Archive for the ‘暴力事件・凶悪犯罪’ Category
監禁罪で執行猶予
監禁罪と執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
Aさん夫婦は愛知県瀨戸市に暮らしており、今年で30歳になる息子がいました。息子は、統合失調症を患っており、ときどき大声を上げ暴れることがあり、Xさん夫婦も手を挙げられ、怪我をすることがありました。ある日、夫婦警察から連絡があり、息子が暴れ、喧嘩をしているとのことで、警察署に息子を迎えに行ったことがありました。Aさん夫婦は、「今後も息子が外出中に暴れ、人様を傷つけてしまったら大変だ」と考え、息子を自宅の部屋に隔離し、部屋の外にカギを付け、息子の行動を管理するようにしました。息子はしばらくは、落ち着いて生活していましたが、1週間が経過したころ、息子が部屋の中で大声を出し暴れまわりました。その声を聞いた近所の人が警察に通報し、千葉県警千葉北警察署の警察官がやってきました。
警察官は、様子を見せてほしいと部屋の中に入り、息子の部屋の鍵を確認しました。そこで、Aさん夫婦は、監禁罪の疑いで警察から捜査を受けることになりました。
(フィクションです。)
~監禁罪~
監禁罪は刑法220条に規定されています。
刑法第二百二十条
不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
監禁罪とは、正当な理由なくして人の場所的移動の自由を奪う犯罪です。
監禁罪における「監禁」とは、一定の場所から脱出できないようにし、場所的移動の自由を不可能または困難にする行為です。
たとえば、部屋に鍵をかけて出られなくするなどが典型例ですが、車に乗せたうえで、本人が「降りたい」という意思を明確にしているにもかかわらず、降ろさない場合にも成立します。
ちなみに、監禁罪においては、「監禁」をどう定義付けするかという点で法律の解釈上の争いが存在します。
そもそも、監禁罪は、「人が移動することの自由」を保護するための法律であり、「人が移動することの自由」をどう考えるかという点で、大きく分けて2つの解釈が存在します。一つ目が、「可能的自由説」で、もう一つが「現実的自由説」といいます。前者は、移動の自由を最大限保護しようとするもので、もし人が移動したいと思った時その状況が阻止されていればそれで犯罪の成立を認めます。
他方で、後者の場合、実際に人が移動したいと思った時にその状況が阻止されていた時に限り犯罪の成立を認めます。
具体的に問題になる場面としては、たとえば、「人が寝ている最中に部屋の外から鍵をかけた場合に犯罪が成立するかどうか」といったシーンが想定されます。前者であれば寝ていたとしても、「起きて移動したいと思う可能性がある」ので、この場合にも犯罪は成立します。
他方、後者の場合、「実際は寝ていて移動したいと思わなかった」以上、犯罪は成立しません。
~執行猶予とは~
刑の執行猶予とは、有罪判決をして刑を言い渡すに当たって、情状により、その執行を一定期間猶予し、その期間を無事経過したときは刑の言渡しを失効させる制度のことをいいます。刑の執行猶予には、大きく分けて「刑の全部の執行猶予の制度」と、「刑の一部の執行猶予の制度」の2種類があり、前者はさらに、「最初の執行猶予の制度」と「再度の執行猶予の制度」の2種類に分けられます。
最初の執行猶予(付き判決)を受けるための要件は、刑法25条1項に規定されています。
刑法25条1項
次に掲げる者が3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる
1号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
2号 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
つまり、最初の執行猶予(付き判決)を受けるには
1 3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けること
2 上記1号、あるいは2号に該当すること
3 (執行猶予付き判決を言い渡すのが相当と認められる)情状があること
が必要ということになります。
上記1について、監禁罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」ですから、情状によっては「3年以下の懲役」の判決を受ける可能性はあります。
次に、上記2については、まずは
・なんら前科のない人
・前科があっても罰金刑(実刑、執行猶予付きを含む)以下の前科を有する人
は含まれる、と考えてよいです。
Aさん夫婦が前科を有しなければ上記2の条件も満たします。
最後に、上記3について、情状は、、犯罪そのものに関する情状(犯情)とその他の一般情状に区別されます。
犯情とは、犯行動機・態様、被害結果などの要素があり、犯行た後ではいかんともしがたい事実です。
他方、一般情状については、犯行後でも、いくらでも有利に動かすことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、窃盗罪をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件での執行猶予獲得をご検討中の方は弊所までお気軽にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
刑事事件に関する初回相談は全て無料。相談・接見は、土日祝日、夜間でも対応可能です。お電話をいただいてからすぐ接見に向かうことも可能です。ぜひご相談ください。
脅迫罪で釈放
脅迫事件で釈放を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市内の大学に通うXさんは、学食で、当時交際していたVさんが見知らぬ男性と食事しているのをみかけました。Xさんは、そのことをVさんに問い詰めたところ、Vさんからは白を切られてしまいました。その日の夜、LINEでXさんは彼女に対し、「今度あの男と会ってやがったら本気でぶっ殺す。お前の家族もぶっ殺すからな。」とメッセージを送りました。彼女は、また暴力を振るわれるのではないかと不安になり守山警察署に駆け込んだところ、Xさんは、同警察署の警察官により、脅迫罪で通常逮捕されることになりました。
(フィクションです。)
~脅迫罪~
脅迫罪は,生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知(害悪の告知)して人を脅迫した場合に成立する犯罪です。
罰則は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。また,害悪を告知する方法には制限はありません。近年では,事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた事例もあります。
~釈放の可能性~
脅迫罪の疑いで逮捕されると、その後勾留されることで逮捕から最長約23日間もの期間、身柄を拘束される可能性が出てきます。
こうした長期の身柄拘束が行われると、当然ながらその間会社や学校などに行くことはできなくなり、著しい不利益を被ることになりかねません。
刑事事件において、釈放されるタイミングはいくつかあります。
大きく分けると、①逮捕から勾留決定まで、②勾留決定から起訴時点まで、③起訴後の3つになります。
上記事例のケースにおいては、①の段階か、被害者の方との示談が成功すれば、②の段階での釈放も期待できます。
日本では勾留される確率が比較的高くなっており、①の段階での釈放を目指すのであれば、弁護士に事件を依頼し、弁護士から、勾留決定時までに加害者側の事情をまとめ勾留請求を行う検察官と、勾留決定を行う裁判官に対し、「意見書」を提出することが有用です。
他方、仮に「意見書」がうまくいかなかった場合にも、早急に被害者との示談を成立させることができれば、早期の身柄解放も期待できます。
身柄の拘束は、仕事や学校に行けないといった現実的な不利益はもとより、行動を管理、監視されているため、肉体的精神的な負担も小さくありません。もちろん、罪を犯してしまった場合には自業自得とも言えますが、必要以上の負担とならないよう身柄解放に向けて動くことも必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

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脅迫罪と示談
名古屋市昭和区に住むAさんは,交際していた女性Vさんのスマートフォンに,LINEで「俺と復縁しなければ,お前の家焼き払うぞ」などとメールを送りました。Aさんは愛知県昭和警察署に脅迫罪で逮捕されました。Aさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 脅迫罪 ~
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫したものは、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。
ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。
また,害悪を告知する方法には制限がありません。その程度に達しているかどうかは、その内容を四囲の状況に照らして判断すべきとされています。しかし、これが真意にでたこと(本当に家を焼き払う気があったか、など)、相手が現実に畏怖したことなどを必要とするものではありません。
害悪告知の手段には制限はありません。直接言葉で伝えることはもとより、文書の掲示、郵送、最近では、事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた例もあります。
~ 脅迫罪において示談を目指す理由 ~
脅迫行為を認める場合は,被害者に真摯に謝罪し,慰謝の措置を取ることが必要不可欠です。これが脅迫罪において示談を目指す一番の理由です。その他,脅迫罪において示談を目指す理由としては以下の点が挙げられます。
= 早期釈放が可能となる =
一般的に,示談意向=罪を認める=罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれはないと判断されやすくなり,早期釈放に繋がりやすくなります。
* 勾留中に略式命令が出た場合 *
脅迫罪には罰金刑が設けられていますから、勾留中に略式裁判を受け、罰金刑の略式命令を受ける、という事態も想定しえます。略式命令が出ると、その時点で勾留状の効力は失われますから、その時点で釈放されます。正式起訴されるか、略式起訴されるか微妙な場合は、略式起訴するよう積極的に検察官に訴えかける必要があります。
= 不起訴獲得が可能となる =
被疑者に有利な情状として考慮され,不起訴獲得の可能性が高くなります。被害者から「被疑者を処罰しないで欲しい」などという宥恕条項を獲得できれば,その可能性はさらに上がります。
= 執行猶予獲得が可能となる =
起訴され、仮に裁判になった場合でも、示談が成立していれば執行猶予獲得の可能性は高くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、脅迫罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。

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公務執行妨害罪の暴行
公務執行妨害罪の暴行について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します
名古屋市緑区に住むAさんは,緑警察署の警察官(最終的な人数5名)から職務質問を受けた際,警察官の言動に立腹し,脚元にあった石をパトカーに投げつけ,パトカーのフロントガラスにひびを入れました。そこでAさんは,公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。Aさんは,パトカーを壊しただけなのに,なぜ逮捕されなければならないのか納得がいってないようです。
(フィクションです)
~ 公務執行妨害罪(刑法95条1項) ~
公務執行妨害罪は刑法95条1項に規定されています。
刑法95条1項
公務員が職務を執行するにあたり,これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
Aさんが納得していないのは,
1 石を直接,警察官にぶつけたわけではないのに公務執行妨害罪の「暴行」と言えるのか
2 石をパトカーに投げつけただけで,実際に,公務員の職務を「妨害」してないではないか
という点だと思います。以下,1,2につきご説明します。
~ 上記1(公務執行妨害罪の「暴行」とは) ~
刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが,その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。
① 最広義の暴行(例:騒乱罪(刑法106条))
有形力の行使すべてを含み,対象は人であっても物であってもよいとされています。
② 広義の暴行(例:強要罪(刑法223条))
人に対する有形力の行使をいいますが,直接暴行だけではなく,間接暴行も含むとされてます。
③ 狭義の暴行(例:暴行罪(刑法208条))
人の身体に対する有形力の行使をいいます。
④ 最狭義の暴行(例:強盗罪(刑法236条),事後強盗罪(238条),強制性交等罪(177条),強制わいせつ罪(刑法176条))
人の身体に対する有形力の行使で,人の反抗を抑圧するか,著しく困難にする程度のものとされています。
このうち,公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。直接暴行とは,人の身体に直接に有形力を加えることですが,間接暴行とは,物に対する有形力で,それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。すなわち,後者の場合,直接人の身体に暴行を加える必要はありません。Aさんの「パトカーに石を投げつけ,フロントガラスにひびを入れた」という行為もこの間接暴行に当たりそうです。
~ 上記2(公務執行妨害罪の「妨害」とは) ~
上の暴行の程度ですが,当然,職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが,それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。これは,公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。過去には,警備中の警察官に対する1回だけの命中しなかった投石行為につき公務執行妨害罪の成立を認めた判例(最判昭33年9月30日)があります。
Aさんの周囲には警察官が5名おり,しかも,パトカーに損害を加えただけで,実際に職務に当たる警察官には危害を加えていないから公務を「妨害」したというには違和感を感じます。しかし,それでも公務執行妨害罪が成立するおそれがありますから注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は,公務執行妨害罪等の刑事事件専門の法律事務所です。ご家族が刑事事件で逮捕されお困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

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器物損壊罪で示談をするなら
器物損壊罪と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県田原市に住むAさんは、同僚のVさんと仕事中に意見が衝突することが多々ありました。そこで、Aさんは、ある日、Vさんを困らせようと思い、Vさんの仕事上のデータが入ったUSBを隠しました。
数日後、Aさんは田原警察署から器物損壊罪の疑いで事情を聴かれることになりました。VさんがUSBがなくなったことに気付き、田原警察署へ告訴状を提出して、田原警察署が捜査を続けていたところ、VさんのUSBを取ったのがAさんということが判明したようです。Aさんは自分のしたことを申し訳なく思っており、Vさんと示談してVさんに告訴状を取り下げてもらいたいと考えています。
(事実を基にしたフィクションです。)
~器物損壊罪とは~
器物損壊罪は刑法261条に規定されています。
刑法261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
以上の規定から器物損壊は、
①他人の物
②損壊
③故意
という要件がそろってはじめて成立する罪だということが分かります。
この点、USBはVさんの物で①「他人の物」に当たることは明らかです。
次に、②の「損壊」についてですが、「損壊」という言葉を聞くと物を壊す、というイメージがあるかと思いますが、器物損壊罪の損壊は物の本来の効用を失わせること、と解されています。
この点、AさんがVさんのUSBを隠匿するという行為によって、Vさんが必要な時にUSB内のデータを使用することが出来なくなるという、USBの本来の効用を失わせることにつながってしまいます。
したがって、AさんがVさんのUSBを隠匿する行為は器物損壊罪の「損壊」に当たります。
なお、USB内のデータの内容次第では、私用文書等毀棄罪というより重い罪が成立する可能性もあります。(5年以下の懲役)
~親告罪に問われたら~
器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、被害者からの告訴がなければ検察官が起訴(公訴の提起)をすることができない犯罪の種類のことです。
つまり、被害者からの告訴無しに、捜査機関が単独で逮捕や捜査を進めることができない犯罪のことを言います。
したがって、親告罪における最も早い刑事事件解決の方法としては、被害者と示談交渉を行い、告訴を取り下げてもらうことです。
示談交渉の結果、被害者が告訴を取り下げてくれれば、検察官は起訴することが出来ず、刑事事件としてそれ以上進展することはありませんので、被疑者の負担を減らすことに繋がります。
また、当然刑事処分を受けることもありませんので、前科が付く恐れもありません。
その為、器物損壊罪といった親告罪に問われた場合、出来るだけ早く刑事事件に強い弁護士に依頼し、示談交渉を進めてもらうことをお勧めします。
示談交渉はスピードが命です。
もし、謝罪や示談交渉が遅れてしまい、被害者の気分を害してしまうと、示談が難航、あるいは示談に取り合ってくれなくなってしまう恐れがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、器物損壊罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。弊所には示談交渉を得意とする弁護士が所属しております。お困りの方は,0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。

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傷害事件で正当防衛を主張
愛知県岡崎市に住むAさんは、お酒を飲んだ後、一人で駅へと向かっていたところ、すれ違いざまに男性Vさんの肩と軽くぶつかってしまいました。Aさんは酒に酔っていたこともあって、Vさんがわざと自分にぶつかってきたものと思い、Vさんに「なんやこのやろう!」と大声を上げました。すると、Aさんは、「何だって。」などと言いながら近づいてくるVさんに胸ぐらをつかまれたため、Vさんの両肩を両手で押して払いのけた、Vさんを地面に転倒させました。その後、周囲の人がAさんとVさんとの間に割って入り、事が収まりました。AさんとVさんは現場に駆けつけてきた岡崎警察署の警察官に事情を聴かれました。Aさんは警察官に「正当防衛だ。」などと主張しています。Vさんは、病院へ連れていかれ、診断の結果、加療約2週間の傷害と診断されました。
(フィクションです。)
~ 正当防衛 ~
ある行為が犯罪に当たると思われても、その行為に違法性がなければ犯罪は成立しません。この違法性に該当しない事由のことを「違法性阻却事由」といいます。Aさんが主張している「正当防衛」(刑法36条)は違法性阻却事由の一つです。違法性阻却事由は、正当防衛のほかにも緊急避難(刑法37条)、正当行為(刑法35条)があります。
刑法36条
急迫不正の侵害に対して,自己又は他人の権利を防衛するため,やむを得ずにした行為は,罰しない。
今回、Aさんのは、Vさんの両肩を両手で押すという「暴行」を加え、それによってVさんに怪我を負わせているのですからAさんの行為は刑法204条の傷害罪に当たります。しかし、Aさんの行為が上の正当防衛の要件に該当する場合は、傷害罪は成立しません。以下では、正当防衛が成立するための要件についてみていきたいと思います。
「急迫」とは、法益(今回でいえば、Aさんの身体)侵害が現に存在するか、目前に差し迫っていることをいいます。ですから、過去の侵害や将来の侵害に対しては正当防衛は認められません。例えば、相手から足を蹴られ、その侵害が一応去った後、相手を追っかけて相手の顔面を殴ったとしても正当防衛は成立しません。「不正」とは違法であることをいいます。「侵害」とは、法益に対する実害又はその危険を生じさせる行為をいいます。
「権利」とは、法律で「〇〇権」と明文化されているものに限らず、広く法律上保護されている法益をいいます。
「防衛」とは、侵害から法益を守ることをいいます。防衛行為は、侵害者に向けられた行為でなければなりません。例えば、AさんがVさんから刃物で襲われたため、その場にいたWさんを盾にしてWさんに傷害を負わせたという場合、Wさんとの関係で緊急避難(刑法37条)が成立する余地はあっても正当防衛は成立しません。
※防衛の意思(防衛するため)
防衛行為は、自己又は他人の権利を防衛するためのものでなければなりません。そこで、正当防衛が成立するには、防衛行為が防衛の意思に基づくことを要するかが問題となります。この点、判例は必要との立場をとっています(最判昭和46年11月16日など)。ただし、防衛行為は、緊急状況下で行われることが多いと思われますから、防衛の意思の意義を「急迫不正の侵害を認識しつつ、これを避けようとする単純な心理状態」と解する説もあります。
「やむを得ずにした」とは、具体的事情の下において、その防衛行為が、侵害を排除し、又は法益を防衛するために必要かつ相当なものであったことをいいます。防衛行為の相当性ともいわれています。防衛行為の相当性を超えたものが過剰防衛です(刑法36条2項)。防衛行為の相当性は、法益の権衡と防衛行為事態の態様の2つの面から検討し、具体的事情の下で社会的・一般的見地から見て必要かつ相当か否かと判断します。例えば、素手で向かってくる相手に対し、刃物を用いて対抗する場合は相当性を欠く場合が多いでしょうが、体格、腕力等において優勢な者に対して刃物で対抗してもなお相当性が認められる場合もあります。
正当防衛を主張するケースでは、当事者双方から事件当時の出来事を詳細に聴き出した上で、上記要件に当てはまるかどうか判断するという極めて高度な技術と知識が必要となります。正当防衛を適切に主張するなら、刑事事件専門の弁護士に刑事弁護を依頼しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

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性感染で傷害
性感染と傷害について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市緑区に住むAさんは出会い系サイトで知り合ったVさん(当時20歳)と市内のホテルで性交に及びました。その際、Aさんは自身がHIVに感染していましたが、1回の性交で感染させることはないだろうと考え、Vさんには隠していました。後日、Vさんはエイズを発症し、Aさんを告訴しました。告訴を受けた緑警察署はAさんを取調べることにしました。
(フィクションです)
~傷害罪~
刑法第204条は「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処す」と規定しています。
傷害と聞くと、ナイフなどで人を傷つけたり、殴って怪我をさせたりといったことを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
傷害罪にいう傷害とは、人の生理的機能に障害を与えることをいいます。
つまり、殴ったりするなどして人を傷つけずとも、病気にかからせたりした場合には傷害罪が成立し得るということです。
また、傷害罪は暴行罪(刑法第208条)の結果的加重犯としての性質も有しています。
結果的加重犯とは、基本となる犯罪(基本犯)から重い結果(加重結果)が生じたときに成立する犯罪です。
例えば、強盗致死傷罪(刑法第240条)、強制性交等致死傷罪(刑法第181条第2項)などがあります。
これらでは強盗罪(刑法第236条)や強制性交等罪(刑法第177条)が基本犯で、これらの犯罪の機会に人に死傷結果が生じた場合に強盗致死傷罪や強制性交等致死傷罪が成立するということになります。
強盗罪と強制性交等罪の法定刑が5年以上20年以下の懲役であるのに対して、強盗致傷罪と強制性交等致死傷罪の法定刑は無期または6年以上20年以下の懲役で、強盗致死罪に至っては死刑または無期懲役とかなり重い刑が設定されています。
原則として、過失犯を除いて犯罪が成立するためには故意が必要とされます。
しかし、結果的加重犯については、基本犯の故意のみが要求されているにすぎず、加重結果が生じたことについて故意は必要とされません。
傷害罪については、暴行の故意しかないにもかかわらず、傷害結果が生じた場合は傷害罪が成立しうるということになります。
さらに言えば、傷害罪の結果的加重犯である傷害致死罪(刑法第205条)と暴行罪は二重の結果的加重犯の関係になり、暴行の故意のみで行った暴行で人が死亡した場合は傷害致死罪が成立する可能性があるということにもなります。
ちなみに、暴行罪の法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料で、傷害致死罪の法定刑は3年以上20年以下の懲役です。
~傷害と示談~
傷害罪で被害者と示談したいという方にとって、一番関心が高いのは
示談金いったいはいくらかかるのか(示談金の相場は)?
慰謝料はいくらかかるのか(慰謝料の相場は)?
ということではないでしょうか?
まず、前提として慰謝料は示談金の一部であるということです。
示談金は正確には「損害賠償金」のことであり、慰謝料はその損害賠償金の一部です。
暴行・傷害行為は民法上の不法行為に当たり、加害者は暴行・傷害行為によって被害者に生じさせた「損害」を賠償する義務を負います(民法709条)。
この損害については「身体的損害」と「精神的損害」に分けることができます。
身体的損害は、治療費などの積極損害から休業損害などの消極損害まで様々です。
他方、精神的損害に当たるのが慰謝料というわけです。
なお、示談金(損害賠償金)の相場というものはありません。
なぜなら、示談金は傷害事件で現れた諸情状により変動するからです。
「情状」には
・被害者の怪我の程度
・被害者の処罰感情
・犯行態様(武器使用か否か)
・犯行に至るまでの経緯、動機(計画的か偶発的か)
などがありますが、このうち傷害罪で最も重要視されるのは「被害者の怪我の程度」です。
なぜなら、被害者の怪我の程度が重たければ重たいほど、上記でご紹介した治療費、休業損害、慰謝料も大きくなり、結果として損害賠償金(示談金)も大きくなるからです。
示談とは被害者側との話し合いです。
しかし、傷害罪の場合、加害者が示談交渉に乗り出しても、ほとんどの場合、被害者は示談交渉のテーブルには乗ってくれないでしょう。
また、どこまでの損害を賠償をするのか被害者側とよく話し合わなければなりません。
それには大変な知識と経験が必要ですし、労力・時間もかかります。
傷害罪で示談をご検討中の方は傷害罪に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
刑事事件に関する初回相談は全て無料。相談・接見は、土日祝日、夜間でも対応可能です。お電話をいただいてからすぐ接見に向かうことも可能です。ぜひご相談ください。
脅迫罪と略式起訴
脅迫罪と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県犬山市に住むAさんは、交際していた女性Vさんのスマートフォンに、LINEで「俺と復縁しなければ,お前の家焼き払うぞ」などとメールを送りました。Aさんは愛知県犬山警察署に脅迫罪で逮捕されました。Aさんの母親は、弁護士にAさんとの接見を依頼しました。
(フィクションです。)
~ 脅迫罪 ~
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫したものは、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
害悪の告知は,一般に人を畏怖させる程度のものでなければなりません。
ただし,本罪は危険犯と言われ,人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば足り,それによって現実に相手方が畏怖したことは必要ではないと解されています。
また,害悪を告知する方法には制限がありません。その程度に達しているかどうかは、その内容を四囲の状況に照らして判断すべきとされています。しかし、これが真意にでたこと(本当に家を焼き払う気があったか、など)、相手が現実に畏怖したことなどを必要とするものではありません。
害悪告知の手段には制限はありません。直接言葉で伝えることはもとより、文書の掲示、郵送、最近では、事例のようにメール送信の他,SNS・ブログなどネット上への投稿で脅迫罪に問われた例もあります。
* 脅迫罪と強要罪の違い *
脅迫罪は人を畏怖させるに足りる程度の害悪の告知があれば成立します。他方,強要罪は脅迫行為等の結果として,相手方に義務なきことを行わせ,又は行うべき権利を妨害したことで成立するという点に違いがあります。また、強要罪の法定刑は3年以下の懲役と、脅迫罪と異なり罰金刑が設けられていないことも大きな違いです。
~ 略式起訴とは? ~
検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。
憲法上、全ての国民には公開の法廷で裁判を受ける権利が認められています。ところが、略式起訴は、いわばその手続きを省略する手続きですから、検察官が略式起訴するには、被疑者からの同意を得る必要があります。
また、仮に略式起訴され、裁判官により略式命令を発せられたとしても、その告知を受けた日から14日間以内は正式裁判の申し立てをすることができます。
略式裁判を受けるメリットとしては、
・懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来、刑務所で服役するおそれがなくなる
・公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる)、裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)
ことのほか、身柄を拘束されている場合は
・略式命令を受けた時点で釈放される
→早期釈放
という点を挙げることができます。
ただし、略式裁判は通常の裁判手続を省略する裁判です。裁判官があなたの言い分を聴く機会は設けられませんから、痴漢行為を否認する場合は、略式手続に応じてはいけません。通常の裁判で事実を争う必要があります。
裁判官により「被告人を罰金●●万円に処する」との命令が発せられると、その命令の内容が記載された略式命令謄本の交付を受けます。
勾留により身柄を拘束されている場合は、護送の下、裁判所へ出頭し、裁判所で謄本の交付を受けます。そして、先ほどご説明したとおり、交付を受けた段階で釈放されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は名古屋本部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
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公妨で略式起訴
公務執行妨害罪(公妨)と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市緑区に住むAさんは、同区内で、愛知県緑警察署の警察官が乗車していた停車中のパトカーに向かって投石行為を繰り返したため、その行為を現認していた警察官に公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。その後、Aさんは勾留されましたが、略式起訴され、裁判所から罰金10万円の略式命令を受けて釈放されました。
(フィクションです。)
~公務執行妨害罪~
公務執行妨害罪は
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた
場合に問われる罪です。
公務執行妨害罪の「暴行」には殴る、蹴る、叩くなどのように人に対する直接的な有形力の行使のほか、本件のように、直接公務員(本件の場合、警察官)に向けられておらず、公務員の身体に感応する行為(間接暴行)も含まれると解されています。
そのため、Aさんは公務執行妨害罪で逮捕されているのです。
このように、「暴行」を広く解釈しているのは、公務執行妨害罪の保護法益が、公務員の身体等を特別に保護するものではなく、公務それ自体の適正かつ円滑な遂行を保護するものであるため、公務の執行を妨害する程度で足りると考えられているためであるとされています。
なお、判例では、
・覚せい剤液注射液入りアンプルを足で踏み付け破壊する行為
・収税官吏が差し押さえた密造酒入りのカメを破壊する行為
なども「暴行」に当たるとされています。
~略式起訴とは?~
検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、検察官が、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。
憲法上、全ての国民には公開の法廷で裁判を受ける権利が認められています。ところが、略式起訴は、いわばその手続きを省略する手続きですから、検察官が略式起訴するには、被疑者からの同意を得る必要があります。
また、仮に略式起訴され、裁判官により略式命令を発せられたとしても、その告知を受けた日から14日間以内は正式裁判の申し立てをすることができます
逮捕から略式起訴、略式裁判までの流れは以下のとおりです。
逮捕→勾留→捜査機関(警察、検察)による捜査→検察官から略式起訴、裁判に関する説明を受け、同意を求められる(勾留期間満了の日のおおよそ2日前)→略式起訴
略式裁判は、公開の法廷に出頭する必要がなく,裁判官が書面だけで審理を行う裁判のことをいいます。
●懲役刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来,刑務所で服役するおそれがなくなる
●公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる),裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)
などといった点が挙げられます。
他にも、略式裁判を受けるメリットとしては、
●略式命令が出た時点で釈放される
という点も挙げられます。つまり、例えば、勾留中の場合、勾留期間9日目で検察官により略式起訴されたとしましょう。その場合、通常、その日に裁判官による略式裁判が行われ(先ほども申しましたように裁判への出廷の必要はない)、略式命令をすることができないこと、略式命令をすることが相当でないこと以外は、その日に略式命令が出されます。略式命令が出されると勾留状の効力が失効するとの規定があります(刑事訴訟法345条)から、その時点で釈放されるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談,初回接見サービスを受け付けております。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
刑事事件に関する初回相談は全て無料。相談・接見は、土日祝日、夜間でも対応可能です。お電話をいただいてからすぐ接見に向かうことも可能です。ぜひご相談ください。
強要罪で逮捕
強要罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
愛知県津島市の会社に勤めるAさんは、会社に勤務して間もないVさんの会社での勤務態度に腹を立て、Vさんの胸ぐらをつかみながら「お前はいつになったら仕事に慣れるんだ!ここ何日間、会社に迷惑をかけたので、みんなの前で土下座しろ!」と言って土下座させました。しかし、会社の同僚がAさんとVさんの仲裁に入りましたので事態は収まりました。ところが、後日、Vさんが愛知県津島警察署に被害届を提出したことから、Aさんは津島警察署で強要罪の被疑者として事情を聴かれることになりました。
(フィクションです)
~強要罪~
強要罪は刑法223条に規定されています。
刑法223条
1 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害し た者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同 様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
強要罪は、「脅迫」(生命、身体等に対して害を加える旨の告知)又は「暴行」を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した場合に成立する犯罪です。法定刑は「3年以下の懲役」と選択刑として罰金刑がありません。起訴され、刑事裁判で有罪の判決を受ければ懲役刑に処せられます。
~脅迫罪~
脅迫罪は刑法222条に規定されています。
1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
害悪の告知は、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないとされています。
人を畏怖させるに足りるものであったか否かは、告知に至るまでの経緯、告知した人(年齢、性別など)、告知内容、告知された相手(年齢、性別など)などの状況から判断されます。したがって、同じ内容でも人、相手などによっては「害悪の告知」と認められることもあれば、認められないこともあります。
過去の判例(昭和35年3月18日)では、「出火御見舞申上げます、火の用心に御注意」が害悪の告知と認定されましたが、これは暴力団組員から同じ暴力組員への脅迫行為に関する事例判断です。
~脅迫罪と強要罪の違い~
脅迫罪と強要罪は大きく、以下の違いがあります。
=犯罪の性質、要件の違い=
以上からもお分かりいただけますように、脅迫罪は「害悪の告知」をしただけで成立する罪、強要罪は「害悪の告知」+「人に義務のないことを行わせること」あるいは「権利の行使を妨害したこと」が必要です。また、脅迫罪の「害悪の告知」は、それによって相手方が畏怖したかどうかは問わないとされているのに対し、強要罪の「害悪の告知」は、結果として相手方に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害するに足りる程度のものである必要があります。
=法定刑の違い=
脅迫罪は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金で、強要罪は3年以下の懲役です。両者を比べてみるとよく分かりますが、強要罪には罰金刑がありません。つまり、強要罪で起訴されると必ず正式裁判を受ける必要が出てきます。裁判所は、土日は開廷してくれませんから、会社員の方であれば休暇を取る必要があります。また、慣れない法廷という場は極度に緊張するものです。判決が出るまでは「刑務所に行かなければならないだろうか」などと不安が続きます。対して、脅迫罪は選択刑として罰金刑がありますから、そのような不安や緊張に悩まされなくて済む場合もあります。
~示談交渉は弁護士に依頼~
ところで、強要罪で懲役刑を受けることや、前科が付くことを回避したいならば、起訴前に被害者と示談を成立させることが賢明です。
しかし、本件のような強要事案の場合、当事者間で示談交渉しようとすると、被害者の処罰感情は強く、示談交渉のテーブルにすらついていただけない場合もございます。したがって、当事者間で示談交渉するのはお勧めできません。
そこで、弁護士が当事者の間に入って示談交渉する必要が出てきます。
示談交渉では、示談金額のみならず、加害者の謝罪や反省の気持ち、今後の再犯防止に向けた対策等を被害者にお伝えすることも可能です。
本件では、Aさんが他部署に異動するということも、場合によっては必要となってくるかもしれません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、強要罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。強要罪については特に、検察官が起訴する前に被害者と示談を成立させ、不起訴処分を獲得することが重要です。お困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881で、無料相談、初回接見サービスをお申し付けください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名古屋市を拠点に、愛知県、三重県、岐阜県、静岡県などの東海全域で、刑事事件・少年事件を取り扱う法律事務所です。
交通事故、性犯罪、薬物事件、暴力事件、財産事件など、多岐にわたる案件を手掛けており、示談交渉や早期釈放に向けた活動を行っています。また、裁判員裁判対象事件にも対応し、執行猶予判決の獲得実績もあります。依頼者様とのコミュニケーションを大切にし、丁寧な説明と報告を心掛けています。
刑事事件に関する初回相談は全て無料。相談・接見は、土日祝日、夜間でも対応可能です。お電話をいただいてからすぐ接見に向かうことも可能です。ぜひご相談ください。