SNSで誹謗中傷、名誉毀損罪とは?

SNSでの誹謗中傷、名誉毀損罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案】

Xは、学生時代から仲良くしていた親友のYがいました。
YはXに数万円の借金をしており、中々返済をしないYに、XはYに早く借金を返してほしいと不満を募らせていた。
とある日、XとYは、居酒屋で酒を呑んでいる際にYのXに対する借金をきっかけに口論となり、関係が悪くなってしまった。
以降,XはYに腹を立てており、何かYに嫌がらせをしたいと考えていました。
そこで、XはYの暴露情報として、YouTubeやTwitterなどのSNSを通じて、「Yは借金を全く返さないクズ」、「Yは未成年と肉体関係を持ったことがある」、「Yは、学生時代に同級生の財布から金を盗んだ」などの内容の投稿を行いました。
数日後も、Yに対する怒りが収まらないXは「Yはどうしようもないくらい頭が悪く学生時代赤点ばかり取っていた」、「SNSのダイレクトメッセージを使って,知らない女性に肉体関係を迫っている」などの内容の投稿を行いました。
その後も、XはSNSにYに対する誹謗中傷を投稿し続けていました。
最後の投稿から数か月後、Xは愛知県刈谷警察署に、XのSNSへの投稿について名誉毀損罪成立するとして逮捕されました。
※事案はフィクションです。

【名誉毀損罪とは?】

名誉毀損罪(刑法230条)は、事実を摘示し、公然と、人の社会的評価を低下させる恐れのある行為を行うと成立します。
法定刑は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金です。
刑法230条1項 名誉毀損罪
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
条文から名誉毀損罪の成立要件は「公然」「事実を摘示」「毀損」となります。
「公然」とは、不特定または多数の者が認識し得る状態を言います。
「認識しうる状態」で足り、実際に認識したことまでは必要ではありません。
「事実を摘示とは、具体的な事実内容を示したことをいい、その内容の真否は関係ありません。
「名誉を毀損 」とは、社会的評価が低下する可能性のある行為を行うことで足り、実際に社会的評価が下がったことまでは要求されていません。

【罪に問われない方法は?】

1,違法性阻却事由
名誉毀損の要件を満たしていても、違法性が阻却される場合には、名誉毀損罪は成立しません。
刑法230条の2  第1項 公共の利害に関する場合の特例
前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
条文から名誉毀損罪の違法性阻事由の要件は「公共性があり」「公益を図る目的で」「真実または真実相当性があること」です。
「公共性」とは、社会的に影響力のある人物や政治家など国民にとって有意義な情報であることを言います。
「公益を図る目的」とは、政治家の汚職を公にすることで政治の腐敗を正そう等の正当な目的であることをいいます。
内容に「公共性」があっても、目的が憂さ晴らし等の場合には、違法性は阻却しません。
「真実相当性がある」とは、真実であると信じるべき正当な理由や根拠があることをいいます。
2,告訴期間・公訴時効
名誉毀損罪は「親告罪」といって、その名誉毀損を行った人物を知った日から6カ月以内に告訴しなければなりません。
また、名誉毀損罪の公訴時効は3年であるため、名誉毀損行為をしたときから3年以内に起訴する必要があります。
このような,告訴期間や公訴時効の期間が過ぎてしまった場合には,名誉毀損罪として罪には問われません。

【おわり】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は刑事事件専門の法律事務所です。
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