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器物損壊罪で示談をするなら

2020-11-16

器物損壊罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県田原市に住むAさんは、同僚のVさんと仕事中に意見が衝突することが多々ありました。そこで、Aさんは、ある日、Vさんを困らせようと思い、Vさんの仕事上のデータが入ったUSBを隠しました。
数日後、Aさんは田原警察署から器物損壊罪の疑いで事情を聴かれることになりました。VさんがUSBがなくなったことに気付き、田原警察署へ告訴状を提出して、田原警察署が捜査を続けていたところ、VさんのUSBを取ったのがAさんということが判明したようです。Aさんは自分のしたことを申し訳なく思っており、Vさんと示談してVさんに告訴状を取り下げてもらいたいと考えています。
(事実を基にしたフィクションです。)

~器物損壊罪とは~

器物損壊罪は刑法261条に規定されています。

刑法261条
 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

以上の規定から器物損壊は、

①他人の物
②損壊
③故意

という要件がそろってはじめて成立する罪だということが分かります。

この点、USBはVさんの物で①「他人の物」に当たることは明らかです。
次に、②の「損壊」についてですが、「損壊」という言葉を聞くと物を壊す、というイメージがあるかと思いますが、器物損壊罪の損壊は物の本来の効用を失わせること、と解されています。
この点、AさんがVさんのUSBを隠匿するという行為によって、Vさんが必要な時にUSB内のデータを使用することが出来なくなるという、USBの本来の効用を失わせることにつながってしまいます。
したがって、AさんがVさんのUSBを隠匿する行為は器物損壊罪の「損壊」に当たります。

なお、USB内のデータの内容次第では、私用文書等毀棄罪というより重い罪が成立する可能性もあります。(5年以下の懲役)

~親告罪に問われたら~

器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、被害者からの告訴がなければ検察官が起訴(公訴の提起)をすることができない犯罪の種類のことです。
つまり、被害者からの告訴無しに、捜査機関が単独で逮捕や捜査を進めることができない犯罪のことを言います。

したがって、親告罪における最も早い刑事事件解決の方法としては、被害者と示談交渉を行い、告訴を取り下げてもらうことです。
示談交渉の結果、被害者が告訴を取り下げてくれれば、検察官は起訴することが出来ず、刑事事件としてそれ以上進展することはありませんので、被疑者の負担を減らすことに繋がります。
また、当然刑事処分を受けることもありませんので、前科が付く恐れもありません。

その為、器物損壊罪といった親告罪に問われた場合、出来るだけ早く刑事事件に強い弁護士に依頼し、示談交渉を進めてもらうことをお勧めします。
示談交渉はスピードが命です。
もし、謝罪や示談交渉が遅れてしまい、被害者の気分を害してしまうと、示談が難航、あるいは示談に取り合ってくれなくなってしまう恐れがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、器物損壊罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。弊所には示談交渉を得意とする弁護士が所属しております。お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

傷害事件で正当防衛を主張

2020-11-10

愛知県岡崎市に住むAさんは、お酒を飲んだ後、一人で駅へと向かっていたところ、すれ違いざまに男性Vさんの肩と軽くぶつかってしまいました。Aさんは酒に酔っていたこともあって、Vさんがわざと自分にぶつかってきたものと思い、Vさんに「なんやこのやろう!」と大声を上げました。すると、Aさんは、「何だって。」などと言いながら近づいてくるVさんに胸ぐらをつかまれたため、Vさんの両肩を両手で押して払いのけた、Vさんを地面に転倒させました。その後、周囲の人がAさんとVさんとの間に割って入り、事が収まりました。AさんとVさんは現場に駆けつけてきた岡崎警察署の警察官に事情を聴かれました。Aさんは警察官に「正当防衛だ。」などと主張しています。Vさんは、病院へ連れていかれ、診断の結果、加療約2週間の傷害と診断されました。
(フィクションです。)

~ 正当防衛 ~

ある行為が犯罪に当たると思われても、その行為に違法性がなければ犯罪は成立しません。この違法性に該当しない事由のことを「違法性阻却事由」といいます。Aさんが主張している「正当防衛」(刑法36条)は違法性阻却事由の一つです。違法性阻却事由は、正当防衛のほかにも緊急避難(刑法37条)、正当行為(刑法35条)があります。

刑法36条
急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。
 
今回、Aさんのは、Vさんの両肩を両手で押すという「暴行」を加え、それによってVさんに怪我を負わせているのですからAさんの行為は刑法204条の傷害罪に当たります。しかし、Aさんの行為が上の正当防衛の要件に該当する場合は、傷害罪は成立しません。以下では、正当防衛が成立するための要件についてみていきたいと思います。

「急迫」とは、法益(今回でいえば、Aさんの身体)侵害が現に存在するか、目前に差し迫っていることをいいます。ですから、過去の侵害や将来の侵害に対しては正当防衛は認められません。例えば、相手から足を蹴られ、その侵害が一応去った後、相手を追っかけて相手の顔面を殴ったとしても正当防衛は成立しません。「不正」とは違法であることをいいます。「侵害」とは、法益に対する実害又はその危険を生じさせる行為をいいます。

「権利」とは、法律で「〇〇権」と明文化されているものに限らず、広く法律上保護されている法益をいいます。
「防衛」とは、侵害から法益を守ることをいいます。防衛行為は、侵害者に向けられた行為でなければなりません。例えば、AさんがVさんから刃物で襲われたため、その場にいたWさんを盾にしてWさんに傷害を負わせたという場合、Wさんとの関係で緊急避難(刑法37条)が成立する余地はあっても正当防衛は成立しません。

※防衛の意思(防衛するため)
 防衛行為は、自己又は他人の権利を防衛するためのものでなければなりません。そこで、正当防衛が成立するには、防衛行為が防衛の意思に基づくことを要するかが問題となります。この点、判例は必要との立場をとっています(最判昭和46年11月16日など)。ただし、防衛行為は、緊急状況下で行われることが多いと思われますから、防衛の意思の意義を「急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする単純な心理状態」と解する説もあります。

「やむを得ずにした」とは、具体的事情の下において、その防衛行為が、侵害を排除し、又は法益を防衛するために必要かつ相当なものであったことをいいます。防衛行為の相当性ともいわれています。防衛行為の相当性を超えたものが過剰防衛です(刑法36条2項)。防衛行為の相当性は、法益の権衡と防衛行為事態の態様の2つの面から検討し、具体的事情の下で社会的・一般的見地から見て必要かつ相当か否かと判断します。例えば、素手で向かってくる相手に対し、刃物を用いて対抗する場合は相当性を欠く場合が多いでしょうが、体格、腕力等において優勢な者に対して刃物で対抗してもなお相当性が認められる場合もあります。

正当防衛を主張するケースでは、当事者双方から事件当時の出来事を詳細に聴き出した上で、上記要件に当てはまるかどうか判断するという極めて高度な技術と知識が必要となります。正当防衛を適切に主張するなら、刑事事件専門の弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております

性感染で傷害

2020-11-03

性感染と傷害について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市緑区に住むAさんは出会い系サイトで知り合ったVさん(当時20歳)と市内のホテルで性交に及びました。その際、Aさんは自身がHIVに感染していましたが、1回の性交で感染させることはないだろうと考え、Vさんには隠していました。後日、Vさんはエイズを発症し、Aさんを告訴しました。告訴を受けた緑警察署はAさんを取調べることにしました。
(フィクションです)

~傷害罪~

刑法第204条は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す」と規定しています。

傷害と聞くと、ナイフなどで人を傷つけたり、殴って怪我をさせたりといったことを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

傷害罪にいう傷害とは、人の生理的機能に障害を与えることをいいます。
つまり、殴ったりするなどして人を傷つけずとも、病気にかからせたりした場合には傷害罪が成立し得るということです。

また、傷害罪は暴行罪(刑法第208条)の結果的加重犯としての性質も有しています。

結果的加重犯とは、基本となる犯罪(基本犯)から重い結果(加重結果)が生じたときに成立する犯罪です。
例えば、強盗致死傷罪(刑法第240条)、強制性交等致死傷罪(刑法第181条第2項)などがあります。
これらでは強盗罪(刑法第236条)や強制性交等罪(刑法第177条)が基本犯で、これらの犯罪の機会に人に死傷結果が生じた場合に強盗致死傷罪や強制性交等致死傷罪が成立するということになります。

強盗罪と強制性交等罪の法定刑が5年以上20年以下の懲役であるのに対して、強盗致傷罪と強制性交等致死傷罪の法定刑は無期または6年以上20年以下の懲役で、強盗致死罪に至っては死刑または無期懲役とかなり重い刑が設定されています。

原則として、過失犯を除いて犯罪が成立するためには故意が必要とされます。
しかし、結果的加重犯については、基本犯の故意のみが要求されているにすぎず、加重結果が生じたことについて故意は必要とされません。

傷害罪については、暴行の故意しかないにもかかわらず、傷害結果が生じた場合は傷害罪が成立しうるということになります。
さらに言えば、傷害罪の結果的加重犯である傷害致死罪(刑法第205条)と暴行罪は二重の結果的加重犯の関係になり、暴行の故意のみで行った暴行で人が死亡した場合は傷害致死罪が成立する可能性があるということにもなります。

ちなみに、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料で、傷害致死罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。

~傷害と示談~

傷害罪で被害者と示談したいという方にとって、一番関心が高いのは

示談金いったいはいくらかかるのか(示談金の相場は)?
慰謝料はいくらかかるのか(慰謝料の相場は)?

ということではないでしょうか?

まず、前提として慰謝料は示談金の一部であるということです。
示談金は正確には「損害賠償金」のことであり、慰謝料はその損害賠償金の一部です。

暴行・傷害行為は民法上の不法行為に当たり、加害者は暴行・傷害行為によって被害者に生じさせた「損害」を賠償する義務を負います(民法709条)。
この損害については「身体的損害」と「精神的損害」に分けることができます。
身体的損害は、治療費などの積極損害から休業損害などの消極損害まで様々です。
他方、精神的損害に当たるのが慰謝料というわけです。

なお、示談金(損害賠償金)の相場というものはありません。
なぜなら、示談金は傷害事件で現れた諸情状により変動するからです。
「情状」には

・被害者の怪我の程度
・被害者の処罰感情
・犯行態様(武器使用か否か)
・犯行に至るまでの経緯、動機(計画的か偶発的か)

などがありますが、このうち傷害罪で最も重要視されるのは「被害者の怪我の程度」です。
なぜなら、被害者の怪我の程度が重たければ重たいほど、上記でご紹介した治療費、休業損害、慰謝料も大きくなり、結果として損害賠償金(示談金)も大きくなるからです。

示談とは被害者側との話し合いです。
しかし、傷害罪の場合、加害者が示談交渉に乗り出しても、ほとんどの場合、被害者は示談交渉のテーブルには乗ってくれないでしょう。
また、どこまでの損害を賠償をするのか被害者側とよく話し合わなければなりません。
それには大変な知識と経験が必要ですし、労力・時間もかかります。
傷害罪で示談をご検討中の方は傷害罪に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

脅迫罪と略式起訴

2020-10-25

脅迫罪と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県犬山市に住むAさんは、交際していた女性Vさんのスマートフォンに、LINEで「俺と復縁しなければ,お前の家焼き払うぞ」などとメールを送りました。Aさんは愛知県犬山警察署に脅迫罪で逮捕されました。Aさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)

~ 脅迫罪 ~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫したものは、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。
ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。

また,害悪を告知する方法には制限がありません。その程度に達しているかどうかは、その内容を四囲の状況に照らして判断すべきとされています。しかし、これが真意にでたこと(本当に家を焼き払う気があったか、など)、相手が現実に畏怖したことなどを必要とするものではありません。
害悪告知の手段には制限はありません。直接言葉で伝えることはもとより、文書の掲示、郵送、最近では、事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた例もあります。

* 脅迫罪と強要罪の違い *

脅迫罪は人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば成立します。他方,強要罪は脅迫行為等の結果として,相手方に義務なきことを行わせ,又は行うべき権利を妨害したことで成立するという点に違いがあります。また、強要罪の法定刑は3年以下の懲役と、脅迫罪と異なり罰金刑が設けられていないことも大きな違いです。

~ 略式起訴とは? ~

検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。

憲法上、全ての国民には公開の法廷で裁判を受ける権利が認められています。ところが、略式起訴は、いわばその手続きを省略する手続きですから、検察官が略式起訴するには、被疑者からの同意を得る必要があります。
また、仮に略式起訴され、裁判官により略式命令を発せられたとしても、その告知を受けた日から14日間以内は正式裁判の申し立てをすることができます。

略式裁判を受けるメリットとしては、

・懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来、刑務所で服役するおそれがなくなる
・公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる)、裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)

ことのほか、身柄を拘束されている場合は

・略式命令を受けた時点で釈放される
→早期釈放

という点を挙げることができます。

ただし、略式裁判は通常の裁判手続を省略する裁判です。裁判官があなたの言い分を聴く機会は設けられませんから、痴漢行為を否認する場合は、略式手続に応じてはいけません。通常の裁判で事実を争う必要があります。

裁判官により「被告人を罰金●●万円に処する」との命令が発せられると、その命令の内容が記載された略式命令謄本の交付を受けます。
勾留により身柄を拘束されている場合は、護送の下、裁判所へ出頭し、裁判所で謄本の交付を受けます。そして、先ほどご説明したとおり、交付を受けた段階で釈放されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

公妨で略式起訴

2020-10-07

公務執行妨害罪(公妨)と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市緑区に住むAさんは、同区内で、愛知県緑警察署の警察官が乗車していた停車中のパトカーに向かって投石行為を繰り返したため、その行為を現認していた警察官に公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。その後、Aさんは勾留されましたが、略式起訴され、裁判所から罰金10万円の略式命令を受けて釈放されました。
(フィクションです。)

~公務執行妨害罪~

公務執行妨害罪は

公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた

場合に問われる罪です。
公務執行妨害罪の「暴行」には殴る、蹴る、叩くなどのように人に対する直接的な有形力の行使のほか、本件のように、直接公務員(本件の場合、警察官)に向けられておらず、公務員の身体に感応する行為(間接暴行)も含まれると解されています。
そのため、Aさんは公務執行妨害罪で逮捕されているのです。
このように、「暴行」を広く解釈しているのは、公務執行妨害罪の保護法益が、公務員の身体等を特別に保護するものではなく、公務それ自体の適正かつ円滑な遂行を保護するものであるため、公務の執行を妨害する程度で足りると考えられているためであるとされています。
なお、判例では、
・覚せい剤液注射液入りアンプルを足で踏み付け破壊する行為
・収税官吏が差し押さえた密造酒入りのカメを破壊する行為
なども「暴行」に当たるとされています。

~略式起訴とは?~

検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。

憲法上、全ての国民には公開の法廷で裁判を受ける権利が認められています。ところが、略式起訴は、いわばその手続きを省略する手続きですから、検察官が略式起訴するには、被疑者からの同意を得る必要があります。
また、仮に略式起訴され、裁判官により略式命令を発せられたとしても、その告知を受けた日から14日間以内は正式裁判の申し立てをすることができます

逮捕から略式起訴、略式裁判までの流れは以下のとおりです。

逮捕→勾留→捜査機関(警察、検察)による捜査→検察官から略式起訴、裁判に関する説明を受け、同意を求められる(勾留期間満了の日のおおよそ2日前)→略式起訴

略式裁判は、公開の法廷に出頭する必要がなく,裁判官が書面だけで審理を行う裁判のことをいいます。

●懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来,刑務所で服役するおそれがなくなる
●公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる),裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)

などといった点が挙げられます。

他にも、略式裁判を受けるメリットとしては、

●略式命令が出た時点で釈放される

という点も挙げられます。つまり、例えば、勾留中の場合、勾留期間9日目で検察官により略式起訴されたとしましょう。その場合、通常、その日に裁判官による略式裁判が行われ(先ほども申しましたように裁判への出廷の必要はない)、略式命令をすることができないこと、略式命令をすることが相当でないこと以外は、その日に略式命令が出されます。略式命令が出されると勾留状の効力が失効するとの規定があります(刑事訴訟法345条)から、その時点で釈放されるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

強要罪で逮捕

2020-09-30

強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県津島市の会社に勤めるAさんは、会社に勤務して間もないVさんの会社での勤務態度に腹を立て、Vさんの胸ぐらをつかみながら「お前はいつになったら仕事に慣れるんだ!ここ何日間、会社に迷惑をかけたので、みんなの前で土下座しろ!」と言って土下座させました。しかし、会社の同僚がAさんとVさんの仲裁に入りましたので事態は収まりました。ところが、後日、Vさんが愛知県津島警察署に被害届を提出したことから、Aさんは津島警察署で強要罪の被疑者として事情を聴かれることになりました。
(フィクションです)

~強要罪~

強要罪は刑法223条に規定されています。

刑法223条
1 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害し た者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同 様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。 

強要罪は、「脅迫」(生命、身体等に対して害を加える旨の告知)又は「暴行」を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合に成立する犯罪です。法定刑は「3年以下の懲役」と選択刑として罰金刑がありません。起訴され、刑事裁判で有罪の判決を受ければ懲役刑に処せられます。

~脅迫罪~

脅迫罪は刑法222条に規定されています。

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

害悪の告知は、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないとされています。
人を畏怖させるに足りるものであったか否かは、告知に至るまでの経緯、告知した人(年齢、性別など)、告知内容、告知された相手(年齢、性別など)などの状況から判断されます。したがって、同じ内容でも人、相手などによっては「害悪の告知」と認められることもあれば、認められないこともあります。
過去の判例(昭和35年3月18日)では、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」が害悪の告知と認定されましたが、これは暴力団組員から同じ暴力組員への脅迫行為に関する事例判断です。

~脅迫罪と強要罪の違い~

脅迫罪と強要罪は大きく、以下の違いがあります。

=犯罪の性質、要件の違い=

以上からもお分かりいただけますように、脅迫罪は「害悪の告知」をしただけで成立する罪、強要罪は「害悪の告知」+「人に義務のないことを行わせること」あるいは「権利の行使を妨害したこと」が必要です。また、脅迫罪の「害悪の告知」は、それによって相手方が畏怖したかどうかは問わないとされているのに対し、強要罪の「害悪の告知」は、結果として相手方に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害するに足りる程度のものである必要があります。

=法定刑の違い=

脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で、強要罪は3年以下の懲役です。両者を比べてみるとよく分かりますが、強要罪には罰金刑がありません。つまり、強要罪で起訴されると必ず正式裁判を受ける必要が出てきます。裁判所は、土日は開廷してくれませんから、会社員の方であれば休暇を取る必要があります。また、慣れない法廷という場は極度に緊張するものです。判決が出るまでは「刑務所に行かなければならないだろうか」などと不安が続きます。対して、脅迫罪は選択刑として罰金刑がありますから、そのような不安や緊張に悩まされなくて済む場合もあります。

~示談交渉は弁護士に依頼~

ところで、強要罪で懲役刑を受けることや、前科が付くことを回避したいならば、起訴前に被害者と示談を成立させることが賢明です。
しかし、本件のような強要事案の場合、当事者間で示談交渉しようとすると、被害者の処罰感情は強く、示談交渉のテーブルにすらついていただけない場合もございます。したがって、当事者間で示談交渉するのはお勧めできません。
そこで、弁護士が当事者の間に入って示談交渉する必要が出てきます。
示談交渉では、示談金額のみならず、加害者の謝罪や反省の気持ち、今後の再犯防止に向けた対策等を被害者にお伝えすることも可能です。
本件では、Aさんが他部署に異動するということも、場合によっては必要となってくるかもしれません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、強要罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。強要罪については特に、検察官が起訴する前に被害者と示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが重要です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881で、無料相談、初回接見サービスをお申し付けください。

傷害罪で早期釈放のためには?

2020-09-29

傷害罪と早期釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市名東区に住むAさんは、同区内の居酒屋で学生時代の友人と酒を飲みました。その際、Aさんはついつい飲みすぎてしまい、同じ店で酒を飲んでいたVさんと些細な理由で口論になりました。怒りが収まらなかったAさんは、いきなりVさんの顔面を右拳で1回殴り、さらにもう1回Vさんを殴ろうとしたところで近くにいた友人に慌てて制止されました。Aさんはなお興奮が収まらず、居酒屋の店員の通報で駆けつけた愛知県名東警察署の警察官により、暴行罪で逮捕されました。そして、後日、Vさんから愛知県名東警察署に「加療約1週間を要する傷害」との診断書が提出されたことから、Aさんに対する容疑は暴行罪から傷害罪に切り替えられました。Aさんと接見した弁護士は、Aさんの早期釈放を目指すことにしました。
(フィクションです。)

~傷害罪~

傷害罪は刑法204条に規定されています。

刑法204条 
 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「傷害」の意義については諸説ありますが、判例、裁判例は、人の生理機能に障害を与えること、又は人の健康状態を不良に変更することとする生理機能障害説に立っているものと思われます。

・打撲
・骨折
・創傷

などが「傷害」に当たります。

次に、規定上は単に「人の身体を傷害した」と行為の結果しか書かれていませんが、その前提として、

1 暴行の故意+暴行行為
2 傷害の故意+傷害行為

が必要とされています。
「暴行」とは人の身体に対する不法な有形力の行使をいい

・殴る
・蹴る
・突く
・押す
・投げ飛ばす

などがその典型といえるでしょう。
「暴行の故意」とは、要は、怪我させるつもりはなかったという場合です。この、暴行の故意で暴行行為を働き、結果、傷害を発生させた場合でも傷害罪に問われます。
他方、「傷害の故意」とは、傷害させるつもりだったという場合です。傷害の故意で傷害行為を働き、結果、傷害を発生させた場合は傷害罪に、傷害を発生させなかった場合は暴行罪(刑法208条)に問われます。

最後に、暴行行為、又は傷害行為と傷害との間に因果関係があることが必要です。この因果関係の考え方についても諸説ありますが、基本的には「その行為がなかったならばその結果は発生しなかった」という関係が認められれば因果関係を認められるとされています。よって、暴行、傷害を加え怪我を負わせたとしても、その暴行、傷害と怪我との間に因果関係が認められない場合は傷害罪ではなく暴行罪が成立します。

~早期釈放されたい~

早期釈放を目指したいAさんですが、早期釈放してもらうことはできるのでしょうか。
まずは逮捕後の手続について確認しておきましょう。

逮捕されると警察署の留置場に収容され、警察官の弁解録取(取調べみたいなもの)を受けます。
そして、釈放されない場合は、逮捕から48時間以内に事件と身柄が検察庁に送られ、今度は検察官の弁解録取を受けます。
その結果、検察官が勾留の理由や必要性があると判断した場合、事件と身柄を受け取ってから24時間以内に、裁判官に対して勾留請求を行います。他方で、検察官が勾留の理由や必要性がないと判断した場合は勾留請求される前に釈放されます。
検察官による勾留請求を裁判官が許可すれば10日間の身柄拘束、つまり勾留が決定します。さらに、この勾留期間は最大10日間、延長されることもあります。

そこで、早期釈放を目指したいAさんとしては検察官の勾留請求や裁判官の勾留決定を防ぐ必要があるわけです。
これを防ぐことができれば釈放され、その後は必要に応じて自宅から警察署や検察庁に取調べを受けに行ったり、裁判所に裁判を受けに行ったりすることになります。

~勾留を防ぐには~

勾留を防ぐには、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官にアピールしていくことが必要です。
具体的には、被害者に謝罪・賠償して示談を締結する、少なくとも示談に向けて誠実に対応する動きを見せる、反省態度を示す、家族名義の上申書を提出して家族の監督が見込めることを示す、といった対応が重要となってきます。

これらの対応をすれば、比較的軽い事件では勾留されずに釈放されることも十分考えられます。

ぜひ一度弁護士にご相談いただければと思います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、傷害罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。

傷害事件の勾留阻止

2020-09-28

勾留阻止について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

名古屋市西区に在住するAさんは、同棲中のVさんから別れ話を切り出されたことで、カッとなり、Vの顔面を複数回殴りました。その後、Aさんのことが怖くなったVさんが警察に通報したことで事件が発覚し、Aさんは傷害罪の容疑で警視庁赤坂警察署に逮捕され、勾留されてしまいました。Aさんと接見した弁護士は勾留延長阻止に向けて弁護活動を始めましあ。
(フィクションです。)

~勾留阻止~

上記事例では、AはVの顔面を殴打しており、それによってVは全治3週間の傷害を負っていることから、Aには傷害罪(刑法204条)が成立するといえます。

上記の様ないわゆる暴力行為によって逮捕された場合、勾留されてしまうおそれがあります。
勾留とは、逮捕に引き続いて行われる身柄拘束のことをいい、勾留は、検察官の勾留請求に対して裁判官が勾留決定をすることによって開始されます。
勾留決定がなされると、10日間にわたり、留置所において身柄を拘束されることになり、勾留中は検察官から取調べを受けたり、現場検証がなされたりします。

勾留が10日目を迎えた場合、検察官には、大きく分けて、被疑者を釈放するか、勾留延長を請求するかという2つの選択肢があります。
まず、検察官がこれ以上勾留の必要性がないと判断した場合には、被疑者を釈放します。
この時点で、不起訴といった刑事処分を受ける場合もあります。

他方で、検察官がさらに身柄拘束を行って捜査を継続する必要があると思料した場合には、勾留延長を請求します。
勾留延長の期間は最大で10日間で、最終的には請求を受けた裁判官が決定します。
こ勾留延長によって、逮捕から起算すると最大で23日間もの間、身柄拘束がなされてしまうことになります。

以上のような勾留及び勾留延長に対して、弁護士としては、被疑者が少しでも早期に釈放されるよう働きかける活動を行うことになります。
勾留がなされる前の段階において、弁護士として行うことができる活動としては、まず選任後すぐに被疑者と面会を行い、事件の詳細を聞いて今後の見通しを被疑者に伝えるという初回接見という活動が挙げられます。
この活動によって、逮捕されてしまった被疑者の心理的負担を軽減し、黙秘権や調書訂正申立権、署名拒否権といった権利があることを伝えることが可能となります。

また、弁護士の主な活動として、被害者との示談交渉が挙げられます。
被害者であるVが、加害者であるAともう2度と会いたくないと主張している場合には、当事者間やその家族での円満な示談交渉は事実上不可能であるといえます。
一方、弁護士が介入する場合には、被害者としても心理的圧迫等を感じることなく、示談交渉を円滑に進められることも考えられます。
被害者との間で早い段階で示談が成立すれば、場合によっては勾留請求そのものが却下される可能性があり、身柄拘束の期間を非常に短縮することが可能になり得ます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間体制で、無料法律相談・初回接見の予約を受け付けております。

子どもに対する監禁致傷罪

2020-09-26

子どもに対する監禁致傷罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

愛知県田原市に住むAは、息子V君(1歳)を洗濯機の中に入れ、洗濯機を回してV君に怪我を負わせたとして愛知県田原警察署に監禁致傷罪で逮捕されました。洗濯機の中でぐったりしているV君を見つけたV君の母親がAに問い詰めたところ、Aが「洗濯機の中で遊んだ。」「おもしろいからやった。」と言ったことから、母親が110番通報し、本件が発覚したようです。Aは警察の取調べでは、「Vが勝手に洗濯機の中に入り込んだ。」「おれはやってない。」などと言って犯行を否認しているようです。
(フィクションです。)

~監禁致傷罪とは~

監禁罪は刑法220条に規定されています。

刑法220条
 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

「監禁」とは、人が一定の区域内から脱出することが不可能又は著しく困難にすることをいいます。そして、監禁といえるためには、被監禁者の自由の拘束が完全なものであることを要しないとされています。したがって、一応、脱出の方法がないわけではないけれども、生命・身体の危険を冒すか、又は常軌を脱した非常手段を講じなければ脱出できないような場合であれば監禁といえます。

また、監禁罪の監禁は「不法」であることが必要です。したがって、正当な監禁は違法ではなく処罰されません。不法かどうかは、社会通念に従って判断されます。
以前、子どものころ、父親に叱られ反省させる意味で押し入れなどに閉じ込められた、という経験をお持ちの方もおられると思います。
この行為も立派な「監禁」に当たりますが、しつけが「不法」ではなかったことから監禁罪は成立しませんでした。しかし、上の社会通念とは時代とともに変化していくものですから、以前は許されていたとしても今も許されるとは限りませんから注意が必要です。

さらに、監禁によって人に怪我を負わせたり、死亡させた場合は監禁致死傷罪に問われます。

刑法221条
 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

「前条の罪を犯し」というのは、監禁罪が成立した場合、ということです。
「よって」とは監禁行為と人の負傷、死との間に因果関係が必要であることを意味しています。
「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。」とは、負傷の場合は傷害罪(刑法204条)、死亡の場合は傷害致死罪(刑法205条)ち比較して重い刑を採用する、という意味です。

刑法204条
 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法205条
 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。

まず、負傷の場合ですが、刑法9条により、罰金刑は懲役刑よりも軽い罪、とされますから、負傷の場合の下限は「3月上の懲役」です。そして、監禁罪の7年以下の懲役と傷害罪の15年以下の懲役を比べた場合、15年以下の懲役の方が重たいことは明らかです。よって、監禁致傷罪の法定刑は

3月以上15年以下の懲役

です。
次に、死亡の場合ですが、監禁罪の7年以下の懲役と傷害致死罪の3年以上の懲役は監禁罪の7年以下の懲役の方が一見すると重たいように見えます。しかし、7年以下というと1月の懲役、2月の懲役も含まれるわけです。対して、3年以上の懲役は最低が3年で最高が20年です。したがって、3年以上の懲役の方が重たいといえます。以上から、監禁致死罪の法定刑は、

3年以上の懲役

です。

なお、本件のような事案は児童虐待が疑われる事案です。
児童の身体などから日常的な児童虐待が疑われる場合は、傷害罪などでも立件されるおそれがあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

強盗事件を起こして逮捕されてしまったら

2019-12-02

強盗事件を起こして逮捕されてしまったら

~強盗事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します~

~ケース~

名古屋市千種区で一人暮らしをしている大学3年生のAさんは自分の娯楽の為,両親に内緒で消費者金融から借り入れをしていた。
しかし,Aさんは返済日に返済用の現金を用意できず,近所の店で強盗をし現金を奪おうと考えた。
Aさんは犯行当日,包丁を持参しV店に押し入り従業員Xさんに包丁を突きつけ現金を出すように要求した。
しかしXはこれに応じず,緊急通報システムによって駆けつけた愛知県千種警察署の警察官によってAさんは強盗罪の疑いで逮捕された。
逮捕の連絡を受けたAさんの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼した。
(フィクションです)

~強盗罪~

強盗罪は刑法236条に規定されています。

刑法236条
1.暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は,強盗の罪とし,5年以上の有期懲役に処する。

強盗罪のいう暴行又は脅迫は相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の強さが必要です。
強盗の際の暴行・脅迫が反抗を抑圧するに足りる程度であったかどうかは客観的な基準によって判断されます。
今回のAさんのように包丁を突きつけるという行為は反抗を抑圧するに足りる暴行・脅迫となりますのでAさんの行為は強盗罪に該当するといえるでしょう。

しかし,Aさんは強盗を試みたものの,Xさんが要求に応じずお金を奪う事はできませんでした。
強盗罪お金などの財物を奪った時点で既遂となりますので,お金などを奪えなかった場合には強盗未遂罪にとどまります(刑法243条)。
そのため,Aさんには強盗未遂罪が成立することになります。
なお未遂の場合は,「その刑を減軽することができる」と定められています(刑法43条)。

~刑事手続き~

今回のAさんの場合,一人暮らしであるという事情から逮捕後に検察官の請求により勾留されてしまう可能性が高いでしょう。
一人暮らしであるという事情から逃亡のおそれが高い,また近所の店に押し入っての強盗ですから被害者等への接触といった証拠隠滅のおそれも高いと判断されてしまうおそれがあります。
勾留の期間は勾留請求の日から10日間で,勾留満期の時点で検察官は被疑者を起訴するかどうかを決めなければなりません。
事件が複雑である場合など,10日間では起訴または不起訴の決定が困難な場合には検察官の請求により,裁判官は10日間を限度に勾留期間を延長することができます。

刑事訴訟法では,逮捕後,被疑者を検察官に48時間以内に送致し,送致を受けた検察官は24時間以内に被疑者の勾留を請求するか釈放するかを決定しなければならないとされています。
そのため,単純計算で起訴されるまでに最長で23日間身柄拘束されてしまうことになります。
その間が警察署の留置場などで生活することになりますので,当然大学へ通ったりアルバイトなどに行くこともできません。
そうなってしまうと出席日数が不足してしまったりアルバイトを解雇されてしまう可能性も高いでしょう。
したがって,勾留はできるだけ回避する必要があります。

~弁護活動~

今回のケースではまずAさんが勾留されないように活動していくことになるでしょう。
未遂罪とはいえ,強盗罪は重大事件ですので勾留されてしまう可能性は高いでしょう。
しかし,両親が身元引受人になり同居などによって監督を約束,警察などの出頭要請には必ず従うといったことを約束すれば裁判官が検察官による勾留請求を棄却する可能性はあります。
勾留請求が認められてしまった場合には勾留に対する準抗告をすることによって,それが認められれば釈放となる場合もあります。

強盗罪は5年以上の有期懲役というかなり重い刑罰が規定されています。
強盗罪には罰金刑が定められていないので起訴されてしまった場合には刑事裁判を受けることになります。
今回,Aさんの起こした強盗未遂事件は事件の内容がそこまで重いものではないとも思われます。
しかし,未遂であり刑の減軽がされたとしても刑事裁判の結果は執行猶予付きの懲役という判決になるでしょう。
今回のような事案では,被害店舗や被害者の方と示談交渉をし,加害者を許すという宥恕条項を盛り込んだ示談を成立させることができれば検察官は事件を不起訴とする可能性が高くなります。
しかし,示談を使用と思っても被害者の方は恐怖心や不信感などから加害者本人との示談に応じることは少ないと思われます。
弁護士が代理人として示談をするという場合であれば被害者の方も安心して示談に応じて頂ける可能性が高くなります。
強盗未遂罪であっても示談によって不起訴となった事例は多くあります。

ご家族の方が強盗事件を起こしてしまいお困りの方は,刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部の弁護士にご相談下さい。
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