強制性交等致傷罪と示談

2019-12-11

強制性交等致傷罪示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事件】

愛知県名古屋市中区に住むAさんは、大学生のVさん(当時19歳)が風俗店で働いていることを知り,SNSなどで「風俗で働いていることを学校に言うよ」「学校にばれたら退学になるかもね」などとVさんを脅しました。
さらに,AさんはVさんを呼び出し,学校へ知らせないかわりに肉体関係を迫りました。
Vさんは抵抗しましたがAさんは無理矢理Vさんを姦淫し,Vさんはそのショックから全治不明の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の傷害を負いました。
後日,Vさんから相談を受けた中警察署は、Aさんを強制性交等致傷罪の疑いで逮捕しました。
(フィクションです)

【強制性交等致傷罪】

強制性交等致傷罪(刑法第181条第2項)は,強制性交等罪(刑法第177条)が成立することを前提に,その機会に相手に傷害結果が生じた場合に成立する罪です。

強制性交等致傷罪の法定刑は無期または6年以上の懲役です。

強制性交等致傷罪の基本犯である強制性交等罪は,13歳以上の者に対し,暴行または脅迫を用いて,性交,肛門性交または口腔性交(以下,これらをまとめて性交等といいます)をした場合に成立します。
また,13歳未満の者に対しては,暴行や脅迫がなくとも性交等を行っただけで強制性交等罪が成立します。

強制性交等罪の法定刑は5年以上の有期懲役となっています。

強制性交等罪や強制性交等致傷罪における暴行・脅迫は,相手方の反抗を抑圧する程度のものでなければならないとされています。
「反抗を抑圧する」とは,物理的・精神的に反抗できない状態にすることを意味します。
そうすると,強制性交等罪の要件である暴行・脅迫は少なくとも被害者の反抗を著しく困難ならしめる程度の強度が必要であるように思われますが,実際は相手方の意思に反するという事実が認められれば,暴行・脅迫があった場合,それは相手の反抗を抑圧する暴行・脅迫であると扱われる傾向が強いです。
強制性交等罪に当たる行為に及んだ際に相手に傷害結果を生じさせた場合に強制性交等致傷罪が成立することになります。
ここで言う傷害には、身体的外傷のほか,Aさんの事件のような精神疾患も含まれると考えられています。

今回の事件では,VさんはAさんから風俗店で働いていることを材料に脅迫を受けています。
また,事件の概要からは明らかではありませんが,Vさんを無理矢理姦淫していることから上記の脅迫と併せて反抗を抑圧する程度の暴行・脅迫があったと言えます。
加えて、Vさんは姦淫されたことでショックを受け、PTSDを罹患しています。
以上から、Aさんには強制性交等致傷罪が成立する可能性があります。

ちなみに、強制性交等致傷罪は,強制性交等未遂罪の場合でも性交等に及ぼうとした機会に傷害結果を発生させた場合にも成立し得ます。
したがって,たとえ相手方が抵抗したため性交等に至らなかったとしても、傷害を負わせていれば強制性交等致傷罪の既遂となる点に注意が必要です。

【示談の締結を目指す】

強制性交等罪のような性犯罪の場合,被害者やその家族の処罰感情が強い場合がほとんどで,加害者が被害者に謝罪をしようとしても接触を拒まれることが非常に多いです。

加えて,加害者やそのご家族が直接示談交渉することも非常に困難を伴います。
示談交渉に時間を取られてしまうと,その間に刑事手続が進んでしまい,長期の身体拘束や最悪の場合起訴に至り有罪判決を言い渡されてしまうことになりかねません。

上記の場合に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼すれば,示談交渉をより円滑に進めることが期待できます。
その結果として示談が締結できれば、早期に身体解放を実現したり、執行猶予を獲得したりする可能性を高めることができるでしょう。

もし強制性交等罪や強制性交等致傷罪などの性犯罪の被疑者となってしまった場合は,早急に刑事事件に強い弁護士に事件を依頼することを強くお勧めします。

強制性交等致傷罪の被疑者となってしまった方,中警察署で取調べを受けることになってしまった方は,お早めに刑事事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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