スキミング行為で示談なら

2019-09-19

スキミング行為で示談なら

~ケース~

名古屋市北区のAさんは,コンビニのATMにカードの磁気情報を読み取り複製するいわゆるスキミング装置(スキマー)を取り付け,利用者のカードを複製することを計画した。
Aさんは名古屋市北区のコンビニの銀行ATMのカード挿入口にスキミング装置を取り付けた。
その後,銀行ATMを利用しようとしたVさんがカード挿入口が普段と異なっていることに気が付き,店員に報告した。
何か取り付けられていると感じた店員が警察に通報し,愛知県警察北警察署の警察官が確認したところスキミング装置であることが判明した。
その後,店内の防犯カメラの映像からAさんの犯行である事が判明し,Aさんは愛知県警察北警察署に逮捕された。
(フィクションです)

~スキミング~

スキミングとはキャッシュカードなどの磁気情報を複製し,元のカードと同一の磁気情報を持つカードを複製することを言います。
当然ですが,複製したカードを不正に利用し預金を引き出す事などが目的となります。
現在では偽造が比較的困難であるとされているICカードを導入する銀行やカード会社が増え,スキミング被害は減少しつつありますが,従来の磁気カードの利用者も依然としており,被害は無くなっていません。

スキミング行為は刑法163条の2から163条の5によって規制されており,主な条文は以下の通りです。

第163条の2(支払用カード電磁的記録不正作出等)
1.人の財産上の事務処理を誤らせる目的で,その事務処理の用に供する電磁的記録であって,クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は,10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も,同様とする。

第163条の4(支払用カード電磁的記録不正作出準備)
1.第163条の2第1項の犯罪行為の用に供する目的で、同項の電磁的記録の情報を取得した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。情を知って、その情報を提供した者も、同様とする。

自身が作った場合でなくとも,不正に作成されたクレジットカード等を使用や譲渡した場合,所持した場合等も罰せられます(163条の2第2項,第3項,163条の3)。

今回のケースではAさんはカードを偽造するに至ってはいませんので第163条の2第1項は成立しません。
また,実際にスキミングする前に利用者によりスキマーが取り付けられていることが発覚しましたので電磁的記録の情報も取得できていません。
しかし,163条の2および163条の4第1項については未遂罪が規定されています(163条の5)。
Aさんはスキマーを取りつけるという実行の着手はあったものの,すぐに発覚したため情報を取得できなかっため,163条の4第1項の未遂罪となるといえるでしょう。
また,今回のケースのように何らかの犯罪を行う為に店舗などに入った場合,管理者の意図に反する侵入となり建造物侵入罪(刑法130条)も成立します。
なお,スキマーを取りつけるという行為が建造物侵入罪となりますので刑法54条1項後段により牽連犯となり,重い罪である支払用カード電磁記録不正作出準備罪によって処断されることになります。

~弁護活動~

刑事事件では裁判官による量刑判断や検察官による起訴・不起訴の判断に被害者との示談が成立しているかが大きく影響します。
今回のケースでは,犯行場所となった店舗および未遂に終わったとはいえVさんが被害者といえるでしょう。
ただし支払用カード電磁的記録に関する犯罪は起訴率が高いため(例年約80%前後),示談をしたとしても不起訴とならない可能性があります。
しかし,今回のケースでは犯罪行為自体は未遂で終わっており,実際の被害がないため,示談をすることで不起訴となる可能性はあります。
示談をしなかった場合は起訴され,前科がなければおそらく罰金刑となる可能性が高いです。

示談をする場合には,基本的には私選の弁護士を選任する必要があります。
というのも,通常は被害者の連絡先などは加害者の方はわかりませんので,弁護士が守秘義務のもと,被害者の方の同意を得て検察官(場合によっては警察)から連絡先を教えてもらう必要があります。
連絡先を教えてもらえたら,示談交渉をし,示談が成立した場合には検察官などに示談書などの書類を提出します。
示談が成立していることで,あえて国家が刑罰を科す必要はないと判断されれば起訴猶予の不起訴処分となります。
なお,自宅事件の場合,国選の弁護人が付くのは起訴された後ですので,それから示談を成立させても無罪などにはならず,量刑が軽くなるということになるでしょう。

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