中学生による脅迫罪と示談

2020-05-20

中学生による脅迫罪と示談

中学生による脅迫罪と示談について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

愛知県名古屋市緑区に住む中学3年生のAさんは,友人のVさんと一緒に,男性アイドルグループのコンサートチケットの抽選に応募しました。
しばらくして結果を見たところ,Aさんは落選していた一方でVさんは当選しており,そのことをSNSで嬉しそうに報告していました。
このことをよく思わなかったAさんは,Aさんだと特定できないようなアカウントを用いて,Vさんに「家は○○だろ」「殺してやるから待っとけよ」などのダイレクトメッセージを送りました。
Vさんはこのことを両親に相談し,脅迫事件として緑警察署に被害届を出しました。
緑警察署の結果,Vさんにメッセージを送ったのがAさんであることが発覚し,Aさんは脅迫罪の疑いで取調べを受けることになりました。
事件のことを知ったAさんの両親は,弁護士から示談について話を聞くことにしました。

(フィクションです。)

【脅迫罪について】

刑法(一部抜粋)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

他人に対して何らかの害悪を与える旨告げた場合,脅迫罪が成立する可能性があります。
脅迫罪において害を加える対象とされている事項は,脅迫の相手方本人またはその親族の生命,身体,名誉,財産です。
そのため,これらの事項に害を加える旨の告知を行えば,脅迫罪が成立する余地が出てきます。
ただし,脅迫罪における「脅迫」と言うためには,様々な具体的事情を考慮して,客観的に見て一般人を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないと考えられています。

今回のケースでは,AさんがVさんに対し,家に行って殺害することを予告する内容のダイレクトメッセージを送っています。
このような行為は,少なくともVさんの「生命」に害を与える旨の「脅迫」と言えます。
そうすると,Aさんに脅迫罪が成立する可能性は高いでしょう。

【少年事件における示談の効果】

お子さんが犯罪をして取調べを受けることになった場合,ご両親としては「示談をして穏便に済ませたい」とお考えになるかもしれません。
ですが,少年事件,すなわち未成年が犯罪をしてしまった事件については,たとえ示談をしても事件にはあまり影響が及ばないと言っても過言ではありません。
以下では,少年事件における示談の効果について,少年事件の特徴と絡めて説明します。

少年事件の当事者である少年(20歳未満の者)は,心身が発達段階にあり,紆余曲折を経て心身ともに成熟していくものです。
この点を考慮し,少年が犯罪に及んだ場合については,成人とは異なる特殊な手続が行われるのが原則です。

少年事件の手続の最たる特徴は,最終的に行われるのが刑罰ではなく「保護処分」という少年の健全な育成のための処分であることです。
そのため,少年事件において焦点が当てられるのは,犯罪の内容や被害弁償の有無というよりも,それらを含む様々な事情から読み取れる少年の内面なのです。
ここで示談について簡単に触れておくと,示談というのは主に金銭による賠償を目的とする当事者間の合意です。
たしかに物理的損害の補填や慰謝料の支払いがされることは大事ですが,それが少年の内面に何らかの影響を及ぼさないのであれば,少なくとも少年事件においては意味がありません。
こうした事情から,少年事件において示談の効果は決して大きくないということになるのです。
逆に言うと,更生の意思が見られるなど少年の内面がプラスの方向になっていれば,示談が成立していないことはさして重要ではないと考えられます。

以上のように,少年事件は通常の刑事事件と異なる点が少なからず見受けられます。
ご不安であれば,ぜひ一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、個々の事件における示談の効果について丁寧に説明します。
お子さんが脅迫罪などを疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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