強盗事件と不起訴

万引きから事後強盗罪へと発展し不起訴を目指すケースについて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【ケース】

Aさんは,家事育児に追われていることでストレスがたまり,お金に困っているわけでもないのに万引きをするようになりました。
ある日,Aさんが愛知県名古屋市内のスーパーマーケットで菓子数点を万引きしたところ,店を出ようとしたところで警備員に呼び止められました。
動揺したAさんは,警備員に向かって咄嗟にハンドバッグを振り回し,警備員の頭にハンドバッグが当たって怯んでいる隙にその場から逃走しました。
警備員に怪我はありませんでした。
後日,Aさん宅を愛知警察署の警察官が訪ね,Aさんは事後強盗罪の疑いで逮捕されました。
Aさんの夫は,弁護士に不起訴を目指せないか聞いてみました。
(フィクションです。)

【万引き事件が強盗罪に?】

上記事例のAさんは,事後強盗罪という罪の疑いをかけられています。
強盗罪は聞いたことがあっても事後強盗罪は聞いたことがないという方は多いかと思います。
まず,強盗罪は,暴行または脅迫を手段として財産を奪取した場合に成立する可能性のある罪です。
暴行・脅迫により被害者の抵抗を困難にして財産を自分の物にする点で,いわば窃盗罪がより悪質になったものとして位置づけられます。
これに対し,事後強盗罪は,窃盗に及んだあとで一定の目的のもと暴行または脅迫を加えた場合に成立する可能性のある罪です。
一定の目的とは,①盗んだ物が取り返されるのを阻止するため,②逮捕されるのを防ぐため,③証拠を隠滅するため,のいずれかです。
窃盗犯がこうした目的で暴行・脅迫を行うことがよく見られ,なおかつその危険性が強盗罪における暴行・脅迫と同視できることから,事後強盗罪という類型が設けられました。

事後強盗罪は「強盗として論ずる」とされているため,法定刑や他の罪との関係は強盗罪と同じということになります。
つまり,刑は5年以上の有期懲役であり,強盗致死傷罪など強盗罪の加重類型も成立しうることになります。

ちなみに,強盗罪と事後強盗罪における暴行・脅迫は,「相手方の反抗を抑圧するに至る程度」,つまりある程度強いものでなければならないと考えられています。
仮に暴行・脅迫が弱めのものだったとすると,強盗罪ではなく恐喝罪になったり,事後強盗罪ではなく窃盗罪と暴行罪または脅迫罪になったりする余地が出てきます。

【不起訴を目指すには】

仮に逮捕されるような事件を起こしたとしても,事件の内容と弁護活動によっては不起訴になる可能性があります。
不起訴は検察官が裁判を行わないという判断を下したことを意味するので,有罪となって刑罰が下されることは基本的になくなります。
そのため,刑事事件においては理想的な終わり方の一つだと言うことができます。

先述のとおり,検察官が不起訴処分を下すかどうかは,事件の内容と弁護活動により大きく左右されます。
事件の内容については,端的に言って事件の悪質性が低ければ不起訴になりやすくなると考えられます。
今回のケースで言うと,被害総額が高くないと見込まれる,少なくとも暴行は突発的なものである,といった事情が悪質性の低さを根拠づける要素となることが期待できます。
弁護活動については,やはり非常に重要なものとして示談が挙げられます。
今回のケースであれば,万引きの被害者である店と暴行の被害者である警備員が被害者に当たると考えられます。
弁護士を通して被害者にきちんと謝罪と被害弁償を行い,許しを得ることができれば,不起訴となる可能性はぐっと高まるでしょう。

逮捕された,あるいは強盗罪だからといって,絶対に不起訴にならないかと言うとそういうわけではありません。
不起訴を目指されるのであれば,まずは弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件に強い弁護士が,知識と経験を頼りに的確な不起訴の見込みをお伝えします。
ご家族などが事後強盗罪の疑いで逮捕されたら,刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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