送致決定といい、「逆送」といわれています。
家庭裁判所から刑事処分相当として検察官に送致された場合、検察官は、公訴提起するに足りる犯罪の嫌疑があると思慮するときは起訴しなければならないとされています。
逆送される理由は2つあり
①年齢超過を理由とする(年齢超過逆送)
②刑事処分相当を理由とする(刑事処分相当逆送)
があります。
①の年齢超過を理由とするについては、審判時に少年が20歳以上に達している場合、少年法の適用対象ではなくなるため、家庭裁判所は逆送しなければなりません。(犯行時、逮捕時の年齢ではありません。)
②の刑事処分相当を理由とするについては、家庭裁判所は、死刑、懲役または禁固にあたる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分相当と認めるときは、事件を検察官に送致を決定しなければならないとされています。
また、犯行時に16歳以上の少年で、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪にあたる事件の場合には、原則として検察官に送致しなければならないとされています。
なお14歳未満の者は刑事責任能力がないとされているため、逆送されることはありません。
上記の理由により、Aさんに対しても逆送される可能性は高いと思われます。
しかし、少年事件に強い弁護士は逆送をされないために様々な弁護活動を行っていきます。
具体的には、家庭裁判所の裁判官に対し、少年に対する処遇として刑事処分が相当ではないことを主張していきます。
まず「刑事処分が相当である」とは、保護処分によっては少年の矯正改善の見込みがない場合(「保護不能」といいます。)があります。
それに加え、事案の性質、社会感情、被害者感情等から、保護処分に付すことが社会的に許容されない場合(「保護不適」といいます。)があるといわれています。
つまり、少年は保護処分により更生できることを主張を家庭裁判所の裁判官に主張し、更に事案の性質、社会感情、被害感情等から、保護処分に付すことが社会的にも許容されるということを、具体的な事情を踏まえて主張していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、放火の罪、現住建造物等放火罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が放火の罪、現住建造物等放火罪で話を聞かれることになった、または逮捕されてしまった、逆送を防ぎたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
商品を見せてもらいそのまま盗むこと
商品を見せてもらいそのまま盗むことについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは指輪を買うつもりで愛知県東海市にある貴金属店に行きましたが、自分の欲しい指輪は高価で買えそうにありませんでした。
そこでAさんはショーケースの中にある指輪を指して「これを見せてください」と言い、店員から指輪を受け取り自分の指にはめました。
その時店員がAさんから目を離したため、Aさんはその隙に指輪をはめたまま店外に走って逃走しました。
数日後、Aさん宅に愛知県東海警察署の警察官が訪れて、Aさんは窃盗罪で逮捕されました。
Aさんは、事件のことが会社にばれてしまうのではないかと気が気ではありません。
(フィクションです)
【店員を騙しているのに窃盗罪になりますか】
Aさんは、店員を「騙して」指輪をとっているので、「窃盗罪」ではなく「詐欺罪」になるのではないかと思われるかもしれませんが、今回は窃盗罪にあたる可能性が高いのです。
ではその理由を見ていきましょう。
詐欺罪が成立するには
①欺く行為がある②錯誤に陥る③財産的処分行為がある④財物の交付がある
ことが必要で、更に①~④が繋がっていることが必要です。
この中で③の「財産的処分行為」とは、財物を処分できる権限がある者が財物を交付することです。
事例の場合、店員が指輪を一時的に見せることは財産的処分にはあたらないとされています。(東京高等裁判所昭和30年4月2日判決)
今回は、店員が財産的処分行為をしていないので、詐欺罪にはならず、窃盗罪が成立するのです。
窃盗罪は刑法第235条に規定があり
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とあります。
【事件のことを秘密にしたい】
窃盗事件で逮捕されると、テレビ、新聞、インターネットなどで報道されてしまう可能性が有ります。
報道されると、会社の人や近所の人などに事件のことが知られてしまう可能性が高まります。
そうなれば、最悪の場合、会社を解雇されてしまったり、引っ越しせざるを得なくなったりするかもしれません。
また、報道されずとも、逮捕され、その後勾留されれば最長23日間は警察署の留置場にいることになりますので、会社を休まざるを得なくなり、そこで事件のことが発覚してしまう可能性があります。
事件が報道されるか否かについては、捜査機関(警察など)から情報提供を受けた報道機関が判断します。
弁護士は捜査機関に、事件について報道機関に情報提供を行わないように働きかけることも可能です。
逮捕、勾留された場合は、やはり早く釈放されればその分会社の人や近所の人に知られる可能性が低くなります。
弁護士は、被害者と示談交渉を行う、裁判所の勾留決定に対し不服申し立てを行うなど、早期に身柄が解放されるよう弁護活動を行うことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗罪に詳しい弁護士も在籍しております。
ご家族やご自身が窃盗罪で逮捕された、事件のことを周囲に知られたくないという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。
【解決事例】半田市の盗撮事件で示談成立と不起訴処分獲得
盗撮事件で示談成立と不起訴処分を獲得できた事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【事案の概要】
ご本人様(50代男性)は、通勤時の電車内で女子高校生のスカート内を盗撮したとして、半田警察署で捜査されていました。
奥様は、「本当に申し訳なく、相手の方に謝りたいと考えています。また、夫の会社に事件のことが知られてしまうと会社を解雇になるかもしれません。」と大変不安なご様子で相談時にお話されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
【弁護活動】
被害者様とそのお母様は大変大きなショックを受けており、事件のことをお話されるのを拒絶されたため、被害者様のお父様と示談交渉を行いました。
その結果、①被害者様とは今後一切接触しないこと、②示談金30万円を支払うこと、③謝罪や示談金の支払いを受けたことにより、被害者様は加害者を許すこと、④示談成立後は、被害届や告訴の提出などは行わない、などの内容で示談が締結しました。
また、①今後一切接触しないことの補強として、ご本人様の奥様より「通勤時の電車の路線や時間を変更する」旨のお話を頂きました。
その後、締結した示談書、示談金の受領書、被害届取下げ書などを検察庁に提出した結果、ご本人様は不起訴処分となり、お勤めの会社にも事件のことが知られることはありませんでした。
【まとめ】
示談とは、あくまで当事者間での話し合いによるもので、方法や内容に法律による定めはないため、盗撮事件の被害者と加害者が直接お話をすることもできるのです。
しかし、ほとんどの被害者は、加害者との直接の連絡、話し合いを拒否されるのです。
仮に直接の連絡を許してもらえたとして、当事者間での直接の話し合いは、お互いが感情的になることも多く、うまくまとまらないことが多いのです。
ですので、当事者の間に弁護士が入ることにより、被害者も冷静に対応してくれ、その結果示談がまとまる可能性も高くなるのです。
盗撮などの性犯罪における示談交渉は、刑事事件、性犯罪・わいせつ事件に強い弁護士にぜひお任せ下さい。
盗撮事件、性犯罪・わいせつ事件で被害者と示談を行いたいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。
事件について詳細に確認をとったうえで、今後の示談の見通しについてご説明いたします。
他人の預金通帳を使っての払戻しと保釈
他人の預金通帳を使っての払戻しと保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県海部郡蟹江町に住むAさんは生活費に困り、ルームシェアをしているBさんの預金をおろすことにしました。
AさんはBさんの預金通帳と印鑑を盗んで、銀行に行きBさんになりすまして払戻請求書に必要事項を記載し、銀行の窓口に差し出しました。
銀行窓口の係員は、AさんをBさんだと思い預金を支払う手続きを行い、現金をAさんに渡しました。
Aさんは愛知県蟹江警察署の警察官に窃盗罪と詐欺罪の容疑で逮捕、勾留され起訴されました。
Aさんには前科があるので、Aさんも実刑になることは覚悟しているのですが、刑務所に収監される前に一度愛知県蟹江警察署の留置場から出て、家族に会ったり、様々な手続きを済ませたいと考えています。
(フィクションです)
【Aさんの行為について】
Aさんの行為については
①Bさんの預金通帳と印鑑を盗んだことが窃盗罪
②Bさんになりすまし、銀行の窓口の係員をだまして現金を得たことが詐欺罪
に問われる可能性があります。
①の窃盗罪は刑法第235条に規定があり
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
とされています。
つまり、他人の占有する財物を、占有者の意思に反してその占有を侵害し、財物を自分や第三者の占有に移す(自分や第三者のものにする)と窃盗罪となります。
Aさんも、Bさんが占有する預金通帳と印鑑を、Bさんの許可なく勝手に持ち出し、自分のものとしたので、窃盗罪が成立すると思われます。
②の詐欺罪は刑法第246条に規定があり
1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
とされています。
つまり、Aさんは自分はBさんであると銀行窓口の係員を欺いて、その結果係員に現金を交付させたので詐欺罪が成立すると思われます。
【留置場から出たい!そのような時には…】
留置場から出る活動には、時期が勾留時から起訴後まで様々な種類があります。
その中には「保釈」という手続きがあります。
保釈とは、起訴後にのみ認められている制度で、保釈金の納付を条件として、勾留の執行を停止し、拘禁状態を解く制度のことです。
法律上は原則として保釈を認めており、これを「権利保釈」といいます。
ただし、以下の場合は例外的に保釈が認められないとされています。
①死刑、無期、短期1年以上の懲役刑や禁固刑にあたる罪を犯したものであるとき
②以前に死刑、無期、長期10年を超える懲役刑や禁固刑に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき
③常習として長期3年以上の懲役刑や禁固刑に当たる罪を犯したものであるとき
④罪証隠滅(証拠隠滅)のおそれがあるとき
⑤被害者やその事件の関係者や親族の身体もしくは財産に害を加え、またはこれらの者を畏怖させる行為をするおそれがあるとき
⑥被告人の氏名または住所がわからないとき
【保釈が認められない場合にあてはまったら絶対に無理なのですか?】
上記の保釈が認められない場合に該当する場合でも、裁判所は適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます。
なお、裁判所に納める保釈金は一般の刑事事件であれば、最低でも150万円~200万円が相場とされています。
保釈金の準備ができない場合には、保釈保証金を立て替えてもらえる制度もあります。
この保釈金は、保釈時に裁判所が提示した保釈時の条件等(証拠隠滅をしない、裁判に出席するなど)に違反してしまうと、身柄拘束を再度されると同時に裁判所に没収されてしまいます。
しかし、裁判が終結するまで保釈時の条件等に違反しなければ、裁判の結果がどのようなものであれ、保釈金は全額返ってきます。
保釈に関してのご説明や手続きにつきましては、刑事事件に強い弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の詐欺罪への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が他人の預金通帳で現金を払い戻して話を聞かれることになった、保釈について相談したい方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。