往来危険罪で自首するなら
~ケース~
春日井市に在住のAさん(成人済み)は仕事のストレスを色々ないたずらをすることによって発散していた。
ある日Aさんは仕事の帰りに踏み切りにおいて線路上に小石を置くいたずらをした。
その後,線路に石が置いてあることに気が付いた通行人Bによりに石は取り除かれ特に事故などは起きなかった。
Bは鉄道会社と愛知県警察春日井警察署に線路に石が置いてあったことを報告した。
その後,知己の回覧板で線路の置石事件があった旨の告知がされており,大事になってしまったと感じたAさんは自首した方がいいのかと感じ,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用することにした。
(フィクションです)
~往来危険罪~
往来危険罪は刑法典第11章「往来を妨害する罪」に規定されています。
往来を妨害する罪には,往来妨害罪,往来危険罪,汽車転覆の罪などが定められています。
往来妨害罪は陸路・水路または橋を損壊し,または閉塞して往来を妨害することで現代ではあまり見かけない犯罪です。
一方で,往来危険罪は「鉄道若しくはその標識を破壊し,又はその他の方法により,汽車又は電車の往来の危険を生じさせた者は,2年以上の有期懲役に処する。」と規定されています。
汽車または電車,すなわち列車の往来に危険を生じさせることが犯罪の内容となりますので現代でも比較的発生しうる犯罪といえます。
鉄道や標識の損壊とは単なる例示であり,その他の方法には置石などのあらゆる行為が含まれると考えられます。
したがって,Aさんが線路に小石を置く行為は往来危険罪のその他の行為に当たります。
往来の危険とは脱線・転覆・衝突・破壊など交通の安全を害するおそれのある状態をいいます。
往来危険罪は実際に脱線・転覆などが発生する必要はなくそのような結果が生じる可能性のある状態を作り出すことで足りるとされています。
なお,実際に列車が転覆等した場合には往来危険による汽車転覆罪となり無期または3年以上の懲役となります(脱線のみでは成立しないとされています)。
往来危険罪の法定刑が重いのは,交通機関の運転に従事するものや利用者の生命・身体に対する危険を根拠としています。
また,それぞれ2項で艦船についても同様の規定が定められています。
~自首~
刑法42条1項は「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首した時は,その刑を減軽することができる」と定めています。
犯罪が捜査機関に発覚していない場合や,犯罪は発覚しているが犯人が誰か不明な場合に自首は成立します。
自首の効果は裁量的減軽となっていますが,通常の刑事事件であれば減軽されるケースがほとんどでしょう。
なお,すでに犯人が誰か分かっている場合に警察に行くことは自首ではなく「出頭」となります。
出頭の場合には刑法に減軽規定はありませんが,酌量減軽の考慮要素となります。
今回のケースでAさんが犯人であるとまだ発覚していない状況ですので,自首は成立するといえるでしょう。
自首することによって刑の減軽や検察官が事件を起訴猶予とする可能性があるというメリットがあります。
また,自首したことによって逃亡や罪証隠滅のおそれがないと判断され身柄拘束を回避できる場合もあります。
一方で,自首することで犯行が確実に発覚してしまうというデメリットもあります。
上記のメリットとは真逆になりますが,たとえ自首したとしても事件の内容によっては逮捕等されてしまう場合もあるでしょう。
自首した場合のメリット・デメリットは一般の方が判断するのは困難です。
自首することによって今後どのようになるかの見通しなどは専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
なんらかの犯罪行為をしてしまい自首や警察署等への出頭をお考えの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
自首が成立するかどうかやその後の見通し,弁護プランなどを事務所にて無料にて相談を承ります。