【裁判紹介】ひき逃げ事件の裁判例等を紹介

ひき逃げ事件の裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

【事案】

名古屋市で、当時69歳の男性を車でひき逃げしたとして、3度の不起訴処分後に道路交通法違反で起訴された被告人に対し、名古屋地裁は、無罪主張を退け懲役6月、執行猶予2年(求刑・懲役2年6月)の有罪判決を言い渡した。
(毎日新聞「ひき逃げ男 3度の不起訴→起訴→有罪判決」(2018/1/19)を引用・参照)。

【ひき逃げ(救護義務違反)】

本件は、自動車運転過失致死罪が成立する行為自体の刑事処分は下された後、ひき逃げという道路交通法上の違反行為のみが起訴されたという特殊な事案です。
道路交通法におけるひき逃げとは、典型的には交通事故によって他人を死傷させたにも関わらず、その場から逃走することを指します。
具体的に道路交通法をみてみると、同法72条1項前段は「交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の……運転者等……は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」と規定しています。
このような措置を講じる義務は一般に救護義務などと呼ばれていますが、かかる救護義務に違反した場合には、「前項の場合において(注:「車両等……の運転者が、当該車両等の交通による人の死傷があつた場合において、第72条第1項前段の規定に違反したとき」)、同項の人の死傷が当該運転者の運転に起因するものであるときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(同法117条2項)という重い刑事罰が科される可能性があります。

【ひき逃げ事件における弁護士の役割】

本事案では、「懲役6月、執行猶予2年」という執行猶予付きの有罪判決が下されています。
もっとも、本件は上述したように道路交通法上の救護義務違反のみで起訴された特殊な事案です。
そこで、自動車運転死傷行為処罰法に規定されている致死傷行為も含めて処罰された他のケースをみてみると、飲酒運転中に他の乗用車に追突し、被害者に怪我を負わせたにも関わらずその場から逃走したケースにおいて、「懲役1年6月、保護観察付き執行猶予3年」の(保護観察付き)執行猶予判決が下されています。
上記のケースにおいて、飲酒運転の事実があったにもかかわらず実刑判決を免れたのは、やはり被害者が負傷するにとどまっているということが大きいと考えられます。
したがって、本事案のように被害者が死亡してしまっているケースにおいて、自動車運転過失致死行為とひき逃げ行為が共に起訴される通常のケースでは、実刑判決が下される可能性もあることから、早急に専門性を有する弁護士のアドバイスを仰ぐことが肝要といえるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、ひき逃げ事件を含む刑事事件を中心に扱っている法律事務所です。
ひき逃げ事件で逮捕や起訴されてしまった方やそのご家族等は、24時間態勢で対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお早めにご連絡ください。

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