過失傷害罪と不起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
名古屋市昭和区に住むAさんは、自転車を運転中、前方の信号が赤色表示を示していたにもかかわらず、停止線手前で一時停止をせずに進行したしたところ、折から、青信号に変わって横断歩道を横断していた歩行者のVさんに自転車を衝突させて路上に転倒させてしまい、Vさんに加療約2週間の怪我を負わせてしまいました。Aさんは過失傷害罪の被疑者として愛知県昭和警察署で取調べを受けることになりました。
(フィクションです)
~過失傷害罪~
過失傷害罪は、刑法209条1項に規定されています。
刑法209条1項
過失により人を傷害した者は、30万円以下の罰金又は科料に処する。
同罪の「過失」とは、不注意により、人を傷害することに対する認識、認容(そうなっても構わない、仕方がないという意図)を欠いていることをいいます。「不注意」があったというためには、①傷害の発生を認識、予見することができ、②傷害の発生を回避するために必要な措置を講ずることができた、といえることが必要です。
検察官が公訴を提起(起訴)するにあたって被害者等の告訴を必要とする犯罪を親告罪といいます。そもそも、告訴とは、被害者等が捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める意思表示をいいます。よって、親告罪が設けられたのは「被害者の処罰を求める意思」を尊重するためにあるとも考えられるのです。
刑法209条2項
前項の罪(過失傷害罪)は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
親告罪は被害者等の処罰意思を尊重する制度ですから、検察官が公訴を提起する前に被害者等が「処罰は望まない」「許してほしい」などといって告訴を取消すことができます。被害者等が告訴を取消せば、刑事処分は自動的に「不起訴(親告罪の告訴の取消し)」となります。
このように、被害者の方々の処罰感情を緩和させ、告訴を取消していただくには、まずは被害者の方々に誠心誠意謝罪した上で、示談交渉を開始し、お互い納得のいく条件で示談を成立させることが肝要かと考えます。交渉には様々な困難が伴いますし、のちのちのトラブルを防ぐには適切な内容・形式で示談を成立させる必要があります。そのためには弁護士の力が必要です。
なお、起訴後に告訴を取消すことはできません(刑事訴訟法237条1項)。よって、示談による告訴取消しを目指す場合は、検察官の公訴提起(起訴)前に示談を成立させる必要があります。
刑事訴訟法237条1項
告訴は、公訴の提起があるまでにこれを取り消すことができる。
~自転車保険の加入もご検討ください~
自転車事故を起こすと上記のような刑事責任のほかに民事責任も負わなければなりません。
民事責任とは、要は、損害賠償責任のことです。
被害者に発生した損害が軽微で損害賠償金がが低額であれば、ご自身の自己負担で賄うことができるでしょう。
しかし、自転車事故によって被害者にどの程度の損害が発生するのかは予測が付きません。場合によっては億単位の損害額が発生することも十分考えられますし、過去にはそうした自転車事故が起きた事例も実際に存在します。
そのため、ご自身を守る意味でも自転車保険に加入されておくことをお勧めします。
近年は加入を義務付ける自治体も増えてきています。
まずは、お住いの自治体が自転車保険の加入を義務付けているのかどうか、ご自身のライフスタイルにとって加入の必要があるのかどうか検討してみるとよいかと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、過失傷害罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に、「0120-631-881」までお電話ください。初回接見サービス、無料法律相談を24時間受け付けております。