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殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)の続きとなります。
【勾留に関する被疑者・被告人の権利】
逮捕に引き続く長期の身体拘束である「勾留」については、勾留理由開示(刑事訴訟法82条1項)がなされ、これをもとにして勾留決定に対する不服申立てである準抗告(刑事訴訟法429条)ができます。
勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる(刑事訴訟法82条1項)。
裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる(刑事訴訟法429条)。
勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判(刑事訴訟法429条1項2号)。
その他、勾留の取消請求(刑事訴訟法87条)をしたり、勾留の執行停止(刑事訴訟法95条)による救済を受けたりすることが考えられます。
勾留の理由又は勾留の必要性がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人…の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない(刑事訴訟法87条)。
裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族…に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる(刑事訴訟法95条)。
また、弁護人(弁護士)の選任権を実質的に保障するために、弁護人(弁護士)の接見交通権(刑事訴訟法39条2項)が保障されており、身体拘束されている被疑者・被告人の方との自由な接見が認められています。
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護士又は弁護士を選任できる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる(刑事訴訟法39条2項)。
【証拠保全に関する被疑者・被告人の権利】
否認事件においては、被疑者・被告人の方は、自己に有利な証拠の収集を行うことが重要であると考えられます。
将来の裁判(公判)において使用すべき証拠をあらかじめ収集して保持しておく処置を証拠保全といいます。
具体的な手段として、裁判官に対する証拠保全請求(刑事訴訟法179条1項)やその閲覧・謄写請求権(刑事訴訟法180条)が認められています。
この規定は、被疑者・被告人の方にとっては、警察や検察による捜査に対応するものであるといえます。
被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠をしようすることがその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる(刑事所掌179条1項)。
検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第1項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写をすることができる(刑事訴訟法180条1項柱書)。
被告人又は被疑者は、裁判所の許可を受け、裁判所において、第1項の書類及び証拠物を閲覧することができる。
ただし、被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りでない(刑事訴訟法180条3項)。
【刑事事件例における被疑者・被告人の権利】
殺人未遂罪の容疑を否認する場合、逮捕に引き続く長期の身体拘束である勾留がなされることが多くみられます。
そこで、刑事弁護士としては、勾留理由開示(刑事訴訟法82条1項)をし、勾留決定に対する不服申立てである準抗告(刑事訴訟法429条)をすることにより、Aさんに対する身体拘束の決定を争うことができます。
また、殺人未遂罪の容疑を否認する場合においては、警察官や検察官により厳しい追及がなされることが考えられます。
そこで、刑事弁護士としては、弁護士のもつ接見交通権(刑事訴訟法39条2項)のもと、Aさんと接見を行い、黙秘権の保障(憲法38条1項・刑事訴訟法198条2項)があることをや関連する刑事訴訟法上の規定(刑事訴訟法198条4項、5項)についても分かりやすく説明します。
さらに、必要であれば、証人などについて、裁判官への証拠保全請求(刑事訴訟法179条)や関係者への事情聴取を行うことができると考えられます。
前回も触れた通り、被疑者・被告人本人やその周囲の方が、被疑者・被告人の持つ権利についてきちんと知っておくことは、その後の刑事事件の流れに対応していくうえで非常に重要です。
刑事事件に強い弁護士と協力し、サポートしてもらいながら刑事手続きに対応していくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
否認事件の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
殺人未遂容疑の否認事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Vさん(29歳)は、愛知県名古屋市瑞穂区内の路上において、男に刃物のようなもので首や胸などを刺されました。
Vさんは、命に別状はなかったものの、全治6か月の重症を負いました。
その後、愛知県瑞穂警察署の警察官は、殺人未遂罪の容疑で、Aさん(51歳)を逮捕しました。
Aさんは、愛知県瑞穂警察署の警察官の取調べに対し、「自分はやっていない」と供述し、殺人未遂罪の容疑を否認しています。
Aさんは「自分は本当にやっていない。今後どうすればよいのか」として、被疑者の権利について知りたいと考えています。
(2014年11月11日に神奈川新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【被疑者・被告人の権利】
刑事事件例では、Aさんは、愛知県瑞穂警察署の警察官により殺人未遂罪の容疑がかけられているところ、「自分はやっていない」と殺人未遂罪の容疑を否認しています。
刑事事件例のように、犯罪の容疑を否認するときには、被疑者・被告人の方は、刑事訴訟法・憲法上保障されている被疑者・被告人の権利について十分理解した上で警察や検察と対峙しなければなりません。
以下では、まず、刑事訴訟法や憲法において被疑者・被告人の方に保障されている代表的な諸権利を確認します。
その後、刑事事件例ではどのような刑事弁護活動が考えられるのかを考えていきます。
【捜索・差押えに関する被疑者・被告人の権利】
捜索・差押えに対しては、押収目録(刑事訴訟法120条)または捜索証明書(刑事訴訟法119条)が交付され、これらをもとにして押収物の還付請求(刑事訴訟法123条準用)や、不服申立てとして準抗告(刑事訴訟法430条)をすることができます。
押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない(刑事訴訟法120条)。
捜索をした場合において証拠物又は没収すべきものがないときは、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならない(刑事訴訟法119条)。
押収物で留置の必要がないものは、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない(刑事訴訟法123条)。
この規定は、捜査機関(警察や検察)が押収した物を還付、仮還付する場合にも準用されます。
検察官又は検察事務官のした…押収若しくは押収物の還付に関する処分に不服のある者は、その検察官又は検察事務官が所属する検察庁の対応する裁判所にその処分の取消し又は変更を請求することができる(刑事訴訟法430条1項)。
司法警察職員のした前項の処分に不服のある者は、司法警察職員の職務執行地を管轄する地方裁判所又は簡易裁判所にその処分の取消又は変更を請求することができる(刑事訴訟法430条2項)。
【取調べに関する被疑者・被告人の権利】
取調べに対しては、被疑者・被告人の方には黙秘権の保障(憲法38条1項)とその告知(刑事訴訟法198条2項)があるということを知っておく必要があります。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない(憲法38条1項)。
前項の取調べに際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げなければならない(刑事訴訟法198条2項)。
こうした権利や手続きを把握せずに刑事事件の手続きに臨むのと、権利や手続きを十分に把握して手続きに臨むのでは、対応の違いはもちろん、被疑者・被告人やその周囲の方の不安の度合いも大きく異なってきます。
刑事事件の当事者となってしまったら、まずは自分の持っている権利をきちんと確認する意味も込めて、専門家である弁護士に相談してみることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
否認事件の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
殺人未遂容疑の否認事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)に続きます。
名古屋市中区の建造物不退去事件で逮捕・勾留された
名古屋市中区の建造物不退去事件で逮捕・勾留された
名古屋市中区の建造物不退去事件で逮捕・勾留された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、名古屋市中区にある愛知県中警察署を訪れ、「警察官への不満や要求を言いたい」などと愛知県中警察署の署長・副署長への面会を繰り返し求めました。
その後、Aさんは、「署長、副署長を出せ」と騒ぎ始め、対応した愛知県中警察署の警察官から5回にわたり愛知県中警察署から出ていくよう警告されたにもかかわらず、警告を受けてから約3時間、来署してからは約4時間半以上居座り続けました。
その結果、Aさんは愛知県中警察署の警察官により建造物不退去罪の容疑で現行犯逮捕されました。
建造物不退去罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月6日に東海テレビNEWSに掲載された記事を参考に作成しました。)
【建造物不退去罪とは】
刑法130条は、以下のように建造物不退去罪を規定しています。
(刑法130条)
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたのにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
建造物不退去罪は、「要求を受けたのにもかかわらず」「人の看守する建造物」「から退去しなかった」者に成立する犯罪です。
まず、愛知県中警察署は「人の看守する建造物」に該当します。
次に、建造物不退去罪における「要求」とは、建造物から退去することを求める要求であり、施設管理権を有する者又はこれらの者から退去要求の権限行使を委任された者からなされるものです。
刑事事件例では、愛知県中警察署の警察官からAさんに対して愛知県中警察署から出ていくよう求める警告がなされています。
この警告は、建造物から退去することを求める要求であり、施設管理権を有する愛知県中警察署長から退去要求の権限行使を委任された者により発せられたと考えられます。
よって、刑事事件例における警告は、建造物不退去罪における「要求」に該当すると考えられます。
さらに、建造物不退去罪における「不退去」とは、建造物から退去しないことを指します。
そして、建造物不退去罪における「不退去」に該当するためには、退去の要求を受けた後、退去の要求を受けた者が退去するのに必要な合理的時間が経過したのにも関わらず、建造物内に居座り続ける必要があります(東京高等裁判所判決昭和45年10月2日)。
刑事事件例では、Aさんは、愛知県中警察署の警察官から5回にわたり退去の要求を受けた後、約3時間という退去するのに必要な合理的時間が経過したのにも関わらず、愛知県中警察署内に居座り続けています。
よって、Aさんの行為(不作為)は、建造物不退去罪における「不退去」に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには建造物不退去罪が成立すると考えられます。
【建造物不退去罪と逮捕・勾留】
刑事事件例では、Aさんは建造物不退去罪で逮捕されているところ、Aさんに対する身体拘束は逮捕に引き続く勾留として最大20日間(勾留が延長された場合に限る)に及ぶ可能性があります。
ところで、勾留として長期間に及ぶ身体拘束がなされるのは、Aさんが逃亡をするおそれがある、又はAさんが建造物不退去事件の罪証(証拠)を隠滅するおそれがあると検察官や裁判官が判断するためです。
そこで、刑事弁護士としては、Aさんに逃亡するおそれや罪証隠滅をするおそれがないことを主張できると考えられます。
例えば、本件建造物不退去事件は愛知県中警察署内で起こったものであり、建造物不退去事件に関する証拠としては、愛知県中警察署内に存在する物証(防犯カメラなど)や、建造物不退去事件の目撃者(愛知県中警察署の警察官など)の供述が考えられます。
しかし、愛知県中警察署内に存在する物証(防犯カメラなど)は既に愛知県中警察署の警察官が押収している可能性があります。
また、Aさんが罪証隠滅の目的で愛知県中警察署内に立ち入ることは困難であると考えられます。
さらに、建造物不退去事件の目撃者である愛知県中警察署の警察官に対して、Aさんに有利になるよう供述を変えるよう働きかけても、愛知県中警察署の警察官はこれに応じないと考えられます。
すなわち、刑事弁護士としては、Aさんが罪証隠滅をすることができる可能性はない又は著しく低いと主張することができると考えられます。
その他、刑事弁護士としては、例えばAさんが定職を持っていたり扶養している家族がいたりする場合には、Aさんが逃亡する意欲がないと主張することができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
名古屋市中区の建造物不退去事件で逮捕・勾留された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕
愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕
愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(21歳・男性)は、交際相手であるBさん(21歳・女性)に対してVさん(20歳・男性)が連絡を取るなどしたことに立腹し、愛知県豊田市内の公衆トイレでVさんの髪をつかみ、壁に頭をぶつけるなどして「ぼこられるか金を出すか」などと脅迫し、現金を奪おうとしました。
しかし、Vさんが所持金をほとんど持っていなかったため、何も取らずに逃走しました。
Vさんは全治2週間の怪我を負ったといいます。
その後、愛知県豊田警察署の警察官は、Aさん(とBさん)を強盗致傷罪の容疑で逮捕しました。
強盗致傷罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県豊田市に近い刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(10月15日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【強盗致傷罪とは】
刑法240条は強盗致傷罪を規定しています。
「強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する」(刑法240条)
刑法240条の「強盗」とは、刑法236条の強盗罪の犯人や、刑法238条の事後強盗罪の犯人、刑法239条の昏睡強盗罪の犯人を指し、それぞれ既遂犯・未遂犯は問わないとされています。
ここで、刑法236条1項を見てみると、以下のように規定されています。
「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」(刑法236条1項)
強盗罪の未遂犯は強盗未遂罪として処罰されます(刑法243条)。
刑法236条1項の強盗罪の成立には「暴行又は脅迫を用いて」「強取」がなされる必要があります。
そして、強盗罪における「暴行又は脅迫」を用いた「強取」とは、被害者の反抗を抑圧するものに足りる暴行又は脅迫により、財物を奪取することをいいます。
刑事事件例では、愛知県豊田警察署の警察官は、AさんによるVさんの髪をつかみ、壁に頭をぶつけるなどして「ぼこられるか金を出すか」などと脅迫する行為は、強盗罪における「暴行又は脅迫」に該当すると考えたのでしょう。
そして、結局AさんはVさんから現金などの財物を奪取するに至っていません。
よって、愛知県豊田警察署の警察官の判断を前提にすると、Aさんは強盗未遂罪の犯人である、すなわち刑法240条の強盗致傷罪の主体である「強盗」に該当すると考えられます。
この刑法240条の強盗致傷罪の主体である「強盗」が、強盗の機会に「人を負傷させた」とき、その者には強盗致傷罪が成立することになるのです。
刑事事件例をみてみると、Aさんは、上記のような「暴行又は脅迫」により、Vさんに全治2週間の怪我を負わせています。
よって、Aさんには強盗致傷罪が成立すると考えられます。
なお、確かにAさんはVさんから現金などの財物を奪取するに至っていません。
しかし、強盗致傷罪の既遂犯・未遂犯は、財物を奪取したか否かではなく、負傷の結果を生じさせたか否かで決まると考えられています。
そのため、Aさんには強盗致傷罪の既遂犯が成立すると考えられるのです。
【強盗致傷罪と示談】
強盗致傷事件を起こした場合において、少しでも刑を軽くさせたい場合は、強盗致傷事件の被害者の方であるVさんと示談をすることが重要となります。
本件強盗致傷事件では、共犯者としてBさんがいます。
そのため、Aさんの刑事弁護士としては、Bさん又はBさんの選任された刑事弁護士と連絡を取った上、被害弁償額を按分する方向性で示談交渉を開始するなど、円滑な示談交渉に向けた迅速な対応を行うことができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県豊田市の強盗致傷事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
加重収賄罪の容疑の収賄事件を弁護士に相談
加重収賄罪の容疑の収賄事件を弁護士に相談
加重収賄罪の容疑の収賄事件を弁護士に相談するケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは愛知県刈谷市の農業林業振興課に勤務していました。
愛知県刈谷市の農業林業振興課では林道工事を計画していましたが、その発注の際、AさんはB建設会社から有利な取り計らいをしてほしい旨の依頼を受けました。
このB建設会社からの依頼を受け、Aさんは、B建設会社が入札できるよう違法に有利な取り扱いをしました。
そして、AさんはB建設会社から賄賂として現金30万円を受け取り、自己のために消費しました。
その後、Aさんは愛知県刈谷警察署の警察官により加重収賄罪の容疑で逮捕されました。
(2020年11月19日に福井新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【加重収賄罪とは】
刑法第197条の3第1項は、加重収賄罪について、以下のように規定しています。
刑法第197条の3第1項
公務員が前2条(注:刑法第197条・第197条の2)の罪を犯し、よって不正な行為をし、又は相当な行為をしなかったときは、1年以上の有期懲役に処する。
第2項
公務員が、その職務上不正な行為をしたと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項を同様とする。
加重収賄罪(刑法第197条の3第1項)が「前2条」として引用する刑法第197条第1項は、単純収賄罪と受託収賄罪を規定しています。
刑法第197条第1項
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、5年以下の懲役に処する。
この場合において、請託を受けたときは、7年以下の懲役に処する。
これらの条文を整理すると、以下のような関係があるといえます。
まず、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」は、単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)が成立します。
次に、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をした」うえ、「請託を受けた」場合には、受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)が成立します。
さらに、これらの単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)・受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)を犯した者が、「よって不正な行為をし、又は相当な行為をしなかったとき」は、加重収賄罪(刑法第197条の3第1項)が成立します。
以上のような関係を前提に、Aさんに加重収賄罪が成立するか考えたいと思います。
【加重収賄罪の各要件】
まず、Aさんは単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)・受託収賄罪(刑法第197条第1項後段)を犯した者であるといえるか考えます。
単純収賄罪の要件である「賄賂」(刑法第197条第1項前段)とは、公務員の職務行為に対する対価としての不正な報酬をいいます。
刑事事件例でAさんがB建築会社から受け取った現金30万円は、公務員であるAさんの職務行為に対する対価としての不正な報酬であるといえます。
よって、AさんがB建築会社から受け取った現金30万円は、単純収賄罪の「賄賂」(刑法第197条第1項前段)に該当すると考えられます。
また、同じく単純収賄罪の要件である賄賂の「収受」(刑法第197条第1項前段)とは、供与された賄賂を自己の物とする意思で取得することをいいます。
刑事事件例では、AさんはB建築会社から現金30万円を受け取り、まさに自分のために消費していますので、単純収賄罪の賄賂の「収受」(刑法第197条第1項前段)に該当すると考えられます。
そして、受託収賄罪の要件である「請託を受けた」(刑法第197条第1項後段)とは、一定の職務行為を行うことの依頼を受けたことをいいます。
刑事事件例では、AさんはB建設会社から有利な取り計らいをしてほしい旨の依頼を受けています。
よって、Aさんは、受託収賄罪の「請託を受けた」(刑法第197条第1項後段)といえると考えられます。
以上より、ひとまずAさんは受託収賄罪を犯したものであるといえると考えられます。
次に、Aさんに加重収賄罪が成立するかを考えます。
加重収賄罪の要件である「不正な行為」(刑法第197条の3第1項)とは、積極的行為により職務に違反することをいいます。
刑事事件例では、Aさんは、B建設会社からの依頼を受け、B建設会社が入札できるよう違法に有利な取り扱いをしました。
このAさんの行為は、公務員の裁量権を濫用した職務違反行為であると考えられます。
よって、このAさんの行為は、加重収賄罪の「不正な行為」(刑法第197条の3第1項)に該当すると考えられます。
以上より、Aさんには加重収賄罪が成立すると考えられます。
これまで検討してきた通り、収賄事件では法律の適用関係が多少複雑であるといえます。
そのため、まずは、刑事事件に強い弁護士が在籍する法律事務所へ法律相談をし、専門的な見地から分かりやすい言葉で収賄事件について助言してもらうことで収賄事件の全貌を把握することが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
加重収賄罪の容疑の収賄事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
非現住建造物等放火事件で逮捕されたら
非現住建造物等放火事件で逮捕されたら
非現住建造物等放火事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県刈谷市にあるVさんが所有する木造2階建ての家屋に火をつけて全焼させました。
Vさんはこの家に1年以上前に住居として使用することを放棄しており、事件当時は上記家屋にVさんを含め誰も住んでいませんでした。
捜査の結果、Aさんは愛知県刈谷警察署の警察官により、非現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
(2020年7月28日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【非現住建造物等放火罪とは】
刑法109条1項
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
非現住建造物等放火罪は、「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船または鉱坑」に「放火して」「焼損」した場合に成立します。
非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない」とは、現に人が起臥寝食の場所として日常的に使用しておらず、かつ、現に人が建造物内にいないことをいいます。
非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」の具体例としては、物置小屋や倉庫、納屋などが挙げられます。
また、居住者が住居として使用する意思を放棄した場合には、非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」に該当すると考えられています。
刑事事件例の建造物は、Vさんが所有しているものですが、Vさんはこの家に1年以上前に住居として使用することを放棄しており、事件当時は上記家屋に誰も住んでいませんでした。
このため、刑事事件例の家屋は、非現住建造物等放火罪の「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」に該当すると考えられます。
非現住建造物等放火罪の「放火して」とは、目的物または媒介物に点火することをいいます。
非現住建造物等放火罪の「焼損」とは、火が媒介物を離れて、目的物が独立して燃焼を継続する状態に達することをいいます。
刑事事件例では、Aさんの放火によりVさん所有の建物は全焼しており、非現住建造物等放火罪の「放火して」「焼損」したという要件は満たすと考えられます。
よって、Aさんには非現住建造物等放火罪が成立すると考えられます。
【非現住建造物等放火事件の刑事弁護活動】
非現住建造物等放火事件で起訴され有罪となってしまった場合、Aさんは「2年以上の有期懲役」に科せられることになります。
ですから、刑事弁護士としては、Aさんに実刑が科され刑務所に服役することを避けるための刑事弁護活動を行うことが考えられます。
例えば、もし非現住建造物等放火事件の被害者の方との示談をしていないのであれば、被害者の方との示談交渉を開始します。
この非現住建造物等放火事件の被害者の方との示談交渉の結果、裁判所に示談書や嘆願書などを提出することができれば、執行猶予を得られる可能性は高まります。
執行猶予が得られない場合でも、書面によって情状酌量を求めたり、情状証人を呼んで証言してもらったりすることで刑罰の減軽を求めていくことが考えられます。
刑の減軽を求める刑事弁護活動においても、非現住建造物等放火事件の被害者の方との示談をすることは重要であるため、上述のようにすみやかに示談交渉を開始することが効果的でしょう。
だからこそ、まずは刑事事件に強い弁護士への相談・依頼がおすすめされます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
非現住建造物等放火事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県日進市でわいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こした
愛知県日進市でわいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こした
愛知県日進市のわいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
愛知県日進市にある福祉施設の職員であるAさんは、愛知県日進市在住のVさん(12歳女児)にわいせつな行為をする目的で、Vさんの自宅から福祉施設への送迎を装って車で誘拐し、愛知県日進市にあるAさんの自宅で性交行為をしました。
愛知県愛知警察署の警察官は、Aさんをわいせつ目的誘拐罪、強制性交等罪の容疑で逮捕しました。
(2020年10月22日に静岡新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【わいせつ目的誘拐罪とは】
(刑法225条)
営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
刑法225条は、上述のようにわいせつ目的誘拐罪を規定しています。
わいせつ目的誘拐罪における「わいせつ」「の目的」とは、姦淫など被害者の性的自由を侵害する行為をいいます。
また、わいせつ目的誘拐罪で禁止される「誘拐」とは、欺罔または誘惑を手段として、被害者の現在の生活状態から離脱させ、自己または第三者の実力的支配下に移して行動の自由を奪うことをいいます。
わいせつ目的誘拐罪が成立するためには、上述したように、「欺罔または誘惑」すなわち虚偽の事実を告知したり、甘い言葉を用いて被害者の判断を誤らせたりすることが手段として用いられる必要があります。
Aさんは、わいせつな行為をする目的で、Vさんの自宅から福祉施設への送迎を装って車で誘拐しています。
ここに愛知県愛知警察署の警察官は、わいせつ目的誘拐罪に当たる「わいせつ」「の目的」での「誘拐」があったのだと判断したと考えられます。
以上より、愛知県愛知警察署の警察官は、Aさんにわいせつ目的誘拐罪が成立すると判断したと考えられます。
【強制性交等罪とは】
(刑法177条)
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
刑法177条は、上述のように強制性交等罪を規定しています。
強制性交等罪は、被害者が13歳未満である場合、被害者に対して性交等をしたときには、暴行又は脅迫を手段としていなくても成立します。
刑事事件例の被害者であるVさんは12歳(「13歳未満の者」)であるため、AさんがVさんに対して性交等をした場合、たとえ暴行または脅迫を手段としていなくとも、Aさんには強制性交等罪が成立することになります。
そのため、愛知県愛知警察署の警察官は、Aさんに強制性交等罪が成立すると判断したと考えられます。
【わいせつ目的誘拐・強制性交等事件と示談】
わいせつ目的誘拐・強制性交等事件を起こしてしまった場合、被害者との接触可能性などから逮捕に引き続く身体拘束として勾留がなされる可能性が高いと言わざるを得ません。
また、わいせつ目的誘拐罪・強制性交等罪で起訴されてしまう可能性も高いと考えられます。
しかし、刑事弁護人としては、起訴後の保釈を目指して、保釈請求書を提出するなどの刑事弁護活動を行うことができると考えられます。
早い段階で保釈決定を得ることができれば、被疑者・被告人の方にとっての肉体的・精神的な負担が軽減されると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県日進市でわいせつ目的誘拐・強制性交事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県新城市の愛知県青少年保護育成条例違反事件で逮捕
愛知県新城市の愛知県青少年保護育成条例違反事件で逮捕
愛知県新城市の愛知県青少年保護育成条例違反事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさん(27歳)は、愛知県新庄市内のホテルにおいて、SNSで知り合った愛知県内の中学校に通う女子中学生(Vさん・14歳)と18歳未満と知りながらみだらな行為をしました。
愛知県新城警察署の警察官は、Aさんを愛知県青少年保護育成条例違反の容疑で逮捕しました。
愛知県青少年保護育成条例違反の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への刑事弁護の依頼を検討しています。
(2020年10月8日に沖縄タイムズに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【愛知県青少年保護育成条例違反とは】
愛知県では、「青少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為を防止し、もつて青少年を保護し、その健全な育成に寄与することを目的と」して、昭和36年に愛知県青少年保護育成条例が制定されています(愛知県青少年保護育成条例1条)。
そして、愛知県青少年保護育成条例14条1項では、「何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。」と規定しています。
この愛知県青少年保護育成条例14条1項における「青少年」とは、「18歳未満の者」をいうと規定されています(愛知県青少年保護育成条例4条1号)
また、この青少年保護育成条例14条1項に違反した者には、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられませす(愛知県青少年保護育成条例29条1項)。
刑事事件例では、Aさんは、14歳のVさんに対して、みだらな行為をしています。
このAさんの行為は、愛知県青少年保護育成条例における「18歳未満の者」である「青少年」に対する「いん行又はわいせつ行為」に該当すると考えられます。
また、AさんはVさんが18歳未満と知りながらみだらな行為をしており、Vさんが愛知県青少年保護育成条例における「18歳未満の者」である「青少年」にあたるとの認識・認容があったと考えれます。
以上より、Aさんには愛知県青少年保護育成条例違反の罪が成立すると考えられます。
【愛知県青少年保護育成条例違反と刑事弁護活動】
愛知県青少年保護育成条例違反事件の刑事弁護活動としては、被害者の方(実際には被害者の方のご両親)との示談交渉が挙げられます。
刑事事件例のように、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方とSNSで知り合ったような場合、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方の正確な氏名や連絡先が分からないことも考えられます。
このように愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の氏名や連絡先が分からない場合、刑事弁護士から愛知県警察新城警察署の警察官や検察官に対して、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の連絡先を刑事弁護士限りで取り次いで貰えるよう働きかけることができます。
上記働きかけの結果として愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の氏名や連絡先が分かった場合、刑事弁護士により、愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方のご両親との示談交渉を開始することができます。
示談交渉の結果、愛知県青少年保護育成条例違反の罪を犯した加害者(Aさん)の処罰を求めない等という宥恕条項を規定した示談を締結することができ、さらに愛知県青少年保護育成条例違反事件の被害者の方に被害届を取り下げてもらった場合、不起訴処分や略式手続下での処分を獲得できる余地もあると考えられるでしょう。
上記示談交渉には、刑事弁護に関する豊富な知識と経験を有する刑事事件に強い刑事弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県青少年保護育成条例違反事件を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県新城市の愛知県青少年保護育成条例違反事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕
愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕
愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
高校教諭であるAさんは副業としてスポーツ教室を運営していました。
ある日、Aさんは、愛知県名古屋市中村区内にある、スポーツ教室の教え子であるVさん(女子高校生)の自宅に侵入しました。
しかし、AさんがVさん宅の玄関付近の部屋にいたところ、偶然帰宅したVさんに見つかってしまったため、Vさんに「しっかり鍵をかけておきなさい」と言って立ち去りました。
その後、Aさんは愛知県中村警察署の警察官により住居侵入罪の容疑で逮捕されました。
住居侵入罪の容疑での逮捕の連絡を受けたAさんの妻は、愛知県名古屋市にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月2日に毎日新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【住居侵入罪とは】
「正当な理由がないのに、人の住居」「に侵入した者」には、住居侵入罪が成立します(刑法130条)。
住居侵入罪を犯した者には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられます。
住居侵入罪における「侵入」とは、住居権者・管理権者の意思に反する立入りを意味します(最高裁判所判決昭和58年4月8日、最高裁判所決定平成19年7月2日)。
そして、住居権者とは住居を事実上支配・管理をしている者を指します。
そのため、居住者は原則として住居権を有すると考えられます。
例えば、居住者が「入れたくない」と思っているのにも関わらず、行為者が住居に立ち入った場合、行為者には住居侵入罪が成立すると考えられます。
刑事事件例では、Aさんは居住者であるVさんの両親に無断でVさんが住む自宅に立ち入っています。
そして、Vさんの両親には、Aさんに無断での立入りを許す意思があったとは考えられません。
よって、Aさんの立入りは住居権者の意思に反する立入りであるとして、住居侵入罪における「侵入」に該当すると考えられます。
また、住居侵入罪における「正当な理由」とは、刑法上の違法性を失わせる事由(違法性阻却事由)を指します。
刑事事件例において該当し得る刑法上の違法性を失わせる事由(違法性阻却事由)としては、正当業務行為(刑法35条)があります。
そして、正当業務行為は社会生活上正当なものと認められる業務行為を指します。
しかし、刑事事件例のように、教え子であるVさんの住居に立ち入る行為は、たとえ「しっかり鍵をかけてお」くよう伝えるという教育的な観点からなされたとしても、社会生活上正当なものと認められる業務行為の範囲を超えると考えられます。
よって、Aさんの立入りには住居侵入罪における「正当な理由」があったとはいえないことになります。
以上より、Aさんには住居侵入罪が成立すると考えられます。
【住居侵入罪と取調べ】
Aさんは愛知県中村警察署の警察官により住居侵入罪で逮捕されていますが、Aさんが住居侵入行為をした理由は何だったのでしょうか。
Aさんの供述通り、単に指導をする目的であっただけのケースも考えられますし、Vさんの下着を盗む(窃盗罪を犯す)目的があったのではないか、強制わいせつや強制性交等をする(強制わいせつ罪や強制性交等罪を犯す)目的があったのではないかと、別の犯罪目的で住居侵入罪を犯した可能性もあると考えられるかもしれません。
このような犯行動機や余罪の有無は当然警察官・検察官による取調べにより厳しく追及されるおそれがあります。
例えば、警察官・検察官から、Aさんは実はVさんの下着を盗んでおり、窃盗罪が成立するのではないかと疑いをかけられる可能性が考えられます。
また、性的な目的から同種の住居侵入事件を複数犯しているのではないかと指摘される可能性もあります。
刑事事件例では、警察官・検察官による厳しい追及に対してどのように対応すればよいのか、警察官・検察官の言動にどのような意味があるのか、刑事弁護の専門家として分かりやすく助言・説明することができると考えられます。
これにより、警察官・検察官の誤った誘導に乗ってしまい、本来は違うのにVさんの下着を盗んでいたという調書が作成されてしまったり、してもいないのに同種の住居侵入事件を複数起こしていると自白してしまったりすることを防ぐことができると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
愛知県名古屋市中村区の住居侵入事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。
愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕
愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕
愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、愛知県名古屋市瑞穂区のスーパーマーケット(V店)において、商品を購入せずに「割り箸をくれ」と店員に言いました。
しかし、店員に断られてしまったため、腹を立ててレジカウンターを複数回足で蹴り上げ、V店のレジカウンター業務を停止させるなどV店の業務を妨害しました。
その後、Aさんは、V店による通報を受けた愛知県瑞穂警察署の警察官により、威力業務妨害罪で現行犯逮捕されました。
威力業務妨害罪の容疑での現行犯逮捕の連絡を受けたAさんの両親は、愛知県名古屋市にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年9月24日に南日本新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【威力業務妨害罪とは】
「威力を用いて人の業務を妨害した者」には、威力業務妨害罪が成立します(刑法234条)。
威力業務妨害罪の法律に定められた刑(法定刑)は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
威力業務妨害罪における「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力の使用をいいます。
刑事事件例におけるAさんのレジカウンターを複数回足で蹴り上げる行為は、人の意思を制圧するに足る勢力の使用にあたるとして、威力業務妨害罪における「威力」に該当すると考えられます。
また、威力業務妨害罪について定めている刑法234条は威力業務妨害罪の被害者(客体)を「人」と規定していますが、威力業務妨害罪における「人」とは自然人のみならず法人を含むとされています。
よって、刑事事件例におけるV店は、威力業務妨害罪における「人」に該当することになります。
さらに、威力業務妨害罪における「業務」とは、職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務または事業をいい、刑事事件例におけるV店の業務は威力業務妨害罪における「業務」に該当すると考えられます。
そして、威力業務妨害罪について定めている刑法234条は「妨害した」と規定していますが、実際に業務を妨害したという結果は必ずしも要せず、業務を妨害する危険を生じさせれば威力業務妨害罪における「妨害した」といえると考えられています。
刑事事件例では、Aさんは現実にV店の業務を妨害していますので、勿論威力業務妨害罪における「妨害した」といえると考えられます。
以上より、Aさんには威力業務妨害罪が成立すると考えられます。
【威力業務妨害罪と示談】
Aさんが威力業務妨害罪による起訴をされたり実刑判決を受けたりすることを避けるためには、V店と示談を締結することが重要です。
例えば、刑事事件例では、AさんがV店のレジカウンターを複数回足で蹴り上げる行為により、V店のレジカウンターが破損している可能性があります。
そこで、刑事弁護士としては、Aさんの代理人としてV店と示談交渉を開始することができます。
具体的には、V店のレジカウンターの破損により生じた被害金額を含む損害賠償金(示談金)を支払い、民事上の問題を解決したりV店の刑事処罰を求める意思を軽減させたりすることができると考えられます。
示談交渉には刑事事件に関する専門的な知識と豊富な経験、威力業務妨害事件の被害者との示談を円滑に進める交渉力が必要であるため、刑事事件や示談交渉に強い刑事弁護士を選任することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
威力業務妨害事件の被害者との示談交渉を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県名古屋市瑞穂区の威力業務妨害事件で現行犯逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。