殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)

2021-12-03

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(後編)

殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。
殺人未遂容疑を否認する被疑者の権利(前編)の続きとなります。

【勾留に関する被疑者・被告人の権利】

逮捕に引き続く長期の身体拘束である「勾留」については、勾留理由開示(刑事訴訟法82条1項)がなされ、これをもとにして勾留決定に対する不服申立てである準抗告(刑事訴訟法429条)ができます。

勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる(刑事訴訟法82条1項)。

裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる(刑事訴訟法429条)。
勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判(刑事訴訟法429条1項2号)。

その他、勾留の取消請求(刑事訴訟法87条)をしたり、勾留の執行停止(刑事訴訟法95条)による救済を受けたりすることが考えられます。

勾留の理由又は勾留の必要性がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人…の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない(刑事訴訟法87条)。

裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族…に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる(刑事訴訟法95条)。

また、弁護人(弁護士)の選任権を実質的に保障するために、弁護人(弁護士)の接見交通権(刑事訴訟法39条2項)が保障されており、身体拘束されている被疑者・被告人の方との自由な接見が認められています。

身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護士又は弁護士を選任できる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる(刑事訴訟法39条2項)。

【証拠保全に関する被疑者・被告人の権利】

否認事件においては、被疑者・被告人の方は、自己に有利な証拠の収集を行うことが重要であると考えられます。
将来の裁判(公判)において使用すべき証拠をあらかじめ収集して保持しておく処置を証拠保全といいます。

具体的な手段として、裁判官に対する証拠保全請求(刑事訴訟法179条1項)やその閲覧・謄写請求権(刑事訴訟法180条)が認められています。
この規定は、被疑者・被告人の方にとっては、警察や検察による捜査に対応するものであるといえます。

被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠をしようすることがその証拠を使用することが困難な事情があるときは、第一回公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求することができる(刑事所掌179条1項)。

検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第1項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写をすることができる(刑事訴訟法180条1項柱書)。

被告人又は被疑者は、裁判所の許可を受け、裁判所において、第1項の書類及び証拠物を閲覧することができる。
ただし、被告人又は被疑者に弁護人があるときは、この限りでない(刑事訴訟法180条3項)。

【刑事事件例における被疑者・被告人の権利】

殺人未遂罪の容疑を否認する場合、逮捕に引き続く長期の身体拘束である勾留がなされることが多くみられます。
そこで、刑事弁護士としては、勾留理由開示(刑事訴訟法82条1項)をし、勾留決定に対する不服申立てである準抗告(刑事訴訟法429条)をすることにより、Aさんに対する身体拘束の決定を争うことができます。

また、殺人未遂罪の容疑を否認する場合においては、警察官や検察官により厳しい追及がなされることが考えられます。
そこで、刑事弁護士としては、弁護士のもつ接見交通権(刑事訴訟法39条2項)のもと、Aさんと接見を行い、黙秘権の保障(憲法38条1項・刑事訴訟法198条2項)があることをや関連する刑事訴訟法上の規定(刑事訴訟法198条4項、5項)についても分かりやすく説明します。

さらに、必要であれば、証人などについて、裁判官への証拠保全請求(刑事訴訟法179条)や関係者への事情聴取を行うことができると考えられます。

前回も触れた通り、被疑者・被告人本人やその周囲の方が、被疑者・被告人の持つ権利についてきちんと知っておくことは、その後の刑事事件の流れに対応していくうえで非常に重要です。
刑事事件に強い弁護士と協力し、サポートしてもらいながら刑事手続きに対応していくことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
否認事件の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
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