簡易公判手続・即決裁判手続・略式手続とは

2021-10-15

簡易公判手続・即決裁判手続・略式手続とは

簡易公判手続即決裁判手続略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは、愛知県名古屋市西区にあるコンビニエンスストアV店において、5000円相当の商品を万引きしました。
Aさんは、愛知県西警察署により窃盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは窃盗罪の容疑を認めています。
Aさんは、「刑事裁判には簡易な手続があると聞いたことがある。自分は今後どのような手続で処分が下されるのか。」と心配しています。
(フィクションです。)

【簡易公判手続とは】

簡易公判手続とは、自白事件(被告人が有罪である旨の陳述をした事件)について、裁判所の決定により、証拠調べを簡略化する公判手続のことをいいます(刑事訴訟法291条の2、307条の2)。
簡易公判手続はいわゆる認め事件(被疑者の方が犯罪事実を認めている事件)で利用されるものであり、否認事件(被疑者の方が犯罪事実を争っている事件)では利用されません。

簡易公判手続は、公判(公開の裁判)手続の簡易化・迅速化を図るため、1953年に導入された制度です。
しかし、通常の公判における冒頭手続(最初に行われる手続)の段階において被告人が有罪である旨の陳述をすることによってはじめて、「裁判所が」簡易公判手続を採用する旨の決定をすることができると規定されており、検察官は通常の公判と同じように公判の準備をしておく必要がありました。
また、手続の簡易化・迅速化が十分ではなく(下記即決裁判手続と比較すると明らかです)、実務上ではほとんど利用されていませんでした。

【即決裁判手続とは】

即決裁判手続とは、事案が明白・軽微な自白事件について、検察官の申立てに基づく裁判所の決定により、証拠調べを簡略化した公判手続を行い、判決(懲役・禁錮刑については執行猶予付き判決)を即日言い渡す公判手続のことをいいます(刑事訴訟法350条の2、350条の10、350条の13)。

即決裁判手続は、上述した簡易公判手続の反省を生かし、2004年に導入された制度です。
簡易公判手続と同じ点は、冒頭手続(公開の裁判において最初に行われる手続)の段階において被告人が有罪である旨の陳述をし、裁判所が決定をすること(刑事訴訟法350の8)、証拠調べが適当と認める方法で行われること(刑事訴訟法350条の10第2項)があります。
簡易裁判手続と同じように、即決裁判手続はいわゆる認め事件(被疑者の方が犯罪事実を認めている事件)で利用されるものであり、否認事件(被疑者の方が犯罪事実を争っている事件)では利用されません。

簡易公判手続との違いは、検察官の申立てによること(刑事訴訟法350条の2)、捜査段階で被疑者・弁護人の同意等を得る必要があること(刑事訴訟法350条の2)、できる限り即日判決を言い渡すこと(刑事訴訟法350条の13)、懲役・禁錮刑については執行猶予を言い渡すこと(刑事訴訟法350条の14)、事実誤認を理由とする上訴が制限されること(刑事訴訟法403条の2、裁判所の職権破棄について刑事訴訟法413条の2)、必ず弁護士をつけなければならない必要的弁護事件であること(刑事訴訟法350条の3、4、9)があります。

【略式手続とは】

略式手続とは、(区検察庁所属の)検察官の請求により、簡易裁判所が、管轄する軽微な事件について、公判を開くことなく、略式命令により100万円以下の罰金又は科料を科す手続のことをいいます。

略式手続では、検察官は被疑者に異議がないかを確認する必要があります(刑事訴訟法461条の2)。
また、簡易裁判所は、遅くとも検察官による請求があった日から14日以内に略式命令を発しなければなりません(刑事訴訟規則290条)。

実務上では、略式手続は上記の簡易公判手続・即決裁判手続とは違い、圧倒的に利用頻度が高いといえます。

【刑事事件例と略式手続】

刑事事件例では、Aさんは窃盗罪を犯しています。
そして、窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」(刑法235条)であるため、選択刑として罰金が定められている罪に係る事件として、簡易裁判所の管轄する事件であるといえます(裁判所法33条1項2号)。

このことから、仮にAさんに罰金刑が科される場合、略式手続によって処分が決定される可能性があると考えられます。

ただし、実際にAさんが今後どのような手続で処分が下されるのかは、Aさんに前科があるかといった事情や示談交渉の結果などに大きく左右されます。
略式手続ではなく正式起訴(公開の裁判に提訴)される可能性や、正式裁判や略式手続に移行せずに不起訴処分が下される可能性もあります。
今後どのような手続で処分が下されるのかご不安を感じられている場合は、刑事事件に強い弁護士から助言や説明を受け、今後の方向性を理解することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
簡易公判手続即決裁判手続略式手続に関してお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。