強盗致傷事件の裁判例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。
【事案】
名古屋市の郵便局で現金を奪い、人質に取った女性客にけがをさせたとして、強盗致傷などの罪に問われた被告人の裁判員裁判の判決が、名古屋地裁で開かれ、裁判長は懲役7年(求刑懲役9年)の判決を言い渡した。
判決によると、被告人は、郵便局の女性客を人質に取り、現金221万円を奪った。
逃走中に女性を引きずるなどして、肘や膝に軽傷を負わせた。
(産経新聞「郵便局強盗、男に懲役7年 名古屋地裁「社会に不安」(2021428)」を引用・参照)。
【強盗罪と強盗致傷罪】
刑法は、236条に「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」(同条1項)との規定を置いています。
そして、「強盗」が、「人を負傷させたとき」は「無期又は6年以上の懲役に処」すとされています(240条前段)。
判例上、致傷行為は強盗の手段たる「暴行」によって生じることを要さず、強盗の機会における暴行によって生じれば足りると解されています。
本事案では、強盗後の逃走中に被害者を引きずるなどして軽傷を負わせており、強盗の機会性を満たすことから上記240条前段が適用されることになるのです。
【強盗事件(強盗致傷事件)の裁判】
強盗致傷事件は、上述の刑法240条前段の罪にあたることから、「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」(裁判員法2条1項1号)として、裁判員裁判対象事件となることに注意が必要です。
つまり、強盗罪にとどまるか致傷罪にまで至るかによって、裁判員裁判になるか裁判官裁判(通常の刑事裁判)になるかという大きな分水嶺が存在することになります。
また、当然ながら強盗罪にとどまる場合と本事案のように致傷罪まで問われる場合では、量刑も大きく異なります。
例えば、路上で女性に刃物を突き付け軽トラックを奪うなどした致傷行為を伴わない強盗事件においては、懲役3年の実刑判決が下された例があります。
この裁判では、経済的な被害が実質的にみて小さいことなどが判決理由として指摘されており、致傷行為がなかったことのみが量刑の理由とはなっていませんが、やはり怪我を負わせているか否かは量刑上大きな差を生じさせることとなります。
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