インターネットで誹謗中傷をして侮辱事件に

インターネットで誹謗中傷をして侮辱事件に

インターネット誹謗中傷をして侮辱事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、誰でも見ることができるインターネットの掲示板に「Vはクズな男だ、あんな奴なんで生きてるんだろう。」などとVさんの実名を挙げて書き込みをしました。
数週間後、Vさんが居住する愛知県豊山町を管轄する愛知県西枇杷島警察署の警察官がAさんの自宅を訪ね、Aさんは侮辱罪愛知県西枇杷島警察署で話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【インターネットで他人を誹謗中傷することについて】

インターネット社会が発展するに伴い、他人を誹謗中傷する内容がインターネットの掲示板やSNSに書き込まれることが増加しています。
インターネットで不特定または多数人が閲覧できる場合、名誉棄損罪侮辱罪が成立する可能性があります。
名誉棄損罪侮辱罪では次に述べますとおり、法定刑に大きな違いがあります。

【名誉棄損罪】

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。(刑法第230条第1項)

死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。(刑法第230条第2項)

【侮辱罪】

事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留または科料に処する。(刑法第231条)

侮辱罪につきましては、厳罰化が検討されており、罰則を「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」とする予定があります。

【名誉棄損罪と侮辱罪の共通事項】

名誉毀損罪侮辱罪には、共通している部分もあります。
以下ではその共通事項を確認してみましょう。

1 人の名誉

名誉毀損罪侮辱罪の条文にある「人」とは、行為者以外の自然人、法人、その他の団体をいい、「名誉」とは、外部的名誉、すなわち、人の価値に対する社会的評価をいいます。
人の倫理的価値(品性)、政治的・学問的・芸術的能力、容貌、健康、身分、家柄など社会において価値があるとされるものが含まれますが、人の経済的な支払い能力に対する評価(信用)は、信用棄損罪の対象となります。

2 公然

「人」同様、名誉毀損罪侮辱罪の条文には同じく「公然」という言葉が使われています。
これは、不特定または多数人の認識しうる状態をいい、「不特定」とは相手方が特殊な関係によって限定されたものでないことをいい、摘示の相手方は特定かつ少数であっても、伝播して間接的に不特定多数人が認識できるようになる場合も含まれます。

3 親告罪

名誉棄損罪侮辱罪とも親告罪です。
親告罪とは、被害者などの告訴権者が告訴をしなければ起訴できない犯罪のことをいいます。

【名誉棄損罪と侮辱罪の違い】

では、ここまで確認してきた名誉毀損罪侮辱罪の共通事項に対して、2つの犯罪で異なる部分はどういった部分なのでしょうか。

1 事実の摘示について

名誉棄損罪は、「事実を摘示して、人の名誉を毀損する」ことで、人の社会的評価を低下させる恐れのある具体的事実を指摘、表示することをいい、単なる価値判断や評価は含まれません。
また、摘示される事実は、その真否を問わないし、公知の事実でもよく、また事実を摘示する方法に制限はなく、口頭、文書、写真(わいせつな写真と顔写真の合成)などがあります。
「名誉を毀損する」とは、人の社会的評価を低下させる恐れのある状態を作ることをいい、現実に社会的地位が傷つけられたことは必要ではありません。

一方、侮辱罪は、「事実を摘示しなくても、人を侮辱する」ことで、具体的事実を摘示することなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断、批判を表現することをいいます。
表現補法に制限はなく、口頭、文書、動作などによってもかまいません。

2 故意

名誉棄損罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損することの認識・認容が必要です。
侮辱罪は、事実を摘示することなく、公然と人を侮辱することの認識・認容が必要です。

3 違法性の阻却

名誉棄損罪にのみ規定があり、①摘示事実が公共の利害に関する事実であること(事実の公共性)②その目的がもっぱら公益を図るためであること(目的の公益性)③摘示事実が真実であることの証明があったこと(事実の真実性)の場合に違法性は阻却されます。

【刑事事件例について】

Aさんは誰でも見ることができるインターネットの掲示板に(=公然)、「Vはクズな男だ」と具体的な事実ではなく、抽象的な評価を示して、Vさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みをしています(=事実を摘示することなく侮辱)。
よって、Aさんには侮辱罪が成立すると思われます。

【Aさんに対する弁護活動】

インターネットにおける誹謗中傷に関する犯罪は、名誉棄損罪であれ侮辱罪であれ、被害者が存在します。
よって、被害者との示談交渉が大変重要になってきます。
示談交渉とは、当事者同士で話し合って解決を模索することですが、加害者本人が示談交渉をすることはほぼ不可能ですし、ほぼ弁護士にしかできません。
被害者が刑事告訴を考えていた時、示談交渉をして刑事告訴をしないように働きかけることもできます。
名誉毀損罪侮辱罪は上記のとおり親告罪ですので、示談交渉の前に被害者が刑事告訴をしていた場合でも告訴を取り下げてもらうことができれば不起訴になります。

ご自身やご家族がインターネット誹謗中傷の書き込みをしてしまい心配だという方は、ぜひ刑事事件に強い弁護士にお早めにご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
示談交渉を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
愛知県豊山町名誉棄損罪侮辱罪で話を聞かれることになった、またはインターネット誹謗中傷の書き込みをしてしまい不安だという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

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