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ギャンブルと賭博罪
ギャンブルと賭博罪
ギャンブルと賭博罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
事例
Aさんは、愛知県名古屋市中川区に住む男性です。
Aさんは、ギャンブルが好きであり、競馬、競輪、競艇などの様々なギャンブルを行ってきました。
ある日、Aさんは知人の紹介を受けていわゆる同じ愛知県名古屋市中川区内にある闇カジノを行っている店を利用しました。
しかし、Aさんがそのカジノに行った当日、愛知県中川警察署の捜査が入り、Aさんは、愛知県中川警察署の警察官に単純賭博罪で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは釈放されましたが、ほかにも行っている競馬などが法律に違反しないか心配になったAさんは、刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです。)
~賭博罪とは~
賭博罪は、刑法に定められている犯罪です。
賭博罪には、単純賭博罪と常習賭博罪がありますが、単純賭博罪を単に賭博罪と言うこともあります。
(ここでは、2つの賭博罪の総称として「賭博罪」とし、185条、186条1項に当たる犯罪をそれぞれ「単純賭博罪」、「常習賭博罪」とします。)
その賭博罪は、以下のように定められています。
刑法第185条
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。
ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
刑法第186条1項
常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
これらの条文における賭博とは、
「偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」
とされています。(大塚裕史ほか『基本刑法Ⅱ 各論(第2版)』457頁〔豊田兼彦〕日本評論社、2018)
つまり、賭けたものについて利益を得られるかどうかが運任せになっている行為が賭博に当たると言うことになります。
次に単純賭博罪と常習賭博罪の区別において重要となる常習性とは、
「賭博を反復累行する習癖」
とされています。(大塚裕史ほか『基本刑法Ⅱ 各論(第2版)』457頁〔豊田兼彦〕日本評論社、2018)
つまり、賭博行為をどれだけ繰り返し行っていたかと言うことを指します。
そのため、過去にどれだけ行っていたかと言う点や賭博の方法などによって判断されます。
Aさんの闇カジノでの賭博行為についてみていきます。
カジノにおいては、それぞれ偶然に左右されるゲームの結果によって、金銭を得たり、失ったりするのが通常ですから、賭博罪に当たる可能性が高いです。
他方で、Aさんがこの闇カジノ店を訪れたのは初めてですから、常習性は認められないでしょう。
そのため、Aさんは、単純賭博罪に問われる可能性が高いと考えられます。
~公営ギャンブルは賭博罪にならないのか?~
では、競馬などの公営ギャンブルは賭博罪に当たるのでしょうか。
法律の基本のルールとして、特別法は一般法に優先するというルールがあります。
そして、刑法はこれら2つの内、一般法に当たります。
そのため、特別法に当たる別の法律で行うことが認められているのであれば、その公営ギャンブルは行うことができます。
そして、公営ギャンブルである、競馬、競艇、競輪、オートレースはそれぞれ以下の法律に規定が置かれています。
競馬法
第1条の2 日本中央競馬会又は都道府県は、この法律により、競馬を行うことができる。
モーターボート競走法
第2条 都道府県及び人口、財政等を考慮して総務大臣が指定する市町村(以下「施行者」という。)は、その議会の議決を経て、この法律の規定により、モーターボート競走(以下「競走」という。)を行うことができる。
自転車競技法
第1条 都道府県及び人口、財政等を勘案して総務大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)は、自転車その他の機械の改良及び輸出の振興、機械工業の合理化並びに体育事業その他の公益の増進を目的とする事業の振興に寄与するとともに、地方財政の健全化を図るため、この法律により、自転車競走を行うことができる。
小型自動車競走法
第3条第1項 都道府県並びに京都市、大阪市、横浜市、神戸市、名古屋市、都のすべての特別区の組織する組合及びその区域内に小型自動車競走場が存在する市町村(以下「小型自動車競走施行者」という。)は、その議会の議決を経て、この法律により、小型自動車競走を行うことができる。
以上のように一般に公営ギャンブルと呼ばれる競技はそれぞれ特別法により、実施者を限定したうえで、実施してもよいという規定が存在しています。
そして、実施が認められている以上、それらの競技を行うことも合法になります。
そのため、一般法である刑法よりもこれらの規定が優先され、公営ギャンブルは合法になっています。
したがって、Aさんは、競艇などによって有罪になることはありません。
賭博事件はそう頻繁に起こる刑事事件ではないことから、手続きや処分、見通しが分かりづらくなりがちです。
だからこそ、弁護士に相談し、サポートを受けることで不安解消のための一歩となるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
専門のスタッフが24時間体制で無料法律相談・初回接見サービスのお問い合わせを受け付けております。
痴漢で冤罪 弁護士に相談
痴漢で冤罪 弁護士に相談
痴漢の冤罪の対応について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
~事例~
Aさんは,名古屋市内の会社に勤務する男性です。
ある朝,Aさんは,出勤のため名古屋市営地下鉄名城線に乗車していました。
乗車した列車は満員の状態であり,手すりもつかめない状態でした。
その状態の中,名古屋市中区にある栄駅付近でAさんは前に立っていたVさんに痴漢したと声をあげられてしまいました。
AさんはVさんに連れられて栄駅の駅長室に行き,駅長や駅員の通報で駆けつけた愛知県警中警察署の警察官から痴漢をしたとして事情聴取を受けてしまいました。
しかし,AさんはVさんに一切触った記憶はなく,冤罪であると考えています。
そのため,今後のことが不安になったAさんは,刑事事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(この事例はフィクションです)
~痴漢とは,どのような犯罪か~
痴漢行為の多くは,各都道府県の条例に違反したとして処分される犯罪となります。
ただし,程度が重かったり態様が異なっていたりする場合は刑法に定められている強制わいせつ罪などに当たると判断される場合などもあります。
前者の場合について,愛知県では,以下の様に定められています。
愛知県迷惑行為防止条例
第2条の2 (卑わいな行為の禁止)
何人も、公共の場所又は公共の乗物(第3項に定めるものを除く。)において、正当な理由なく,人を著しく羞恥させ,又は人に不安を覚えさせるような方法で,次に掲げる行為をしてはならない。
1 人の身体に,直接又は衣服その他の身に付ける物(以下「衣服等」という。)の上から触れること。
同条例第15条 (罰則)
第2条の2又は第2条の3第1項の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
愛知県迷惑行為防止条例違反としての痴漢が成立するためには,原則として以下のことが必要になります。
1 人の身体に触れること
2 人の身体に触れる行為が人を激しく羞恥させたり,不安を覚えさせるような方法であること
3 公共の場所又は公共の乗り物で行われたこと
4 正当な理由がないこと
このうち,2の方法は,触ることによって恥ずかしく感じさせる行為などがこれに当たります。
そのため,お尻など触られると恥ずかしく感じさせる部位を触ることがこれに当たります。
また,上記の部位ではない部分を触るとしても,触り方がくすぐりに近い場合などは上記の行為に当たる可能性があります。
他方で,条例違反ではなく,刑法の強制わいせつ罪(刑法第178条1項)に当たりうる場合としては,下着の中に手を入れて胸や性器を触る場合が考えられます。
この場合は,単に触るだけではなく,わざわざ下着の中に手を入れて、性器などを直接触るという行為が悪質と判断される可能性が高いためです。
また,4の正当な理由がないという点は,以上の1,2の行為を行なう必要があるかということです。
具体例としては,警察官が必要に応じて身体検査を行う場合などが考えられます。
~冤罪で痴漢を疑われたら~
では,Aさんの様に冤罪にも関わらず痴漢を疑われた場合,どのようなことができうるでしょうか。
例としては,その場で微物検査やDNA検査を要請する,取調べ前に弁護士に会って相談しアドバイスをもらう,といったことが考えられます。
ただし,これはあくまで例であり,事件ごとの詳細な事情を踏まえて対応をしていく必要があるといえるでしょう。
また,このような冤罪を訴える場合には,やっていないことについて取調べで聞かれ続けるなど,大変な困難が待ち受けることになると考えられます。
そのため,なるべく早く刑事事件に精通した弁護士に相談し,抑えるべきポイントを踏まえた上で取調べに対応することが求められるでしょう。
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離婚届の偽造で文書偽造事件に発展してしまったら
離婚届の偽造で文書偽造事件に発展してしまったら
離婚届の偽造で文書偽造事件に発展してしまった場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県碧南市に住むAさんは夫であるVさんと不仲になり、別居状態にありました。
Aさんは離婚届にVさんを装って署名捺印(Vさんの印鑑を使用)し、碧南市役所に提出しました。
碧南市役所は窓口への届け出が夫婦そろってなされたものでなかった場合、離婚届の受理後に、夫婦の一方に通知しており、この通知でVさんはAさんによる離婚届の提出に気付きました。
その後、民事訴訟により離婚の無効が確認されましたが、VさんはAさんの処罰を求めて、愛知県碧南警察署に刑事告訴しました。
その結果、Aさんは愛知県碧南警察署の警察官により有印私文書偽造罪・同行使罪、電磁的公正証書原本不実記録罪・同供用罪の容疑で逮捕されました。
(2019年1月24日に朝日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
今回の事例のAさんには、有印私文書偽造罪・同行使罪、電磁的公正証書原本不実記録罪・同供用罪と、4つもの犯罪が成立しているようです。
一度に異なる4つの犯罪が成立し逮捕されてしまうとなれば、被疑者であるご本人はもちろん、そのことを知った周囲の方も困惑されることでしょう。
まずは今回のAさんの逮捕容疑である4つの犯罪それぞれついて簡単に見ていくことにしましょう。
【有印私文書偽造罪とは】
刑法159条1項
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書…を偽造し…た者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
有印私文書偽造罪の「偽造」とは、名義を偽ることをいいます。
刑事事件例では、AさんはVさんを偽って離婚届を作成しており、ここに有印私文書偽造罪の「偽造」があったと考えられます。
また、有印私文書偽造罪の「権利、義務若しくは事実証明に関する文書」とは、社会生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書をいいます。
離婚届は、この有印私文書偽造罪の「権利、義務若しくは事実証明に関する文書」に該当します。
以上より、Aさんには有印私文書偽造罪が成立すると考えられます。
【偽造私文書行使罪とは】
刑法161条1項
前2条の文書…を行使した者は、その文書…を偽造し…た者と同一の刑に処する。
偽造私文書行使罪の「行使」とは、偽造した文書を真正な文書として使用することをいいます。
具体的には、偽造私文書行使罪の「行使」とは、人に偽造した文書の内容を認識させ、または認識可能な状態に置くことをいいます。
刑事事件例では、Aさんは実際に偽造した離婚届を提出しており、偽造私文書行使罪の「行使」があったといえると考えられます。
以上より、Aさんには偽造私文書行使罪が成立すると考えられます。
【電磁的公正証書原本不実記載罪とは】
刑法157条1項
公務員に対し虚偽の申立てをして、…戸籍簿…その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記載をさせた者には、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
公正証書原本不実記載罪の「公正証書」とは、公務員がその職務上作成する文書であって、権利、義務に関するある事実を証明する効力を有するものをいいます。
そして、戸籍簿は公正証書原本不実記載罪の「公正証書」の代表例です。
そして、公正証書原本不実記載罪の「公正証書の原本として用いられる電磁的記録」とは、その公正証書のコンピュータ上の記録のことをいいます。
刑事事件例では、Aさんは公務員に離婚したとの虚偽の申立てをし、戸籍簿のコンピュータ上の記録に不実の記載をさせています。
以上より、Aさんには電磁的公正証書原本不実記載罪が成立すると考えられます。
【不実記載電磁的公正証書原本供用罪とは】
刑法158条1項
…前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、…不実の…記録をさせた者と同一の刑に処する。
不正記録電磁的公正証書原本供用罪の「原本としての用に供」するとは、虚偽のデータを入力し、閲覧可能な状態にすることをいいます。
刑事事件例では、Aさんによる虚偽の申立てにより、不正に記録された公正証書である戸籍簿が閲覧可能な状態になっていると考えられます。
よって、Aさんには不実記載電磁的公正証書原本供用罪が成立すると考えられます。
【離婚届の私文書偽造事件の刑事弁護活動】
以上のように、離婚届の偽造は犯罪となります。
刑事事件例ではVさんが愛知県碧南警察署に離婚届の偽造を刑事告訴したことにより、離婚届の私文書偽造事件が発覚し、Aさんは逮捕されるに至っています。
Aさんの身柄は今後検察官に送られ、検察官による起訴するか否かという判断を受けることになります。
仮にAさんが離婚届の偽造の罪(有印私文書偽造罪・同行使罪、電磁的公正証書原本不実記録罪・同供用罪)で起訴され有罪となってしまった場合、Aさんは罰金刑ではなく懲役刑を科されることになります。
もちろんAさんには執行猶予を得られる可能性がありますので、もしAさんが離婚届の偽造の罪(有印私文書偽造罪・同行使罪、電磁的公正証書原本不実記録罪・同供用罪)で起訴されてしまった場合には、刑事弁護士は執行猶予が得られるよう裁判の対応をしていくことになります。
例えば、Aさんの行為によって損害が生じているような場合にはその弁償を行ったり、再犯防止のための環境を作ったり、それらを証拠かすることが必要となってくるでしょう。
刑事事件に強い弁護士にサポートしてもらいながら、裁判に向けた準備もいち早く始めていくことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
離婚届の偽造事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
交際あっせん詐欺事件で逮捕されたら
交際あっせん詐欺事件で逮捕されたら
交際あっせん詐欺事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、出会い系サイトで、Vさん(愛知県名古屋市守山区在住)に「連絡先交換費用を支払えば、女性の携帯番号が提供される」などと虚偽の内容のメッセージを送りました。
これに騙されたVさんは、合計60回にわたり、Aさんの銀行口座に合計3000万円を振込みました。
振込み後もAさんから連絡がなかったため、Vさんは交際あっせん詐欺に遭ったと自覚し、愛知県守山警察署の警察官に被害を訴えました。
その後、Aさんは愛知県守山警察署の警察官により詐欺罪の容疑で逮捕されました。
(2021年1月5日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【詐欺罪とは】
人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する(刑法246条1項)。
詐欺罪は、①被疑者の方による被害者の方を「欺く行為」→②被害者の方の「錯誤」→③被害者の方の「交付行為」→④被疑者の方の「取得行為」という経過を経ることによって成立する犯罪です。
【詐欺罪の各要件】
以下では、詐欺罪の各要件を見ていきます。
詐欺罪の①被疑者の方による被害者の方を「欺く行為」とは、被害者の方が真実を知っていれば財産の交付を行わないような重要な事実を偽ることをいいます。
詐欺罪の②被害者の方の「錯誤」とは、上記①被疑者の方による被害者の方を「欺く行為」により、被害者の方が瑕疵ある意思を有すること(騙されたこと)をいいます。
詐欺罪の③被害者の方の「交付行為」とは、上記瑕疵ある意思に基づいて財産を被疑者の方に移転させることをいいます。
詐欺罪の④被疑者の方の「取得行為」とは、被疑者の方が財産を取得することをいいます。
【詐欺罪と刑事事件例】
以下では、刑事事件例のAさんの行為が上記詐欺罪の各要件を満たすかについて見ていきます。
刑事事件例では、AさんはVさんに「連絡先交換費用を支払えば、女性の携帯番号が提供される」などと虚偽の内容のメッセージを送っています。
このメッセージが虚偽であること、すなわち連絡先交換費用を支払っても本当は女性の携帯番号など提供されないという真実を知っていれば、Vさんはお金を支払わなかったと考えられます。
よって、Aさんの行為は、詐欺罪の①「欺く行為」に当たると考えられます。
また、VさんはAさんから送られてきた虚偽のメッセージに騙されて、「連絡先交換費用を支払えば、女性の携帯番号が提供される」と騙されてしまっています。
ここに、Vさんは詐欺罪の②「錯誤」状態にあったといえると考えられます。
さらに、VさんはAさんの銀行口座に合計3000万円を振込んでいます。
ここに詐欺罪の③「交付行為」及び詐欺罪の④「取得行為」があると考えられます。
以上より、Aさんには詐欺罪が成立すると考えられます。
【詐欺事件と刑事弁護活動】
詐欺事件において有効な刑事弁護活動のひとつとして「示談」があります。
詐欺事件の示談では、Vさんに刑事弁護士を通して正式に謝罪をし、示談金を支払い、被害の弁償を行います。
詐欺事件の示談金としては、振り込まれた金額が手元に残っていればその返還を行った上、一定の慰謝料を支払うのが一般的だといえます。
振り込まれた金額が手元に残っていない場合は、被疑者の方自身が準備するか、ご家族の協力を得て工面する必要があると考えられます。
示談により、執行猶予が得られたり、刑が軽くなったりするため、示談交渉に強い刑事弁護士を選ぶことは非常に重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
交際あっせん詐欺事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
大学生の傷害事件で逮捕された
大学生の傷害事件で逮捕された
大学生の傷害事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県岡崎市にある大学に通うAさん(26歳の大学4年生)は、Vさんに大学院進学に向けて出願書類の作成を手伝ってもらっていました。
AさんがVさんを自宅に招き、書類作成の進捗状況を尋ねると、Aさんはその完成度が低いことに激高し、Vさんに熱湯をかけ、やけどを負わせました。
Vさんは愛知県岡崎警察署に被害を訴え、Aさんは傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは傷害罪の容疑を認めていますが、早く釈放されたいと考えています。
(2021年1月15日に京都新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【傷害罪とは】
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の「傷害」とは、生理機能(健康状態)を害することをいいます。
「生理機能」とは、呼吸や消化、血液調節など、人が生きていくための身体の機能ということを意味します。
この生理機能を害する行為が傷害罪の「傷害」に当たります。
傷害罪の「傷害」の例としては、切り傷、擦り傷、打撲といった外傷、その他嘔吐、めまい、失神、病気の疾患などが挙げられます。
刑事事件例では、AさんはVさんにやけどを負わせています。
このAさんの行為は、Vさんの生理機能を害する行為として、傷害罪の「傷害」に該当します。
よって、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。
【勾留を避ける刑事弁護活動】
現在、Aさんは愛知県岡崎警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されています。
この後、Aさんにはさらなる身体拘束として勾留(被疑者段階の勾留)がなされる可能性があります。
勾留(被疑者段階の勾留)は実質的には逮捕の延長であるといえ、勾留の延長も含めると最長で20日間なされます(刑事訴訟法208条1項、2項)。
また、勾留の請求は、検察官が警察官よりAさんの身柄の送致を受けた後、24時間以内になされます(刑事訴訟法205条1項)。
勾留を回避するための刑事弁護活動のひとつには、検察官が勾留請求をする前に、検察官に対して勾留請求をしないよう書面等で働きかける刑事弁護活動があります。
ここで、上述したように、勾留請求は、検察官が警察官よりAさんの身柄の送致を受けた後、24時間以内になされます。
勾留請求を回避するための刑事弁護活動は、まずはこの検察官による勾留請求が出される前に検察官と連絡を取り、勾留請求をしないよう書面等で働きかける必要があるため、非常にスピードが重要になるといえます。
検察官による勾留請求を受けた裁判官による勾留決定に対しても、同様に、勾留決定をしないよう書面等で働きかける刑事弁護活動を行うことが想定されます。
勾留決定も、検察官の勾留請求同様、裁判官が検察官により勾留請求を受けた後から短時間でなされるため、勾留決定を回避するための刑事弁護活動も、この裁判官による勾留決定が出される前に裁判官と連絡を取って働きかけるという迅速さが要求されることになります。
ですから、勾留を避ける弁護活動においては、逮捕されてしまってからいかにスピードを持って活動を開始できるかということが非常に大切なのです。
【勾留を争う刑事弁護活動】
一度勾留請求・決定がなされた場合、それでもその勾留決定を争いたい場合には、勾留決定に対する不服申立てとして準抗告を申し立てることができます(刑事訴訟法429条1項2号)。
勾留決定に対する準抗告も、なるべく早く被疑者の方の身体拘束が解放されるよう、勾留決定後速やかに申し立てる必要があると考えられます。
ただし、示談の必要性や有効性に鑑み、示談締結後に準抗告をするという刑事弁護方針も考えられます。
例えば、Vさんとの示談交渉を開始し、示談締結の後に準抗告を申し立てることも勾留を争う刑事弁護活動として有効であると考えられます。
こうした弁護活動の方針は事件や被疑者の事情ごとに異なりますから、まずは弁護士に相談してみることがおすすめです。
【刑事事件例と刑事弁護活動】
刑事事件例では、例えば、Aさんが26歳の大学4年生であり、大学院の進学を控えているという具体的な事情があります。
この場合、勾留により大学の授業に出席できなくなると大学の授業の単位を取得できず、大学を卒業できなくなってしまうという事情を主張して釈放を求めていくことが考えられます。
また、大学院進学の手続きをすることができなくなり、卒業後の進路が断たれてしまうなどとも主張し得ると考えられます。
刑事事件に強い刑事弁護士にサポートしてもらうことで、このような勾留されてしまうと困るという事情を被疑者の方やご依頼者の方から聞き取り、それを反映した法的な意見を検察官や裁判官に迅速に主張することが期待できます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
大学生の傷害事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押え
覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押え
覚醒剤取締法違反の現行犯逮捕と捜索差押えについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
前回の記事の続きとなりますので、取り上げている事例に関しては前回の記事をご覧ください。
【逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えとは】
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる(刑事訴訟法220条1項)。
2 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること
第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない(刑事訴訟法220条2項)。
逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えが無令状で許されるのは、逮捕(現行犯逮捕)の現場には犯罪に関する証拠が存在している可能性が高く、逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えは合理的な証拠収集の手段であるといえるからです。
このような趣旨に鑑みれば、「逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書)と認められるためには、逮捕からある程度の時間的接着性があればよいと考えられます。
また、「逮捕の現場」(刑事訴訟法220条1項2号)とは、逮捕された者の同一管理権の及ぶ場所であればよいと考えられます。
刑事事件例では、警察官はAさんを公務執行妨害罪の容疑で現行犯逮捕した直後にAさん所有の車の捜索を開始しており、本件捜索差押えは「逮捕する場合」(刑事訴訟法220条1項柱書)に行われたといえます。
また、Aさん所有の車はAさんの管理権が及ぶ場所であることから、本件捜索・差押は「逮捕の現場」(刑事訴訟法220条1項2号)で行われたといえます。
以上より、警察官による捜索差押えは逮捕(現行犯逮捕)に伴う捜索差押えとして適法であると考えられます。
【覚醒剤取締法違反(所持)の罪とは】
覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない(覚醒剤取締法14条)。
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する(覚せい剤取締法41条の2)。
覚醒剤取締法41条の2における「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことをいいます。
また、覚醒剤取締法41条の2における「所持」とは、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことをいいます。
ですから、言葉通り覚醒剤を手に持っている状態でなくとも「所持」しているとみなされることがあるのです。
刑事事件例では、Aさんは車内に覚醒剤の入った粉末10袋を持っており、このAさんの行為は「覚醒剤を、みだりに、所持」(覚せい剤取締法41条の2)する行為に該当します。
また、Aさんは正当な理由なく覚醒剤を所持しています。
よって、Aさんには覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立すると考えられます。
そして、警察官はAさんを覚醒剤取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕し、覚醒剤などを差し押えていますが、この現行犯逮捕及びそれに伴う捜索差押えは上述した規範に照らし、適法であると考えられます。
【覚醒剤取締法違反の否認事件】
覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立するためには、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容している(故意がある)ことが必要です。
このとき、覚醒剤取締法違反(所持)の罪の故意の認定には、「積極的にこれ(※覚醒剤のこと)を自己又は他人のため保管する意思の有無又はその行為の目的、態様の如何を問わない」と考えられています(昭和31年2月2日東京高等裁判所判決)。
そのため、例えば、自分は覚醒剤を保管するのを拒んだにもかかわらず、他人が勝手に置き去ったという事情があったとしても、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容しているため、覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立するのに必要な故意があったと判断されることになります。
刑事事件例ではAさんは、この覚醒剤は自分のものではないと主張しているところ、Aさんが覚醒剤取締法違反(所持)の罪の故意を否定するためには、例えば自分は覚醒剤が車にあることを全く知らなかったというように覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識・認容していなかったと主張する必要があると考えられます。
実際にAさんがどういった認識であったのか等の事情をすり合わせながら取調べに対応していく必要があり、こういった覚醒剤取締法違反の否認事件には、薬物事件に関する専門的な知識が必要であるといえます。
だからこそ、刑事事件に強い弁護士によるサポートが必要であるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
覚醒剤取締法違反で現行犯逮捕・捜索差押えされた場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
職務質問中に公務執行妨害罪で現行犯逮捕
職務質問中に公務執行妨害罪で現行犯逮捕
職務質問中に公務執行妨害罪で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
自動車を運転していたAさんは、愛知県名古屋市南区の路上で、覚醒剤取締法違反の疑いがあるとして、愛知県南警察署の警察官により職務質問を受けました。
その際、Aさんは「職務質問って任意でしょ。応じないよ。」と言いましたが、警察官から約30分間にわたり職務質問に応じるように説得を受けました。
警察官の職務質問に苛立ったAさんは、乗っていた乗用車のドアを職務質問した警察官に押し当ててしまいました。
Aさんは警察官の職務を妨害したとして公務執行妨害罪の容疑で逮捕されました。
その後、車内の捜索差押えが行われ、車内からは注射器108本と覚醒剤の入った粉末10袋などが見つかりました。
そこで、Aさんを覚醒剤取締法違反の罪で現行犯逮捕され、注射器108本と覚醒剤の入った粉末10袋の捜索差押えも受けました。
Aさんは、この覚醒剤は自分のものではないと主張しています。
(2020年11月5日に神奈川新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【公務執行妨害罪とは】
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する(刑法95条)。
公務執行妨害罪の「暴行」とは、公務員に向けられた物理力の行使をいうと考えられています。
刑事事件例では、Aさんは乗っていた乗用車のドアを職務質問した警察官に押し当てています。
このAさんの行為は、公務員に向けられた物理力の行為であるとして、公務執行妨害罪の「暴行」に該当します。
また、公務執行妨害罪の「職務」は適法であることが必要です。
これは、公務執行妨害罪は公務の適正な執行を保護するために規定されているからです。
ところで、刑事事件例では、Aさんは「職務質問って任意でしょ。応じないよ。」と明言していたにも関わらず、警察官はAさんに職務質問に応じるよう説得行為を続けています。
この警察官による職務質問とそれに伴う説得行為は許されるものなのでしょうか。
公務執行妨害罪の「職務」の適法性との関係で問題となります。
【職務質問とは】
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる(警察官職務執行法2条1項)。
職務質問では、「停止させて」(警察官職務執行法2条1項)質問することができると規定されています。
この職務質問の「停止」(警察官職務執行法2条1項)は、任意に停止することを意味します(刑事訴訟法197条参照)。
しかし、任意の停止といっても、必ずしも自発的に職務質問に応じる必要はなく、職務質問に応じるよう一定程度働きかける説得行為は許されます。
犯罪の予防・鎮圧に重要な役割を果たす職務質問の実効性を高めるため、このように考えられているのです。
一般的に使われる任意の意味と刑事訴訟法上における任意の意味の違いに注意が必要です。
また、この職務質問は、その必要性が認められ、具体的状況の下で相当と認められる限度において許されます(刑事訴訟法197条参照)。
刑事事件例の職務質問は、覚醒剤取締法違反の容疑という重大犯罪の嫌疑があるAさんに対して行われているものであり、職務質問を行う必要性はあると考えられます。
また、職務質問も時間にして30分間という比較的短時間で行われており、職務質問として相当な範囲内にあると考えられます。
さらに、上述したように、職務質問は任意に停止させることができ、この停止には一定程度の説得行為も含まれることから、刑事事件例のような警察官による説得行為も許されると考えられます。
よって、刑事事件例における警察官による職務質問は適法である(許される)と考えられます。
そして、この公務執行妨害罪の適法な「職務」に対して「暴行」を加えたAさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。
【現行犯逮捕とは】
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる(刑事訴訟法213条)。
現行犯逮捕が「逮捕状なくして」(刑事訴訟法213条)許される理由は、現行犯逮捕される者が犯罪を犯したことが明白で、誤認逮捕のおそれがないからです。
そのため、現行犯逮捕の要件としては、①現行犯逮捕される者が犯人であることが明白であること、②現行犯逮捕の場所が犯行現場ないしその延長とみられる場所であることが必要とされます。
刑事事件例では、Aさんは公務執行妨害事件の犯人であることが明白であり、現行犯逮捕は公務執行妨害事件の犯行現場で行われています。
よって、警察官による公務執行妨害罪の容疑での現行犯逮捕は上記要件を満たした適法なものであると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
職務質問中に公務執行妨害罪で現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護成条例違反とは
未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護成条例違反とは
未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護条例違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県名古屋市中川区に住むAさんは、インターネット上の掲示板で、Vさん(愛知県名古屋市中川区に住む17歳の女子高校生)が家出中で宿泊先を探しているとの書き込みとVさんの連絡先を見つけました。
そこで、Aさんは、掲示板に書き込まれたVさんの連絡先に連絡し、「今なら無料で泊めてあげる」と自宅に来るよう伝えました。
その後、VさんはAさんの自宅に数日間滞在していましたが、Vさんの家族が捜索願を出したことからVさんの所在が発覚しました。
その結果、Aさんは愛知県中川警察署の警察官により未成年者誘拐罪の容疑で逮捕されました。
実はAさんはVさんと淫行もしていたことから、Aさんは未成年者誘拐罪以外の犯罪も成立するのではないかと不安に思っています。
(2021年1月5日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【未成年者誘拐罪とは】
未成年を略取し、又は誘拐した者は、3年以上7年以下の懲役に処する(刑法224条)。
未成年者誘拐罪は、被誘拐者(誘拐される者)である未成年者の自由と、親権者の保護・監督権を保護するために規定されたと考えられています。
未成年者誘拐罪の「未成年」とは20歳未満の者をいいます(民法4条)。
また、未成年者誘拐罪の「誘拐」とは、欺罔又は誘惑を手段として、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、自己の支配下に移して行動の自由を奪うことをいいます。
欺罔とは虚偽の事実を告げることをいいます。
また、誘惑とは甘い言葉を用いて未成年者の判断を誤らせることをいいます。
刑事事件例のVさんは17歳であり、未成年者誘拐罪の「未成年者」に該当することになります。
また、AさんはVさんに対し「今なら無料で泊めてあげる」との言葉で自宅に来るよう伝えています。
このAさんの言葉は、費用のかからない宿泊先を提供するという甘言であり、これによりVさんに判断を誤らせたと考えられるため、未成年者誘拐罪の誘惑に該当するといえます。
そして、このAさんの誘惑的発言により、Vさんは現在の生活環境から離れAさんの自宅に滞在しているため、未成年者を現在の生活状態から離脱させ、自己の支配下に移して行動の自由を奪う未成年者誘拐罪の「誘拐」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには未成年者誘拐罪が成立すると考えられます。
【愛知県青少年保護条例違反とは】
刑事事件例では、AさんはVさんと淫行もしていました。
このAさんの行為は、愛知県青少年保護条例違反という犯罪にあたる可能性があります。
(目的)
この条例は、青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年を保護し、その健全な育成に寄与することを目的とする(愛知県青少年保護条例1条)。
(定義)
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところに よる(愛知県青少年保護条例4条)。
一 青少年 18歳未満の者をいう。
刑事事件例のVさんは17歳であり、愛知県青少年保護条例の「青少年」に該当することになります。
(いん行、わいせつ行為の禁止)
何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない(愛知県青少年保護条例14条1項)。
何人も、青少年に対して、前項の行為を教え、又は見せてはならない(愛知県青少年保護条例14条2項)。
愛知県青少年保護条例14条における「淫行」の意義は、「青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」であると考えられています(昭和60年10月23日最高裁判決)。
(罰則)
第14条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する(愛知県青少年保護条例29条1項)。
次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する(愛知県青少年保護条例29条7項)。
四 第14条第2項の規定に違反した者
愛知県青少年保護条例14条に違反した場合、上記の刑罰が科せられます。
【愛知県青少年保護条例違反の追及について】
Aさんに愛知県青少年保護条例違反の罪が成立する場合、Aさんは警察官による取調べにどのように対応すればよいでしょうか。
一つの方法としては、愛知県中川警察署の警察官からの追及があるまでは愛知県青少年保護条例違反については黙秘をするということが考えられます。
また、示談の経過や早期に身柄を解放してほしい事情があるなど諸般の事情をよく検討した上、自白をするという選択肢も考えられます。
警察官の取調べに対してどう対応するのが良いかは、当該刑事事件を取り巻く様々な事情によって左右され得るので、刑事事件に強い弁護士に専門的な見地からの助言を仰ぐことが重要であると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
未成年者誘拐罪と愛知県青少年保護条例違反でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
傷害事件の公訴時効
傷害事件の公訴時効
傷害事件の公訴時効について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県名古屋市北区にある高校の教師であるAさんは、同校の空手部の顧問をしていました。
2017年、Aさんは、空手部員であるVさんが道場においてアイスを食べていたことに腹を立て、指導と称して技を掛け、全治3か月の怪我を負わせました。
2020年になり、Aさんは愛知県北警察署の警察官から連絡を受け、傷害罪の容疑で取調べを受けました。
Aさんは「3年も前のことだからもう時効ではないのか」と考えています。
(2020年12月22日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【公訴時効とは】
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する(刑事訴訟法250条1項)。
1 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については30年
2 長期20年の懲役又は禁錮に当たる罪については20年
3 前2号に掲げる罪以外の罪については10年
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する(刑事訴訟法250条2項)。
1 死刑に当たる罪については25年
2 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については15年
3 長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については10年
4 長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年
5 長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年
6 長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年
7 拘留又は科料に当たる罪については1年
左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない(刑事訴訟法337条)。
4 時効が完成したとき
公訴時効が完成すると、刑は「免除」されることになります(刑事訴訟法337条4号)。
これは、たとえ犯罪を犯したとしても、一定の期間、国家により訴追(起訴)されなかったのであれば、その既成事実を尊重すべきである、言い換えれば、犯罪を犯した者の「有罪にならない」という地位を安定させるべきであると考えられているからです。
公訴時効により消滅するのは国家の刑罰権ではなく国家の訴追権(起訴する権利)であるため、公訴時効が完成すると無罪が言い渡されるのではなく刑が「免除」されることになります(刑事訴訟法337条4号)。
例えば、傷害罪(刑法204条)の法定刑(刑法典に定められた刑)は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。
とすると、傷害罪は「長期15年以上の懲役又は禁錮に当たる罪」(刑事訴訟法250条2項3号)といえることになります。
そのため、傷害罪の公訴時効は「10年」(刑事訴訟法250条2項3号)ということになります。
【公訴時効の起算点】
上述したように、公訴時効の完成により消滅するのは国家の訴追権(起訴する権利)と考えられています。
そして、この国家の訴追権(起訴する権利)は、犯罪の結果が生じたときに発生すると考えられます。
そのため、公訴時効の起算点は、犯罪の結果が生じたときであると考えられます。
再度公訴時効についてまとめると、公訴時効の完成とは、犯罪の結果が生じたときに発生する国家の訴追権(起訴する権利)が一定期間の経過により消滅することを意味するのです。
例えば、傷害罪(刑法204条)については、「人の身体を傷害したとき」が公訴時効の起算点となります。
そして、傷害結果の発生から「10年」(刑事訴訟法250条2項3号)を経過することにより、公訴時効が完成することになります。
【刑事事件例と公訴時効】
刑事事件例では、2017年にAさんはVさんに対して怪我をさせる傷害事件を起こしていますが、2020年に愛知県北警察署の警察官から捜査を受けた段階では、未だ公訴時効が完成していないことになります。
刑事弁護士としては、公訴時効が完成していないことを前提として、被害者の方であるVさんもしくはVさんのご両親に対して、正式な謝罪と被害弁償をするために示談交渉を開始することになるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害事件の公訴時効でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分(前編)
愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分(前編)
愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県名古屋市天白区内に住むAさんは、深夜、同市内の路上を歩いていると、1台の自転車(以下、本件自転車と呼びます)が無施錠の状態で路上のわきに放置されていることに気付きました。
Aさんはこの自転車が盗難車で乗り捨てられているのだろうということにすぐに気が付きましたが、「盗まれるやつが悪い」と思い、そのまま自転車を持ち去りました。
後日、Aさんが深夜に本件自転車に乗っていると、愛知県天白警察署の警察官から職務質問を受け、Aさんが自転車を持ち去ったことが発覚しました。
愛知県天白警察署の警察官によると、自転車は本来Vさんが所有していたものであったといいます。
その後、Aさんは愛知県天白警察署の警察官により遺失物横領罪の容疑で取調べを受けました。
(2020年7月30日に千葉日報オンラインに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【遺失物等横領罪の要件(その1)】
刑法254条は遺失物等横領罪を規定しています。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
実務では、「遺失物」「を横領した者」には遺失物横領罪、「漂流物」「を横領した者」には漂流物横領罪、「その他占有を離れた他人の物を横領した者」には占有離脱物横領罪というように、名称が区別されることがあります。
遺失物等横領罪の「占有を離れた他人の物」とは、占有(物を事実上支配する)者の意思に基づかずにその占有(事実上の支配)を離れた物で、誰の占有(事実上の支配)にも属していないもの、および、偶然に被疑者の方の占有(事実上の支配)に帰属したものをいうと考えられています。
そして、遺失物等横領罪の「遺失物」や「漂流物」は、上記「占有を離れた他人の物」の例であると考えられています。
つまり、遺失物等横領罪の「占有を離れた他人の物」のうち、占有(物を事実上支配する)者の意思に基づかずにその占有(事実上の支配)を離れた物で、誰の占有(事実上の支配)にも属していないものを「遺失物」といい、その中でも水面又は水中に存在するものを「漂流物」といいます。
その他、「占有を離れた他人の物」の例としては、誤配達された郵便物、隣家から飛んできた洗濯物、誤って多く渡された釣り銭などが考えられます。
これらは、占有(物を事実上支配する)者の意思に基づかずにその占有(事実上の支配)を離れた物で、偶然に被疑者の方の占有(事実上の支配)に帰属したものに該当します。
刑事事件例において、自転車は、本来Vさんが所有していたものであり、Aさん以外の何人かにより盗み取られ、愛知県名古屋市天白区内の路上に放置されていたものです。
これは、Vさんの意思によらずにその占有(事実上の支配)が離れ、何人かの乗り捨て行為を経て、まだ誰の占有(事実上の支配)にも属していないものであると考えられます。
よって、本件自転車は遺失物等横領罪の「遺失物」に該当すると考えられます。
遺失物横領事件では、示談交渉などの弁護活動が考えられます。
弁護士に事件の詳しい事情を話すことでより具体的な弁護活動を聴くことができますから、まずは弁護士に相談してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
遺失物等横領事件のような微罪処分対象事件を取り扱った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市天白区の遺失物等横領事件と微罪処分(後編)に続きます。
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