傷害容疑の少年事件を起こした

傷害容疑の少年事件を起こした

傷害容疑の少年事件を起こした場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさん(19歳)は、愛知県一宮市の公園において、15分間余りにわたり、V1さん(20歳)とV2さん(19歳)に殴る蹴るなどの暴行を加え、V1さんとV2さんにそれぞれ全治1週間の怪我を負わせました。
Aさんは、愛知県一宮警察署の警察官により傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんが傷害事件を起こしたと連絡を受けたAさんの両親は、愛知県内にある刑事事件に強い法律事務所への法律相談を検討しています。
(2020年10月22日に産経新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【傷害罪とは】

刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

上記のように、刑法204条は傷害罪を規定しています。
そして、傷害罪が成立するような「傷害」とは、「人の生理的機能に障害を加えること」であると考えられています。

Aさんは、V1さんとV2さんに殴る蹴るなどの暴行を加え、V1さんとV2さんにそれぞれ全治1週間の怪我を負わせています。
この全治1週間の怪我が、傷害罪でいうところの「人の生理的機能に障害を加えること」である「傷害」にあたると考えられます。

以上より、Aさんには傷害罪が成立すると考えられます。

【傷害罪と少年事件】

Aさんが傷害事件を起こしたときの年齢は19歳であり、Aさんは少年法で定められた少年事件の手続き下で保護処分が決定される可能性があります。
そこで、以下では、少年事件の手続きについて解説します。

少年法2条1項は、少年を「20歳に満たない者」をいうと規定しています。
そして、少年の年齢を判断する時期については、すべての処分が終了する時点まで少年(20歳未満)でなければならないと考えられています。
よって、Aさんがすべての処分が終了する時点まで19歳であれば、Aさんは少年法で定められた少年事件の手続下で傷害事件に対する保護処分が決定されることになります。

この少年法の年齢要件については、事件を起こした時点では19歳であったが、事件を起こした日と誕生日が近く、処分が決定される時点には20歳を迎えてしまう可能性があるというように時間が切迫している場合もあります。
捜査機関や家庭裁判所としても、事件を起こした少年が19歳のうちにすべての処分を終了させるために、検察官による家庭裁判所への送致や家庭裁判所での処分の決定が早急に行われることもあります。
このように処分までの時間が切迫している場合において、少年へ寛大・適切な処分を獲得するためには、早い段階で刑事弁護人・付添人を選任し、家庭裁判所の調査官や裁判官と十分な協議をすること及びその時間を確保することが重要です。

また、たとえAさんが傷害事件に対するすべての処分が終了する時点まで19歳であり、少年法の年齢要件を満たすとしても、Aさんが成年と同じ刑事事件の手続きに戻されてしまう可能性もあります。
というのは、少年法20条1項が、「家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。」と規定しているからです。
この手続きは「逆送」といわれ、一定の重大事件について、少年に少年法に規定された保護処分ではなく、刑事処分を科すことが相当であると判断した場合になされるものです。

少年が成年と同じ刑事事件の手続きに戻されてしまうと、教育的施設である少年院ではなく行刑施設である刑務所に収容されてしまう可能性があるなど、少年の健全な成長や更生にとって大きな不利益が生じるおそれがあります。
そのため、少年が成年と同じ刑事事件の手続きに戻されてしまわないよう、家庭裁判所の調査官や裁判官と十分な協議と働きかけを行うことが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
傷害容疑の少年事件を起こした場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

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