捜査の流れ(検挙、逮捕)

捜査の流れ(検挙、逮捕)

~捜査の端緒~

刑事警察の主要な任務は捜査にあります。
捜査とは基本的には裁判の準備作業と言えるでしょう。
そして,この捜査という作業を始めるきっかけのことを捜査の端緒といいます。
捜査の端緒としては,被害者の届出,第三者の届出,告訴・告発,職務質問,取調べ,現認・被害発見,自首などがあります。
この中でも被害者の届出が圧倒的に多く,9割程度が被害者の届出となっています。
また,警備会社などの第三者による届出も増加傾向にあります。
一方で,告訴・告発は1%もなく,取調べの際に余罪が判明するという場合も数%程度,職務質問によるものが5%程度であり,自首は非常に少なく0.01%程度です。

~捜査の実行~

捜査の主な目的は狭義の証拠収集・確保と被疑者の特定となっています。
証拠収集の具体例としては,交通事故があった場合にブレーキ痕の写真を撮る,自動車の塗料の破片を探す,付近の聞き込みによって目撃者を探すなどが考えられます。
また,被疑者は裁判の当事者になりますので,捜査が裁判の準備作業である以上,裁判の当事者である被疑者を特定することは裁判を開始する上で必須となります。

~検挙と逮捕~

警察による捜査において,検挙逮捕という言葉は明確に区別されています。
検挙とは捜査機関である警察が犯罪事実を認識し,行為者を特定し,被疑者とすることをいいます。
検挙逮捕というイメージを持たれるかもしれませんが,検挙された後も逮捕されずに在宅での捜査となる場合の方が多くなっています。

~逮捕の種類~

日本国憲法33条は「何人も,現行犯として逮捕される場合を除いては,権限を有する司法官憲が発し,且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ,逮捕されない。」と規定されています。
緊急逮捕という例外はありますが,裁判所の発付する逮捕状がなければ現行犯でなければ逮捕されません。
現行犯とは「現に罪を行い,または現に罪を行い終わった者」(刑事訴訟法第212条1項)をいいます。
現行犯逮捕の場合,誤認逮捕のおそれが少ないこと,及び逮捕の必要性・緊急性から逮捕状は不要とされています。
なお,「現に罪を行い・・・」という規定ですので犯罪が特定されている必要があります。
警察官の職務質問のように何らかの犯罪に関係していると疑われるからといって現行犯逮捕することはできません。

また,刑事訴訟法第212条2項では一定の条件に当てはまる場合は罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる場合には現行犯人とみなすとしており,準現行犯と呼ばれます。
具体的には,犯人として追呼されている場合,犯罪に使用された凶器などを所持している場合,身体や衣服などに血痕など犯罪の顕著な証拠がある場合,誰何されて逃走しようとする場合になります。
ただし,現行犯の場合と同じく犯罪が特定されている必要があります。
現行犯および準現行犯は何人でも,すなわち一般私人にも逮捕権があります(刑事訴訟法第213条)。

なお,「30万円以下の罰金,拘留又は科料に当たる罪」は軽微な事件であるとして、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り現行犯逮捕が可能となっています(刑事訴訟法第217条)。
軽微な事件の現行犯逮捕が問題となるケースはあまりありませんが,軽犯罪法違反の場合に問題となることもあります。
特に,「覗き」行為については軽犯罪法や都道府県の定める迷惑防止条例に規定がありますが,行為様態や場所によっては軽犯罪法違反に留まる場合もあります。
その場合,軽犯罪法違反は軽微な事件ですので現行犯逮捕できないことになります。

次回は通常逮捕と緊急逮捕逮捕後の手続きの流れを説明していきたいと思います。

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